オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

ティモシー・シャラメの弾き語りに骨抜きにされる~『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』


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  故郷のマンハッタンを離れ、州北部の緑深い大学に通うギャッツビー(ティモシー・シャラメ)は、大学新聞の記者でジャーナリスト志望のアシュレー(エル・ファニング)とアツアツの恋人同士。そんなある日、アシュレーがさる有名な映画監督に取材をすることに。アリゾナ出身のカントリーガール、アシュレーはマンハッタンで有名人に会える幸運に有頂天。それに便乗してギャッツビーは、「マンハッタンをボクが案内してあげる❗二人で週末を過ごそう」と提案します。

 

  ギャッツビーは最初ホテル「ザ・カーライル」に宿をとろうとしますが、実家のママと犬猿の仲のギャッツビー、カーライルは実家に近いから危険…と考え直して、ピエール(   ザ・ピエール・ア・タージホテル~The Pierre, A Taj Hotel  セントラルパーク前の5つ星ホテル)のスィートを予約します。欧米ではいくらセレブの息子でも親のおカネでスイートルームなんて言語道断なんだけど、ギャッツビーはプロ並に最強のギャンブラーで、ポーカーでボロ儲けして旅行の資金を調達した…っていう設定になってます。

 

  しかし二人で過ごすはずの素敵な週末、アシュレーのインタビューが思わぬハプニング続きで次々と邪魔が入り、恋人たちは離れ離れに。結果、取り残されたギャッツビーはショボくれて、雨のニューヨークの街を一人彷徨い歩くハメに…。さて二人の恋の行き着く先は…❗❓

 

  エル・ファニング演じるアシュレー、『地方出身の美人=イノセントな女の子』にやたらとドリームを抱いているらしいオッサンの映画監督や、プレイボーイの中年俳優から取材するたびにグイグイ迫られて、どんどん大変なことに巻き込まれていきます。このアシュレー、ギャッツビーの高校時代の友人からは「『風と共に去りぬ』の腰抜けアシュレーと同じ名前かよ」って言われたり、元カノの妹でこじらせ女子のチェン(セレーナ・ゴメス)からは、「彼女とどんな話するの?サボテンや砂漠の話?それともガラガラヘビの話?」って陰口叩かれたりでさんざんなんですけど。ひねくれモノのニューヨーカーであるウッディ・アレン、天真爛漫なカントリーガールをかなーりディスってます😅

 

  ニューヨーク大学で自主映画を製作している古い友人、ジョシュに頼まれて(何でも、現代版フィルム・ノワールを作りたいんだそう😅)、チェンと路上に停めた車の中でいきなりキスシーンを演じるハメに。今ハリウッドの若手俳優の中でラブシーンを演じたらピカいち、色気ダダ漏れイケ散らかしてるシャラメが、セレーナ・ゴメスに「何この人❗キスシーンなのに口閉じてるんだけど😒💢💢」って言われ、「しょーがないだろ、緊張してるんだよ❗俳優じゃないんだから」って言い返すシーンはちょっとツボ(笑)

 

  なかなか思い通りにいかない一日。モラトリアムでオタクな主人公が、孤独に都会の街を彷徨いながら、「自分は本当は何者なのか❓一体何を目指して生きているのか❓」を見つめ直す…。この設定って、トム・シリングのドイツ映画『コーヒーをめぐる冒険』(舞台はミュンヘン)にそっくりなんだけど、演じる俳優と街の風景が違うだけでこんなにもイメージ違うんだね…😅ビックリです。シャラメくんはコーヒーどころか、シャトーメイネイをガブ飲みだし(笑)

 

  映画とレコードとチャーリー・パーカー(ビバップを確立したサックス奏者)が好きで、「大学で何学んでるの?」と聞かれ、「クルド研究」と答えるギャッツビー(もちろんブラックジョークだと思われる。頭でっかちなギャッツビーにとって、中東問題は一番苦手なハズ=汗)、メトロポリタン美術館にわざわざヒエロニムス・ボスとサージェントの作品を見に行くギャッツビーは、めちゃくちゃマイナー志向な真性オタクのハズだけど…。演じるのが何しろシャラメくんだから😉トム・シリングみたいなオタク臭は全くありません(笑)

 

  ヘンリー・ジェイムズカフカプルーストについて話し合う文学サロンのホステスを務める、超メジャー志向のギャッツビーのママ(ベテラン女優のチェリー・ジェイムスがサスガの貫禄)。ママに反抗してやさぐれてるギャッツビーが、彼女と和解するシーン、これが映画の最大のオチで、それが、彼が最後に下す大きな決断に繋がっていくわけですが…。

 

  この、ちょっぴりほろ苦くて、シニカルで、だけどシャレオツなラスト。ウッディ・アレンワールド炸裂ですね🎵

 

  ジュード・ロウレベッカ・ホールが夫婦役でちらっと出て来るんですが、マンハッタンの街角で繰り広げられる二人の夫婦ゲンカシーンはもう、一見の価値あり(笑)

 

  しばらくヨーロッパを舞台に映画を撮っていたアレン監督。彼が久しぶりに描く雨のニューヨークの街角は、今も変わらず、ひたすら美しい。その中に佇むシャラメを見るだけで、眼福🎵眼福🎵そしてそして、チェンの家のピアノを弾きながら歌うシャラメの「Everything happens to me」❗❗

 

確実に骨抜きにされて腰砕けになります(笑)

 

(オマケ)

シャラメが歌うスタンダードジャズナンバー『Everything happens to me』何かことを起こそうとすると不運に見舞われるっていう可哀想な歌。シャラメ演じるギャッツビーが大ファン、っていう設定のサックス奏者チャーリー・パーカーも名盤ですし、ピアノならセロニアス・モンクビル・エヴァンスがおススメ。ビリー・ホリデイも歌ってますね。個人的には、ホリデイのヒリヒリしたこっちが緊張しちゃうような歌声より、『ニューヨークのため息』と呼ばれたヘレン・メリルのメロウなハスキーヴォイスが好き😍

 

  

ラウリ・ティルカネン再びコ・ウ・リ・ン~Netflix『DEADWIND』第2シリーズ

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(Finland From Pixabay )

 もい❗(フィンランド語でこんにちは👋😃)北欧ミステリー好きのヲタクです。

 

  ついにキタ~~❗🎉✨😆✨🎊

  フィンランド発のNetflixオリジナルミステリー『DEADWIND~刑事ソフィア・カルピ』第2シリーズ❗第1シリーズから、約2年近く間が空きましたかね❓ワーカホリックで猪突猛進型のシングルマザー、刑事ソフィア。彼女の性格は相変わらずですね、警察の上司や同僚、息子の小学校の担任の先生に至るまで、むやみやたらに噛みついてる(笑)犯人追いかけるのに、一般人恫喝して車奪っちゃうし😅

…しかし❗彼女のバディ、ヌルミ刑事(ラウリ・ティルカネン)は、ちょっと雰囲気変わったね~😍

 

  第1シリーズの時はけっこうオレオレ系で、足を使って危険も顧みず体当たり捜査のソフィアとは真逆、効率主義だった切れ者ヌルミ。方向性の違いから、ぶつかり合うことも多かった二人だけど、第2シリーズでのヌルミは、静かで穏やか、たまに突っ掛かって来るソフィア(子育てが上手くいかなくて、けっこういつもイライラしてる😅)をやんわりと受け止めてる。そして、トゲトゲしてるソフィアを見つめる眼は限りなく優しい…。ヌルミはグルメで料理男子で夜勤の時も一度自宅に着替えに帰るようなダンディなオトコ。片やソフィアは歯磨き粉も指につけてゴシゴシ、そのまんま警察の廊下の長椅子にバタンキュー…(笑)キャラが男女入れ替わっているとこも、何気にツボ😅まっでもヌルミくん、命ギリギリの危機には、以前同様オレ様系の男っぽい決断力を発揮して、そんなとこも萌え~~😍

 

  第1シリーズのネタバレになっちゃうから詳しくは言えないんだけど、じつはヌルミ刑事、前シリーズの最後で病気になっちゃうんですね。けっこう重篤な状況で、フィンランドを離れ、イタリアの暖かい地域で療養する、乗り回してた高級車もソフィアにあげちゃう…なんて終り方だったから、まさか第2シリーズが始まるなんて思わなかった…嬉しいよぅ~😢今回は、死と向き合う可能性のある病を乗り越え、職場復帰をした…っていう設定だから、どこか静かな諦観の眼差しは、そんなヌルミ自身の変化を現しているんでしょうね。イケメン演技派、ラウリ・ティルカネン、サスガです❗……

 

  『DEADWIND』の第1第2シリーズの間に公開された映画『トム・オブ・フィンランド』でラウリくん、第一次世界大戦アメリカで活躍したゲイのカリスマ・イラストレーターの心優しい愛人役を演じています。ヌルミ刑事とは全く違うイメージですから、『DEADWIND』でラウリくんにハマったアナタには、こちらの映画もおススメ😉……でも、どんな作品でも、彼の深くて透明で、碧いスオミ(湖)のような瞳は相変わらずね…ふふふ。

 

  第1シリーズでは、一見猟奇殺人と思われた事件、その裏には企業や政治も巻き込む巨大な陰謀が存在した…というストーリー展開でした。第2シリーズでも、前シリーズ同様、単なる殺人事件の謎解きを越えて、フィンランドの政治・社会に潜む様々な問題が提起されます。心まで凍りそうなフィンランドの冬、街並み、港、森と湖という美しい風景の中で繰り返される残虐な殺人事件。北欧ミステリー特有のダークな雰囲気にハマります❗

 

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唯一無二の歌声にただ圧倒される❗~ジェシー・バックリー in 『ワイルドローズ』

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 チネチッタ川崎で『ワイルド・ローズ』。

 

  舞台はスコットランドバーミンガム。酔っ払った勢いで街のワルに言われるまま刑務所の塀の中にあるモノを投げ込んだローズ・リン=ハーラン(ジェシー・バックリー)。しかしその中身はヘロインで、幼い子どもたちがいるにも関わらず、彼女を待っていたのは12か月にも及ぶ実刑だった…。

 

  映画は、ローズが刑期を終えて自分の母親の家に8才の長女と5才の長男を引き取りに行くところから始まります。カントリー歌手を目指して小さなライブハウスで歌い続けて来たローズ。しかし当然その職も、彼女自身のたった一晩の愚行の為にパァに。昔から何度もローズの「夢」に煮え湯を飲まされてきたらしい❓母親は冷たくよそよそしく、子どもたちもすっかりローズの存在を忘れている。

 

  あちこち綻びだらけで始まった子どもたちとの新生活。ローズは生活の為に、ある裕福な家の通いの掃除人に。家の女主人スザンナ(ソフィー・オコネドー)は偶然聞いたローズの歌声のあまりの素晴らしさに感銘し、彼女にチャンスを与えようと、自分の持つ人脈を駆使して動き出しますが、その過程でローズは自分の本当の境遇や過去を明らかにするチャンスを失ってしまいます。それが思わぬ波乱の展開を呼んで…。

 

 この最初のエピソード、スザンナが彼女の歌声に一目惚れ(一聞き惚れ❓)して話がトントン拍子に進む…っていう設定だから、とにもかくにもジェシーの歌声がキモなんですが、彼女の歌声が想像以上に素晴らしくて、観ている私たちがスザンナにそこで感情移入しちゃうわけです😅

 

  アイルランド出身の女優ジェシー・バックリー、BBCの長編ドラマ『戦争と平和』(トルストイ原作)では、質素で信仰に篤く、静かな情熱を秘めた貴族の子女、また直近ではレネー・ゼルヴィガーが見事アカデミー主演女優賞を受賞した『ジュディ 虹の彼方に』、ロンドン興行でジュディを支える秘書役で印象的な演技を見せましたが、この初主演作でヲタク、ノックアウトされました(笑)映画全編にわたり流れる彼女の歌声、素晴らしいの一言ですが、特に最大のクライマックス、最後の数分間はもう、鳥肌モノ!!(⊃ Д)⊃≡゚ ゚

 

またねー、助演の女性たちが素晴らしいです❗天真爛漫で、自分も貧しい家庭の出だったことから純粋にローズを応援しようと奔走する、少女のハートを持ち続けるスザンナ役にソフィー・オコネドー。ドラマ『ホロウクラウン~嘆きの王冠』の、アンジュー家のマーガレット役の鬼気迫る演技が記憶に新しい。(リチャード3世役のベネ様を、ジュディ・デンチ、キーリー・ポーズと3人で責め立てる場面、さしものベネ様もタジタジでしたね😅)

 

  そして、ローズの生き方の危うさをハラハラしながら見守り、孫たちを思ってローズに時には厳しく、時には暖かい理解を示す母親を演じた、英国の至宝とも言うべき超ベテラン女優ジュリー・ウォルターズ

 

それにね、これ、フィルム4プロダクション製作の映画ですから。Film4Productionは英国のチャンネル4(若者、知識層、マイノリティを対象とした番組編成で知られる)傘下の映画制作会社。以前このブログでも記事書きましたけど、『トレインスポッティング』『スリービルボード』『女王陛下のお気に入り』『ファイティング・ファミリー』…。ヲタクとしては、フィルム4の製作…って聞いただけで見に行こうって思う、そんな信頼度の高い制作会社なんです😊

 

 素晴らしい歌声と共に、ローズの、決して夢をあきらめない女性の生き方、母親としての成長に涙する~ツイッターで昨日「仕事で壁にぶち当たった時に見たい映画~3位『ドリーム』、2位『否定と肯定』、1位『ビリーブ 未来への大逆転』」って書き込んだんですが、すいません、同率3位でこの映画お願いします❗(笑)

 

 

  

 

 

 

見習い弁護士がイケメンすぎる件~BBC『SILK 王室弁護士 マーサ・コステロ』

最近ヲタクの中で勝手に盛り上がりを見せている、英国のイケメン俳優トム・ヒューズくん。彼みたさにU-NEXTで第2シリーズまで観賞。トムくんは第1シリーズでお役ご免になっちゃったんだけど(見習い弁護士役だから、しゃーないか)、採用されなかった設定で彼がいなくなってからも、主役の法廷弁護士マーサ(マキシン・ピーク)の痛快な法廷弁論や英国独自の法律システム、法律事務所内のドロドロした人間関係が面白くて、引き続き観賞中。

 

  以前推しの一人、スコットランド俳優ジャック・ロウデンが出演した映画『否定と肯定』でも大変興味深かった英国の法律システム。まず、コモンローの下では一言で弁護士と言っても、法廷で弁論を担当する法廷弁護士と、法的アドバイスや法廷外の訴訟活動を行う事務弁護士の二種類あって、明確に業務が分かれています。そして、この2つの弁護士資格を両方取得することはできません。

(『否定と肯定』でも、アメリカから来たヒロインが、頼りにしていた弁護士が事務弁護士で、法廷弁論を依頼できないことを知ってがっかりするシーンが出てきます。)

また、同じ弁護士事務所に所属していながら、仲間同士で同じ裁判の訴追側と被告側に分かれて法廷弁論を担当するシーンが出て来て、ちょっとビックリ。

 

  肝心のトムくんは、事務所に置いてあるお菓子を昼食代わりにするような、地方出身の貧しい苦学生ニック・スレイド役。もの柔らかな物腰で、見習いでありながら、猪突猛進型のマーサをやんわり諌めるシーンもあったりしてトムくんもイイ味出してたし、マーサとの相性バッチリだったのに…。結局採用されなかったのね、くすん😢

 

  女性視聴者向けには、マーサの同僚でシルクの座を争うライバルでもある、セクシー担当イケメン、クライヴ(ルパート・ペンリー・ジョーンズ)がいるんだけど、ヲタク的にはちょっと…@¥#&$ゐ

 

  なんで寂しい思いをしていたところ(笑)第2シリーズも後半になったところで、なんとなんと❗やはり見習い弁護士ダニエル役で、ショーン・エヴァンス登場~~~🎉✨😆✨🎊そう、ご存知エンデバー・モース警部の彼です❗ぜんぜん予想もしてなかったから、まるで盆と正月が一緒に来ました状態 笑

 

  ダニエルは、一旦警察に入ったものの、警察官としての自分に限界を感じて法曹界に志願した…という、モースを想起させるようなキャラ設定。『刑事モース』の新シリーズもどういう理由かわからないけど、ずーっと放映延期になってるのは、法律事務所に浮気してたからなの?ショーン(⬅️バカ😅)

 

  冗談はともかく、イケメンたちは別にしても『SILK 王室弁護士』の世界にハマってしまったので、これから第3シリーズに突入します🎵

 

★この記事を読んで、ステキな俳優トム・ヒューズに興味を持たれた方は、題名の下の「トム・ヒューズ」をクリックして頂くとマイク関連の他の記事も読めますので、よかったら‥‥。

 

 

 

 

映画オタクのバイブルだった~『蒲田行進曲』


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 映画『蒲田行進曲』WOWWOWで放映❗天才演劇人つかこうへいが自らの舞台劇を元に脚本書いて、『仁義なき戦い』『柳生一族の陰謀』『火宅の人』等々…の深作欣二が監督となれば、名作にならないほうがオカシイ(笑)

 

  舞台『熱海殺人事件』で風間杜夫に大注目だったオタクとしては、『蒲田行進曲』の公開がもう死ぬほど楽しみで、上映が始まるまで、映画館の片隅で心臓が飛び出すくらいドキドキしてたのを今でも覚えてる。

 

  つか作品は幾つも映画化されてるけど、願わくは1本くらいは、主役も脇役も『つかこうへい事務所』初期のメンバー勢揃いで見たかった…。つかさん自身も気力体力充実してた頃の。いや、単なる舞台ファンのたわ言だってことはわかってます、ハイ😅それにしても、三浦洋一(故人)、加藤健一、根岸とし江(現・季衣)、酒井敏也柄本明角替和枝(故人)、萩原流行(故人)…。こう書いてみると、物凄く個性的な方たちばかり。この方々が、独特の『つかこうへいの世界』を形作っていたんですね。中でも、根岸とし江の伝説の舞台『ストリッパー物語』、公演の一部を映像で見たことあるんだけど、いやもう、あれはただただ衝撃的だった。映画で見たかったなぁ…。

 

閑話休題

 

  一方この映画は、つかさんの秘蔵っ子だった風間杜夫平田満が主役を張ったし、脇を萩原流行、岡本麗、酒井敏也石丸謙二郎長谷川康夫で固めてるから、つかさんの先鋭的な舞台の熱量に深作監督のエンタメ性が加わり、さらにバージョンアップした感があった。そこに艶やかな華のある松坂慶子が加わって、つかさんの舞台を知ってる人も知らない人もみーんな満足できる、「最強の人情喜劇」になりました❗(最後のオチも、映画好きにはタマリません😍)


  のっけから、時代劇の撮影現場のてんやわんや、二大スターの意地の張り合い、職人監督の怒鳴り声…。あっという間にこの映画の世界に引き込まれます。ストーリーの主軸は、スター俳優の銀ちゃん(風間杜夫)と、銀ちゃんの恋人で売れない女優の小夏(松坂慶子)、銀ちゃんの子分で、いつまで経ってもうだつが上がらない大部屋俳優のヤス(平田満)の、奇妙な三角関係。この銀ちゃんがもう、今の芸能界だったら即抹殺されそうな性格破綻者で、恋人の小夏が自分の子どもを妊娠したと知ると、無理やりヤスに子どもごと押し付けちゃうっていう、トンデモない男😅銀ちゃんのキャラって、昔の破天荒な時代劇スターたちを戯画化したもので、似たようなエピソードどこかで聞いたことありますよね(S.KさんとかH.Mさん、S.Y さんとか😅)

 

 

たとえ性格が破綻していても、映画バカのヤスにとって、銀幕のスターである銀ちゃんは「神」に等しい。どんなに苛められようが無理難題を押し付けられようが、銀ちゃんから言われたことは何の疑いもなく引き受けちゃう。一見、小夏を挟んだ三角関係に見えるんだけど、そのじつ、銀ちゃんとヤスの、SMチックなブロマンス関係を匂わせてるとこが、つかこうへいっぽいと言うか。初期の作品『いつも心に太陽を』みたいにあからさまにホモセクシュアリティを前面に出した作品よりこっちの方がヲタク的には好きです😊

 

  自己チュー銀ちゃんの巻き添えを食らった形で始まった小夏とヤスの関係ですが、二人が次第に心を通わせていく過程が泣かせます😢もうね、この映画の松坂慶子が天女みたいに綺麗で、いじらしくてね…。そして、小夏の出産も迫った頃、撮影中の大作時代劇で、ヤスは銀ちゃん演じる土方歳三から派手に切られ、大階段のてっぺんから壮絶に転げ落ちる、「軽くて半身不随、失敗したら命がない」と言われる「階段落ち」のスタントを仰せつかりますが…。

 

  つかこうへいの芝居ってともかくセリフが膨大というか、役者さんがテンションMAX、超速でマシンガンみたいに喋りまくる(もちろん、演出のつかさんもでしょうけど😅)エッセイ『つかこうへいの腹黒日記』読むと、元来風間杜夫って対人恐怖症に近いくらいの超人見知りだったらしい。そういえば風間さん、どこかのインタビューで、「普段はあまりにも感情を抑制しているから、舞台でそれを爆発させている。演技の世界に入ってなかったら、何か犯罪を犯していたかも」っていう趣旨のことをおっしゃっていたような。風間さんが普段溜めに溜めたものを演技に放出するさまはもうマーヴェラス、驚きの一言です。

 

  平田満がまた、映画に対しても銀ちゃんに対しても小夏に対しても、ひたすら男の純情を貫く、愚かにも愛すべきドM男、ヤスを演じきって、胸絞られる名演😢映画ヲタクとしては、『エデンの東』や『ウェストサイド物語』のポスターを貼り巡らしているボロアパートの一室で、ヤスが懸命に殺陣の練習をしているシーンが大好き💓

 

  奇しくも今年は松竹映画100周年の年。「松竹映画100選」という特設サイトが公開されていますが、オタク的には確実にベスト3に入る名作です😊

 

☆WOWWOWシネマ  7月10日(金)23:00~

キリアン・マーフィー的『バットマン・ビギンズ』(2005)🦇

WOWWOWでバットマンダークナイト・トリロジーバットマン・ビギンズ』『ダークナイト』『ダークナイトライジング』(クリストファー・ノーラン監督)放映❗三部作の中では、故ヒース・レジャーが悪の権化ジョーカーに扮して神演技を見せた『ダークナイト』がやはり一番有名ですかね。アカデミー賞助演男優賞が故人に贈られたのも史上初ですし。直近のアカデミー賞で主演男優賞ホアキン・フェニックス(映画『ジョーカー』)も文句なしの素晴らしい演技でしたが、ヲタク的にはヒース・レジャー as ジョーカーがまるで緋文字の禍々しい刻印みたいに脳裡に焼き付いてしまった……。またね、もう二度とあの演技が見られないと思うとなおさら。

 

閑話休題

 

  『ダークナイト』についてはネット記事でも語り尽くされているので、今日は三部作のうち第一作目の『バットマン・ビギンズ』のお話を。かつてはDCコミックスの典型的なアメリカンヒーローだったバットマン。それを、ゴッサムシティに巣食う巨大な社会悪によって両親を殺され、そのトラウマに苦しみ、復讐の鬼になりかけながらも、血の滲むような努力によって克服する一人の青年のビルディングスロマンとして描いたノーラン監督。「人を悪に駆り立てるものは何なのか❓」…深い哲学を内包した映画でもありました。バットマンの描き方には当時賛否両論ありましたが、この映画の世界観、当時ヲタクはハマりまくりましたね。

 

  バットマン誕生の前に、ブルース・ウェインの成長期の魂の彷徨が描かれていますが(何せビギンズだから)、幼少期のエピソードから、ヒマラヤかどこかの強制収容所にいるブルースにいきなり画面が飛ぶ。さすが『メメント』『プレステージ』『ダンケルク』のノーラン監督だけあって、時系列が自由すぎる(笑)分かりにくくて最初戸惑うんですが、リピするうちにクセになるのは、他のノーラン監督の作品と同じですね。

 

  ヲタク的には、三部作の中では一番地味な(…と思われる)この作品が一番リピ率高いんですけど、それは…。

とにもかくにも、キリアン・マーフィの出番が多いから❗(唐突にスミマセン)

 

 この映画の中のキリアン・マーフィー、一応スケアクロウっていうヴィラン(悪役)なんですけれども(下の映画のポスター、左から2番目、わけわからないズタ袋被ってる人)。変身❓前はジョナサン・クレインという精神科医です。ジョーカーみたいな圧倒的悪役ではなくて、かなり小物感が…(笑)アベンジャーズのサノスみたいなラスボスはまた別にいるし。でもねー、公開当時はハマりました、スケアクロウに。つくづくマイナー志向だと思います、じぶん。小物感あるわりにはしぶとくて、スケアクロウは『ダークナイト』にも『ライジング』にもちょこっと出てきますが、ほとんどヒッチコックなみのカメオ出演

 

  キリアン・マーフィーといえば、最近はBBCの大人気ドラマ『ピーキーブラインダーズ』の主人公、トマス・シェルビー(トミー)役で大ブレーク。役作りに凝りまくる彼のこと、トミー役になりきる為に体鍛え抜いたんでしょう、今はバットマンクリスチャン・ベールに負けず劣らずムッキムキのバッキバキですが(笑)『バットマンビギンズ』の時は、今に比べるとかなり線が細くて華奢で、しかも銀縁メガネ。それはそれで萌え~~😍(⬅️バカ😅)

 

  どうもブルーアイズふぇちらしくて、じぶん。好きな海外の俳優さんって100%瞳が青い(笑)瞳、という観点から言えば、キリアンの瞳はもはや別格、殿堂入り❗あまりにも美しすぎて底知れなくて不吉なくらい。あたかも美瑛の青い池、『限りなく透明に近いブルー』(by 村上龍)でもねー、ノーラン監督もヲタクと同じこと考えていたらしくって。『ビギンズ』の撮影当時、「キリアンの青い瞳をいつ観客に見せるか。メガネを外す瞬間をいつにしようかばかり考えていた」ですって❗自分の作品に5度くらいキリアンを登場させているノーラン監督、彼もまたキリアンの人外魔境的な瞳に魅入られた一人だわね(笑)

 

  一人の苦悩する青年バットマンのイメージぴったりなクリスチャン・ベール、(いつ本性現すのか)と思って観ていたらなぜか最後までイイ人だったゴードン警部(ゲイリー・オールドマン)、アルバート・フィニー演じる超魅力的な執事アルフレッド…。ゴッサムシティの街並み、ストーリー、そのダークな世界観、端役の一人一人に至るまで繊細に作り込まれた名作は、WOWWOWシネマで7月25日(土)13:45より。



 

  

まだ間に合う~ヒッチコックの『レベッカ』

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 シネマヴェーラ渋谷で今月はずっと、ヒッチコックの特集していたんですね…知らなかった…😅残すところあと3日、明日明後日と『レベッカ』(1940)上映~~🎉✨😆✨🎊

 

  ヒッチコック監督は元々英国出身。随所に見られる、言わば皮肉の効いた陰鬱なユーモアは、さすが英国人と言った感じですね。この作品はイギリスの女性作家ダフネ・デュ・モーリアの同名小説を映画化したもの。それまで英国内で映画を製作して名声を得ていたヒッチコックの米国進出第一作、アカデミー賞作品賞・撮影賞を受賞して、華々しいハリウッドデビューとなりました。

 

 昔欧米では、 裕福な老婦人が旅行する際、一緒に旅行しながら身の回りの世話をしたり食事時の話相手になったりする若い女性がいて、コンパニオンと呼ばれていました(現代の意味とは全然違うんですよね😅)ヒロインはコンパニオンとしてヨーロッパを旅行中に、大金持ちのイケメン紳士マキシム・デ・ウィンター(ローレンス・オリヴィエ)に見初められて、シンデレラよろしくめでたく結婚。彼の住まいである、霧深い古城マンダレイで暮らすようになります。

 

  ところが彼には亡くなった前妻レベッカがいて、しかも彼女は謎めいた事故死を遂げていたことがわかります。使用人たちを取り仕切るダンヴァース夫人は、社交界の華だった前妻レベッカに心酔していて、ことあるごとにヒロインをレベッカと比較し、「マキシム様は(コンパニオンあがりの)何の取り柄もないあなたなんて、本当は愛しちゃいない。旦那様はレベッカ様をまだ愛しているのよ。レベッカ様に比べたらあなたなんて…」と、ヒロインのコンプレックスを刺激し、じわじわと心理的に追い詰めていきます。そしてある日…。

 

  霧深い古城、まるで亡霊のように古城のそこかしこに潜むレベッカの影、夫は何か秘密を抱えていて、いつも自分との間には何か隔たりがあるよう。夫は本当に自分を愛してくれているのか❓そして謎めいたレベッカの本当の死因とは❓

 

  観ているこちら側の嗜虐心をソソる薄幸なヒロインにアカデミー賞女優のジョーン・フォンティーン。謎めいた蔭のある美男の夫に英国演劇界の至宝、伝説的シェイクスピア俳優のサー・ローレンス・オリヴィエ❗そして、ヒロインを苛み、追い詰めていくダンヴァース夫人役のジュディス・アンダーソンの演技がもう、怖いったら、ありゃしない😅オバケやゾンビよりよっぽどコワイのよ~(笑)

 

  だいたいヒッチコックという人、かなりサドっ気があるもよう。キレイな女優さんを映画の中で困らせて、怖がらせて悦に入ってるというか。パーソナルな趣味が高じて😅❓『鳥』(これも原作はデュ・モーリア)では、ティッピー・ヘドレン(娘はメラニー・グリフィス、孫はダコタ・ジョンソン❗)とスザンヌ・プレシェットという二大美人女優をあろうことか大量の鳥につつかせるっつう…。

 

  アカデミー賞撮影賞を受賞しただけあって、モノクロの画面がミステリアスに美しく、美と恐怖が融合したゴシック・ホラーの傑作、お近くの方はこの機会にぜひ❗

 

 

  

 

  

やっぱりベネさまとトムホのブロマンス❗❓(笑)~『エジソンズ・ゲーム』

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(From Pixabay)

先日もブログで書きましたが、ベネディクト・カンバーバッチトム・ホランドの仲良しこよしインタビューを見てからというもの、この二人のことが色眼鏡でしか見れなくなったヲタク😅

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 小学生でも知っている『発明王エジソン』。しかしこの作品は、いわゆる偉人の負の側面を描いたものですね。直流による動力システムを開発したエジソンが自身の発明に固執するあまり、より安価で能率のいい交流方式に目をつけた実業家ウェスティングハウスの存在を受け入れられず、『交流方式は人の命を奪う危険なシステム』などという、ウェスティングハウスを陥れるようなネガティブキャンペーンを張り、それが多くの人々を巻き込む壮絶なビジネスバトルに発展し…というお話。(原題は、まんま"The Current War"(電流戦争))

 

  面白い作品でヲタクは全編興味深く観ましたが、キャッチコピーにあるように『天才発明家 VS カリスマ実業家』の構図って、ストーリー的にはちょっと弱かったような気がするんですよね😅確かにエジソンも自分の会社持っていて経営者の顔もあるんだけど、基本彼はおカネにも社会奉仕にもそれほど興味がない。発明に取り憑かれた天才なんですね。結局この二人って、人生の目的とか、価値観が全く違うわけ。だから、最後に二人がシカゴの万博会場で偶然出会い、初めて心を通わせる場面~映画始まってから何だかずっと『ヤなヤツ』だったエジソンが、初めて白熱電球を発明した時のことを目を耀かせてウェスティングハウスに語る場面が、今イチ胸に迫ってこないんだよね…。ベネさまの演技はいつもながら神ってるんだけど。

 

  それより、ウェスティングハウスが見込んでバディを組む、これまた発明の若き天才テスラと、エジソンの新旧天才対決がもっと見たかったなー。このテスラ、よく見てると、エジソンに負けないくらい奇人変人だし(笑)せっかく、現在の英国演劇界でベネさまの後を追う若手俳優の一人(…とヲタクは信じて疑わない)ニコラス・ホルト(『シングルマン』『X-MEN』『ライ麦畑の反逆児』『女王陛下のお気に入り』)をテスラ役に持ってきたんだからさー😅

 

まっ、難しいことは言いっこなしね。エジソンが家族以外に唯一心を許せる存在が、秘書のインサル(トム・ホランド)。電流戦争に敗れ、「戦い済んで日が暮れて、もとい朝が来て😅」ホテルで朝食をとる二人💓😍「ボクは(ウェスティングハウスのほうになんて)行きませんよ。いつまでもあなたについて行きます。…だってあなたといると楽しいんだもの」と、子犬のような目をして言うトムホに、照れくさそうに微笑みかけるベネさま。

 

ブロマンス映画の何物でもないじゃない❗(笑)

 

エジソンはキネマスコープ(映画の元祖)の発明者ですよね❓どんなに奇人変人であろうがライバル蹴落とす為に汚い手を使おうが、ヲタクにとっては大恩人。彼がいなかったら、ヲタク生活がいかに味気ないものになっていたことか😢やっぱり、エジソン様は神様です❗(笑)

 

  しっかしベネさま、『イミテーションゲーム』をはじめとして、一癖も二癖もある屈折した天才を演じさせたら右に出る者はありませんね😮やっぱり凄い…

 

 この作品はベネさまの神演技と、トムホとベネさまの至高のブロマンスに酔う映画です❗

(…ち、違う❗❓😅)

『無職旅』さんのお陰で自粛中も世界中旅したオタク🛩️⛴️

 『無職旅』さんのYou-tube動画に巡り会ったのは、まさに「日本にも新型コロナパンデミック起こるか❓」の恐怖が日本中にわかに沸き起こり、政府による緊急事態宣言が出されようとしている頃。先の見えない不安と緊張で、国全体がピリピリしてましたよね。もちろんオタクの心の中も…🙍それを救ってくれたのが、『無職旅』さんの『世界一周』動画なのです。

 

  いやー、ご縁ですねー。一番必要な時に一番必要なモノに巡り会う…っていう。昔からじぶん、ヲタク生活に関してはけっこうラッキーで、たとえば(何か面白い本ないかなー)って神田の古本屋街をブラブラしてると、背表紙がこう…妙に浮き上がって見える本がある。思い切って買ってみると、まさにBINGO、生涯手放したくない内容だったりして😮

 

『無職旅』さんの動画も、初めて観てから3ヶ月、ヲタクにとってはそんな存在になりつつあります😊

 

  会社を辞めて10年余、世界中を旅している中年の男性の方が、ゆるゆると呟きながら各国を(基本)お散歩しているだけの動画なんですけど😅同じ目線で裏通り(ガイドブックに載っているようなメインストリートはあまり歩かれないんですよね。それがまたイイ)を歩いて、街角の店ひょっこり覗いたりすると、生活感・臨場感ハンパない😊

 

  もし自分が旅のYou-tube撮るとしたら、短時間でいろんな内容をこれでもか、って詰め込んで、カッコよく見えるように編集して、物凄く下調べしてわかったふうに蘊蓄傾けちゃうと思うんだけど(笑)『無職旅』さんはあえてガイドブックや資料を見ない派らしく、ゆるくてお気楽でボヘミアン、感想も素朴でストレート、何度も旅した街角でも、店舗が変わっていたりするとかなり迷ったりして(どいらかと言えば方向音痴系❓=笑)、そんなところもリアルに旅している感覚満載。

 

  …で、宿泊場所も殆どドミトリー(タイやベトナムなど東南アジアだと、一泊1000円未満という驚くべき値段)。空港のベンチで寝てらした時もあったよね、タイかベトナムだったかな。ヲタクは一応女性だから、海外旅行に行ってさすがに空港のベンチやドミトリーで寝たことはない😅なんで、ちょっと「怖いもの見たさ、ディープスポット大冒険」みたいな興味もある(笑)またねー、いつも『無職旅』さんがそのへんの屋台で食べてる、いわゆるB級グルメが美味しそうなんだなー、これが😊『無職旅』さんの呟きを聞いていると、ご本人の温厚なお人柄が感じられるとこもツボ。あと、屋台の食べ物食べてても、そんなにキレイじゃない裏通り歩いてても、「美味しいなー、いいなー、なんか物語の主人公になった気分だ」って常にHappyそうなとこも(笑)

 

  自粛中、タイや香港、ベトナム、台湾、ウラジオストクミュンヘン、パリ…いろんな場所に旅したなぁ…。これから海外旅行解禁になってもおうちから出る気が起こらず、『無職旅』チャンネルでずっと満足しちゃいそうな自分がコワイ(笑)

 

 

 

フローレンス・ピューによる新しい女性像『ストーリー・オブ・マイライフ』

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ルイザ・メイ・オルコット女史の『若草物語』は、世界中の少女の、バイブル中のバイブル❗それを『フランシス・ハ』や『レディ・バード』など、一貫して女性の生き方というテーマを追い続けるグレタ・ガーウィグ監督が見事に現代に甦らせた❗

 

  昔むかし、ヲタクが少女だった頃(もはや旧石器時代くらい昔の話ですが😅)の愛読書の3種の神器といえば、『赤毛のアン』(モンゴメリー)、『バレエシューズ』(ストリートフィールド)、そしてこの『若草物語』でございました。原作は四部作ですが、そのうちの第一作『若草物語~Little Women』と、大人になった四人姉妹を描いた『続・若草物語~Little Women Married』を映画化。映画は続編における四姉妹の『今』から始まり、折りにふれて少女時代の思い出の数々がフラッシュバックする設定。その演出法によって、それぞれ人生の厳しい現実に直面している大人になった四姉妹(そして観ている私たち)が、二度と戻らない少女時代を懐かしむという、甘くて心痛むノスタルジーを感じさせて秀逸😊

 

  舞台は南北戦争真っ最中のアメリカ合衆国。お父さんは奴隷解放の理想に燃え、北軍の従軍牧師として戦地へ。女手一つで家庭を守るお母さんと四人の姉妹。長女メグがエマ・ワトソンで次女ジョーがシアーシャ・ローナン、末っ子エイミーがフローレンス・ピュー、おまけに隣に住むセレブ男子ローリーがティモシー・シャラメって…。BBCのドラマ『戦争と平和アンドレイ役のジェームズ・ノートンがメグの夫役だし。言ってみれば…

 

イケメンイケジョの大行列(笑)

 

おまけに映像がひたすら美しくて、特に姉妹たちが海辺に遊びに行く場面なんてスクリーンがまるでジョルジュ・スーラの点描画みたい😍

 

  四姉妹の住む家…ロケ地はマサチューセッツ州コンコード。作者オルコットや、文豪ナサニエルホーソンゆかりの地でもあります。メイフラワー号による、アメリカ人最初の入植地。元々アメリカに最初に入植したのは、清貧を旨とし、厳格な宗教的規律で知られる清教徒(ピューリタン)の人たち。四姉妹のご両親は牧師夫妻ですから、それはもうピューリタンの鏡みたいなもん。だからクリスマスの朝四姉妹がお腹ペコペコでまさに食事のお祈りをしようとしたその時、お母さんが突然、「ご近所にはお子さんが沢山いて、日頃満足に食事ができないご家庭があるの。今からサンタさんの代わりにこのご馳走を私たちが持っていってあげましょう」なんて言い出すわけ😅

 

  そんな家庭に育った良妻賢母タイプの長女メグ(エマ・ワトソン)が、友達から胸元の見える派手なドレスを借りて、「今日だけ、今日だけだから。明日からまた堅実な生活に戻る」って自分に言い聞かせる場面、だからこそより心が痛みます。結婚後、優しく誠実、でも貧しい夫の前で、思わず「もう貧乏なんて飽き飽き」と口を滑らせてしまって、激しく自己嫌悪に苛まれる場面も良かったですね。エマ・ワトソンの、控えめな演技が素晴らしいです😊また、小説家の夢を追いかける次女ジョー(シアーシャ・ローナン)が、最愛の妹であり理解者である三女ベス(エリザ・スカンレン)を失い、子供の頃から憧れ続けた作家への道も閉ざされ、愛するよりも愛されたい、誰かにすがりたい、「私どうしようもなく、孤独なの」と涙を見せる場面は、女性なら1度は経験したことのある心の揺らぎがシアーシャの名演により素晴らしく印象的に描かれていて、思わず涙、涙😢

 

  特筆すべきはエイミー(フローレンス・ピュー)のキャラ設定かな。原作では末っ子のわがまま娘、しかもちゃっかり屋…というわりと単純な描かれ方なのですが、さすがガーウィグ監督、理想に燃え性差に屈せず夢を追いかけるジョーの対極として、その時代の女性としてどう生きればいいか❓迷いながらも、冷静に自己を客観視するリアリストとしてエイミーを描いています。一方ではあらゆる面でジョーにコンプレックスを持っている複雑な役。演じるのがまた今一番の成長株フローレンス・ピューだからね(『ファイティングファミリー』『ミッドサマー』)。数年前だったらシアーシャ・ローナンの立ち位置だったわけでしょう、これ😅二人の、静かな火花が散るような演技合戦も見ものですよ😉

 

  そして最後に、絵画のようなコンコードの牧歌的風景を背に、ローリーがジョーにプロポーズする場面😍ガンとして首を縦にふらないジョーに、「初めて会った時から愛してる」「君が嫌うことは全部止めたよ。なのにどうして愛してくれないの」と、かきくどくシャラメくん、色気ダダ漏れ💕早くに亡くなった父親がイタリア人って設定で…さもありなん(笑)しっかし、あのシャラメにあんなに迫られて、一瞬フラッともせず、よくもまあ無慈悲に断れるもんだよ😅シアーシャ、石地蔵あるいは巨人ゴーレム説(笑)

 

  観客は50代以上の、ヲタク同様少女時代を『若草物語』で過ごした人たちがほとんどだけど、若いお嬢さんたちが観てもきっと感動すると思うなぁ。女性が好きなこと、女性が憧れること、女性が迷うこと…きっと昔も今も変わらないと思うから。

 

一人でも多くの女性に観て頂きたい映画です😊

 

 

中村倫也を堪能する~映画『水曜日が消えた』

 じつはベネさまの『エジソンズ・ゲーム』を観ようと思って映画館に立ち寄ったものの(仕事の帰り道、急に思いついて😅)上映まで一時間余…そんな待てんわ、うーーん…というわけでベネさまはまたの機会にして、今日はこれ❗中村倫也の『水曜日が消えた』😉

 

まさにBINGO、今日の気分にジャスト❗めちゃくちゃ面白かったんですよ、これが❗

 

  小さい頃の事故の後遺症で、なぜか曜日ごとに(つまり7つに)人格がスプリットしてしまった青年(中村倫也)。青年の中にいる7人はそれぞれ、週一の人生を生きてる。この作品の主人公であり物語の紡ぎ手は、7人のうちで一番地味で、人見知りで、潔癖症の『火曜日』。ところが、この『火曜日』の前の『月曜日』は彼とは真逆、バンドマンで酒好き&ヘビースモーカーでドSな自信家、夜は必ず誰かとベッドイン(しかもバイセクシュアル😅)、家は散らかし放題。そんな『月曜日』の尻拭いは全部自分だから、『火曜日』は、7人の中で自分が一番割りが合わない、と思ってる。一年に53日しか生きられないなんて、なんて不幸なんだろう…とも。

 

  そんな『火曜日』に、ある日突然異変が起きる。

なんと翌日の水曜日の朝が来ても、『火曜日』のまま目が覚めてしまったのだ❗何が起きたの❓『水曜日』はどこに行った❓

 

  『水曜日』は『水曜日』の人生を生きてる。戸惑いながらも、『水曜日』として生きようとする『火曜日』だが、正直で不器用な彼は、『なりすまし』もぎこちなくてなかなか上手くいかない(笑)そうこうするうちに、時折、突然意識がブラックアウトするなど、何やら映画はあれよあれよと不穏な方向に😅

(あ、あれ❓これって『メメント』的なサスペンス映画なんだっけ❓😅)と、何の予備知識もなく観始めたヲタクは、戸惑いを隠せない(笑)そして、『火曜日』のスマホには、犬猿の仲の『月曜日』から動画が送られてきて…$#@¥&ゐ$❗❗

 

  帰りの電車の中でいろいろネット記事を読んだら、「ワンアイデア映画の傑作だ❗」って書いてる方がいらしたんですね😊なるほどそっかー❗と、ヲタク激しく納得。ワンアイデア映画というと、ヲタク的には、出演者はさほど多くなく、出発点のアイデアが斬新で、まさにそのアイデアひとつでグイグイ押し切り、最後の結末まで疾走する映画…というイメージ。古くはクリストファー・ノーラン監督の『メメント』、『インセプション』、新しくは『ピエロがお前を嘲笑う』、『ゲット・アウト』あたり❓ワンアイデア映画っていうとサスペンスって思いがちですが、『水曜日が消えた』はね、そこも私たち観客の予想を(いい意味で)裏切ってくれます❗同じアイデアでサスペンス映画にすることもできたでしょうが(どれか人格が暴走しちゃうとかね😅)、ヲタク的にはこの結末のほうが断然好き❗吉野耕平監督、初の長編映画だそうですが、監督・脚本・VFXの一人三役、何という煌びやかな才気😍若干41才❗若いなぁ…。

 

  そしてそして…。

何はなくとも中村倫也ですよ❗(笑)

主演の7人が中村倫也だからこその、素敵でHappyな映画になっています🎵七変化が、力んだ熱演じゃないとこが、おシャレ😊とかくワンアイデア映画って、その名の通りアイデア勝負だから、映画の最後に種明かしが済んじゃうと、リピする気にあまりならないもんだけど、この映画、(じぶんも含めて)絶対リピーター続出するよなーという予感がする。そりゃそうでしょう、7人のサムライ…もとい、7人の中村倫也が堪能できるんですから❗

 

ナニナニ❓シネクイント、あなたの推シメンに一票を…ですってー。うーん、さすがシネクイント様、ヲタク心を突いてくるよなー。ど・れ・に・し・よ・う・か・な🎵やっぱドSな自由人の月曜日かな😊周りのみんなが暗い顔してる月曜日に、ボヘミアンに生きてる彼が好き💕

 

  シネクイントで投票してこよーーっと🎵

オム・ファタールなトム・ヒューズ😍 in 『終りなき世に生まれつく』(アガサ・クリスティ)


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 題名の"Endless Night"は、ウィリアム・ブレイクの詩『無垢の予兆』の一節

“甘き歓びに生まれつく者あれば、終りなき夜に生まれつく者あり

(Some are born to sweet delight, Some are born to Endless night.)”

から取られたもので、全編にわたり、作品の隠れたテーマとして、また主人公二人に降りかかる悲劇の不吉なプレリュードとして、度々繰り返されます。

 

  アガサ・クリスティの作品の中でも多くの人に愛されるキャラ、ミス・マープル。穏やかで人好きな老嬢で、少々お節介がタマにキズだけど、エルキュール・ポワロに負けないくらい脳細胞の働きは活発なもよう(笑)ポワロが灰色なら、ミス・マープルはさしずめピンク色かな❓😊

 

  この作品、マープルものの一つではあるんだけど、今作品ではミス・マープルは完ぺきに脇役の趣で、最後の謎解きの場面だけご登場(笑)真の主人公は、ドラマの一人称の語り手であり、係わる女性たちの理性を狂わせずにはいられない運命の美男、マイク・ロジャース(トム・ヒューズ)。富豪のお抱え運転手、ウェイター、バーテン等様々な職業を転々としながら、いつか自分の思い通りの豪奢な生活を手に入れたいと夢見ている。そんな彼が、アメリカの大富豪の娘エリーと恋に落ち、電撃結婚する。二人は新居建設の為、廃墟のような邸宅の建つ『ジプシーが丘』を購入するが、そこはかつて一家惨殺のあった場所、呪われた土地だった。ジプシーの女占い師の不吉な予言も、恋に有頂天な二人の耳には届かない。呪われた廃墟を取り壊し、『夢の家』を建てた二人。しかし、新居のお披露目パーティーが行われたその夜からというもの、二人には次々と恐ろしい出来事が降りかかり…。

 

  ミステリーと言うより、デュ・モーリア原作の『レベッカ』(アルフレッド・ヒッチコックが映画化)みたいなゴシックホラーロマンスの味わいですねぇ。トムくん、淡くて碧くて深い、湖みたいなブルーの瞳がめっちゃミステリアス、何を考えているのかわからない魅力と怖さがあって、まさにファム・ファタール、もといオム・ファタール❗普段は無表情で、心の奥も窺い知れないのですが、ふと唇の端を歪めたり、微かに涙を浮かべたりして一瞬、心の裡を見せる瞬間がある。もうね、理性射抜かれるよ(笑)こういうのって、いわゆる名演技とされがちな、泣いたり叫んだりの『激情』型演技よりよほど難しいし、高度な技巧が必要な気がするんですが…。どうでしょう❓

 

  典型的な英国紳士役だけでなく、こういう、社会の底辺から必死に上り詰めようとする、冷たい目をした野心家の役ができるのも、トムくんの強みかなぁ。古くは『太陽がいっぱい』のアラン・ドロン、『陽の当たる場所』のモンゴメリー・クリフト系😉今の英国演劇界を牽引しているエディ・レドメイントム・ヒドルストンだと、良家の子息の育ちの良さがどうしても滲み出てしまうからね😅トムくんみたいにはハマらなさそう。

 

  しっかし…この作品のトムくんはあまりにも魅力的すぎる。彼になら、翻弄されて人生滅茶苦茶にされて、終りなき夜に放り込まれても許しちゃうね、うん(笑)

 

  ヲタクはDVDを所有しておりますが、残念ながら動画配信サイトではどこも配信していないもよう😢AXNのミステリーチャンネルでは過去に度々放映されたようなので、機会がありましたらぜひ❗

 

(おまけ)

クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』で、イギリス兵になりすまして決死の脱出を計るオランダ人の役を演じたアナイリン・バーナードが、重病に冒された若き建築家役で出ています😊


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ベネさまとトムホくんのブロマンスに萌える😍~『エジソンズ・ゲーム』前祝い🎉✨🎊

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先週公開された『エジソンズ・ゲーム』。直前に起きたコロナ禍のせいで延び延びになっていましたが、ついに公開❗おめでとうございます❗ヲタクは今週中に観に行く予定ですが、その前に、映画の中で発明王エジソンとその弟子に扮しているベネディクト・カンバーバッチトム・ホランドのブロマンスネタで盛り上がりましょー🎵(勝手にやってろ😒💢💢って言われちゃいそうですが😅)

 

  ベネさまとトムホくんはご存知、『アベンジャーズ~インフィニティウォー/エンドゲーム』で、ドクター・ストレンジスパイダーマンとしてすでに共演を果たしています。『インフィニティウォー』で、たしか戦ってる最中に、トムホくんが「ボク、スパイダーマン、よろしく」ってベネさまに自己紹介してるシーンあった気がするんだけど。間違ってたらごめんなさいです😊

 

  愛嬌があって失言大王、憎めない愛されキャラ、ピーター・パーカーそのままのトムホくん😊それを優しい眼差しで、年の離れた弟を見守るように見つめるベネさま😍アベンジャーズ公開の際のツーショットインタビューで、いつものお約束、うっかりまたネタバレしそうになったトムホくんのおくちを慌てて手で塞ぐベネさま💕「きゃーっ、いいぞトムホ、もっと喋っちゃえ」って思わず叫んだヲタク😅

 

  トムホの写真をスマホの待受にしている女性を見かけたベネさまが(ちなみにロック画面は、アイアンマンことロバート・ダウニー・ジュニアだったとか😅)、「ボクの写真に代えといてね」って、その女性にウィンクしたとかいうエピソードもあったなー。なんだ、トムホくんに負けず劣らずお茶目ぢゃん、ベネさま(笑)

 

  ドクター・ストレンジスパイダーマンのスピンオフを熱望しているという仲良しこよしの二人ですが、『エジソンズ・ゲーム』の中では、発明王である一方、心の闇を抱えた男エジソンとその秘書インサルを演じています。インサルがエジソンの非を指摘し、反対にエジソンから激しく叱責され、怒鳴られるシーンがあるようですが、トムホくん、「すっごく怖かった…」って😅か、可愛ええ…😍演技の神様ベネさまとサシで渡り合うなんて、大変だったよね。これからだよトムホ、頑張れ❗

 

そんな二人の共演がめっちゃ楽しみな話題作『エジソンズ・ゲーム』は全国公開中です🎵

 


トム・ホランド&ベネディクト・カンバーバッチ、スパイダーマンとドクター・ストレンジの本格タッグ希望 ― マーベル映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』より | THE RIVER

震えるほどの感動~映画『コリーニ事件』(ドイツ)

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 チネチッタ川崎で『コリーニ事件』(ドイツ)。原作者のフェルディナンド・フォン・シーラッハは現役バリバリの弁護士。法律に精通した専門家が書き下ろした渾身の法廷サスペンスですから、面白くないわけがない❗主人公である弁護士の調査や、多数の証言によって次々と露わになる驚愕の真実が、恐ろしすぎて、悲しすぎて、震えが止まりませんでした。

 

  ある一流ホテルのスィートルームに宿泊していた経済界の大立者が、67才のコリーニという男(フランコ・ネロ)に殺害された。しかも、至近距離で3発の銃弾を打ち込まれ、その後も頭蓋骨が砕けるほど靴で何度も踏みつけられる残虐なやり方で…。国選弁護人となった新米弁護士カスパー・ライネン(エリアス・ムバレク)は、本人から何とか殺害の動機を探ろうとするが、本人は貝のように黙秘を続け、ライネンは手も足も出ない。コリーニはイタリア移民だが、30年もの間ドイツで真面目に働いてきた善良で平凡な一市民。そんな男がなぜ❓しかも被害者はライネルの幼馴染みの祖父で、トルコ人の貧しい家庭に育った彼を目にかけてくれた恩人とも言うべき人物だったーー。

 

  コリーニの殺害の動機が明らかになり始める中盤からもう、涙が止まらないです😭正義とは何か❓法律によって人を裁くとはどういうことなのか❓最後に、コリーニの苦難に満ちた人生、その最大の原因が戦後成立したドイツ連邦のある法律にあることがわかるのですが、それって、言わばドイツの歴史の恥部でもあるわけですよ。それを小説という形で社会に突きつけたシーラッハも凄いし、それがきっかけで法律改正の機運がドイツ国内で一気に高まったという事実を聞くと、そんな成熟した社会、羨ましいなぁ…って思う。ナチスドイツの問題もそうですけど、歴史の汚点から目を逸らさず、まず事実を事実として認めることから始めようとする心意気が…ね。

 

  主人公のライネルを『ピエロがお前を嘲笑う』のマックス役、エリアス・ムバレクが演じてます。イケイケパリピのマックスとは真逆の、貧しい異邦人の疎外感・劣等感をバネにのしあがるライネル。コリーニ役、フランコ・ネロがまた、ある事件から人生が止まってしまった一人の男の悲痛な人生を、深い眼差しと微かな表情の移ろいだけで表現する、その演技が見事です。

 

  余談ですが、フランコ・ネロの奥さんって英国の超演技派女優ヴァネッサ・レッドグレーブなんですよね。(『ハワーズエンド』、『つぐない』など)。演技派女優とマカロニウェスタン出身のミスマッチなカップル…なんて陰口叩く人もいたけど、今作品の演技なんてもう、素晴らしいの一言、奥さんに全然負けてないよ。二人が結ばれるきっかけになった映画は、英国のアーサー王伝説を題材にした『キャメロット』。豪華絢爛、素晴らしく美しい画面、ネロさんはアーサー王の妻グェナヴィアの道ならぬ恋の相手、騎士ランスロット😍イケメンでしたよ、あの頃のネロさん💕今は彼自身の人生の歩みがそのまま刻まれたようなシワがダンディでステキ(笑)

 

閑話休題(汗)

 

  何しろ、一人でも多くの人に見てもらいたい映画です❗

 

  梅雨の晴れ間の爽やかな風の中、(映画はあらゆることを教えてくれる。今までも、そしてこれからも)と、そんなことを考えながらぼーっと歩いていて、おニューの日傘をどこかに置き忘れて来た今日のヲタクなのでした😅

 

  

これぞ英国スパイのリアル~BBC『THE GAME』(主演/トム・ヒューズ)

先日ブログの記事で、第二のベネディクト・カンバーバッチとして取り上げました英国俳優トム・ヒューズ。今のところ、彼の主演作としてイチオシなのが、BBCのドラマ『THE GAME』(2015年・6話完結)。

 1970年代、米ソ冷戦時におけるBBCのスパイドラマとしては、名作として名高い70年代の『ティンカー、テイラー、ソルジャー &スパイ』があります。これは、ジョン・ル・カレのスパイ小説三部作のうちの第一作目で、同じ原作を映画化したのが、『裏切りのサーカス』(2011年)❗主人公のMI6のスパイ、ジョージ・スマイリーをゲイリー・オールドマン、腹心の部下、ピーター・ギラムをベネさまが演じました。ル・カレはMI5やMI6での勤務経験があるので、スパイの内幕が非常にリアルに描かれており、映画の中でも、諜報活動に必要な隠れ家の予算計上を上司に掛け合う場面が印象的でした😅

 

  今回の『THE GAME』、何が良いかって、『裏切りのサーカス』と同様、立場は一介の公務員でありながら『大義』の為に国家の手足となり、虚々実々の情報戦に身を置き、時には汚いことにも手を染め、自らの命も犠牲にしなくてはならないスパイのリアル、悲哀がつぶさに描かれていること。重く低い雲の垂れ込めたロンドンの街並み、暗い色調の画面も魅力的😊

 

  トムくん演じるMI5のスパイ、ジョー・ラムは、東欧勤務時代、ソ連の女スパイと恋に落ち、それが敵側に発覚して恋人を殺されたトラウマを抱えています。それはMI5側から見れば『手痛い失敗』と見なされ、本国に帰ってからは、一片の情報を得る為に女性とベッドを共にするような空虚な日々。そんな彼が、ソ連から寝返りたいと保護を求めてきた男の尋問を担当したことから、米英ソ連三国を巻き込む大きな謀略、血で血を洗う過酷なスパイ戦争の中に再び身を投じていくことになります。

 

  恋人を失ってから心がどこか壊れてしまったようで、底知れない淡いブルーの瞳に虚無感を漂わせながら、淡々と任務を遂行していくジョー・ラム。ヲタク的にはめちゃくちゃソソられるタイプ(笑)

 

  トム・ヒューズ、巷では『第二のベネディクト・カンバーバッチ』って言われてますが、現在英国演劇界を席巻している、パブリックスクール出身の高学歴おぼっちゃまくんたち(ベネさま初め、エディ・レッドメイン、トムヒ、ダン・スティーブンスなど)とはちょっと違う雰囲気。彼は北部チェスター出身。イギリスの場合北部は衰退する工業地帯で失業率も高く、そんな鬱屈から、『怒れる若者たち』を生み出した地域でもあります。(北部出身のバンド、オアシスやザ・スミスなど)彼自身も俳優になる前はインディーズのバンドを組んでいたこともあり、ジェントルマンな風貌の中に、反骨精神というか、ロックスピリットのようなものが見え隠れするところが、ヲタク的には最大の魅力かな😉 第二のベネさま…というよりむしろ、第二のゲイリー・オールドマンに近いかも。

 

  余談ですがトムくん、ダニエル・クレイグ引退後の007ジェームズ・ボンド役の候補者の一人なんですよね😊ボンドはそれこそジョー・ラムの真逆を行く、言わばスパイ・ファンタジーのヒーロー。個人的にはトムくんと、Q役のベン・ウィショーの掛け合いが見てみたいわ~~😍

 

どんでん返しの連続で手に汗握るサスペンス『THE GAME』、アマゾンプライムで全エピソード配信中です。

 

★この記事を読んで、ステキな俳優トム・ヒューズに興味を持たれた方は、題名の下の「トム・ヒューズ」をクリックして頂くとマイク関連の他の記事も読めますので、よかったら‥‥。


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