オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・コンサート鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログです。

ホロモドールの真実 『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』


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(ウクライナの首都キエフ…Pixabay)

  横浜黄金町のジャック&べティにて、『赤い闇~スターリンの冷たい大地で』。このコロナ禍で今までオンライン劇場の利用はありましたが、本劇場に足を運ぶのは久しぶりです。ジャック&べティも7月30日からいよいよネット予約ができるようになりました。列に並んで切符をゲットして、待合室でドキドキしながら開場を待つ喜びはなくなったけど、密を避けて映画鑑賞できる安心感はこのご時世、何にも換えがたい。厳しい現状にも関わらず新システムに舵を取った支配人の心意気に拍手👏👏

 

閑話休題

 

先日、 80才を越えた老婦人が突如として数十年前のスパイ罪で捕らえられるという衝撃の実話映画『ジョーンの秘密』を見たばかりなのですが、作品の中で度々スターリンの独裁体制について言及されていました。(『ジョーンの秘密』は現在も公開中です)そんな中、タイムリーに公開された本作『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』❗

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 ナチスドイツが台頭しつつあった1930年代。世界中が大恐慌にあえぐ中、ソヴィエト連邦だけが各地に工場を建設し、各産業は隆盛を極め、好景気を享受しているという政府からの公式発表が相次いでいました。ロイド・ジョージの外交顧問を務めていたガレス・ジョーンズ(ジェームズ・ノートン)はそれに素朴な疑問を持ち、ソ連駐在の親友の記者を頼ってその原因を取材をしようと試みます。ところが、ジョーンズがソ連到着直前に親友は路上で襲われ、不審な死を遂げてしまいます。彼がモスクワで目にするのは、政府に情報網を骨抜きにされ、賄賂を受け取って私腹を肥やし、夜な夜な酒池肉林に興じる外国人記者たちの堕落した姿ばかり。それでも地道に情報収集をはかり、「世界の穀物倉」「肥沃な大地」と呼ばれたウクライナ地方で、何か途方もないことが起きている…と睨んだジョーンズは命懸けで政府の監視をかいくぐり、単身ウクライナへ乗り込みます。そして、彼が厳寒のウクライナで目にした驚愕の真実とは…❗❓

 

  誠実で、不器用で、しかし真実を報道する為には一歩も退かず、命さえも賭けるジャーナリスト魂。BBCドラマ『戦争と平和』で悩める青年貴族ボルコンスキー、また直近では『ストーリー・オブ・マイライフ~わたしの若草物語』でメグ(エマ・ワトソン)の誠実な夫役を演じたジェームズ・ノートンが、イメージぴったりの熱演です😊

 

  コロナ禍でリーマンショックを上回る世界的大恐慌が到来するかも…と言われている昨今。経済不安の時代には民衆がパニックに陥り、強大な権力を持つリーダー待望論が起こり、独裁政権が成立しやすい…というのは、歴史を見ても周知の事実。そんな時に、本作が公開されるのは、大変意味があることだと思います。極端な話、ホロモドール…という言葉の意味を知るだけでもいい。

 

  どんな状況に陥っても、知識を総動員して、自分のアタマで考えることを止めてはいけない、真実から目を逸らしてはいけない…という教訓を忘れないためにも。

 

 

公式HPはこちらです👇

http://www.akaiyami.com/

『MOZU』劇場版 WOWWOWで放映


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ハードボイルド作家、逢坂剛の原作を映像化した MOZUシリーズ、WOWWOWで一挙公開❗

 

 ヲタクはリアルタイムで全作品見ましたが、今でも印象が色褪せないと言えば特に、第1シリーズの『百舌の叫ぶ夜』と、映画『劇場版 MOZU』ですかね。

 

  第1シリーズ『百舌の叫ぶ夜』(全10回)

銀座で凄惨な爆弾テロ事件が発生。多数の犠牲者が出る中、主人公である公安警察の倉木警部(西島秀俊)の妻、千尋(石田ゆり子)もその一人に…。当日の妻の行動は謎だらけで、その理由を探り始めた倉木は、妻が生前自分に見せていた貌と、彼女の真実の姿がまるで違っていることに気づいて愕然とする。一方、数々のテロに関わっているとされるプロの殺し屋(池松壮亮)を追う明星巡査部長(真木よう子)もテロの現場に居合わせ、千尋の行動を目撃していた。謎が謎を呼び、登場人物の行動そのものにも二重三重の『嘘』を孕む複雑怪奇かつスリリングな展開。

 

 主要人物3人も適役ですが、個人的には 何と言っても、哀しい過去を背負い、本能的な殺人衝動に突き動かされる殺し屋を演じた池松壮亮❗彼なくしてはこのドラマが成り立たないのでは…❓と思わせるくらい、存在感が圧倒的でした。殺し屋自身のアイデンティティーそのものにもプロット上視聴者に対するワナが仕掛けられていて、池松くんの演技力なくしては成立しないしくみになっているんです。

 

  彼演じる殺し屋は、『百舌鳥の早贄(はやにえ)~百舌鳥は、餌となる生き物を殺してもなぜか食さず、有刺鉄線或いは木の棘に串刺しにし、そのまま飛び去ってしまう習性』を模した方法で殺人を繰り返します。当時、陰惨で耽美的な殺しの場面が脳裏に焼き付いて、ドラマを見た夜は、よく夢でうなされてました(笑)

 

  『劇場版MOZU』

全編フィリピンロケで、蒸せ返る熱帯の太陽の下、繰り広げられる男たちの命懸けの闘い。主演の西島秀俊初め、伊勢谷友介長谷川博己池松壮亮松坂桃李…演技派イケメン総出演です😊中でも、ブルーヘアにオッドアイサイコパスのテロリスト役・松坂桃李にはヤられました。それまでは、朝ドラの爽やかな好青年…ってイメージだったから😅

 

  彼が元警官で探偵事務所を開いている大杉(香川照之)の娘(杉咲花)をビルの一室で襲う場面。花ちゃんの恐怖に脅える演技がまた最高に巧いもんだから😅もー怖くて怖くて、危うく#@ー¥$Ψ&…(笑)そしてそして、最大のクライマックスは、サイコな松坂桃李と殺し屋池松壮亮の、フィリピンの夕陽を浴びた美しい廃屋の上でのガチの一騎討ち❗一歩間違ったら命を落とす危険もあった…と、当時お二人がインタビューで話していた記憶があり、ヲタクの中ではそのガチ度という点において、邦画の中で歴代1、2を争うアクションシーンではないかと思ってます。

  てっきり都市伝説かと思われていたラスボスダルマ(北野武)が、ほんとうに登場してきたのにはビックリしましたが…😅でもそこは世界の北野、都市伝説にリアリティをムリヤリ❓持たせてしまう力業はサスガの一言です。

 

  原作者の逢坂剛は、日本では珍しいスケールの大きなプロットを得意とするハードボイルド作家。数々の事件が迷宮のように渦を巻き、国家的陰謀に繋がって行く壮大なストーリー。多少ぶっ飛んだ展開もありますが、そこは難しく考えず、エンターテイメントとして楽しめばいいのでは…❓と思います😊

 

WOWWOWの放送予定はコチラ👇

『MOZU Season1~百舌の叫ぶ夜~全10話』9月6日(日)後3:55

『MOZU Season2~幻の翼~全5話』

9月13日(日)夜6:20

『MOZUスピンオフ 大杉探偵事務所~全2話』9月20日(日)夜7:45

『劇場版 MOZU』27日(日)後1:25

 

千葉雄大 と門脇麦が案内する~『夢の本屋をめぐる冒険』

 なんてステキな番組なんでしょう❗舞台はとある本屋さん(カフェ併設のオシャレな書店にお客を取られ、閉店の危機に瀕しています)。祖母から引き継いだ本屋を切り盛りするいっぷう変わった店主に門脇麦。店先で売り物の本ばかり読み漁っている店主に成り代わり、ほぼ一切の仕事を請け負っている(…らしい😅)にもかかわらず、経費節減の為、リストラされそうになっている店員に千葉雄大。このコンビ、ボケとツッコミの呼吸もすばらしく、まるで夫婦漫才の味わい(笑)

 

  倒産寸前の本屋を何とか立て直そうと、二人は世界の高名な本屋を巡って、書店経営のヒントを得ようとします。ここでお二人は素に戻って、海外の素敵な本屋さんを眺めてはそのユニークさに、私たち視聴者と一緒に笑ったり驚いたりしてくれます。その反応を見ているだけで、お二人とも本が好きなんだなぁ…ということが自然と伝わってきて、微笑ましいです😊

 

 第1回めはパリにある『シェイクスピア&カンパニー』。パリでなにゆえシェイクスピア❓って思いますが、元々アメリカ人女性シルヴィア・ビーチが開いた、パリで最初の英語書籍専門の書店に端を発したものです。きっと、さまざまな理由で当時パリで生活していた、英語を母国語としていた人々のサロンというか、心の拠り所だったんだろうなぁ…。

 

  外国語圏の街、特に母国語に多大なるプライドを持ち、外国語を理解できてもあえて積極的に話してはくれないパリのような街で、母国語に餓え、孤独に暮らす異邦人たちが、母国語の書店に廻り合うのは無上の悦びだったことでしょう。ヲタクもベルギーの片田舎に家族で住んでいたことがありますが、子供たちが土曜日だけブラッセルの日本人補習校に通っていた頃は、子供たちの授業が終わるまでの間、日本の本屋さんに寄るのが何よりも楽しみだったもの😊

 

シェイクスピア&カンパニー』の初代店主シルヴィアは、文学や芸術を志す若者たちの良き理解者であり、同時にパトロンでもあったようで、店内には、ヘミングウェイフィッツジェラルドなど、綺羅星の如きアメリカ文学の巨人たちの肖像画が…😮番組内でも紹介されましたが、著書『ユリシーズ』が発禁処分となり、途方に暮れていたジェームズ・ジョイスにシルヴィアが助け船を出したエピソードも…。当時の書店主というのは、先鋭的な作品をいち早く発掘して世に知らしめる、文化・芸術の紹介者でもあったんですね。シルヴィアの精神は、今も『タンブルウィード』(店で無給で働く代わりに、自由に本を読み、文章を書く場を与えられる作家のタマゴたちのこと)という形で脈々と受け継がれています。

 

  ヲタクの好きな映画に『マイ・ブックショップ』という、第二次世界大戦後イギリスの寒村に書店を開き、本を読む楽しさを知らない村人たちの啓蒙をしようとするヒロインの奮闘ぶりを描いた作品があるのですが、中でも印象的なシーン~ヒロインが、あのナボコフの『ロリータ』(いわゆるロリコンという語の元になった作品)を250冊仕入れる大冒険をする~を思い出しました。

 

  番組内でチラッとアナイス・ニン肖像画が映りましたねぇ。女性初のポルノグラフィ作家として有名ですが😅ジョイスのエピソードといい、シルヴィア・ビーチという方はかなりリベラルなお方だったもよう😉(映画『ヘンリー&ジューン~私が愛した男と女』フィリップ・カウフマン監督…は、アナイス・ニンの日記をベースにした作品です。)

 

今夜はパリから一転、中国の先鋒書店❗こちらも楽しみ~~😍「世界の」素敵な本屋さんをめぐるわけですから、まさか2店だけじゃ終わらないですよね❓😅

 

これからもシリーズ楽しみにしています❗(笑)

ジャック・ロウデン&シアーシャ・ローナンのらぶらぶ日記💓😍💓

 ヲタクが今心から応援しているカップル、ジャクロくんとシアーシャ・ローナン❗今までJack Lowden Newsさんが二人の情報をTwitterに時々UPしてくれていたんだけど、もうひとつジャクロくんとシアーシャちゃんのらぶらぶぶりを専門に載せてるアカウント"Best of Saoirse and Jack"めっけ ~~🙆この動画も元はといえばそちらから…って感じですね。

 

  ジャクロくんはずっと後ろ姿で、イケメンなお顔が見えない~~🙍シアーシャちゃんのキレイな、彫刻みたいな横顔が時折見えるだけ(笑)この二人、欧米のカップルには珍しく奥ゆかしいというか、ばっちりツーショットの写真ってそんなにないんですよね。どちらか片方が後ろ姿だけだったり手のひらだけ写ってたり、あとは仲間たちとの集合写真(笑)いわゆる「匂わせ」ってやつなのかもしれないけど、ヲタク的には、堂々と公道でキスシーン見せられるより、こっちのほうがずっと好き😉

 

  この動画、ステラってシアーシャちゃんが飼ってる犬だよね❓たしか。ということは、ここはアイルランドの街角❓たいていシアーシャちゃんがジャクロくんの住んでるスコットランドに来るケースが多いけど、アイルランドでのツーショット珍しくない❓ジャクロくんのプロデュース映画"CORVIDAE"はアイルランドで撮影・編集してたから、その当時はアイルランドでのデート写真けっこうあったけど…って、いろいろ謎解きしていくのが楽しいの😊

この動画も👇ジャクロくんのツイッターにUPされたものなんだけど、ハンドルを握る手はシアーシャちゃんのものらしい😉ジャクロくん「グレンコー(スコットランドハイランドのロッホアーバーエリアにある)を眺める」ってシンプルなコメントなんだけど、しっかり💋と💄の絵文字が…。やーねージャクロくん、まんま匂わせぢゃん❗(笑)

これもジャクロくんのツイッターだけど、シアーシャちゃんすごーく遠景でしかも後ろ姿(笑)👇場所はスコットランドポルトベロだそう😊スコットランドはドッグフレンドリーな国で、バスに犬を連れて乗車することができると聞いたことがあります。

仲間と一緒のトレッキング写真だけど👇、シアーシャちゃんのジャクロくんを見つめる目に愛を感じるワ。

 

  実はヲタク、もう一組応援してるカップルがいたんですよね。推しのトム・ヒューズと、『女王ヴィクトリア~愛に生きる』で夫婦役を演じているジェナ・コールマン❤️つい最近、二人が4年にわたるパートナーシップと同居を解消したという残念なニュースが😢ジェナがハリウッドから声をかけられ、さらにキャリアアップしたいというのがきっかけらしい(ハリウッド志向なのは、元カレのリチャード・マッデンと似てるんだね…)トムくんはあくまでも英国をベースに活動したそうだし、俳優としての野心や方向性が違ってきてしまったんだろうか❓…しかしジェントルマンなトムくんは、それを理解し、善き友人関係を保つよう努力していると…。ジェナの新居への引っ越しも最後まで手伝ったとか…さすが、トム・ヒューズ、心までイケメンだわ❗

 

  演技の向き合いかたや、演劇を目指す若い人たちのサポート志向、スコットランドアイルランドというケルト文化のルーツなど、人生の価値観を同じくするジャクロくんとシアーシャちゃん。推しには勿論良い作品で良い演技を見せてほしいというのが一番の望みだけど、プライベートでもHappyでいてほしい。間違っても、自分自身を傷つけたりしてほしくない😢

 

  シアーシャちゃんを見つめる時のジャクロくんの幸せそうな笑顔を見ると、その幸せがいついつまでも続いてほしい…と、願わずにはいられないヲタクなのでした😊

 

 

映画で世界旅行⑥~『ポルトガル、夏の終わり』

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(From Pixabay)

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   チネチッタ川崎でイザベル・ユペール主演の『ポルトガル、夏の終わり』。コロナ禍で海外旅行へ行けなくても、映画館に行けば、世界中どこへでも行けますよ😉

 

  ちょうど去年の今頃は『シークレットスーパースター』で暑い暑いインド、そして『パリ、嘘つきな恋』で宵闇迫る夏のパリへ飛んでましたね(笑)一昨年は、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのティモシー・シャラメと一緒に北イタリアへ💓😍💓(⬅️『君の名前で僕を呼んで』は何度も映画館でリピしたから、かなり行きましたよ、夏の北イタリア=笑)そして今年の夏は、ポルトガルのシントラと言うわけ😊

 

  あのバイロン卿(18世紀、英国ロマン派の詩人。『ドン・ジュアン』『チャイルド・ハロルドの遍歴』。イケメンで女性遍歴がスゴくて、ドンファン(プレイボーイ)の語源になった人ですよね😅)が「この世のエデン」と呼んだという世界遺産の街、シントラ。

 

  映画のヒロインは、イザベル・ユペール演じる大女優のフランソワーズ(家族や親しい友人たちは、英語ふうにフランキーと呼んでいます)。フランキーは全身にガンが転移していて、おそらく年は越せないだろうと覚悟しています。彼女は、元夫、現在の夫、夫の娘夫婦、息子、そして長年の親友であるヘアメークアーティストのアイリーン(マリサ・トメイ…気さくで人の良い美人を演じさせたら、ピカ一です。最近ではスパイダーマンの叔母さん役で出てますね😊)をシントラに集め、愛する人たちに別れを告げようと目論みます。

 

  もうひとつ、彼女には密かな計画があって、ある理由から長年疎遠になっている息子のポール(なぜ彼女と息子の間に大きな溝ができてしまったのか、それは映画の中で明らかになります)と、たった一人の親友であるアイリーンを結びつけようというものでした。ところが肝心のアイリーンが、恋人の撮影監督ゲイリーを連れてきてしまったものだから、フランキーの計画は狂い始めて…。

 

  富も名声も美貌も欲しいままにし、周囲の人たちを自分に従わせるのが当然と思って生きてきたフランキー。ところが事態はどんどん彼女の思惑とは反対の方向に転がり始め、次第に彼女は、さまざまな心配事や不安も、彼女自身も、大きな力に委ねていこうとします。ポルトガルが敬虔なカトリックの国であると幾度も語られ、信仰の奇跡のメタファが繰り返されるのは、きっと大きな意味があるのでしょう。

 

  フランキーの孫の少女マヤが、ポルトガルの少年と海岸(ここがまた、天国みたいにキレイ😍)で遊ぶ場面。少年が「ここはリンゴの浜って呼ばれてるんだ。ほら、アダムとイブの…」と言いかけ、「くっだらない」ってマヤに一刀両断されて😅少年が照れくさそうに「だってここはカトリックの国だから…」って答えるシーンがあるんですが。最先端の文化を享受する大都会ロンドンからやってきたマヤはきっと、かつてのフランキーの姿の投影。そんな彼女が死期を悟って、癒しと救いを求めてシントラにやって来たわけですよね…。

 

  ラストシーン、全員が集合する山の頂。神さまは、愛する者たちを残して逝かなくてはならないフランキーに、小さな、小さな奇跡を見せてくれます。それを見るイザベル・ユペールの、安心と驚きと一抹の嫉妬がないまぜになった表情が見事❗

 

  山の頂からは、ユーラシア大陸最西端ロカ岬の向こう、広大な海を臨みますが、海に広がる光の帯が、落日と共にオレンジ色に変わっていくさまは荘厳の一言で、神の国があるとしたらかくや…と思わせます。

 

  シューベルトやストラウス等のクラシック音楽が全編を彩り、フランキーが夫と共にピアノを弾く場面は、あの『ピアニスト』(ミハイル・ハネケ監督)思い出しちゃいました😅シチュエーション全然違うんだけど…。この『ピアニスト』を初めとして、『愛、アムール』、『愛アマチュア』『八人の女』など、一筋縄ではいかない元祖こじらせ女子❓を演じたら右に出る者はいないユペールですが、今回も、常に人を繰ろうとする傲慢な大女優…と一言では説明しきれない何か(妻としてのけなげさや母親の愚かさ、滑稽さ、死期を悟った者の諦観…等々)が時折前触れもなく、ひょこっと顔を出すところがスゴい😮

 

  ただ美しいだけではない、シントラの荘厳で神聖な森や山々、透明な海、世界遺産の建造物、そして突然やって来て緑をいやます霧や雨…。映画を通じて、いながらにしてポルトガル旅行はいかがですか❓😊

 

 

カワイイおぢさん大集合❗~ドラマ『おじさんはカワイイものがお好き。』

 第1回めからツボ満載の『おじカワ』こと、『おじさんはカワイイものがお好き。』カワイイものがお好きなおじさんご本人がいちばんカワイイという悶絶設定😊私も含めて、夜中に見てるオタクたちの心をわしづかみしたんぢゃなかろうか。

 

  何しろ主役が眞島秀和さんってとこがねー、最高だよね。しかも役名が小地(おじ)さん、と来た。推しのパグ太郎を故あって寝室のクローゼットに閉じ込めなくちゃいけなくなってうっかり扉に挟んでしまい、「ご、ごめんよパグ太郎。痛かっただろう😭」と泣きそうになる小地さんを見て、こっちも泣きそうになるしくみ。

ニクイねぇ、読売テレビ❗(何様?笑)

 

  眞島さん主演の昨年の深夜ドラマ『サウナーマン~汗か涙かわからない』を動画配信で見て、密かに愛好していたヲタクとしては、眞島さんの、深夜のニッチなドラマ主演が続いて嬉しい限りでございます😊

 

  眞島さんと言えば、昨年12月の紀伊国屋ホール、岸井ゆきのちゃんと共演の『月の獣』(御大・栗山民也演出)、息遣いも聞こえそうな、かなーり前の席で拝見しましたよ、ナマ眞島を~❗トルコ人によるアルメニア人虐殺事件という重い、重いテーマを扱っていながら、そこかしこにそこはかとなくユーモアが漂う場面があったのは、ひとえに眞島さんの滲み出る人柄だったと思うなー😊たまたまゆきのちゃんとTSのある回だったんですが、誰よりも早く楽屋入りして発声練習してるのをゆきのちゃんにバラされて、若干慌ててる眞島さんが、今回の『おじカワ』、パグ太郎オタクをカミングアウトできずに右往左往する主人公の哀しくも可笑しい日常にカブるんですよねぇ…。

 

  パグ太郎のレアなカプセルトイをゲットしようとこっそり訪れた、さびれた駄菓子屋で出会った「中目黒のダンサーふう=笑」の謎の男性(今井翼くんがイカツカワイくて、イイ味出してます😊)。彼が眞島さん演じる小地さんに、これから多大なる影響を及ぼしそうで楽しみです。(第1回めの最後で、彼の正体は取引先の会社のデザイナーであることが判明🎵ワクワク)

あれ❓そー言えばなにげにこの二人、『麒麟がくる』つながりだ😊

 

愛の裏返し❓(…たぶん😅)で、ことあるごとに小地さんに突っかかってくる隣の課長役に桐山漣。『いいね!光源氏くん』の頭中将役で、突き抜けた感のある彼。今回ヒール役の顔芸も素晴らしく、さらに限界突破か❗❓

彼をおじさん扱いするのはちと可哀想な気もしますが…(笑)

 

  ネットでも話題になっている通り、「オタクに刺さるセリフ」けっこうありましたけど、個人的に第1回の名言はですね、冨田望生ちゃん演じる小地さんの部下(オタク女子)が、推しのウチワが変わったのを同僚に見咎められて「また推し変わったの❓」って言われた時のセリフ…

違うの、『推し変』じゃない、『推し増し』なの❗

 これは刺さりましたよね。そう、そうなの、オタクの愛の器は無芸大~~🙆(大笑)

 

『いいね!光源氏くん』があれよあれよと言う間に終わってしまい、続編の続報もかすりもしない淋しい昨今、渇いたヲタクの心を癒してくれるドラマはこれ❗

『おじさんはカワイイものがお好き。』

 

 

 

 

  

  

 

 

眠れぬ夜にはコレ❗イッキ見したいドラマ『ボディガード~守るべきもの』


毎日最高気温更新中の日本☀️😵💦夜も寝苦しい夜が続いております。

 

  お盆休みでもあり、どうせ寝られないなら、いっそのこと良質なサスペンスドラマをイッキ見する…てのはどうでしょう❓今日はそんな時に最適なサスペンスドラマ『ボディーガード~守るべきもの』をご紹介😊

 

  2018年8月からBBC Oneで放映されたこのドラマ、2008年以降の英国のドラマの中で最高の視聴率を叩き出したらしい😮うん、それに違わぬハラハラドキドキ、手に汗握るサスペンスの一級品です❗英国のミステリーあるいはサスペンスというと、暗い色調の画面で、登場人物も割りとリアルで等身大、ゆったりしたストーリー展開が特徴なんですけど、この作品は、どちらかと言えばハリウッドスタイルなテンポの速さ、シチュエーションの斬新さ、派手さがあるんですよね。でもその一方で、主人公バッド(リチャード・マッデン)の人格がアフガニスタンでのPTSDによってかなり変容している設定で、追い詰められた時、何をしでかすか彼自身もわからない。主人公がそんな闇を抱えているところが、英国サスペンスの『一筋縄ではいかない感』があり、そのさじ加減がサイコーなんです😍

 

  アフガニスタンで戦功を立てた帰還兵であり、スコットランドヤードの巡査部長のバッド(リチャード・マッデン)が主人公。もうのっけから、別居中の子供たちと久しぶりの外出先の列車内でイスラム教徒による自爆テロに遭遇する…というスリリングなオープニング❗テロを未然に防いだバッドは、超タカ派の女性内務大臣モンタギュー(キーリー・ホーズ…『嘆きの王冠~ホロウ・クラウン』の王妃役が記憶に新しいです😊)のボディーガードに抜擢されます。モンタギューはテロ対策のため、国民のプライバシーを一部侵害する法案を推進しており、常に暗殺の危機に晒されていました。モンタギューとの許されぬ恋(普通ならあり得ない展開なんだけど、あまりにもバッドが魅力的なんで…😅大臣のキモチ、わかっちゃう=笑)、そして政治的な巨大な陰謀の渦に巻き込まれて、次第に追い詰められていくバッドは…❗❓

 

  最後まで誰が味方なのか敵なのかわからない怖さ、ストーリーの途中に襲い来る思いもよらぬ悲劇、一瞬にして愛する者の命を奪うテロの恐ろしさ、悲惨さ…。6話全てにクライマックスが用意されており、息もつかせません。

 

  主演のリチャード・マッデンは、本作の演技でゴールデングローブ賞の主演男優賞を受賞しました(英国アカデミー賞じゃなくて、ゴールデングローブ賞ってとこが暗示的なんですよね)そう、『ゲーム・オブ・スローンズ』スターク家の長男、ロブ役でブレークした彼です😊深いトラウマに悩みながらもその心理的恐怖と戦う、ムキムキマッチョで魅力的な傷だらけのヒーロー、バッドを見事に演じ切った彼、この作品でハリウッドへの切符を手に入れ、次作はなんとマーベルのニューフェイズ『エターナルズ』の主役イカリスに大抜擢❗生活の拠点もアメリカに移したようですね😊彼の新たな飛躍が楽しみです。

 

  BBCのドラマって、始めからがっちり脚本が出来上がってるみたいで、たいてい5、6話で完結するので、夜通し見てもアメリカや韓国のドラマみたいに廃人になることはありません(笑)ヲタクはネトフリで見ましたが(現在も配信中)、ネトフリって1話終わると、自動的に次話が再生されちゃうんですよね😅うまいなー、ネトフリ(笑)

 

  9月にJ:Comのスーパー!ドラマTVで1話ずつ放映されるみたいだけど…。このドラマ、1話ずつ見るの、めっちゃツライよねぇ😅いっそのこと、全部終わりまで録画してからイッキ見するのをオススメします(笑)

 

 

やっぱりオム・ファタールだったトム・ヒューズ❤️~『ジョーンの秘密』

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 キノシネマみなとみらいで『ジョーンの秘密』。80才を越えたごくごく平凡な(…のように見えた)老婦人がある日突然、ソ連のスパイ(情報漏洩の反逆罪)を働いたというかどで逮捕された…という衝撃の実話を題材にした物語です。映画は、逮捕されたヒロインのジョーン・スタンリー(ジュディ・デンチ)が、その激動の半生を振り返る形で進んでいきますが、彼女が犯したとされる国家への背信行為、それは何を目的としたものだったのか❓本当にジョーンは英国を裏切ったのか❓だとしたら、それはなぜ…❓その経緯が、サスペンスタッチで解き明かされていきます。ジョーンがケンブリッジ大学物理学科の学生だった頃、ロシア人学生レオ・ガーリチ(トム・ヒューズ)から共産主義の活動に勧誘され、彼の思想に対するひたむきさとカリスマ性、巧みな弁論術に心酔し、それはやがて激しい恋愛感情に変わっていくのですが…。


 映画について語る前に、ケンブリッジ大学ソ連のスパイ活動の関連性について少々。「ケンブリッジ・ファイブ」と呼ばれた、第二次世界大戦中から戦後にかけて英国で暗躍したソ連のスパイ網について耳にしたことがおありでしょうか❓コードネーム等から確認できている人数は5名、自ら告白してソ連に亡命した者、国家の中枢にいながら秘密裏に活動した者いろいろですが、共通しているのが全員富裕層出身、名門のパブリックスクールからケンブリッジ大学に学んだ、前途有望な若者たちだった…ということです。映画でも、このケンブリッジ・ファイブをモデルにした人物が度々登場しています。BL映画の名作『アナザー・カントリー』、『裏切りのサーカス』、『イミテーション・ゲーム』などがそうですね。当時の英国の政治腐敗や階級制度に反発した彼らの眼には、共産主義は、公平と平等を約束してくれるパラダイスに思えたのかも。…そんな当時の英国社会の様相を頭に入れてこの映画を見ると、さらに興味深いかもしれません😊


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ジョーンは物理学、特に中性子学における学業の優秀さを買われ、戦時中に、とある国家機密プロジェクトのリーダー、マックス・デイヴィス教授(スティーブン・マックス・ムーア)の秘書として採用されます。ところがその国家的規模のプロジェクトとは、当時アメリカ、イギリス、ソビエト連邦など列強がしのぎを削っていた、原爆の開発計画でした…。ナチスと対抗し、さらには世界のパワーバランスを崩さない為には、英国はソ連と情報を共有すべきだ、「君が入手できる情報を流せ」とジョーン(ソフィー・クックソン)に迫るレオ。ジョーンは、そんな背信行為は出来ないとレオをはねつけます。そこには、レオの愛を信じきれない、恋する一人の女性としてのもどかしさ、辛さがあるのでした…。ところがそんな時、世界に先駆けて開発に成功した米国は、広島と長崎に原子爆弾を投下。その惨状を目の当たりにし、後悔の念に苛まれるジョーンが、最後に選んだ道は…❗❓

 

ドラマ『終わりなき世に生まれつく』(アガサ・クリスティ原作)の記事でも書きましたが、またもやトム・ヒューズ、謎めいた青い瞳と、何を考えているのか推し測れないアルカイックスマイルで相手の心をかき乱し、運命を狂わせていくオム・ファタールぶりを遺憾なく発揮しております😅ジョーンに対しても、決して「愛してる」とは言わない、彼女を抱き締める時は必ず「僕の可愛い同志~My little comrade…」と耳元で囁くレオ。恋する乙女に同志なんて言葉を使うなんて(怒)だけど、低く囁く声は物凄くセクシー(*´-`)っとに、悪い男だよ(笑)

 

最初はジョーンの明晰な頭脳と正義感を政治活動に利用しようと近づきながら、彼女の純粋さに次第に心を動かされ、時を同じくして、スターリンの独裁体制に疑念を抱き始めたレオの、強固な意志が少しずつ、砂のように崩れていく…。その微かな変化を哀しみと共に静かな佇まいに滲ませて、ああやっぱり得難い俳優さんだと、ヲタクはスクリーンに大写しになるトムくんの青く澄んだ瞳を惚れ惚れと眺めるのでした😊

 

本作品の監督、サー・トレバー・ナン、若干23才のベン・ウィショーを起用して、舞台でハムレットを演出したことがあるはずですが…。「このカリスマ性溢れるレオ役は君しかいない」と、トムくんを口説き落としたくらいだから、彼の俳優としての技量には惚れ込んでるはず。ナン監督、映画版ハムレット、ぜひトムくんでお願いします🙏(笑)  

 

  中年期も過ぎる頃になって、母親の思いもよらぬ真実を突き付けられた息子ニック(ベン・マイルズ)のショックは計り知れない😭弁護士である彼は、愛する母親に今まで裏切られていたのだと思い込み、自分の弁護を頼む母親に「弁護なんてできない❗母さんは祖国を裏切ったんだ」と激しい言葉を投げつけます。この場面は観ていてつらく、心が折れます😢

 

  しかし、その後に来る、記者団を前にしたジョーンのスピーチ(さすがのジュディ・デンチ❗)、そしてラストの爽やかなどんでん返し。ヲタクは心洗われるような涙を流しつつ、陳腐な表現かもしれないけれど、人類が世界の平和をいつか実現できるとしたら、それはやはり政治的駆け引きでもない、科学の力でもない、結局は人間の愛の力なのだ…という思いを強くしたのでした😊

 

  

『夢の本屋をめぐる冒険』(千葉雄大&門脇麦)~神田古本屋街の思い出

  街の本屋さんの店長(千葉雄大くん)と店員さん(門脇麦ちゃん)が、閉店の危機に瀕している自分たちの本屋の方向性について話し合い(ドラマ)、さらにはパリの「シェイクスピア&カンパニー」や中国の「先鋒書店」など、世界のステキな本屋さんを案内してくれる(紀行)「ドラマ+紀行」という新しい視点の「攻めてる」番組が放映されるとか❗いやー、楽しみだなぁ。お二人とも本がお好きだそうで😊若い方たちが「本が好き😍」って言ってるのを聞くと、わけもなく嬉しくなります😊そして、若い二人のツーショットを見て、昔むかしの思い出に浸るヲタク(笑)

 

  大学生の頃、大学には東京駅から中央線快速に乗って通っていて、授業が早く終る日は、必ずお茶の水駅で途中下車して、神保町の古本屋街に行くのが常でした。右手に明大を見ながら緩い坂道をブラブラ歩いていくと、交差点に突き当たり、もうその界隈は夢の宝庫。

 

  映画・演劇関連の書籍を専門に扱っている本屋さんも数件あって、古い映画のパンフレットもずいぶん集めたなぁ。今は映画館の上映が終わって一定期間経つとDVD化や動画配信されるけど、ヲタクの学生時代はそんな文明の利器はなかったので、リピしたい映画はパンフレットを眺めながらひたすら映画館でのリバイバル上映を待つ❗(笑)リバイバル上映でハマった映画はもはや古すぎてパンフレットを販売していない場合もあるので、そんな時はお宝探しよろしく神田に繰り出すというわけ。

 

  卒業論文は趣味と実益を兼ねて❓😅ジョン・ミリントン・シングというアイルランドの劇作家を選んだ為、新刊の資料は殆どなく、図書館と古本屋頼み。神田で貴重な資料を二束三文でゲットした時は嬉しかったなぁ。戦利品があった時は、書泉グランデ裏の喫茶店『ラドリオ』でまずは目を通すことに。(注・カフェぢゃなくて、ですね😅サテン、って発音してる人もいました。中島みゆきの『悪女』の世界ですね、ハイ。ユーミンはカフェで、中島みゆきはサテンなんだよね、イメージが)はじめて珈琲が飲めるようになったのが、ここ、ラドリオです。でも、クリームあまあまなウィンナコーヒー😅大学卒業してからは行ったことないけど、作家と編集者とおぼしき二人連れ(多分アノ人だと思う=笑)が顔付き合わせて話してたりして、独特の雰囲気がありましたね。

 

  大人気ドラマ『愛の不時着』、主人公の二人が読書家の設定で、それぞれ相手の本棚の本を並べ替えて、背表紙の題名を「サランヘヨ」にする場面が印象的でした。ヒロインのユン・セリのセリフに、たしか「蔵書を見ればその人の人となりがわかる」っていうのがありました。

 

  ヲタクの場合、以前は3畳のクローゼットが服じゃなくて膨大な数の本で埋まっていたのですが、知人のお嬢さんが古本屋さんを始めると聞いて、殆ど全て差し上げてしまいました😊…でも考えてみれば、発売当時発禁処分になったという澁澤龍彦翻訳『悪徳の栄え』(マルキ・ド・サド)とか『異端の肖像』、牧逸馬の『浴槽の花嫁』や切り裂きジャックの話、文豪の作とはいえ『眠れる美女』(川端康成)、『卍』(谷崎潤一郎)、『眼球譚』(ジョルジュ・バタイユ)とか混じってたからなー。私が死んだ後、最愛の孫から「ばーばって、どんな人だったの❗❓😮」って言われるのもツライ(笑)

 

(あー、あれだけは手元に置いときゃ良かった)って思う本もあるけど…。いやいや、全く本の趣味が違う家族の為には、早めに断捨離しといて良かった、うん(笑)

 

  

「カーライル~ニューヨークが恋したホテル」


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 先日、当ブログでご紹介しましたウッディ・アレン監督の『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』、巷で言われている通り、監督の「カーライル愛」がハンパなかった❗

 

  監督の分身とも言える、主人公のひねくれニューヨーカー、ギャッツビー(ティモシー・シャラメ)が、地方出身のガールフレンド、アシュレー(エル・ファニング)をニューヨークに案内しようとする時、まず泊まろうとしたのが、ザ・カーライル。

 

  諸事情あってそれは実現しないのですが、あきらめきれないギャッツビーはせめて一緒にお酒だけでも…と、彼女とカフェ・カーライルで待ち合わせします😊(ヲタク的には、その時のシャラメのピアノの弾き語りにも骨抜きにされましたけれども😅) いまだにカフェ・カーライルで週に1度クラリネットの演奏をするという監督の面目躍如といったところでしょう。

 

  『レイニーデイ~』を観て、やおら観たくなったのが、公開当時気になりつつも、映画館で見逃していたこの映画。今回はU-NEXTで鑑賞。カーライルと言えば、世界中のセレブリティに愛され、彼らが「まるで自分の家に帰ってきたみたい」と口を揃えるホテル。その秘密はどこにあるのでしょう❓

 

  ヲタク的には、ニューヨークにありながら、じつはニューヨーカーたちが心の奥底で憧れている、ヨーロッパ的な古き良き伝統が息づいているホテルだからではないかと思うのです。よりよいサラリー、待遇を求めて転職しキャリアアップ、年功序列は嫌うのが、アメリカンなワーキングスタイルだというイメージがあったのですが、カーライルのスタッフたちのインタビューを観ると、そんなイメージとは全く逆行しています。

 

  7年勤続のコンシェルジュが、「私なんてヒヨッコで…」と呟くのもそのはず、勤続30年以上…なんてスタッフはざらで、皆「スタッフは家族と同じ。引退するまでここで働き続けたい」と口を揃えます。いつも同じ場所に同じスタッフがいる…という安心感が、セレブたちの信頼を勝ちとり、お客様の個人情報は口が裂けても漏らさないというスタッフの鉄壁の守りを生み出し、「秘密の宮殿」という異名をとるまでになったのでしょう😊


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(From Pixabay)

  これでもか…というくらい、数々のセレブリティや当のホテルのスタッフたちがカーライル愛を語ってくれますが、中でも、ダイアナ妃とマイケル・ジャクソンスティーブ・ジョブズが同じエレベーターに乗り合わせた時(す、スゴすぎる3ショット…😮)気まずい沈黙を破ってダイアナ妃はどんな行動に出たか…とか、ホテルの地下には秘密の通路があって、マリリン・モンローはそれを通って夜な夜なケネディ大統領の泊まる部屋に通ったという都市伝説の真偽など、「今だから話せる😅」オドロキのエピソードが満載です。

 

  ヲタク的には、スタッフたちの人気ナンバーワンが、意外や意外あのコワモテ、ジャック・ニコルソンだとか、レニー・クラヴィッツのご両親がボビー・ショート(カフェ・カーライルで弾き語りをしていた。"Manhattan "、"Autumn in NewYork"、" I happen to like NewYork"など、ニューヨークにゆかりのある曲を集めたアルバムが有名。『カーライルのキング』との異名も😊)と懇意にしていて、レニーのルーツにはボビーのジャズがあるとか、ウェス・アンダーソン監督がベーメルマンス・バーに触発されてあの「グランド・ブタペストホテル」を撮った…という話がひじょうにツボでありました😊

(映画とはカンケイない話なんですけど、レニー・クラヴィッツリサ・ボネットと結婚してもうけた娘が女優で活躍しているゾーイ・クラヴィッツ。レニーとリサは離婚、リサの超年下カレシでその後の再婚相手が、今『ゲースロ』や『アクアマン』でブレーク中のジェイソン・モモアです😅)

 

  バイセクシャルをカミングアウトしている俳優アラン・カミングが、アルバム『Sings Sappy Songs』のジャケットで(彼はシンガーとしても有名)、カーライルのエントランスの真ん前で大胆なヌード姿になった事件❓も、本人の口から語られます😅強烈な写真ですが、こういうことも笑って許しちゃう懐の深さも、カーライルならでは…なんでしょうね、きっと(笑)

 

 

 そしてそして、一泊なんと2万ドル❗❗と言われるエンパイア・スィートからのパノラミック・ビューが一瞬映ります。(ジョージ・クルーニーは奥さまとかなり長期間滞在したとか。さすがジョージ=笑)

 

  一生かかっても、どう引っくり返っても(笑)見ることのできない驚きの光景も、映画だからこそ、ジョージ・クルーニーといっしょに追体験できる😊なんてステキなことでしょう🎵

 

ホテル・カーライル万才❗

映画万才❗\(^o^)/

映画に見る名演説シーン ベスト10~PART 1

推しのトム・ヒューズが、8月7日(金)公開の新作『ジョーンの秘密』(平凡なイギリス人の老女が、半世紀前のスパイ容疑で逮捕されるという衝撃の実話)でカリスマ的魅力を持つロシア人留学生レオに紛し、ケンブリッジの学生を前に長演説をぶち、彼らを洗脳していくシーンがあると知ったヲタク。(この役はキミにしかできない)と、トレバー・ナン監督に口説き落とされたそうで、演説シーンはなんと、14テイクに及んだそう😮今日はそんなトムくんにちなんで、『映画に見る名演説シーン』について呟いてみました😊

 

第10位『ビリーブ  未来への大逆転』

  女性初の最高裁判事ルース・ギンズバーグの実話に基づく物語。ルース(フェリシティ・ジョーンズ)は、結婚・出産を経てハーバード大学法科大学院に入学しますが、女性はわずか9名。授業中、一生懸命手を挙げても、男子学生優先で発言の機会さえ与えられません。苦闘の末に、掴み取った弁護士資格。しかし、彼女が最初に担当したのは、敗訴100%と言われた性差別の裁判でした。法廷弁論で彼女は、「ハーバードの法科大学院には当時女性用トイレがありませんでした…。」と切り出します。女性であるがゆえに、ユダヤ人であるがゆえに、誰よりも優秀なのにそれに見合う職種や地位を否定され続けた彼女。それでもなお、希望を失わないルースの弁論は、爽やかな感動を呼びます。また、生涯にわたり彼女のキャリアを支え続けた夫(アーミー・ハマー)との夫婦愛も感涙モノ😭


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第9位『嘆きの王冠  ホロウ・クラウン~ヘンリー5世

 7月31日(金)からシネリーブル池袋で順次公開される『嘆きの王冠ホロウ・クラウン』シリーズ(シェイクスピア原作)。その中から、 ヘンリー5世の名スピーチを。前作『ヘンリー4世』では、悪友フォルスタッフたちとロンドンの歓楽街で放蕩に明け暮れていたハル王子(トム・ヒドルストン)。父の死によって王位を継いでからの、冷徹で統率力に溢れた王者への変身は、それはもう見事なものでした。内憂外患、生涯の殆どを戦いに明け暮れたヘンリー5世。大国フランスとのアジャンクールの戦い。数の上では圧倒的不利、負け戦を予想して怯み、絶望するイギリス人兵士たちを一人一人王自ら励まして回り、側近の諸侯に対しては、あの有名な演説をします。

今一度 突破口を突撃せよ 諸君 今一度
さもなくば城壁をイギリス人の死体で覆い尽くしてしまえ
平和時には礼儀正しさと謙遜さが
紳士のたしなみともなろうが
ひとたび戦いの嵐が我らの耳に吹きすさぶや
猛虎のように振舞うがよい

英国人というとジェントルマン、というイメージですが、いつもの紳士然とした穏やかさ、物柔らかさをかなぐり捨てたトムヒの迫力の演説❗一見の価値アリ…ですよ😉

 

第8位『嘆きの王冠 ホロウ・クラウン~リチャード2世』

 続いてやはり『嘆きの王冠』から、『リチャード2世』。何と言ってもシェイクスピアは名演説の宝庫です😊このリチャード2世のスピーチ、ヘンリー5世のように、人々を勇気づけ、鼓舞するような内容ではなく、むしろ真逆。王位を保ち続けることに疲れ、反乱を起こしたヘンリー・ボリングブルック(のちのヘンリー4世)に自ら王位を譲っておきながら、いざ王冠を渡す儀式となると、急に態度を変え、自己憐憫と家臣への恨み辛み、ボリングブルックへの呪いの言葉を長々と吐き続けるリチャード2世(ベン・ウィショー)。この台詞がまたね、美しいんですよ、ひじょうに。

王冠は君のものだ

だが悲しみはまだ私のものだ

降りよう、降りよう、太陽神フェイトンのように

卑しい暴れ馬どもを御しきれずに

これ、全ての台詞が韻を踏んだ詩の形式で書かれていて、内容の俗性との対比が何とも強烈な皮肉になっている…シェイクスピアってやっぱりスゴイ❗リチャード2世を演じたベン・ウィショー(007シリーズのQ役、只今公開中『リトルジョー』、Netflix『ロンドン・スパイ』)、ヲタクは密かに『ナヨ系イケメン』って呼んでるんですが😅この役はナヨすぎて、もはや…イケメンの範疇越えてます。鼻水と涙でウィショーくんの顔、ぐちゃぐちゃだし。しかし、王も所詮は人の子。一度は手離した筈の王冠を握りしめ、駄々っ子のように泣くリチャード2世の愚かさ、憐れさを演じ切ったウィショーくん、英国アカデミー賞主演男優賞も、むべなるかな😊

 

第7位『ドリーム』

 全ての女性に見てもらいたい映画『ドリーム』❗1960年代、アメリカ初の有人宇宙船マーキュリー・アトラスの打ち上げに尽力した、NASAの3人の黒人女性の物語。市内のあらゆる場所で白人と黒人の分離政策がとられていた1960年代のヴァージニア州。3人は、差別をものともせず、持ち前の明るさとファイティングスピリッツで、次第に周囲の信頼を勝ち取っていきます。

 その中の1人メアリー(ジャネール・モネイ)は、NASAの技術者としてステップアップを目指し、技術学校の講座を受講しようとしますが、当時は白人にしか門戸が開かれていませんでした。夫をはじめ周囲に反対されても諦めきれないメアリーは、単身裁判所に乗り込んでいって判事に直談判😅「肌の色は変えられません。だから私が前例を作るしかないんです。判事もいかがです?前例を作った判事として100年後に名を残されては?」と理詰めの弁論で迫るメアリー。見ながらヲタクは、(さすがNASAの技術者😮)と、感心したものです(笑)

彼女たちの苦労がお涙頂戴にならず、コメディタッチで描かれているのがかえって爽やかでしたね😊


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第6位 『我が闘争~若き日のアドルフ・ヒットラー

ヲタクが密かに『ドイツのカメレオン俳優』と呼んでいるトム・シリング。ウィーンの内気な画学生…だった筈のアドルフ・ヒットラーが、いかにして史上最悪のデマゴーグに変貌していったか、鬼気迫る演技を披露。ストーリー展開としては、ヒットラーの滑稽さを揶揄するシーンも満載で、恐怖と笑いのミックスしたようなシュールな作品になってます。しかし当時彼が住んでいた芸術家たちが集まる安下宿で、肉屋の手伝いの女の子1人を前に演説をぶつシーン。自らの話術に陶酔して次第に偏執狂的になっていくさまがただただ恐ろしく、トム・シリング、カメレオン俳優の面目躍如です。


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  5位~1位はまた後日、お楽しみに~😊

 

 

 

韓国エンタメおそるべし、Netflixおそるべし~『愛の不時着』

 アンニョンハセヨ~👋😃最近ずっと、『愛の不時着』のお陰で寝不足だったヲタクです(笑)ハラハラドキドキ、ストーリー展開が巧みで眼が離せない韓国ドラマ、ヲタクには少々トラウマがありまして。その昔『シークレットガーデン』っていうドラマにハマって(あ、そういえばこの時も主演はヒョンビンさんだった。今気づいた)、翌日大事な仕事が入ってるって言うのに、貯めてた録画を夜通し見ちゃったんですね。…で案の定、仕事でミスっちゃいまして。今振り返ってみれば、自分の実力不足を寝不足のせいにしていただけかも…なんですが😅まあともかく、それ以来韓国ドラマはさりげなく避けるようになっちゃいました。ハマったら最後日常生活に支障をきたすと思って(笑)ところが今回はさすがに第4期韓流ブームなんて言われてるし、巷でも大騒ぎだし、「サンデーモーニング」の浜田敬子さんや、アノ橋下徹さんもハマったというし…で、『愛の不時着』、ついに禁を破って見ました❗見終わって…

 

いやもう、この脚本書いた人、天才すぎる❗

 

  あらすじはあちらこちらで記事になっているから省きますが、もうね、南北の政治から格差による社会の分断、財閥問題、秘密のベールに包まれた北朝鮮の人びとの暮らし、親子の儒教的密着、女性の自立…等々、私たちが関心を持っている全ての要素を内包しつつ、コメディあり、人情話あり、アクションあり、サスペンスあり、ロマンスあり…の、豪華絢爛一大エンターテイメントになってるんです。

 

  韓国財閥の令嬢であり、有能なCEOでもあるユン・セリ(ソン・イェジン)が、不慮のパラグライダー事故で、なんと非武装地帯を越境して北朝鮮に不時着したところから、この奇想天外かつ感動的なストーリーが展開します。ヲタクみたいに超凡人でも、セリが北朝鮮軍のリ・ジョンヒョク中隊長(ヒョンビン)に発見され、彼の家に匿われることになったあたりから、(この二人の間にはきっと、許されないロマンスが生まれるのよね?リ中隊長はあの手この手でユン・セリを南に返そうとしてるけど、韓国ドラマのことだから、紆余曲折あって、肝心なところでジャマが入って、そう上手くはいかないわよね…)なーんてところまではなんとか想像できる😅

ところがところが、ちっちっち(・ε・` )

ドラマの中盤でなんとセリは無事に韓国へ帰国できちゃいます😅

このドラマが凄いのは、それからが真のクライマックスだということ。着地点が、「韓国に戻って、人も羨むようなお金持ちの生活に戻ってめでたし、めでたし」とか、「北朝鮮に残って愛を貫く」とか、どっちにもならなかったのがね。全く想定外のストーリー展開、思わぬどんでん返し❗うーーん、ヤられた(笑)

 

  このドラマ、「北朝鮮をバカにしてる」って北朝鮮の上層部は激オコだったらしいけど、どーして?(-ω- ?)財閥の冷たい親族関係の中で、人を信じられなかったセリが、本来彼女の持つ人間性を取り戻していくのは、北朝鮮のリさんの無垢な優しさ、純粋さであり、弟のようにカワイイ中隊員たち、そして村の長屋の、お節介であったかいおかみさんたちのお陰だった…っていう設定だよ?これ以上のリスペクトって、あります❓物質文明の申し子セリが、貧しいけれど人間味溢れる人たちに癒されていく過程は、まるで落語の人情話、まるで山田洋次監督作品の味わいで、私たち日本人にも馴染み深い😊

 

  ちょっとネタバレになっちゃいますが、二人はセリの北朝鮮不時着以前に、実はスイスでそうとは知らずに運命の出逢いを果たしていた…という設定。この伏線が、あっと驚くラストに繋がっていくのですが、二人が選択した愛の結末が、巷では「ハッピーエンドなのか?はたまた切ないアンハッピーエンドなのか?」で議論を呼んでるらしいですね。いやー、個人的には最高のハッピーエンド、究極の愛の理想形だと思うけど、これはそれぞれの立場や恋愛観によって評価が分かれるところでしょうね😅

 

ハラハラドキドキ、ストーリー展開が気になる面もあるけれどそれ以上に、主役二人の感情表現の巧みさ(特に、ソン・イェジンの表情の豊かさは国宝級😊)や、一つ一つのセリフの刺さり具合、膨大な数の人物が登場するのに端役の一人一人に至るまでキャラが素晴らしく立ってること…等々で、イッキ見するよりむしろ、1話1話を大事に見たい、愛すべき作品になっています。そしてヲタクは、この作品、アタマの中の「個人的リピリスト」にしっかり保存しました(笑)

 

 超スピードで進化し続ける、今やハリウッドを凌ぐ勢いの韓国エンタメ界、そしてそして、このデリケートな側面を持つドラマの製作を実現したNetflix(Netflixだからこそ、実現できたと思う😌)、おそるべし❗

 

 

『刑事モース オックスフォード事件簿』第6シーズン~衝撃の結末


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(モースが活躍するオックスフォードの街…From Pixabay)

 WOWOWプライムで、『刑事モース』第6シーズン最終2話(第26・27話)が、長い空白を経て、ついに、ついに放映されましたぁぁぁ~~😂😂(本国イギリスでは昨年放映)同シーズン、25話の放映から…な、長かった…(泣)

 

  特にこの第6シリーズは、薬物の不法取引の問題が前シリーズから未解決のまま引き継がれているわ、どうも警察内部に街のギャングと通じて疑惑の人物がいそうだわで、ヲタクの心はシリーズ開始直後からモヤモヤ(笑)ひじょうに波乱含みのシリーズだったワケです。おまけに、愛すべき職場カウリー署が閉鎖され、モースは理解のない上司と同僚だらけのキャッスルゲート署に配属されるという非常事態😢捜査でいつもバディを組んできた、上司のサーズデイ警部補(ロジャー・アラム)も家庭で奥さんと上手くいかなくなって、仕事上でも岐路に立たされちゃうし😭モースとサーズデイ、鉄壁の信頼関係にも亀裂が入り始め…。しかもその続きはいつ放映さるか、皆目わからないという…。

 

こんな状態にずっと置かれるなんて、まるで『ヘビの生殺し』っつーもんじゃありませんか、ダンナ(笑)

 

  …でもいいわ、シリーズを見終わってみれば、ジグゾーパズルはすっかりあるべき所に納まって、今までのモヤモヤはどこへやら、スッキリ爽やかな気分だから❗(結末はかなり衝撃的だったけど😮)

それにしても、長かった…(⬅️シツコイ😅)

 

  しっかしモースってなんでこう女運が悪いんだろう(笑)どういうわけか、ワケありな女性にばかり惹かれちゃうんだよね。アメリカの大ヒット刑事ドラマ『コールドケース』のスコッティ・ヴァレンズ(ダニー・ピノ)と似てるなぁ、そういうとこ。事件の捜査では二人とも切れ者の知性派、クールにキメてるのに、薄幸な女性につい手を差しのべて抜き差しならなくなるっていう…。まあでも、そういう、ふとした瞬間に垣間見せる優しさ、弱さ、人間味溢れるところがモースくんの魅力😍

 

そしてそして、モースが最初に配属されたカウリー署のトップだったブライト警視正(第6シリーズでは、種々事情があって、交通課に転属させられてしまいますが、この事実が最後のオチで効いてきます)❗この方ねぇ、普段は寡黙で昼行灯タイプなんだけど、いざという時に見せる決断力と部下を思うアツい心意気にグッときます😊警視正役にはゲースロで謎の科学者クァイバーンを演じていたアントン・レッサー。『ホロウクラウン~嘆きの王冠』トムヒ演じるヘンリー5世の側近役でも出てましたね😊

イギリスで『上司にしたい俳優ベスト10』があったら、アントンさんに絶対1票を投じるワ(笑)

 

  モースが取り組む事件そのものは1話完結なので、どのシーズンから見ても大丈夫…とは言え、モース自身もシリーズを追うごとに成長していくし(今シーズンで、突然お髭を生やしたのにはちょっとビックリしたけど😅)、彼を巡る人間関係にも変化があり、サブストーリーもかなり重要な部分を占めているので、最初から順を追って見ていったほうが、より楽しめるかも…です😉

  

 

 

 

  

蜷川幸雄演出『ジュリアス・シーザー』衛星劇場放映

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(From Pixabay)

 故・蜷川幸雄演出による『ジュリアス・シーザー』(2014年 さいたま彩の国劇場)、衛星劇場で放映決定❗

 

  これ、ヲタクが劇場で最後に見た蜷川作品。2014年と言えばもう、大分お体が弱っていた頃だと思いますが😢、それを補って余りある阿部寛(ブルータス)、藤原竜也(アントニウス)、吉田鋼太郎(キャシアス)、横田栄司(カエサル)…等々、蜷川組の面々の熱量が舞台の隅々にまで満ち溢れていた舞台だった。

 

  吉田鋼太郎横田栄司のコンビはもう、蜷川さんの絶対的信頼を背負って、安定の演技。この二人が、蜷川さんの信頼を裏切ったことは、ヲタクが覚えている限り、1度だってないはずです😊

 

  冷徹な弁舌の天才、アントニウス役の藤原竜也。この方が本来持つ生来の人の良さと生真面目さはアントニウス役とは真逆なものだけど、頑張ってた❗本当に。藤原竜也と言えば、蜷川さんとのインタビューで、思い出のハムレットの台本(かなりボロボロになってた😅)を、上演当時の気持ちを忘れない為にいつも持ち歩いてる…っていうエピソードが心に残ってる。さいたま彩の国『ジュリアス・シーザー』の舞台から早や6年、演技も人生も様々な体験を経て、さらに深みを増すであろう藤原竜也アントニウスを、今1度見てみたい😍

 

  そしてそして、主役のブルータスに阿部寛❗映画『テルマエ・ロマエ』でも証明済みですが、何しろ舞台に立ってるだけでローマ人そのものの彼(笑)滑舌がどーとか、つまんないこと言う人がいるけど、そんな小手先の技術なんてやすやすと超えちゃう、役者としてのスケールがあるんだよなぁ…。滲み出る人間性…というか。海外でいえば、ゲーリー・クーパーとか、ジェームズ・スチュワートみたいな。ローマを、カエサルを誰よりも愛する高潔な人格者でありながら、卑劣なキャシアス(吉田鋼太郎)の謀略に翻弄され、ついにはカエサルを手にかけるブルータスの悲劇に、ぴったりとハマってた。

 

  蜷川さんってサービス精神旺盛だから、後ろの扉から出演者がわーっと大挙して出てきて、舞台に駆け上がる…っていう演出、けっこうしてくれるんだけど、この時ね、ヲタクのすぐ横(通路から2番目の席だった)を藤原竜也が風のように駆け抜けたんです。危うく叫び声出すとこだったわ(笑)

 

  翻訳は、英文学者の松岡和子さん。今まではなんだか取っ付きにくくて遠い存在だったシェイクスピア、松岡訳でその面白さ、エンターテイメント性に開眼した人も多いはず。そして、松岡訳を採用した蜷川さんの慧眼、おそるべし。

 

  舞台は常にワクワクする面白いものでなくてはいけないと、シェイクスピア作品を深い人生哲学を内包した壮大なエンターテイメントに仕立て上げた不世出の演出家、蜷川幸雄。彼の願いに見事に答えた役者たちの、心地良い演技のアンサンブル、この機会にぜひ❗

 

 


阿部寛、藤原竜也出演 彩の国シェイクスピア・シリーズ『ジュリアス・シーザー』のテレビ放送が決定 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス

 

MX4Dで『ダークナイト』(クリストファー・ノーラン監督)を体感する

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TOHOシネマズMX4Dでバットマンダークナイト三部作(いずれも、監督は巨匠クリストファー・ノーラン)のうちの2番目の作品にあたる『ダークナイト』鑑賞。そもそもMX4Dとは何ぞや❓Wikiの説明を引用してみますと…

 

MX4D(エムエックスフォーディー)は、アメリカ合衆国のMediaMation社によって開発された4D映画システムであり、座席の動き、臭い、水などで映画の演出を行う。座席が映画の内容に合わせて様々な方向に傾斜したり、エアーブラストが用いられたり、触覚を感じさせる演出が行われたりと様々な技術が使用されている。主にTOHOシネマズの一部の劇場のスクリーンで導入されている。

…だそうです😊

 

これ、マーベルの『マイティ・ソー バトルロイヤル』の時に初体験したんだけど、座席が動いてずり落ちそうになるわ、水は飛ぶわ空気はかかるわ(まるで眼圧検査😅)でそっちに気がとられてストーリーにいまいち入り込めず😅これじゃぁ本末転倒だろう…ということで、あれ以来ご無沙汰でしたが、今回は飽きるほどリピしてる『ダークナイト』、しかもクリストファー・ノーラン監督自身が、『ダークナイトトリロジーIMAXや4Dで見てもらうことを目的として作った』みたいなことをどこかで発言していた…なんて聞きかじったものだから、おー、クリスそうだったのね(⬅何様❓😅)、早く言ってよ…てなわけで、即座に前言撤回(笑)そして結論…

 

監督の言う通り、『ダークナイト』はMX4Dでこそ見る映画です❗

(我ながら変わり身が早いね=笑)

 

 冒頭、悪の権化ジョーカーと銀行でマシンガンを撃ちまくる、バットマンと一緒に香港のスカイスクレイパーの上からダイブする、ビルを大爆破、バットポッドゴッサムシティを縦横無尽にカーチェイス…等々、臨場感ハンパない😮

 

  …それにしても、アメコミの典型的ヒーローだったバットマン(ヲタク小学生の頃、『バットマ~ン、チャラチャラチャラチャラ~🎵』っていうTVドラマ夢中で見てましたからね。ロビン少年と一緒に悪者バカスカやっつけるヤツ)を、その名もダークナイト(闇の騎士)として造型し直したノーラン監督の素晴らしさよ。正義を追い求めるあまりに時に周囲が見えなくなり、本作では、お金と権力にモノを言わせてゴッサムシティの住民全員の携帯電波を傍受する…などという暴挙に出てしまう。ヒロイズムにチラチラと見え隠れする、バットマンの狂気。この二律背反の怖さを表現できるのも、クリスチャン・ベールの卓越した演技力あればこそ。

 

  ヒーローがこれだけスゴイと、相対するヴィランも同じ位パッショネートで、圧倒的な悪の魅力に満ち溢れていなければ、映画として成立しない。しかし、この映画のジョーカー役、ヒース・レジャーの、まるで何かに取り憑かれたかのごとき神演技は、時に当代一二を争う演技派クリスチャン・ベールをも凌駕する勢い。

 

  この映画の、ノーラン監督によるジョーカーの描き方がまたね、見事なんです。彼の目的は、お金でもない、地位でも名声でもない。人間が死の淵に立たされた時、「彼のちっぽけな良心や正義など、微塵になって吹き飛ぶはず」と信じて疑わない究極の悪の哲学者ジョーカーは、あらゆる手を使って、人びとの正義の仮面を引き剥がし、悪の道に引きずり込もうとします。命懸けで手に入れた札束の山に火を放ち、高笑いするヒース・レジャーの、ゾッとするほど鬼気迫る演技。この映画の撮影直後に急逝した彼は、もう既に、迫りくる死神の足音に気づいていたかのよう😢

 

  これがひと昔前の作品だったらきっと、ジョーカーはゲイリー・オールドマンの役だったでしょうね。伝説のパンクロッカー、シド・ビシャス役で彗星のように現れて以来、人間の抱える闇~精神のダークサイドを演じ続けた彼。私生活でもさまざまな苦難を乗り越えて(スキャンダルも多かったよね😅)、今ではどこか枯れた、達観した境地に至ったかに見えるゲイリーは、『ダークナイト三部作』で、ヒーローにはなれないけれど、平凡な一市民として、ひたすら正義を貫くゴードン警部を演じています。

 

  薬物の過剰摂取で、若くして逝ったヒース・レジャー。あのままキャリアを積み重ねていけば、第2のゲイリー・オールドマンに、いや彼を超える存在になれたかもしれないのに…。日本でも、三浦春馬さんの悲しいニュースが報道されたばかりですが、将来を嘱望された煌びやかな若い才能が突然消えてしまうことほど悲しいことはありません😢

 

  どうか、生き急がないで。急いで結論を出さないで。とにかく命さえあれば、(いろいろあったけど、生きてるって悪いことじゃないな)って思う瞬間が必ず、ある。

 

  映画館からの帰りみち、ぼんやりとそんなことを思うヲタクなのでした。