オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

映画に見る名演説シーン ベスト10~PART 1

推しのトム・ヒューズが、8月7日(金)公開の新作『ジョーンの秘密』(平凡なイギリス人の老女が、半世紀前のスパイ容疑で逮捕されるという衝撃の実話)でカリスマ的魅力を持つロシア人留学生レオに紛し、ケンブリッジの学生を前に長演説をぶち、彼らを洗脳していくシーンがあると知ったヲタク。(この役はキミにしかできない)と、トレバー・ナン監督に口説き落とされたそうで、演説シーンはなんと、14テイクに及んだそう😮今日はそんなトムくんにちなんで、『映画に見る名演説シーン』について呟いてみました😊

 

第10位『ビリーブ  未来への大逆転』

  女性初の最高裁判事ルース・ギンズバーグの実話に基づく物語。ルース(フェリシティ・ジョーンズ)は、結婚・出産を経てハーバード大学法科大学院に入学しますが、女性はわずか9名。授業中、一生懸命手を挙げても、男子学生優先で発言の機会さえ与えられません。苦闘の末に、掴み取った弁護士資格。しかし、彼女が最初に担当したのは、敗訴100%と言われた性差別の裁判でした。法廷弁論で彼女は、「ハーバードの法科大学院には当時女性用トイレがありませんでした…。」と切り出します。女性であるがゆえに、ユダヤ人であるがゆえに、誰よりも優秀なのにそれに見合う職種や地位を否定され続けた彼女。それでもなお、希望を失わないルースの弁論は、爽やかな感動を呼びます。また、生涯にわたり彼女のキャリアを支え続けた夫(アーミー・ハマー)との夫婦愛も感涙モノ😭


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第9位『嘆きの王冠  ホロウ・クラウン~ヘンリー5世

 7月31日(金)からシネリーブル池袋で順次公開される『嘆きの王冠ホロウ・クラウン』シリーズ(シェイクスピア原作)。その中から、 ヘンリー5世の名スピーチを。前作『ヘンリー4世』では、悪友フォルスタッフたちとロンドンの歓楽街で放蕩に明け暮れていたハル王子(トム・ヒドルストン)。父の死によって王位を継いでからの、冷徹で統率力に溢れた王者への変身は、それはもう見事なものでした。内憂外患、生涯の殆どを戦いに明け暮れたヘンリー5世。大国フランスとのアジャンクールの戦い。数の上では圧倒的不利、負け戦を予想して怯み、絶望するイギリス人兵士たちを一人一人王自ら励まして回り、側近の諸侯に対しては、あの有名な演説をします。

今一度 突破口を突撃せよ 諸君 今一度
さもなくば城壁をイギリス人の死体で覆い尽くしてしまえ
平和時には礼儀正しさと謙遜さが
紳士のたしなみともなろうが
ひとたび戦いの嵐が我らの耳に吹きすさぶや
猛虎のように振舞うがよい

英国人というとジェントルマン、というイメージですが、いつもの紳士然とした穏やかさ、物柔らかさをかなぐり捨てたトムヒの迫力の演説❗一見の価値アリ…ですよ😉

 

第8位『嘆きの王冠 ホロウ・クラウン~リチャード2世』

 続いてやはり『嘆きの王冠』から、『リチャード2世』。何と言ってもシェイクスピアは名演説の宝庫です😊このリチャード2世のスピーチ、ヘンリー5世のように、人々を勇気づけ、鼓舞するような内容ではなく、むしろ真逆。王位を保ち続けることに疲れ、反乱を起こしたヘンリー・ボリングブルック(のちのヘンリー4世)に自ら王位を譲っておきながら、いざ王冠を渡す儀式となると、急に態度を変え、自己憐憫と家臣への恨み辛み、ボリングブルックへの呪いの言葉を長々と吐き続けるリチャード2世(ベン・ウィショー)。この台詞がまたね、美しいんですよ、ひじょうに。

王冠は君のものだ

だが悲しみはまだ私のものだ

降りよう、降りよう、太陽神フェイトンのように

卑しい暴れ馬どもを御しきれずに

これ、全ての台詞が韻を踏んだ詩の形式で書かれていて、内容の俗性との対比が何とも強烈な皮肉になっている…シェイクスピアってやっぱりスゴイ❗リチャード2世を演じたベン・ウィショー(007シリーズのQ役、只今公開中『リトルジョー』、Netflix『ロンドン・スパイ』)、ヲタクは密かに『ナヨ系イケメン』って呼んでるんですが😅この役はナヨすぎて、もはや…イケメンの範疇越えてます。鼻水と涙でウィショーくんの顔、ぐちゃぐちゃだし。しかし、王も所詮は人の子。一度は手離した筈の王冠を握りしめ、駄々っ子のように泣くリチャード2世の愚かさ、憐れさを演じ切ったウィショーくん、英国アカデミー賞主演男優賞も、むべなるかな😊

 

第7位『ドリーム』

 全ての女性に見てもらいたい映画『ドリーム』❗1960年代、アメリカ初の有人宇宙船マーキュリー・アトラスの打ち上げに尽力した、NASAの3人の黒人女性の物語。市内のあらゆる場所で白人と黒人の分離政策がとられていた1960年代のヴァージニア州。3人は、差別をものともせず、持ち前の明るさとファイティングスピリッツで、次第に周囲の信頼を勝ち取っていきます。

 その中の1人メアリー(ジャネール・モネイ)は、NASAの技術者としてステップアップを目指し、技術学校の講座を受講しようとしますが、当時は白人にしか門戸が開かれていませんでした。夫をはじめ周囲に反対されても諦めきれないメアリーは、単身裁判所に乗り込んでいって判事に直談判😅「肌の色は変えられません。だから私が前例を作るしかないんです。判事もいかがです?前例を作った判事として100年後に名を残されては?」と理詰めの弁論で迫るメアリー。見ながらヲタクは、(さすがNASAの技術者😮)と、感心したものです(笑)

彼女たちの苦労がお涙頂戴にならず、コメディタッチで描かれているのがかえって爽やかでしたね😊


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第6位 『我が闘争~若き日のアドルフ・ヒットラー

ヲタクが密かに『ドイツのカメレオン俳優』と呼んでいるトム・シリング。ウィーンの内気な画学生…だった筈のアドルフ・ヒットラーが、いかにして史上最悪のデマゴーグに変貌していったか、鬼気迫る演技を披露。ストーリー展開としては、ヒットラーの滑稽さを揶揄するシーンも満載で、恐怖と笑いのミックスしたようなシュールな作品になってます。しかし当時彼が住んでいた芸術家たちが集まる安下宿で、肉屋の手伝いの女の子1人を前に演説をぶつシーン。自らの話術に陶酔して次第に偏執狂的になっていくさまがただただ恐ろしく、トム・シリング、カメレオン俳優の面目躍如です。


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  5位~1位はまた後日、お楽しみに~😊

 

 

 

韓国エンタメおそるべし、Netflixおそるべし~『愛の不時着』

 アンニョンハセヨ~👋😃最近ずっと、『愛の不時着』のお陰で寝不足だったヲタクです(笑)ハラハラドキドキ、ストーリー展開が巧みで眼が離せない韓国ドラマ、ヲタクには少々トラウマがありまして。その昔『シークレットガーデン』っていうドラマにハマって(あ、そういえばこの時も主演はヒョンビンさんだった。今気づいた)、翌日大事な仕事が入ってるって言うのに、貯めてた録画を夜通し見ちゃったんですね。…で案の定、仕事でミスっちゃいまして。今振り返ってみれば、自分の実力不足を寝不足のせいにしていただけかも…なんですが😅まあともかく、それ以来韓国ドラマはさりげなく避けるようになっちゃいました。ハマったら最後日常生活に支障をきたすと思って(笑)ところが今回はさすがに第4期韓流ブームなんて言われてるし、巷でも大騒ぎだし、「サンデーモーニング」の浜田敬子さんや、アノ橋下徹さんもハマったというし…で、『愛の不時着』、ついに禁を破って見ました❗見終わって…

 

いやもう、この脚本書いた人、天才すぎる❗

 

  あらすじはあちらこちらで記事になっているから省きますが、もうね、南北の政治から格差による社会の分断、財閥問題、秘密のベールに包まれた北朝鮮の人びとの暮らし、親子の儒教的密着、女性の自立…等々、私たちが関心を持っている全ての要素を内包しつつ、コメディあり、人情話あり、アクションあり、サスペンスあり、ロマンスあり…の、豪華絢爛一大エンターテイメントになってるんです。

 

  韓国財閥の令嬢であり、有能なCEOでもあるユン・セリ(ソン・イェジン)が、不慮のパラグライダー事故で、なんと非武装地帯を越境して北朝鮮に不時着したところから、この奇想天外かつ感動的なストーリーが展開します。ヲタクみたいに超凡人でも、セリが北朝鮮軍のリ・ジョンヒョク中隊長(ヒョンビン)に発見され、彼の家に匿われることになったあたりから、(この二人の間にはきっと、許されないロマンスが生まれるのよね?リ中隊長はあの手この手でユン・セリを南に返そうとしてるけど、韓国ドラマのことだから、紆余曲折あって、肝心なところでジャマが入って、そう上手くはいかないわよね…)なーんてところまではなんとか想像できる😅

ところがところが、ちっちっち(・ε・` )

ドラマの中盤でなんとセリは無事に韓国へ帰国できちゃいます😅

このドラマが凄いのは、それからが真のクライマックスだということ。着地点が、「韓国に戻って、人も羨むようなお金持ちの生活に戻ってめでたし、めでたし」とか、「北朝鮮に残って愛を貫く」とか、どっちにもならなかったのがね。全く想定外のストーリー展開、思わぬどんでん返し❗うーーん、ヤられた(笑)

 

  このドラマ、「北朝鮮をバカにしてる」って北朝鮮の上層部は激オコだったらしいけど、どーして?(-ω- ?)財閥の冷たい親族関係の中で、人を信じられなかったセリが、本来彼女の持つ人間性を取り戻していくのは、北朝鮮のリさんの無垢な優しさ、純粋さであり、弟のようにカワイイ中隊員たち、そして村の長屋の、お節介であったかいおかみさんたちのお陰だった…っていう設定だよ?これ以上のリスペクトって、あります❓物質文明の申し子セリが、貧しいけれど人間味溢れる人たちに癒されていく過程は、まるで落語の人情話、まるで山田洋次監督作品の味わいで、私たち日本人にも馴染み深い😊

 

  ちょっとネタバレになっちゃいますが、二人はセリの北朝鮮不時着以前に、実はスイスでそうとは知らずに運命の出逢いを果たしていた…という設定。この伏線が、あっと驚くラストに繋がっていくのですが、二人が選択した愛の結末が、巷では「ハッピーエンドなのか?はたまた切ないアンハッピーエンドなのか?」で議論を呼んでるらしいですね。いやー、個人的には最高のハッピーエンド、究極の愛の理想形だと思うけど、これはそれぞれの立場や恋愛観によって評価が分かれるところでしょうね😅

 

ハラハラドキドキ、ストーリー展開が気になる面もあるけれどそれ以上に、主役二人の感情表現の巧みさ(特に、ソン・イェジンの表情の豊かさは国宝級😊)や、一つ一つのセリフの刺さり具合、膨大な数の人物が登場するのに端役の一人一人に至るまでキャラが素晴らしく立ってること…等々で、イッキ見するよりむしろ、1話1話を大事に見たい、愛すべき作品になっています。そしてヲタクは、この作品、アタマの中の「個人的リピリスト」にしっかり保存しました(笑)

 

 超スピードで進化し続ける、今やハリウッドを凌ぐ勢いの韓国エンタメ界、そしてそして、このデリケートな側面を持つドラマの製作を実現したNetflix(Netflixだからこそ、実現できたと思う😌)、おそるべし❗

 

 

『刑事モース オックスフォード事件簿』第6シーズン~衝撃の結末


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(モースが活躍するオックスフォードの街…From Pixabay)

 WOWOWプライムで、『刑事モース』第6シーズン最終2話(第26・27話)が、長い空白を経て、ついに、ついに放映されましたぁぁぁ~~😂😂(本国イギリスでは昨年放映)同シーズン、25話の放映から…な、長かった…(泣)

 

  特にこの第6シリーズは、薬物の不法取引の問題が前シリーズから未解決のまま引き継がれているわ、どうも警察内部に街のギャングと通じて疑惑の人物がいそうだわで、ヲタクの心はシリーズ開始直後からモヤモヤ(笑)ひじょうに波乱含みのシリーズだったワケです。おまけに、愛すべき職場カウリー署が閉鎖され、モースは理解のない上司と同僚だらけのキャッスルゲート署に配属されるという非常事態😢捜査でいつもバディを組んできた、上司のサーズデイ警部補(ロジャー・アラム)も家庭で奥さんと上手くいかなくなって、仕事上でも岐路に立たされちゃうし😭モースとサーズデイ、鉄壁の信頼関係にも亀裂が入り始め…。しかもその続きはいつ放映さるか、皆目わからないという…。

 

こんな状態にずっと置かれるなんて、まるで『ヘビの生殺し』っつーもんじゃありませんか、ダンナ(笑)

 

  …でもいいわ、シリーズを見終わってみれば、ジグゾーパズルはすっかりあるべき所に納まって、今までのモヤモヤはどこへやら、スッキリ爽やかな気分だから❗(結末はかなり衝撃的だったけど😮)

それにしても、長かった…(⬅️シツコイ😅)

 

  しっかしモースってなんでこう女運が悪いんだろう(笑)どういうわけか、ワケありな女性にばかり惹かれちゃうんだよね。アメリカの大ヒット刑事ドラマ『コールドケース』のスコッティ・ヴァレンズ(ダニー・ピノ)と似てるなぁ、そういうとこ。事件の捜査では二人とも切れ者の知性派、クールにキメてるのに、薄幸な女性につい手を差しのべて抜き差しならなくなるっていう…。まあでも、そういう、ふとした瞬間に垣間見せる優しさ、弱さ、人間味溢れるところがモースくんの魅力😍

 

そしてそして、モースが最初に配属されたカウリー署のトップだったブライト警視正(第6シリーズでは、種々事情があって、交通課に転属させられてしまいますが、この事実が最後のオチで効いてきます)❗この方ねぇ、普段は寡黙で昼行灯タイプなんだけど、いざという時に見せる決断力と部下を思うアツい心意気にグッときます😊警視正役にはゲースロで謎の科学者クァイバーンを演じていたアントン・レッサー。『ホロウクラウン~嘆きの王冠』トムヒ演じるヘンリー5世の側近役でも出てましたね😊

イギリスで『上司にしたい俳優ベスト10』があったら、アントンさんに絶対1票を投じるワ(笑)

 

  モースが取り組む事件そのものは1話完結なので、どのシーズンから見ても大丈夫…とは言え、モース自身もシリーズを追うごとに成長していくし(今シーズンで、突然お髭を生やしたのにはちょっとビックリしたけど😅)、彼を巡る人間関係にも変化があり、サブストーリーもかなり重要な部分を占めているので、最初から順を追って見ていったほうが、より楽しめるかも…です😉

  

 

 

 

  

蜷川幸雄演出『ジュリアス・シーザー』衛星劇場放映

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(From Pixabay)

 故・蜷川幸雄演出による『ジュリアス・シーザー』(2014年 さいたま彩の国劇場)、衛星劇場で放映決定❗

 

  これ、ヲタクが劇場で最後に見た蜷川作品。2014年と言えばもう、大分お体が弱っていた頃だと思いますが😢、それを補って余りある阿部寛(ブルータス)、藤原竜也(アントニウス)、吉田鋼太郎(キャシアス)、横田栄司(カエサル)…等々、蜷川組の面々の熱量が舞台の隅々にまで満ち溢れていた舞台だった。

 

  吉田鋼太郎横田栄司のコンビはもう、蜷川さんの絶対的信頼を背負って、安定の演技。この二人が、蜷川さんの信頼を裏切ったことは、ヲタクが覚えている限り、1度だってないはずです😊

 

  冷徹な弁舌の天才、アントニウス役の藤原竜也。この方が本来持つ生来の人の良さと生真面目さはアントニウス役とは真逆なものだけど、頑張ってた❗本当に。藤原竜也と言えば、蜷川さんとのインタビューで、思い出のハムレットの台本(かなりボロボロになってた😅)を、上演当時の気持ちを忘れない為にいつも持ち歩いてる…っていうエピソードが心に残ってる。さいたま彩の国『ジュリアス・シーザー』の舞台から早や6年、演技も人生も様々な体験を経て、さらに深みを増すであろう藤原竜也アントニウスを、今1度見てみたい😍

 

  そしてそして、主役のブルータスに阿部寛❗映画『テルマエ・ロマエ』でも証明済みですが、何しろ舞台に立ってるだけでローマ人そのものの彼(笑)滑舌がどーとか、つまんないこと言う人がいるけど、そんな小手先の技術なんてやすやすと超えちゃう、役者としてのスケールがあるんだよなぁ…。滲み出る人間性…というか。海外でいえば、ゲーリー・クーパーとか、ジェームズ・スチュワートみたいな。ローマを、カエサルを誰よりも愛する高潔な人格者でありながら、卑劣なキャシアス(吉田鋼太郎)の謀略に翻弄され、ついにはカエサルを手にかけるブルータスの悲劇に、ぴったりとハマってた。

 

  蜷川さんってサービス精神旺盛だから、後ろの扉から出演者がわーっと大挙して出てきて、舞台に駆け上がる…っていう演出、けっこうしてくれるんだけど、この時ね、ヲタクのすぐ横(通路から2番目の席だった)を藤原竜也が風のように駆け抜けたんです。危うく叫び声出すとこだったわ(笑)

 

  翻訳は、英文学者の松岡和子さん。今まではなんだか取っ付きにくくて遠い存在だったシェイクスピア、松岡訳でその面白さ、エンターテイメント性に開眼した人も多いはず。そして、松岡訳を採用した蜷川さんの慧眼、おそるべし。

 

  舞台は常にワクワクする面白いものでなくてはいけないと、シェイクスピア作品を深い人生哲学を内包した壮大なエンターテイメントに仕立て上げた不世出の演出家、蜷川幸雄。彼の願いに見事に答えた役者たちの、心地良い演技のアンサンブル、この機会にぜひ❗

 

 


阿部寛、藤原竜也出演 彩の国シェイクスピア・シリーズ『ジュリアス・シーザー』のテレビ放送が決定 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス

 

MX4Dで『ダークナイト』(クリストファー・ノーラン監督)を体感する

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TOHOシネマズMX4Dでバットマンダークナイト三部作(いずれも、監督は巨匠クリストファー・ノーラン)のうちの2番目の作品にあたる『ダークナイト』鑑賞。そもそもMX4Dとは何ぞや❓Wikiの説明を引用してみますと…

 

MX4D(エムエックスフォーディー)は、アメリカ合衆国のMediaMation社によって開発された4D映画システムであり、座席の動き、臭い、水などで映画の演出を行う。座席が映画の内容に合わせて様々な方向に傾斜したり、エアーブラストが用いられたり、触覚を感じさせる演出が行われたりと様々な技術が使用されている。主にTOHOシネマズの一部の劇場のスクリーンで導入されている。

…だそうです😊

 

これ、マーベルの『マイティ・ソー バトルロイヤル』の時に初体験したんだけど、座席が動いてずり落ちそうになるわ、水は飛ぶわ空気はかかるわ(まるで眼圧検査😅)でそっちに気がとられてストーリーにいまいち入り込めず😅これじゃぁ本末転倒だろう…ということで、あれ以来ご無沙汰でしたが、今回は飽きるほどリピしてる『ダークナイト』、しかもクリストファー・ノーラン監督自身が、『ダークナイトトリロジーIMAXや4Dで見てもらうことを目的として作った』みたいなことをどこかで発言していた…なんて聞きかじったものだから、おー、クリスそうだったのね(⬅何様❓😅)、早く言ってよ…てなわけで、即座に前言撤回(笑)そして結論…

 

監督の言う通り、『ダークナイト』はMX4Dでこそ見る映画です❗

(我ながら変わり身が早いね=笑)

 

 冒頭、悪の権化ジョーカーと銀行でマシンガンを撃ちまくる、バットマンと一緒に香港のスカイスクレイパーの上からダイブする、ビルを大爆破、バットポッドゴッサムシティを縦横無尽にカーチェイス…等々、臨場感ハンパない😮

 

  …それにしても、アメコミの典型的ヒーローだったバットマン(ヲタク小学生の頃、『バットマ~ン、チャラチャラチャラチャラ~🎵』っていうTVドラマ夢中で見てましたからね。ロビン少年と一緒に悪者バカスカやっつけるヤツ)を、その名もダークナイト(闇の騎士)として造型し直したノーラン監督の素晴らしさよ。正義を追い求めるあまりに時に周囲が見えなくなり、本作では、お金と権力にモノを言わせてゴッサムシティの住民全員の携帯電波を傍受する…などという暴挙に出てしまう。ヒロイズムにチラチラと見え隠れする、バットマンの狂気。この二律背反の怖さを表現できるのも、クリスチャン・ベールの卓越した演技力あればこそ。

 

  ヒーローがこれだけスゴイと、相対するヴィランも同じ位パッショネートで、圧倒的な悪の魅力に満ち溢れていなければ、映画として成立しない。しかし、この映画のジョーカー役、ヒース・レジャーの、まるで何かに取り憑かれたかのごとき神演技は、時に当代一二を争う演技派クリスチャン・ベールをも凌駕する勢い。

 

  この映画の、ノーラン監督によるジョーカーの描き方がまたね、見事なんです。彼の目的は、お金でもない、地位でも名声でもない。人間が死の淵に立たされた時、「彼のちっぽけな良心や正義など、微塵になって吹き飛ぶはず」と信じて疑わない究極の悪の哲学者ジョーカーは、あらゆる手を使って、人びとの正義の仮面を引き剥がし、悪の道に引きずり込もうとします。命懸けで手に入れた札束の山に火を放ち、高笑いするヒース・レジャーの、ゾッとするほど鬼気迫る演技。この映画の撮影直後に急逝した彼は、もう既に、迫りくる死神の足音に気づいていたかのよう😢

 

  これがひと昔前の作品だったらきっと、ジョーカーはゲイリー・オールドマンの役だったでしょうね。伝説のパンクロッカー、シド・ビシャス役で彗星のように現れて以来、人間の抱える闇~精神のダークサイドを演じ続けた彼。私生活でもさまざまな苦難を乗り越えて(スキャンダルも多かったよね😅)、今ではどこか枯れた、達観した境地に至ったかに見えるゲイリーは、『ダークナイト三部作』で、ヒーローにはなれないけれど、平凡な一市民として、ひたすら正義を貫くゴードン警部を演じています。

 

  薬物の過剰摂取で、若くして逝ったヒース・レジャー。あのままキャリアを積み重ねていけば、第2のゲイリー・オールドマンに、いや彼を超える存在になれたかもしれないのに…。日本でも、三浦春馬さんの悲しいニュースが報道されたばかりですが、将来を嘱望された煌びやかな若い才能が突然消えてしまうことほど悲しいことはありません😢

 

  どうか、生き急がないで。急いで結論を出さないで。とにかく命さえあれば、(いろいろあったけど、生きてるって悪いことじゃないな)って思う瞬間が必ず、ある。

 

  映画館からの帰りみち、ぼんやりとそんなことを思うヲタクなのでした。

 

  

 

  

 

  

 

 

ナヨ系イケメン❗❓ベン・ウィショーが…~映画『リトル・ジョー』

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 109シネマズ港北で、『リトル・ジョー』鑑賞。

 

  見たいなぁ…と思う映画(だいたいミニシアター系のマイナー映画😅)って、自宅あるいは職場から一番近い映画館では上映されていないことが多いので、今日も仕事帰りに50分ブルーライン(横浜市営地下鉄)に揺られてセンター南駅へ。

 

  映画のキャッチコピーは「ゾッとする幸せ」。このコピー、素晴らしくよく出来ていて、この一言で映画のエッセンスを表していると言ってもいいほど。

 

  監督はジェシカ・ハウスナー。ウィーン出身の女性の監督です。ヲタクはこの監督の作品は『リトル・ジョー』がお初ですが、あのミヒャエル・ハネケ監督(『ピアニスト』『ハッピーエンド』など)に師事した…って聞いて、(なるほどなぁ)と思いました。ハネケ監督の映画って、後味悪い系というか、人間の負の感情を冷たく見据える感じ。それが引き起こす一種の恐怖感。でもハウスナー監督の場合、そこに母としての、女性としての視点が加わって、恐怖…というよりむしろ、見終わった後、生きることの哀しさ、辛さが胸に迫ってくるしくみ。

 

 生物学者の アリス(エミリー・ビーチャム)がある禁じ手を使って完成させた花。それは人に他幸感をもたらす香りを放ち、大量の花粉を放出するにもかかわらず不稔性(ふねんせい)の植物で、生殖機能はない。「植物の存在意義である種子」を生まない…というこの花は生き延びる為に何をしたか…?

 

  リトルジョーの花粉が舞い散る時に奏でられる、故・伊藤貞司氏による尺八・琴・和太鼓の不穏な音楽が、ひたひたと恐怖を煽り立て、私たち観ている者の肌を粟立てるのです。

 

  彼女は一人息子のジョーにちなんで花を『リトルジョー』と名付けます。ところが、息子のジョーをはじめとして、彼女の周囲にいる親しい人々が、花の花粉を吸い込んだ途端に、じわじわと人格が変容してくる。自分が大事にしているその人が、外見は同じでも全くの別人に思えてくる怖さ。アリスが感じる違和感、孤独感は、彼女の心を締め上げ、彼女から少しずつ理性を奪っていきます。

 

  アリスは離婚して一人息子のジョーを育てているシングルマザー。仕事にかまけて、息子との時間を犠牲にしてきた、自分は悪い母親だ…という罪の意識がある一方で、正直な自分の気持ちを極限まで抑圧しているという設定。この映画のラスト、結局のところリトル・ジョーは人間たちに何をしたのか?感情を奪ったのか、人格を変容させたのか、それとも元々その人が抑圧してきた欲望を解放させたのか…?その答は何通りも考えられて、明確には提示されません。結局のところその判断は、私たち観客に委ねられているような気がしました。

 

  同僚役に、英国俳優ベン・ウィショー。日頃は、007シリーズのQ(秘密兵器開発担当主任)役や『嘆きの王冠~ホロウ・クラウン』のリチャード2世、Netflix『ロンドン・スパイ』など、繊細なナヨ系イケメンの役が多いウィショーくん。特に『ホロウクラウン』、とめどなく流れる涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながらシェイクスピアの長台詞を延々と喋るウィショーくんに役者魂を見た思いでしたが、この映画ではね、ちょっと違うんですよ。お花の魔力❓のせいで、次第に性格の変容をきたすウィショーくん、かなりオレ様セクシー系でドキドキします。ウィショーくんのファンには、彼の「新たな魅力発見💓」作品にもなっていますので、お楽しみに😉

 

  温室に並ぶリトルジョーの深紅の花弁、ペールグリーンに統一された研究所の内部、緋色のスクリーンにテロップで流れる黒い文字、アリスが通うカウンセラーが身に纏うボタニカルな柄のブラウス…。色彩が妖しく美しく、闇深いストーリー展開と対照的に鮮やか且つお耽美。

 

 主演のエミリー・ビーチャムはカンヌ映画祭で見事主演女優賞を受賞。今世界で大注目、ハウスナー監督独自の世界観に酔いしれる作品です。

 

〈おまけ〉

11月公開予定の007『ノータイム・トゥ・ダイ』のポスターを発見して、思わずパチリ(笑)コロナ禍のせいで予定より大幅に遅れて11月公開となりました。ダニエル・ボンドの最後の作品ですねぇ…。寂しいなぁ。しかし、有終の美を飾るべく、ラミ・マレック、レア・セドゥ、アナ・デ・アルマス(ダニエル・クレイグとはすでに『ナイブズアウト』で共演してますが、このセクシーさ、まるで別人😅)など、キャストがいつにも増して豪華ですなー。ボンド役が代わっても、Q役のウィショーくん(右から2番目のメガネ男子ね)続投お願い😍


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ティモシー・シャラメが歌った"Everything happens to me"~『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』


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(louda2455 from Pixabay)

 ウッディ・アレン監督が久しぶりにニューヨーク愛をサクレツさせた映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』。ティモシー・シャラメが、監督自身を投影したようなヒネクレ者のニューヨーカーを演じていたのが最大のツボでした。少し前だったらこの手の役、ユダヤ系のジェシー・アイゼンバーグ(『ソーシャル・ネットワーク』など)の独壇場だったんですけどね😅。シャラメが劇中でピアノを弾きながら歌ったジャズのスタンダードナンバー"Everything happens to me"はもう、永久保存版の素晴らしさでしたねぇ…。シャラメは独特のフェロモンがありますよね。これ、いわゆる失恋ソングなんですが、ちょっと自虐的なユーモアがあって、昔からヲタク大好きな歌で。歌詞の最後のオチが、「ヒロシです」みたい(ふ、古い❗❓😅)

 

  ゴルフをしようとすると必ず雨が降るし、パーティーとなると上の住人からクレームが来る。

こんなツイてないボクだけど、君と出会ったことでそれも変わってきたと思ってた。

でもやっぱりダメだったんだね。

電報も打ったし 電話もかけた

特別便のエアメールまで送ったのに

君からの返事は「さよなら」

しかも 郵便料不足。

 映画の中では、可愛い恋人エル・ファニングとラブラブ旅行、やる気まんまんのシャラメがいざとなったら彼女から置いてきぼりで、(もう、このままフラレるにちがいない)とショボクレながら弾き語りするんですが、彼が「郵便料不足」って歌ったとこで、可哀想だと思いつつ、つい笑っちゃいました。当代きってのモテ男、ティモシー・シャラメが歌うからなおさら、味わい深いこの歌。キャスティングといいシチュエーションといい、やっぱりウッディ・アレン監督はスゴいな😉

 

スタンダードナンバーだから、大勢のミュージシャンたちが演奏したり歌ったりしているんですが、ヲタクのおススメは、『ニューヨークのため息』の異名を持つジャズ・ヴォーカリストヘレン・メリル🎵パートナーのお仕事の都合で日本に滞在経験もあり、大変な親日家、ブルーノート東京等、日本で何度もコンサートを開いています。彼女のハスキーでメロウな歌声が一躍有名になったのは、"You'd be so nice to come home to"。たしかお酒のCMで使われたと思います。実は彼女、本名はイェレナ・アナ・ミルチェティッチと言って、クロアチア人の移民二世なんです。治安のいまいちなブロンクスのクラブで14才から歌っていた苦労人。マイノリティの暗さと哀愁漂う雰囲気が、一番惹かれるところかなぁ…。

 

  雨が降ったり止んだり『レイニーデイ・イン○○』(ヲタクの場合はヨコハマ😅)な日は、彼女の癒しの歌声を…。


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久しぶりすぎるジャクロくんニュース😅~シアーシャ・ローナンと2ショット


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(Scotland from Pixabay)

 わー、久しぶりにJack Lowden NewsさんのTwitter更新❗待ってましたぁぁ🎉✨😆✨

 

 ジャクロくんの記事書くの、笑っちゃうくらい久しぶりなんですけど(笑)だってネタがないんだもん…コロナめ😈

 

  ジャクロくんが愛しのシアーシャちゃんと弟のカルムくん(スウェーデン王立バレエ団のファーストソリスト…このコロナ禍で、今年に入ってからずっとお兄ちゃんと一緒にスコットランドの実家で過ごしているもよう)とお友達数人で、トレッキング(たぶんスコットランドの山)を楽しんだそう💓

 

  ジャクロくんとシアーシャちゃん、コロナ騒動が始まる前、1月のロンドンでパパラッチされてるんだけど😅二人でスーパーの買い物袋下げてね、お互いの手が触れるか触れないかの微妙な位置で、思わず(高校生カップルか❗❓)ってツッコミ入れたくなったわ(笑)高校生より幼いかもね…今どき。かと思えば、去年なんてアイルランドの寒村の、小さな小さな映画祭。スタッフさんたちと肩を組んで記念写真に収まる二人。シアーシャちゃんなんておさげ髪だったもんね(笑)ジャクロくんとシアーシャ、映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』で夫婦役を演じています。あの濃厚なラブシーンを演じた、同じ二人とはとても信じられない(笑)

 

  ふだん、推しのプライベートライフにはあんまり興味ないし、ようは良い演技を見せてくれたらそれでいいと思ってるけど、この二人は別格なんだな…。願わくは、末永く二人でhappyであってほしい…うん。応援してます😊

 

  そして、母国スコットランド映画・演劇界の振興と、俳優を目指す若者の育成に取り組んでいるジャクロくん、7月16日オンラインで無料の演劇マスタークラス(公開授業)を開催❗

 

  いよいよ始動かな❓さらなるニュース、待ってるね❗

 

 

  

 

  

ティモシー・シャラメの弾き語りに骨抜きにされる~『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』


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  故郷のマンハッタンを離れ、州北部の緑深い大学に通うギャッツビー(ティモシー・シャラメ)は、大学新聞の記者でジャーナリスト志望のアシュレー(エル・ファニング)とアツアツの恋人同士。そんなある日、アシュレーがさる有名な映画監督に取材をすることに。アリゾナ出身のカントリーガール、アシュレーはマンハッタンで有名人に会える幸運に有頂天。それに便乗してギャッツビーは、「マンハッタンをボクが案内してあげる❗二人で週末を過ごそう」と提案します。

 

  ギャッツビーは最初ホテル「ザ・カーライル」に宿をとろうとしますが、実家のママと犬猿の仲のギャッツビー、カーライルは実家に近いから危険…と考え直して、ピエール(   ザ・ピエール・ア・タージホテル~The Pierre, A Taj Hotel  セントラルパーク前の5つ星ホテル)のスィートを予約します。欧米ではいくらセレブの息子でも親のおカネでスイートルームなんて言語道断なんだけど、ギャッツビーはプロ並に最強のギャンブラーで、ポーカーでボロ儲けして旅行の資金を調達した…っていう設定になってます。

 

  しかし二人で過ごすはずの素敵な週末、アシュレーのインタビューが思わぬハプニング続きで次々と邪魔が入り、恋人たちは離れ離れに。結果、取り残されたギャッツビーはショボくれて、雨のニューヨークの街を一人彷徨い歩くハメに…。さて二人の恋の行き着く先は…❗❓

 

  エル・ファニング演じるアシュレー、『地方出身の美人=イノセントな女の子』にやたらとドリームを抱いているらしいオッサンの映画監督や、プレイボーイの中年俳優から取材するたびにグイグイ迫られて、どんどん大変なことに巻き込まれていきます。このアシュレー、ギャッツビーの高校時代の友人からは「『風と共に去りぬ』の腰抜けアシュレーと同じ名前かよ」って言われたり、元カノの妹でこじらせ女子のチェン(セレーナ・ゴメス)からは、「彼女とどんな話するの?サボテンや砂漠の話?それともガラガラヘビの話?」って陰口叩かれたりでさんざんなんですけど。ひねくれモノのニューヨーカーであるウッディ・アレン、天真爛漫なカントリーガールをかなーりディスってます😅

 

  ニューヨーク大学で自主映画を製作している古い友人、ジョシュに頼まれて(何でも、現代版フィルム・ノワールを作りたいんだそう😅)、チェンと路上に停めた車の中でいきなりキスシーンを演じるハメに。今ハリウッドの若手俳優の中でラブシーンを演じたらピカいち、色気ダダ漏れイケ散らかしてるシャラメが、セレーナ・ゴメスに「何この人❗キスシーンなのに口閉じてるんだけど😒💢💢」って言われ、「しょーがないだろ、緊張してるんだよ❗俳優じゃないんだから」って言い返すシーンはちょっとツボ(笑)

 

  なかなか思い通りにいかない一日。モラトリアムでオタクな主人公が、孤独に都会の街を彷徨いながら、「自分は本当は何者なのか❓一体何を目指して生きているのか❓」を見つめ直す…。この設定って、トム・シリングのドイツ映画『コーヒーをめぐる冒険』(舞台はミュンヘン)にそっくりなんだけど、演じる俳優と街の風景が違うだけでこんなにもイメージ違うんだね…😅ビックリです。シャラメくんはコーヒーどころか、シャトーメイネイをガブ飲みだし(笑)

 

  映画とレコードとチャーリー・パーカー(ビバップを確立したサックス奏者)が好きで、「大学で何学んでるの?」と聞かれ、「クルド研究」と答えるギャッツビー(もちろんブラックジョークだと思われる。頭でっかちなギャッツビーにとって、中東問題は一番苦手なハズ=汗)、メトロポリタン美術館にわざわざヒエロニムス・ボスとサージェントの作品を見に行くギャッツビーは、めちゃくちゃマイナー志向な真性オタクのハズだけど…。演じるのが何しろシャラメくんだから😉トム・シリングみたいなオタク臭は全くありません(笑)

 

  ヘンリー・ジェイムズカフカプルーストについて話し合う文学サロンのホステスを務める、超メジャー志向のギャッツビーのママ(ベテラン女優のチェリー・ジェイムスがサスガの貫禄)。ママに反抗してやさぐれてるギャッツビーが、彼女と和解するシーン、これが映画の最大のオチで、それが、彼が最後に下す大きな決断に繋がっていくわけですが…。

 

  この、ちょっぴりほろ苦くて、シニカルで、だけどシャレオツなラスト。ウッディ・アレンワールド炸裂ですね🎵

 

  ジュード・ロウレベッカ・ホールが夫婦役でちらっと出て来るんですが、マンハッタンの街角で繰り広げられる二人の夫婦ゲンカシーンはもう、一見の価値あり(笑)

 

  しばらくヨーロッパを舞台に映画を撮っていたアレン監督。彼が久しぶりに描く雨のニューヨークの街角は、今も変わらず、ひたすら美しい。その中に佇むシャラメを見るだけで、眼福🎵眼福🎵そしてそして、チェンの家のピアノを弾きながら歌うシャラメの「Everything happens to me」❗❗

 

確実に骨抜きにされて腰砕けになります(笑)

 

(オマケ)

シャラメが歌うスタンダードジャズナンバー『Everything happens to me』何かことを起こそうとすると不運に見舞われるっていう可哀想な歌。シャラメ演じるギャッツビーが大ファン、っていう設定のサックス奏者チャーリー・パーカーも名盤ですし、ピアノならセロニアス・モンクビル・エヴァンスがおススメ。ビリー・ホリデイも歌ってますね。個人的には、ホリデイのヒリヒリしたこっちが緊張しちゃうような歌声より、『ニューヨークのため息』と呼ばれたヘレン・メリルのメロウなハスキーヴォイスが好き😍

 

  

ラウリ・ティルカネン再びコ・ウ・リ・ン~Netflix『DEADWIND』第2シリーズ

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(Finland From Pixabay )

 もい❗(フィンランド語でこんにちは👋😃)北欧ミステリー好きのヲタクです。

 

  ついにキタ~~❗🎉✨😆✨🎊

  フィンランド発のNetflixオリジナルミステリー『DEADWIND~刑事ソフィア・カルピ』第2シリーズ❗第1シリーズから、約2年近く間が空きましたかね❓ワーカホリックで猪突猛進型のシングルマザー、刑事ソフィア。彼女の性格は相変わらずですね、警察の上司や同僚、息子の小学校の担任の先生に至るまで、むやみやたらに噛みついてる(笑)犯人追いかけるのに、一般人恫喝して車奪っちゃうし😅

…しかし❗彼女のバディ、ヌルミ刑事(ラウリ・ティルカネン)は、ちょっと雰囲気変わったね~😍

 

  第1シリーズの時はけっこうオレオレ系で、足を使って危険も顧みず体当たり捜査のソフィアとは真逆、効率主義だった切れ者ヌルミ。方向性の違いから、ぶつかり合うことも多かった二人だけど、第2シリーズでのヌルミは、静かで穏やか、たまに突っ掛かって来るソフィア(子育てが上手くいかなくて、けっこういつもイライラしてる😅)をやんわりと受け止めてる。そして、トゲトゲしてるソフィアを見つめる眼は限りなく優しい…。ヌルミはグルメで料理男子で夜勤の時も一度自宅に着替えに帰るようなダンディなオトコ。片やソフィアは歯磨き粉も指につけてゴシゴシ、そのまんま警察の廊下の長椅子にバタンキュー…(笑)キャラが男女入れ替わっているとこも、何気にツボ😅まっでもヌルミくん、命ギリギリの危機には、以前同様オレ様系の男っぽい決断力を発揮して、そんなとこも萌え~~😍

 

  第1シリーズのネタバレになっちゃうから詳しくは言えないんだけど、じつはヌルミ刑事、前シリーズの最後で病気になっちゃうんですね。けっこう重篤な状況で、フィンランドを離れ、イタリアの暖かい地域で療養する、乗り回してた高級車もソフィアにあげちゃう…なんて終り方だったから、まさか第2シリーズが始まるなんて思わなかった…嬉しいよぅ~😢今回は、死と向き合う可能性のある病を乗り越え、職場復帰をした…っていう設定だから、どこか静かな諦観の眼差しは、そんなヌルミ自身の変化を現しているんでしょうね。イケメン演技派、ラウリ・ティルカネン、サスガです❗……

 

  『DEADWIND』の第1第2シリーズの間に公開された映画『トム・オブ・フィンランド』でラウリくん、第一次世界大戦アメリカで活躍したゲイのカリスマ・イラストレーターの心優しい愛人役を演じています。ヌルミ刑事とは全く違うイメージですから、『DEADWIND』でラウリくんにハマったアナタには、こちらの映画もおススメ😉……でも、どんな作品でも、彼の深くて透明で、碧いスオミ(湖)のような瞳は相変わらずね…ふふふ。

 

  第1シリーズでは、一見猟奇殺人と思われた事件、その裏には企業や政治も巻き込む巨大な陰謀が存在した…というストーリー展開でした。第2シリーズでも、前シリーズ同様、単なる殺人事件の謎解きを越えて、フィンランドの政治・社会に潜む様々な問題が提起されます。心まで凍りそうなフィンランドの冬、街並み、港、森と湖という美しい風景の中で繰り返される残虐な殺人事件。北欧ミステリー特有のダークな雰囲気にハマります❗

 

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唯一無二の歌声にただ圧倒される❗~ジェシー・バックリー in 『ワイルドローズ』

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 チネチッタ川崎で『ワイルド・ローズ』。

 

  舞台はスコットランドバーミンガム。酔っ払った勢いで街のワルに言われるまま刑務所の塀の中にあるモノを投げ込んだローズ・リン=ハーラン(ジェシー・バックリー)。しかしその中身はヘロインで、幼い子どもたちがいるにも関わらず、彼女を待っていたのは12か月にも及ぶ実刑だった…。

 

  映画は、ローズが刑期を終えて自分の母親の家に8才の長女と5才の長男を引き取りに行くところから始まります。カントリー歌手を目指して小さなライブハウスで歌い続けて来たローズ。しかし当然その職も、彼女自身のたった一晩の愚行の為にパァに。昔から何度もローズの「夢」に煮え湯を飲まされてきたらしい❓母親は冷たくよそよそしく、子どもたちもすっかりローズの存在を忘れている。

 

  あちこち綻びだらけで始まった子どもたちとの新生活。ローズは生活の為に、ある裕福な家の通いの掃除人に。家の女主人スザンナ(ソフィー・オコネドー)は偶然聞いたローズの歌声のあまりの素晴らしさに感銘し、彼女にチャンスを与えようと、自分の持つ人脈を駆使して動き出しますが、その過程でローズは自分の本当の境遇や過去を明らかにするチャンスを失ってしまいます。それが思わぬ波乱の展開を呼んで…。

 

 この最初のエピソード、スザンナが彼女の歌声に一目惚れ(一聞き惚れ❓)して話がトントン拍子に進む…っていう設定だから、とにもかくにもジェシーの歌声がキモなんですが、彼女の歌声が想像以上に素晴らしくて、観ている私たちがスザンナにそこで感情移入しちゃうわけです😅

 

  アイルランド出身の女優ジェシー・バックリー、BBCの長編ドラマ『戦争と平和』(トルストイ原作)では、質素で信仰に篤く、静かな情熱を秘めた貴族の子女、また直近ではレネー・ゼルヴィガーが見事アカデミー主演女優賞を受賞した『ジュディ 虹の彼方に』、ロンドン興行でジュディを支える秘書役で印象的な演技を見せましたが、この初主演作でヲタク、ノックアウトされました(笑)映画全編にわたり流れる彼女の歌声、素晴らしいの一言ですが、特に最大のクライマックス、最後の数分間はもう、鳥肌モノ!!(⊃ Д)⊃≡゚ ゚

 

またねー、助演の女性たちが素晴らしいです❗天真爛漫で、自分も貧しい家庭の出だったことから純粋にローズを応援しようと奔走する、少女のハートを持ち続けるスザンナ役にソフィー・オコネドー。ドラマ『ホロウクラウン~嘆きの王冠』の、アンジュー家のマーガレット役の鬼気迫る演技が記憶に新しい。(リチャード3世役のベネ様を、ジュディ・デンチ、キーリー・ポーズと3人で責め立てる場面、さしものベネ様もタジタジでしたね😅)

 

  そして、ローズの生き方の危うさをハラハラしながら見守り、孫たちを思ってローズに時には厳しく、時には暖かい理解を示す母親を演じた、英国の至宝とも言うべき超ベテラン女優ジュリー・ウォルターズ

 

それにね、これ、フィルム4プロダクション製作の映画ですから。Film4Productionは英国のチャンネル4(若者、知識層、マイノリティを対象とした番組編成で知られる)傘下の映画制作会社。以前このブログでも記事書きましたけど、『トレインスポッティング』『スリービルボード』『女王陛下のお気に入り』『ファイティング・ファミリー』…。ヲタクとしては、フィルム4の製作…って聞いただけで見に行こうって思う、そんな信頼度の高い制作会社なんです😊

 

 素晴らしい歌声と共に、ローズの、決して夢をあきらめない女性の生き方、母親としての成長に涙する~ツイッターで昨日「仕事で壁にぶち当たった時に見たい映画~3位『ドリーム』、2位『否定と肯定』、1位『ビリーブ 未来への大逆転』」って書き込んだんですが、すいません、同率3位でこの映画お願いします❗(笑)

 

 

  

 

 

 

見習い弁護士がイケメンすぎる件~BBC『SILK 王室弁護士 マーサ・コステロ』

最近ヲタクの中で勝手に盛り上がりを見せている、英国のイケメン俳優トム・ヒューズくん。彼みたさにU-NEXTで第2シリーズまで観賞。トムくんは第1シリーズでお役ご免になっちゃったんだけど(見習い弁護士役だから、しゃーないか)、採用されなかった設定で彼がいなくなってからも、主役の法廷弁護士マーサ(マキシン・ピーク)の痛快な法廷弁論や英国独自の法律システム、法律事務所内のドロドロした人間関係が面白くて、引き続き観賞中。

 

  以前推しの一人、スコットランド俳優ジャック・ロウデンが出演した映画『否定と肯定』でも大変興味深かった英国の法律システム。まず、コモンローの下では一言で弁護士と言っても、法廷で弁論を担当する法廷弁護士と、法的アドバイスや法廷外の訴訟活動を行う事務弁護士の二種類あって、明確に業務が分かれています。そして、この2つの弁護士資格を両方取得することはできません。

(『否定と肯定』でも、アメリカから来たヒロインが、頼りにしていた弁護士が事務弁護士で、法廷弁論を依頼できないことを知ってがっかりするシーンが出てきます。)

また、同じ弁護士事務所に所属していながら、仲間同士で同じ裁判の訴追側と被告側に分かれて法廷弁論を担当するシーンが出て来て、ちょっとビックリ。

 

  肝心のトムくんは、事務所に置いてあるお菓子を昼食代わりにするような、地方出身の貧しい苦学生ニック・スレイド役。もの柔らかな物腰で、見習いでありながら、猪突猛進型のマーサをやんわり諌めるシーンもあったりしてトムくんもイイ味出してたし、マーサとの相性バッチリだったのに…。結局採用されなかったのね、くすん😢

 

  女性視聴者向けには、マーサの同僚でシルクの座を争うライバルでもある、セクシー担当イケメン、クライヴ(ルパート・ペンリー・ジョーンズ)がいるんだけど、ヲタク的にはちょっと…@¥#&$ゐ

 

  なんで寂しい思いをしていたところ(笑)第2シリーズも後半になったところで、なんとなんと❗やはり見習い弁護士ダニエル役で、ショーン・エヴァンス登場~~~🎉✨😆✨🎊そう、ご存知エンデバー・モース警部の彼です❗ぜんぜん予想もしてなかったから、まるで盆と正月が一緒に来ました状態 笑

 

  ダニエルは、一旦警察に入ったものの、警察官としての自分に限界を感じて法曹界に志願した…という、モースを想起させるようなキャラ設定。『刑事モース』の新シリーズもどういう理由かわからないけど、ずーっと放映延期になってるのは、法律事務所に浮気してたからなの?ショーン(⬅️バカ😅)

 

  冗談はともかく、イケメンたちは別にしても『SILK 王室弁護士』の世界にハマってしまったので、これから第3シリーズに突入します🎵

 

★この記事を読んで、ステキな俳優トム・ヒューズに興味を持たれた方は、題名の下の「トム・ヒューズ」をクリックして頂くとマイク関連の他の記事も読めますので、よかったら‥‥。

 

 

 

 

映画オタクのバイブルだった~『蒲田行進曲』


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 映画『蒲田行進曲』WOWWOWで放映❗天才演劇人つかこうへいが自らの舞台劇を元に脚本書いて、『仁義なき戦い』『柳生一族の陰謀』『火宅の人』等々…の深作欣二が監督となれば、名作にならないほうがオカシイ(笑)

 

  舞台『熱海殺人事件』で風間杜夫に大注目だったオタクとしては、『蒲田行進曲』の公開がもう死ぬほど楽しみで、上映が始まるまで、映画館の片隅で心臓が飛び出すくらいドキドキしてたのを今でも覚えてる。

 

  つか作品は幾つも映画化されてるけど、願わくは1本くらいは、主役も脇役も『つかこうへい事務所』初期のメンバー勢揃いで見たかった…。つかさん自身も気力体力充実してた頃の。いや、単なる舞台ファンのたわ言だってことはわかってます、ハイ😅それにしても、三浦洋一(故人)、加藤健一、根岸とし江(現・季衣)、酒井敏也柄本明角替和枝(故人)、萩原流行(故人)…。こう書いてみると、物凄く個性的な方たちばかり。この方々が、独特の『つかこうへいの世界』を形作っていたんですね。中でも、根岸とし江の伝説の舞台『ストリッパー物語』、公演の一部を映像で見たことあるんだけど、いやもう、あれはただただ衝撃的だった。映画で見たかったなぁ…。

 

閑話休題

 

  一方この映画は、つかさんの秘蔵っ子だった風間杜夫平田満が主役を張ったし、脇を萩原流行、岡本麗、酒井敏也石丸謙二郎長谷川康夫で固めてるから、つかさんの先鋭的な舞台の熱量に深作監督のエンタメ性が加わり、さらにバージョンアップした感があった。そこに艶やかな華のある松坂慶子が加わって、つかさんの舞台を知ってる人も知らない人もみーんな満足できる、「最強の人情喜劇」になりました❗(最後のオチも、映画好きにはタマリません😍)


  のっけから、時代劇の撮影現場のてんやわんや、二大スターの意地の張り合い、職人監督の怒鳴り声…。あっという間にこの映画の世界に引き込まれます。ストーリーの主軸は、スター俳優の銀ちゃん(風間杜夫)と、銀ちゃんの恋人で売れない女優の小夏(松坂慶子)、銀ちゃんの子分で、いつまで経ってもうだつが上がらない大部屋俳優のヤス(平田満)の、奇妙な三角関係。この銀ちゃんがもう、今の芸能界だったら即抹殺されそうな性格破綻者で、恋人の小夏が自分の子どもを妊娠したと知ると、無理やりヤスに子どもごと押し付けちゃうっていう、トンデモない男😅銀ちゃんのキャラって、昔の破天荒な時代劇スターたちを戯画化したもので、似たようなエピソードどこかで聞いたことありますよね(S.KさんとかH.Mさん、S.Y さんとか😅)

 

 

たとえ性格が破綻していても、映画バカのヤスにとって、銀幕のスターである銀ちゃんは「神」に等しい。どんなに苛められようが無理難題を押し付けられようが、銀ちゃんから言われたことは何の疑いもなく引き受けちゃう。一見、小夏を挟んだ三角関係に見えるんだけど、そのじつ、銀ちゃんとヤスの、SMチックなブロマンス関係を匂わせてるとこが、つかこうへいっぽいと言うか。初期の作品『いつも心に太陽を』みたいにあからさまにホモセクシュアリティを前面に出した作品よりこっちの方がヲタク的には好きです😊

 

  自己チュー銀ちゃんの巻き添えを食らった形で始まった小夏とヤスの関係ですが、二人が次第に心を通わせていく過程が泣かせます😢もうね、この映画の松坂慶子が天女みたいに綺麗で、いじらしくてね…。そして、小夏の出産も迫った頃、撮影中の大作時代劇で、ヤスは銀ちゃん演じる土方歳三から派手に切られ、大階段のてっぺんから壮絶に転げ落ちる、「軽くて半身不随、失敗したら命がない」と言われる「階段落ち」のスタントを仰せつかりますが…。

 

  つかこうへいの芝居ってともかくセリフが膨大というか、役者さんがテンションMAX、超速でマシンガンみたいに喋りまくる(もちろん、演出のつかさんもでしょうけど😅)エッセイ『つかこうへいの腹黒日記』読むと、元来風間杜夫って対人恐怖症に近いくらいの超人見知りだったらしい。そういえば風間さん、どこかのインタビューで、「普段はあまりにも感情を抑制しているから、舞台でそれを爆発させている。演技の世界に入ってなかったら、何か犯罪を犯していたかも」っていう趣旨のことをおっしゃっていたような。風間さんが普段溜めに溜めたものを演技に放出するさまはもうマーヴェラス、驚きの一言です。

 

  平田満がまた、映画に対しても銀ちゃんに対しても小夏に対しても、ひたすら男の純情を貫く、愚かにも愛すべきドM男、ヤスを演じきって、胸絞られる名演😢映画ヲタクとしては、『エデンの東』や『ウェストサイド物語』のポスターを貼り巡らしているボロアパートの一室で、ヤスが懸命に殺陣の練習をしているシーンが大好き💓

 

  奇しくも今年は松竹映画100周年の年。「松竹映画100選」という特設サイトが公開されていますが、オタク的には確実にベスト3に入る名作です😊

 

☆WOWWOWシネマ  7月10日(金)23:00~

キリアン・マーフィー的『バットマン・ビギンズ』(2005)🦇

WOWWOWでバットマンダークナイト・トリロジーバットマン・ビギンズ』『ダークナイト』『ダークナイトライジング』(クリストファー・ノーラン監督)放映❗三部作の中では、故ヒース・レジャーが悪の権化ジョーカーに扮して神演技を見せた『ダークナイト』がやはり一番有名ですかね。アカデミー賞助演男優賞が故人に贈られたのも史上初ですし。直近のアカデミー賞で主演男優賞ホアキン・フェニックス(映画『ジョーカー』)も文句なしの素晴らしい演技でしたが、ヲタク的にはヒース・レジャー as ジョーカーがまるで緋文字の禍々しい刻印みたいに脳裡に焼き付いてしまった……。またね、もう二度とあの演技が見られないと思うとなおさら。

 

閑話休題

 

  『ダークナイト』についてはネット記事でも語り尽くされているので、今日は三部作のうち第一作目の『バットマン・ビギンズ』のお話を。かつてはDCコミックスの典型的なアメリカンヒーローだったバットマン。それを、ゴッサムシティに巣食う巨大な社会悪によって両親を殺され、そのトラウマに苦しみ、復讐の鬼になりかけながらも、血の滲むような努力によって克服する一人の青年のビルディングスロマンとして描いたノーラン監督。「人を悪に駆り立てるものは何なのか❓」…深い哲学を内包した映画でもありました。バットマンの描き方には当時賛否両論ありましたが、この映画の世界観、当時ヲタクはハマりまくりましたね。

 

  バットマン誕生の前に、ブルース・ウェインの成長期の魂の彷徨が描かれていますが(何せビギンズだから)、幼少期のエピソードから、ヒマラヤかどこかの強制収容所にいるブルースにいきなり画面が飛ぶ。さすが『メメント』『プレステージ』『ダンケルク』のノーラン監督だけあって、時系列が自由すぎる(笑)分かりにくくて最初戸惑うんですが、リピするうちにクセになるのは、他のノーラン監督の作品と同じですね。

 

  ヲタク的には、三部作の中では一番地味な(…と思われる)この作品が一番リピ率高いんですけど、それは…。

とにもかくにも、キリアン・マーフィの出番が多いから❗(唐突にスミマセン)

 

 この映画の中のキリアン・マーフィー、一応スケアクロウっていうヴィラン(悪役)なんですけれども(下の映画のポスター、左から2番目、わけわからないズタ袋被ってる人)。変身❓前はジョナサン・クレインという精神科医です。ジョーカーみたいな圧倒的悪役ではなくて、かなり小物感が…(笑)アベンジャーズのサノスみたいなラスボスはまた別にいるし。でもねー、公開当時はハマりました、スケアクロウに。つくづくマイナー志向だと思います、じぶん。小物感あるわりにはしぶとくて、スケアクロウは『ダークナイト』にも『ライジング』にもちょこっと出てきますが、ほとんどヒッチコックなみのカメオ出演

 

  キリアン・マーフィーといえば、最近はBBCの大人気ドラマ『ピーキーブラインダーズ』の主人公、トマス・シェルビー(トミー)役で大ブレーク。役作りに凝りまくる彼のこと、トミー役になりきる為に体鍛え抜いたんでしょう、今はバットマンクリスチャン・ベールに負けず劣らずムッキムキのバッキバキですが(笑)『バットマンビギンズ』の時は、今に比べるとかなり線が細くて華奢で、しかも銀縁メガネ。それはそれで萌え~~😍(⬅️バカ😅)

 

  どうもブルーアイズふぇちらしくて、じぶん。好きな海外の俳優さんって100%瞳が青い(笑)瞳、という観点から言えば、キリアンの瞳はもはや別格、殿堂入り❗あまりにも美しすぎて底知れなくて不吉なくらい。あたかも美瑛の青い池、『限りなく透明に近いブルー』(by 村上龍)でもねー、ノーラン監督もヲタクと同じこと考えていたらしくって。『ビギンズ』の撮影当時、「キリアンの青い瞳をいつ観客に見せるか。メガネを外す瞬間をいつにしようかばかり考えていた」ですって❗自分の作品に5度くらいキリアンを登場させているノーラン監督、彼もまたキリアンの人外魔境的な瞳に魅入られた一人だわね(笑)

 

  一人の苦悩する青年バットマンのイメージぴったりなクリスチャン・ベール、(いつ本性現すのか)と思って観ていたらなぜか最後までイイ人だったゴードン警部(ゲイリー・オールドマン)、アルバート・フィニー演じる超魅力的な執事アルフレッド…。ゴッサムシティの街並み、ストーリー、そのダークな世界観、端役の一人一人に至るまで繊細に作り込まれた名作は、WOWWOWシネマで7月25日(土)13:45より。



 

  

まだ間に合う~ヒッチコックの『レベッカ』

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 シネマヴェーラ渋谷で今月はずっと、ヒッチコックの特集していたんですね…知らなかった…😅残すところあと3日、明日明後日と『レベッカ』(1940)上映~~🎉✨😆✨🎊

 

  ヒッチコック監督は元々英国出身。随所に見られる、言わば皮肉の効いた陰鬱なユーモアは、さすが英国人と言った感じですね。この作品はイギリスの女性作家ダフネ・デュ・モーリアの同名小説を映画化したもの。それまで英国内で映画を製作して名声を得ていたヒッチコックの米国進出第一作、アカデミー賞作品賞・撮影賞を受賞して、華々しいハリウッドデビューとなりました。

 

 昔欧米では、 裕福な老婦人が旅行する際、一緒に旅行しながら身の回りの世話をしたり食事時の話相手になったりする若い女性がいて、コンパニオンと呼ばれていました(現代の意味とは全然違うんですよね😅)ヒロインはコンパニオンとしてヨーロッパを旅行中に、大金持ちのイケメン紳士マキシム・デ・ウィンター(ローレンス・オリヴィエ)に見初められて、シンデレラよろしくめでたく結婚。彼の住まいである、霧深い古城マンダレイで暮らすようになります。

 

  ところが彼には亡くなった前妻レベッカがいて、しかも彼女は謎めいた事故死を遂げていたことがわかります。使用人たちを取り仕切るダンヴァース夫人は、社交界の華だった前妻レベッカに心酔していて、ことあるごとにヒロインをレベッカと比較し、「マキシム様は(コンパニオンあがりの)何の取り柄もないあなたなんて、本当は愛しちゃいない。旦那様はレベッカ様をまだ愛しているのよ。レベッカ様に比べたらあなたなんて…」と、ヒロインのコンプレックスを刺激し、じわじわと心理的に追い詰めていきます。そしてある日…。

 

  霧深い古城、まるで亡霊のように古城のそこかしこに潜むレベッカの影、夫は何か秘密を抱えていて、いつも自分との間には何か隔たりがあるよう。夫は本当に自分を愛してくれているのか❓そして謎めいたレベッカの本当の死因とは❓

 

  観ているこちら側の嗜虐心をソソる薄幸なヒロインにアカデミー賞女優のジョーン・フォンティーン。謎めいた蔭のある美男の夫に英国演劇界の至宝、伝説的シェイクスピア俳優のサー・ローレンス・オリヴィエ❗そして、ヒロインを苛み、追い詰めていくダンヴァース夫人役のジュディス・アンダーソンの演技がもう、怖いったら、ありゃしない😅オバケやゾンビよりよっぽどコワイのよ~(笑)

 

  だいたいヒッチコックという人、かなりサドっ気があるもよう。キレイな女優さんを映画の中で困らせて、怖がらせて悦に入ってるというか。パーソナルな趣味が高じて😅❓『鳥』(これも原作はデュ・モーリア)では、ティッピー・ヘドレン(娘はメラニー・グリフィス、孫はダコタ・ジョンソン❗)とスザンヌ・プレシェットという二大美人女優をあろうことか大量の鳥につつかせるっつう…。

 

  アカデミー賞撮影賞を受賞しただけあって、モノクロの画面がミステリアスに美しく、美と恐怖が融合したゴシック・ホラーの傑作、お近くの方はこの機会にぜひ❗