オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・コンサート鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログです。

シャーロック・ホームズに妹が❗❓~Netflix新着『エノーラ・ホームズの事件簿』

f:id:rie4771:20200924141045j:image

  アノ名探偵シャーロック・ホームズに妹がいた❗❓…これはもう、自称シャーロッキアンのはしくれ、ヲタクに見ない選択肢はない(笑)当初映画館で上映予定だったものがコロナ禍の為に断念、Netflixが権利を買い取って昨日9月23日から配信開始になったという、曰く付きの作品。確かにゴージャスなキャスト、ダイナミックな映像、重厚なセット…映画館の大スクリーンで見たかったなぁ…コロナめ~(笑)まっでも、この際ゼイタクは言いますまい😅お蔵入りにならず早めに陽の目が見れて良かった❗Netflixさん、ありがとう🙏ミステリーの謎解きや派手なアクションに一人の少女の成長物語が絡む爽快なエンターテイメント、超おススメ😉少年少女にも見てもらいたいな🎵

 

 時は英国ヴィクトリア朝時代。 エノーラ(ミリー・ボビー・ブラウン)は16才。ロンドン郊外の古いが広大な屋敷で、母ユードリア(ヘレナ・ボナム・カーター)と二人暮らし。女性は富裕な夫と暮らすのが一番の幸せ、その為には礼儀作法や刺繍を学ぶ寄宿学校に入学して…という当時の常識に反して、ユードリアはエノーラに文学や科学、スポーツ、護身術を教え込みました。二人で幸せな暮らしを享受していたはずなのに、母はある朝突然エノーラを屋敷に残し、まるで暗号のような謎の手紙を残して失踪してしまいます。知らせを受けた屋敷に駆けつけた兄二人、ご存じマイクロフト(サム・クラフリン)とシャーロック(ヘンリー・カヴィル)。保守主義のカタマりのようなコンサバ・マイクロフトに、良家の子女が集まる寄宿学校に無理やり入れられそうになったエノーラは屋敷から脱走。その途中で、殺し屋に命を狙われているテュークスベリー侯爵(ルイス・パートリッジ)を助けた事から、エノーラは母探しもそっちのけ、危険な陰謀事件の渦に巻き込まれて…。

 

  エノーラ役のミリー・ボビー・ブラウン、ヲタクはお初ですが、若い頃のナタリー・ポートマンを思い起こさせる賢そうな、くるくる動く鳶色の瞳、豊かな表情、大女優の素質十分🎵また、若き侯爵役のルイス・パートリッジ、ちょっとティモシー・シャラメに似た雰囲気で、新たな「イケメン、発見❗」って感じ(笑)これから人気出そう。魅力的な若い二人がストーリーを盛り上げます。そしてエノーラの母親役は英国の名女優であり、かつてティム・バートン監督のパートナー&ミューズだったヘレナ・ボナム・カーター(『英国王のスピーチ』の王妃、『レ・ミゼラブル』の悪女役、『アリス・イン・ワンダーランド』のスペードの女王など)、円熟の演技がサスガです。DC映画のスーパーマン役で注目され、現在は『ウィッチャー』で気を吐くヘンリー・カヴィルシャーロック・ホームズ。映画を見る前は(ん❓彼がシャーロック❓シャーロックってあんなムキムキマッチョだったっけ❓ちょっとイメージ違うかな…)と思っていたんですが、今回は完全なる脇役で受けの演技に徹しているので、彼の誠実で寡黙な感じがぴったりだった😊これがエッジーなベネ様だったりしたら、主演の若い二人より目立っちゃうかも😅それはマズイ(笑)

 

  一体母はなぜ失踪したのか❓

なぜ侯爵は命を狙われるのか❓

当時の英国の社会情勢をあぶり出しつつストーリーは展開し、最後に2つが交差する結末も見事❗

 

  ホームズのオリジナルストーリー(たぶん『美しき自転車乗り』)がちらっと出てきたり、アナグラムが謎解きのポイントだったり…ちょっとした小ネタも楽しいです🎵

(ちなみにヒロインの名前EnolaはAloneのアナグラム。母が失踪した当時、エノーラは「ひとりぼっち」だと解釈していましたが、母の願いはじつは…😊)

 

  エノーラの溌剌としたヒロインぶりにすっかり魅了されてしまったヲタク😊続編作ってくれないかな~~😍ここで叫んでもどうしようもないけど、一応言っておきます(笑)

 

  

 

  

 

マ・ドンソク主演の映画『悪人伝』

f:id:rie4771:20200918075750j:image

  黄金町ミニシアター「ジャック&べティ」にて、マ・ドンソク主演の韓国映画『悪人伝』。

 

 いくらコワーイ顔してても、尋常でなく筋骨隆々でも、たまに素手で相手の頭カチ割っちゃうくらい凶暴性を発揮しても、時折見せる微笑みは少年のよう、お年寄りや子どもには限りなく優しくて、いざとなったらナイトよろしく守ってくれる…そんな男性は女子の永遠の憧れ…

って、ち、違う❓😅

 

  そんなマ・ドンソク兄貴(彼を見ていると、どうしてもこう呼びたくなる。年下だけど=汗)にヲタクが初めて出会ったのは、映画『犯罪都市』(2017)。韓国の2大マフィアが縄張り争いで抗争を繰り広げている街の警官がドンソク兄貴。やっとこさ対立する2つの組のボス同士を休戦状態に持っていったと思ったら、街に狂犬みたいな中国マフィア(ユン・ゲサン)が乗り込んできて…。

 

  最初に登場した時、アノ顔だから(笑)てっきりヲタク、刑事役ぢゃなくてマフィアの組長なのかと勘違いした。でも、犯人とガチのアクションの真っ最中、「お前一人か❓」と聞かれ、「ああ、オレはまだ独身だぜぃ」って答えたり、部下たちに向かって「お前らにおごってやりたいが、残念ながら財布忘れた」とごまかす上司の懐から財布をこっそりドロボーして(警官なのにいいのかいな❓🤷)みんなにちゃっかりおごっちゃう場面を見ると、「マブリー(マ・ドンソクのマと、ラブリーが合体した語)」って呼ばれる所以がわかる気がしましたね。それにアノ体型、さぞかし鈍足(ドンソク)なのかと思いきや、動きは超俊敏。クライマックス、宿敵の中国マフィアのユン・ゲサンと、空港のトイレを破壊しまくりながらのアクションを繰り広げるとこなんて、迫力ありすぎて怖くてはなぢ出そう(笑)

 

  前置きが長くなりましたが、本日の『悪人伝』。ドンソク兄貴、今回は見かけ通り、暴力団の組長役だった(笑)今までの役とは少々違って、時折マブリーな素顔はちらつくものの、やはりそこはヤクザの大物らしく、逆らったら生きて帰れそうにもない(いや、実際に帰れない)圧倒的オーラを放っています。登場場面にしてからが兄貴、あの細い女性のウェストくらいある腕でサンドバッグをドスドス打ってるんだけど、終わった後でジッパー開けると中には人が…。

ギャアアアア~~~~ヽ(;゚;Д;゚;; )

 

  サイコパスの連続殺人犯に刺され、一命をとりとめた暴力団のボス、チャン・ドンス(マ・ドンソク)。面子を潰された彼は犯人への復讐に燃え、「目には目を、命は命であがなえ」のヤクザの掟通り、組を挙げて犯人探しに乗り出します(むろんその目的は、裁判などさせず、自ら裁きを下すため)。その過程で、犯人を追う熱血刑事チョン・テソク(キム・ムヨル)と反発し合いながらもバディを組み、次第に犯人(キム・ソンギュ…『犯罪都市』で中国マフィアの手下を演じてた俳優さん。イケメンサイコですわ)を追い詰めていきますが…。

 

  もうね、ヤクザの親分と刑事が手を組んで凶悪犯を追うというアイデアの面白さはもちろんのこと、畳み込むようなストーリー展開、息もつかせぬカーチェイス(あれ、ホントに街を走ってる感じなんだけど…。どうやって撮影してるんだろう)、建物一棟破壊しそうな勢いの超絶アクション…、そしてそして、「韓国ノワールの傑作」との評判に違わぬ結末の予想外のどんでん返し❗

 

 その昔黒沢明とか小津安二郎溝口健二など、世界に認められた日本の映画って、いかにも日本的なエキゾティシズムが魅力だったと思うんですが、『悪人伝』も含め最近の韓国映画を観ると、もっとグローバルな感じ。いやむしろ、メリハリのある、スピード感溢れるストーリー展開やアクションの面で、もはやハリウッドのお株を奪ってる感がありますよねぇ。だから、ハリウッドでリメーク話が出たり、ドンソク兄貴もマーベル映画アベンジャーズのニューフェーズ『エターナルズ』への参戦が決まったり…というニュースが出ても、当然な気がする。『悪人伝』も本国での大ヒット、さらにはカンヌ映画祭ミッドナイト・スクリーニング部門での正式上映を受けて、なんとシルベスター・スタローンプロデュースによるリメークが決定しているのだとか。

 

  し、しっかしポスターの兄貴の写真怖すぎるよ、しかもドアップで…(笑)これぢゃ、ヲタクみたいなおばさんならともかく、良家の子女はとてもじゃないけど見る気が起きないわな😅女子のみなさん、グロい場面はそんなに…ない(笑)痛快なエンターテイメントなので、安心して見に行きましょう…たぶん(笑)

Netflix『もう、終わりにしよう。』まるでミステリーツアー😅

f:id:rie4771:20200915192832j:image

Netflixで配信間もない『もう、終わりにしよう。』鑑賞。フローレンス・ピューと並んで、今ヲタクが1番注目しているライジングスター、アイルランドの典型的な赤毛美人、ジェシー・バックリー(『ジュディ 虹の彼方に』『ワイルド・ローズ』『戦争と平和』)がヒロインと聞いて、配信を心待ちにしておりました🎵

 

  一言で言うと、夜中に乗ったミステリーツアーのバスみたいな映画ですね❗(夜中に乗車するミステリーツアーが存在するのかどうかはわからないけど😅)何というか、いくらミステリーツアーって言ったって、多少はこっち、無いアタマを振り絞って道中あれこれ想像するわけじゃないですか、最終目的地はどこだろう、って。…しかし、ことごとく予想が外れて、しかもバスはどんどん人里離れた暗い森の中に入っていく。(これはひょっとしたら、パッケージツアーに名を借りた新手の誘拐❓どこに拉致されるの❓)って恐怖に囚われる…みたいな。どこまで行っても、ストーリー展開の着地点が見えてこない、みたいな。

 

 

  真冬の田舎道を走る1台の車。ヒロインのルーシー(ジェシー・バックリー)は、付き合って6週間の彼氏、ジェイク(ジェシー・プレモンス)の実家に向かっています。しかし初めて彼氏の両親に紹介されるというのに、二人の会話は恋するウキウキ感やこれからステディな関係になろうとする安定感とは程遠く、いまいち噛み合ってないし、まるで倦怠期の夫婦みたい😅おまけに彼女のほうは心の中でしょっちゅう(もう、終わりにしよう。~I'm thinking of ending things )と呟いているのです。日本語訳には反映されていないけど、このthingsがキモなんです。

 

誰が、何を(しかも複数形😅)終わらせようとしているのか❓

 

  不思議なことに、ヒロインは黙って心の中で呟いた(それは大抵マイナスな想念)ハズなのに、なぜか彼には筒抜けに聞こえてる。まるで彼はエスパーみたい。ここら辺まで来ると、私たち観客には、じわじわと違和感が広がってきます。あれ❓何か変だぞ、って。一体、一人称で呟いてるのは誰❓みたいな😅

 

  しかし車中でうっすら感じ始めた違和感も、彼の実家に着いたとたんに噴出するホラー感に一気に吹き飛ばされます(笑)吹雪の中に死んだまま放置されている羊、豚小屋の床に広がる無気味な黒いシミ、そして彼が呟く「地下室があるんだけど、行ったことはないんだよ…怖いからね…」という不吉な言葉。でもってトドメは、モノに憑かれたような目をして一点をじっと見つめていたかと思えば、いきなりけたたましく笑い出す彼のお母さん役が、トニ・コレット❗…そう、史上最恐映画『ヘレディタリー /継承』(2018年 アリ・アスター監督)、恐怖に時空も歪みそうな、アノ顔芸連発の主演女優でございます((( ;゚Д゚)))ヤバいヤバい、雪に閉じ込められたゴシックホラー感満載な家にトニ・コレットがお母さんなんて、デキすぎてるし(笑)これは第2の『ゲットアウト』(2017年 ワンシチュエーション&ホラー&サスペンス映画の超名作)か❗❓この二人、彼の実家から生きて帰れるの❗❓

 

…ところがどっこい、( ・ε・)ちっちっち、これからがミステリーツアーの真骨頂、さすが『脳内ニューヨーク』『マルコヴィッチの穴』等、怪作の数々を世に送り出した鬼才、チャーリー・カウフマンここにあり❗…の、風刺劇でもありSF?でもあり悲劇でもあり喜劇でもあるシュールな展開になっていきます。車中でルーシーが呟いていた詩集が彼の部屋のベッドに置いてあったり、二人の幼少期の写真が同じもの❗だったり、両親が年老いたり若くなったり…ナニコレ❓🤷まんまと彼にミスリードされてく感じ😅車中で感じていた違和感が再び戻って来て、それはますます肥大化していきます。

 

どう行動するかより何を考えているかのほうが、真実や現実に近いことがある。

というセリフがあるんですが、見終わってみれば、これが作品全体を貫くテーマなのかな…と思ってみたり。

 

  余談ですが、ちょっとビックリしたのは、カウフマンほどの世に認められた名監督が、演技のお手本みたいで賞レース総なめした『こわれゆく女』(ジョン・カサヴェテス監督)のジーナ・ローランズを、「ジーナ・ローランズの演技はアカデミー賞受賞作品6本観ているぐらい疲れる、世間は評価するけどね。大げさで何も記憶に残らない。」なーんて、ヒロインのルーシーにかなーりディスらせていること😮…カウフマン、ジョン・カサヴェテスジーナ・ローランズに何か特別な遺恨でもあるのかな😅…確かに、ジーナ・ローランズと真逆とも言える、ジェシー・バックリーの生き生きとした自然体の演技は極めて魅力的でしたが😉

 

  ホラーチックなスリリングな展開が一転してシュールな迷路に迷いこむ。

時系列どーなってるの??(-ω- ?)

 

たぶん1回観ただけでは半分以上スルーしてるであろう(注・ヲタクの場合はね😅)謎めいた数々のフラグ立ち。見終わった後の何とも言えない哀愁を帯びた寂寥感。

 

Netflix、おそるべし❗チャーリー・カウフマンおそるべし❗

 

 

ヴェネチア映画祭~ティルダに魅せられ、クロサワに酔う

  今年のヴェネチア映画祭、コロナ禍の為受賞者も出席できず、お祭り気分には程遠いものであったものの、個人的にはいろいろツボ入りまくりでフィナーレを迎えました😊どこがツボであったかと言うと…。

 

 先ずは、その容姿、演技、知性、映画愛、作品の選択眼、人生への向き合いかた全てにおいて、ヲタクが『神』だと信じて疑わないティルダ・スウィントンが栄誉金獅子賞受賞❗対コロナ対策の為唯一無二の黄金のマスク姿で登場したティルダ。志半ばで病に倒れ、亡き人となってしまったブラックパンサーことチャドウィック・ボーズマンを「ワカンダ(ブラックパンサーの王国)フォーエバー」ポーズで追悼しました😢

 

  そして、シェイクスピアもかくや…と思わせる詩的な受賞スピーチ❗

 

  映画は私にとって幸せな場所であり、本当の母国。映画に携わる人たちの流れは私にとっての家系であり、この賞をこれまで授賞してきた人たちの名前は私にとって師のリストです。私の部族の長老たちなのです。

  映画という言語によって書かれた詩を私は何よりも愛し、映画の中の歌をお風呂で歌う。

  私は彼らの成し遂げた高みの麓に行くために駅までヒッチハイクしている映画マニアのパンクキッズなのです。

 

 栄誉賞を受賞するほどの輝かしいキャリアを持ちながら、先達を心から讃え、自らを「まだまだヒッチハイク中のパンクキッズなのよ😉」と、お茶目な表情で(…たぶん😅)語るティルダ。あなたほど謙虚で、かつ大胆不敵で、機知とユーモアに富んだ人を私は知りません♥️

 

  ヲタクにとってもう一人の神、ケイト・ブランシェットと舞台上で並ぶ姿はいずれか菖蒲杜若、後世伝えられるべき2ショット❗え❓そんなに神さまがいてオカシイ❓いーの、いーの、ヲタク、一神教ぢゃないし、前世は古代ギリシャ人なんで(⬅️バカ😅)

 

  そしてそして、『スパイの妻』で、日本が世界に誇る第2のクロサワこと黒沢清監督が銀獅子賞(監督賞)❗振り返れば6月、NHK8Kで同作品が放映された時、当日まで自宅のTVで見れると信じて疑わなかった機械オンチなヲタク😅夫に「え?8K?ウチのテレビ、4Kまでしか見れないよ」と言われた時のショックたるや…(笑)まっでもこの成り行きを考えると、映画館の大スクリーンで見るべき作品ということですね❗(⬅️負け惜しみ😅)公開まで間があって、ワクワクしながら監督の過去の作品を復習したりするのもまた、善きかな😊

 

  社会の変化、世界の動向によって映画の上映方法や映画祭の運営はこれからもさまざまに変わっていくだろうけど、ティルダの言う「映画という言語で書かれた詩」の価値は、きっと永遠に変わらない。

 

 

 

 

秋風吹けば英国ミステリー🍁~BBC『ウィッチャーの事件簿』


f:id:rie4771:20200911093857j:image

  U-NEXTでBBCのミニシリーズ『ウィッチャーの事件簿』(①ロード・ヒル・ハウス殺人事件②エンジェル通り殺人事件③名家の秘密④夫婦の秘密…2011年)鑑賞。

 

  もうね、このヴィクトリア朝を背景とした英国ミステリー…って言うだけで背中ゾクゾクしちゃうヲタク(笑)雲低く垂れ込める灰色の空、じめじめと湿った石造りの街角、ロンドンを取り巻く深い霧、霧の中に仄かに浮かび上がるガス灯、その暗闇に乗じて跋扈する、切り裂きジャックをはじめとする残忍な殺人鬼たち…。

 

  ヴィクトリア朝のミステリーと言えば、かの名探偵シャーロック・ホームズの一連の作品が超有名ですが、本作品の特徴は、特に第1エピソード、主役のウィッチャーも実在の人物であり、実際の事件を題材にしていること。それもそのはず、第1エピソードの原作はケイト・サマースケイルのベストセラーであり、ミステリーの形式を借りた犯罪ノンフィクション『最初の刑事~ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件』だから。主役のウィッチャーは、スコットランドヤード(ロンドン警視庁)創設時の刑事8人衆の一人だったのです。

 

  1860年、イギリス・ウィルトシャーの邸宅ロード・ヒル・ハウスで、当家の次男で若干3才のフランシス・サヴィル・ケントが無残な他殺体となって発見されます。状況から見て、犯人は同居する家族か、使用人たちしか考えられない。事件解決の為に当地に派遣されたのが、当時スコットランドヤードで敏腕刑事の名を欲しいままにしていたジョナサン・ウィッチャー警部。名家の名を汚し、遺族が抱える秘密を暴露することを恐れ、関係者は全員が頑なに口をつぐんだまま。地元警察の協力も得られない中、地道で孤独な捜査を続けていくウィッチャーでしたが…。

 

  いかなる犠牲を払っても、真実は必ず明らかにされなければならないという固い信念のもと、捜査を続けるウィッチャーに立ちはだかる当時の英国の格差社会と地方の因習の壁。DNAはおろか指紋の検出さえできなかった時代、頼りは聞き込みと目撃証言、それに基づく直接的・間接的推理、犯人の自白のみ。それに、現代だとひとつのチームか、少なくともバディを組んで事件の解決に当たると思うんですが、地元警察も腰引けてるし、捜査はぼっちの孤軍奮闘、スコットランドヤードの上司からは矢の催促…って、いくらウィッチャーが敏腕刑事だからって、カワイソすぎる😅また、当時は創設されたばかりの刑事という職業、「相手構わず容赦なくプライバシーを暴きたてる」という偏見から、世間からかなりの反発を受けていたことがわかります。

 

  ウィッチャーを演じているのが、英国の俳優であり映画監督でもあるパディ・コンシダイン。この方映画『思秋期(原題 Tiranosaur)』の監督だったんですね😮遅蒔きながら、今回『ウィッチャー~』を見て初めて知りました😅『思秋期』、酒浸りで生きる希望を無くしかけているような中年男(英国の名バイプレーヤー、ピーター・ミュラン)が、夫のDVに悩む女性(『女王陛下のお気に入り』でアカデミー主演女優賞受賞、今や英国のトップ女優に上り詰めたオリビア・コールマン)との出逢いによって、再生していくさまを描いた名作です。その作風といい、そして俳優さんが撮った秀作という観点から見ても、ゲイリー・オールドマンの『ニル・バイ・マウス』を思い起こさせます😊俳優業としては、『ピーキーブラインダーズ』の悪徳神父役が強烈でしたよね。

 

 犯人探しの醍醐味だけでなく、当時の英国社会が抱えていた社会問題、また、教会牧師の告解に対する守秘義務の問題など、様々なテーマを孕んでいて、大変見ごたえのあるドラマになっています。

 

  第1エピソードの最後で、ウィッチャーは故あってスコットランドヤードを辞しますが、彼の悪を憎む心、真実の探求心は止むことなく、第2エピソード以降は探偵に転身して様々な事件の解決に当たります。もしかして英国最初の探偵❓😅第2エピソードには、彼の初監督作でヒロインを演じたオリビア・コールマンがゲスト出演して、サスガの演技を見せていますし、第3第4エピソードも実話をベースにしているとのことで、リアルなストーリー展開に重厚な演出、セットも素晴らしく、それぞれ1本の映画を見ているよう😊

 

  来週は秋雨前線の影響からか、やっとこの暑さも一段落しそう。秋の夜長、じっくり腰を落ち着けて見るのに相応しいドラマかも😊

 

  

 

 

 

  

 

歌に生き、愛に生き『パヴァロッティ~太陽のテノール』

f:id:rie4771:20200907151755j:image

 キノシネマみなとみらいで『パヴァロッティ~太陽のテノール』鑑賞。個人的にはパヴァロッティと言えば、その神からの贈り物のような透明感のある明るい高音は言わずもがな…なんですが、一方では、「無名時代に結婚した妻と娘3人を捨て、娘より年下の相手と不倫・同棲した」っていうスキャンダルがずっと脳裏に残っていて…😅当時ヲタクは夫の仕事の関係でベルギーに住んでいたのですが、ヨーロッパのマスコミはもう、大騒ぎでしたね。パヴァロッティの母国、厳格なカトリック国であるイタリアでは、離婚は神に背く大罪、当時タブロイド紙では、パヴァロッティはまるで色魔扱いだったように思います。

 

  ところが、今作品で名匠ロン・ハワード(『ビューティフル・マインド』など)は、毀誉褒貶の激しかったパヴァロッティの生涯を多数のプライベートフィルムや多くの人のインタビューを通じて深く掘り下げ、彼の真の姿、人間性を浮き彫りにしてくれた❗

 

  60もとうに過ぎて、娘のような女性に初めての恋をした少年のようなパヴァロッティ。そしてお相手のニコレッタ・マントヴァーニ(学生時代からパヴァロッティのアシスタントを務めていた)も、打算などは微塵もなく、マエストロへの深い尊敬が、次第に愛に変わっていったことがよくわかります。前妻アドゥアも、憎み合って別れたのではない…と微笑みながら話します。パヴァロッティ膵臓ガンで亡くなる前、入院先にナポリふうのパスタも届けたのよ、と。「あの声に恋しない人なんている?」彼女のこの問いが全てを物語ります。

 

  次女が難病になった時、全ての公演スケジュールをキャンセルしてつきっきりで看病したパヴァロッティ。「プロとして失格」との世間の批判にも耳を貸さなかったそうです。彼の溢れんばかりの豊かな愛情は、家族や周囲の人びとばかりでなく、後年、世界中の恵まれない子どもたちの為の慈善事業にも惜しみなく注がれました。親交のあったU2のボノ が語るように、人生の喜びも哀しみも成功も失敗も全て、歌に昇華し、「歌を生きた」人❗

 

  最新のデジタル技術で甦るパヴァロッティの伝説の歌唱の数々は、もう鳥肌モノ。彼の名声を不動のものにした「友よ、今日は楽しい日」(ドニゼッティ連隊の娘』なんと9回ものハイC❗)、「冷たい手を」(プッチーニラ・ボエーム』)、深い友情で結ばれた故・ダイアナ妃に捧げた「見たこともない美人」(プッチーニマノン・レスコー』)…。そしてそして、あの三大テノール夢の競演❗元々は、白血病で長い間闘病していたホセ・カレーラスの為の復活コンサートとして計画した…というのがいかにもパヴァロッティらしい😊三人がアイコンタクトをしながら息もピッタリに歌う「オーソレミオ」「誰も寝てはならぬ」(プッチーニトゥーランドット』)はもはや、この世のものとは思われぬ、大天使ミカエルの奏でる天上の音楽😌「次、ボク?」「いや、違うでしょ」なんて話しているのか、ひそひそ話してる3人の少年がめっちゃカワイイ😍

 

彼はまた音楽ジャンルの境を取り払った人としても知られています。ボノの家に押しかけて無理やり曲を書かせたエピソードはその最たるもので😅幾多のロックミュージシャンとチャリティコンサートを何度も開催しました。個人的には、若いジョン・ボン・ジョヴィパヴァロッティの横にチラッと写ったのがツボ❤️

 

  そして、最も心打たれるのは、全盛期を過ぎて、伝説的なハイCもすでに過去のものになってしまったパヴァロッティが、盟友プラシド・ドミンゴの指揮により歌い上げる「衣装をつけろ」(レオンカヴァッロ『道化師』)でしょう。「パヴァロッティも盛りを過ぎたね」という心ない人びとの声を耳にしながら、過ぎ去った過去の栄光を噛みしめつつ歌うパヴァロッティの苦渋の表情😢絶望にうちひしがれても、それでもやはり歌い続けたいという不退転の決意、そこから生まれる微かな希望…。もはや残り僅かとなった自身の人生を予感していたものか、その鬼気迫る絶唱は圧巻です。

 

神に愛された不世出のテノールルチアーノ・パヴァロッティ。映画館だからこそ堪能できる、素晴らしい音響でこの機会にぜひ♥️

 

https://madamefigaro.jp/culture/series/music-sketch/200904-pavarotti.html
https://madamefigaro.jp/culture/series/music-sketch/200904-pavarotti.html

ホロモドールの真実 『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』


f:id:rie4771:20210522145238j:image

(ウクライナの首都キエフ…Pixabay)

  横浜黄金町のジャック&べティにて、『赤い闇~スターリンの冷たい大地で』。このコロナ禍で今までオンライン劇場の利用はありましたが、本劇場に足を運ぶのは久しぶりです。ジャック&べティも7月30日からいよいよネット予約ができるようになりました。列に並んで切符をゲットして、待合室でドキドキしながら開場を待つ喜びはなくなったけど、密を避けて映画鑑賞できる安心感はこのご時世、何にも換えがたい。厳しい現状にも関わらず新システムに舵を取った支配人の心意気に拍手👏👏

 

閑話休題

 

先日、 80才を越えた老婦人が突如として数十年前のスパイ罪で捕らえられるという衝撃の実話映画『ジョーンの秘密』を見たばかりなのですが、作品の中で度々スターリンの独裁体制について言及されていました。(『ジョーンの秘密』は現在も公開中です)そんな中、タイムリーに公開された本作『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』❗

f:id:rie4771:20200825150135j:image

 ナチスドイツが台頭しつつあった1930年代。世界中が大恐慌にあえぐ中、ソヴィエト連邦だけが各地に工場を建設し、各産業は隆盛を極め、好景気を享受しているという政府からの公式発表が相次いでいました。ロイド・ジョージの外交顧問を務めていたガレス・ジョーンズ(ジェームズ・ノートン)はそれに素朴な疑問を持ち、ソ連駐在の親友の記者を頼ってその原因を取材をしようと試みます。ところが、ジョーンズがソ連到着直前に親友は路上で襲われ、不審な死を遂げてしまいます。彼がモスクワで目にするのは、政府に情報網を骨抜きにされ、賄賂を受け取って私腹を肥やし、夜な夜な酒池肉林に興じる外国人記者たちの堕落した姿ばかり。それでも地道に情報収集をはかり、「世界の穀物倉」「肥沃な大地」と呼ばれたウクライナ地方で、何か途方もないことが起きている…と睨んだジョーンズは命懸けで政府の監視をかいくぐり、単身ウクライナへ乗り込みます。そして、彼が厳寒のウクライナで目にした驚愕の真実とは…❗❓

 

  誠実で、不器用で、しかし真実を報道する為には一歩も退かず、命さえも賭けるジャーナリスト魂。BBCドラマ『戦争と平和』で悩める青年貴族ボルコンスキー、また直近では『ストーリー・オブ・マイライフ~わたしの若草物語』でメグ(エマ・ワトソン)の誠実な夫役を演じたジェームズ・ノートンが、イメージぴったりの熱演です😊

 

  コロナ禍でリーマンショックを上回る世界的大恐慌が到来するかも…と言われている昨今。経済不安の時代には民衆がパニックに陥り、強大な権力を持つリーダー待望論が起こり、独裁政権が成立しやすい…というのは、歴史を見ても周知の事実。そんな時に、本作が公開されるのは、大変意味があることだと思います。極端な話、ホロモドール…という言葉の意味を知るだけでもいい。

 

  どんな状況に陥っても、知識を総動員して、自分のアタマで考えることを止めてはいけない、真実から目を逸らしてはいけない…という教訓を忘れないためにも。

 

 

公式HPはこちらです👇

http://www.akaiyami.com/

『MOZU』劇場版 WOWWOWで放映


f:id:rie4771:20200823215511j:image

ハードボイルド作家、逢坂剛の原作を映像化した MOZUシリーズ、WOWWOWで一挙公開❗

 

 ヲタクはリアルタイムで全作品見ましたが、今でも印象が色褪せないと言えば特に、第1シリーズの『百舌の叫ぶ夜』と、映画『劇場版 MOZU』ですかね。

 

  第1シリーズ『百舌の叫ぶ夜』(全10回)

銀座で凄惨な爆弾テロ事件が発生。多数の犠牲者が出る中、主人公である公安警察の倉木警部(西島秀俊)の妻、千尋(石田ゆり子)もその一人に…。当日の妻の行動は謎だらけで、その理由を探り始めた倉木は、妻が生前自分に見せていた貌と、彼女の真実の姿がまるで違っていることに気づいて愕然とする。一方、数々のテロに関わっているとされるプロの殺し屋(池松壮亮)を追う明星巡査部長(真木よう子)もテロの現場に居合わせ、千尋の行動を目撃していた。謎が謎を呼び、登場人物の行動そのものにも二重三重の『嘘』を孕む複雑怪奇かつスリリングな展開。

 

 主要人物3人も適役ですが、個人的には 何と言っても、哀しい過去を背負い、本能的な殺人衝動に突き動かされる殺し屋を演じた池松壮亮❗彼なくしてはこのドラマが成り立たないのでは…❓と思わせるくらい、存在感が圧倒的でした。殺し屋自身のアイデンティティーそのものにもプロット上視聴者に対するワナが仕掛けられていて、池松くんの演技力なくしては成立しないしくみになっているんです。

 

  彼演じる殺し屋は、『百舌鳥の早贄(はやにえ)~百舌鳥は、餌となる生き物を殺してもなぜか食さず、有刺鉄線或いは木の棘に串刺しにし、そのまま飛び去ってしまう習性』を模した方法で殺人を繰り返します。当時、陰惨で耽美的な殺しの場面が脳裏に焼き付いて、ドラマを見た夜は、よく夢でうなされてました(笑)

 

  『劇場版MOZU』

全編フィリピンロケで、蒸せ返る熱帯の太陽の下、繰り広げられる男たちの命懸けの闘い。主演の西島秀俊初め、伊勢谷友介長谷川博己池松壮亮松坂桃李…演技派イケメン総出演です😊中でも、ブルーヘアにオッドアイサイコパスのテロリスト役・松坂桃李にはヤられました。それまでは、朝ドラの爽やかな好青年…ってイメージだったから😅

 

  彼が元警官で探偵事務所を開いている大杉(香川照之)の娘(杉咲花)をビルの一室で襲う場面。花ちゃんの恐怖に脅える演技がまた最高に巧いもんだから😅もー怖くて怖くて、危うく#@ー¥$Ψ&…(笑)そしてそして、最大のクライマックスは、サイコな松坂桃李と殺し屋池松壮亮の、フィリピンの夕陽を浴びた美しい廃屋の上でのガチの一騎討ち❗一歩間違ったら命を落とす危険もあった…と、当時お二人がインタビューで話していた記憶があり、ヲタクの中ではそのガチ度という点において、邦画の中で歴代1、2を争うアクションシーンではないかと思ってます。

  てっきり都市伝説かと思われていたラスボスダルマ(北野武)が、ほんとうに登場してきたのにはビックリしましたが…😅でもそこは世界の北野、都市伝説にリアリティをムリヤリ❓持たせてしまう力業はサスガの一言です。

 

  原作者の逢坂剛は、日本では珍しいスケールの大きなプロットを得意とするハードボイルド作家。数々の事件が迷宮のように渦を巻き、国家的陰謀に繋がって行く壮大なストーリー。多少ぶっ飛んだ展開もありますが、そこは難しく考えず、エンターテイメントとして楽しめばいいのでは…❓と思います😊

 

WOWWOWの放送予定はコチラ👇

『MOZU Season1~百舌の叫ぶ夜~全10話』9月6日(日)後3:55

『MOZU Season2~幻の翼~全5話』

9月13日(日)夜6:20

『MOZUスピンオフ 大杉探偵事務所~全2話』9月20日(日)夜7:45

『劇場版 MOZU』27日(日)後1:25

 

千葉雄大 と門脇麦が案内する~『夢の本屋をめぐる冒険』

 なんてステキな番組なんでしょう❗舞台はとある本屋さん(カフェ併設のオシャレな書店にお客を取られ、閉店の危機に瀕しています)。祖母から引き継いだ本屋を切り盛りするいっぷう変わった店主に門脇麦。店先で売り物の本ばかり読み漁っている店主に成り代わり、ほぼ一切の仕事を請け負っている(…らしい😅)にもかかわらず、経費節減の為、リストラされそうになっている店員に千葉雄大。このコンビ、ボケとツッコミの呼吸もすばらしく、まるで夫婦漫才の味わい(笑)

 

  倒産寸前の本屋を何とか立て直そうと、二人は世界の高名な本屋を巡って、書店経営のヒントを得ようとします。ここでお二人は素に戻って、海外の素敵な本屋さんを眺めてはそのユニークさに、私たち視聴者と一緒に笑ったり驚いたりしてくれます。その反応を見ているだけで、お二人とも本が好きなんだなぁ…ということが自然と伝わってきて、微笑ましいです😊

 

 第1回めはパリにある『シェイクスピア&カンパニー』。パリでなにゆえシェイクスピア❓って思いますが、元々アメリカ人女性シルヴィア・ビーチが開いた、パリで最初の英語書籍専門の書店に端を発したものです。きっと、さまざまな理由で当時パリで生活していた、英語を母国語としていた人々のサロンというか、心の拠り所だったんだろうなぁ…。

 

  外国語圏の街、特に母国語に多大なるプライドを持ち、外国語を理解できてもあえて積極的に話してはくれないパリのような街で、母国語に餓え、孤独に暮らす異邦人たちが、母国語の書店に廻り合うのは無上の悦びだったことでしょう。ヲタクもベルギーの片田舎に家族で住んでいたことがありますが、子供たちが土曜日だけブラッセルの日本人補習校に通っていた頃は、子供たちの授業が終わるまでの間、日本の本屋さんに寄るのが何よりも楽しみだったもの😊

 

シェイクスピア&カンパニー』の初代店主シルヴィアは、文学や芸術を志す若者たちの良き理解者であり、同時にパトロンでもあったようで、店内には、ヘミングウェイフィッツジェラルドなど、綺羅星の如きアメリカ文学の巨人たちの肖像画が…😮番組内でも紹介されましたが、著書『ユリシーズ』が発禁処分となり、途方に暮れていたジェームズ・ジョイスにシルヴィアが助け船を出したエピソードも…。当時の書店主というのは、先鋭的な作品をいち早く発掘して世に知らしめる、文化・芸術の紹介者でもあったんですね。シルヴィアの精神は、今も『タンブルウィード』(店で無給で働く代わりに、自由に本を読み、文章を書く場を与えられる作家のタマゴたちのこと)という形で脈々と受け継がれています。

 

  ヲタクの好きな映画に『マイ・ブックショップ』という、第二次世界大戦後イギリスの寒村に書店を開き、本を読む楽しさを知らない村人たちの啓蒙をしようとするヒロインの奮闘ぶりを描いた作品があるのですが、中でも印象的なシーン~ヒロインが、あのナボコフの『ロリータ』(いわゆるロリコンという語の元になった作品)を250冊仕入れる大冒険をする~を思い出しました。

 

  番組内でチラッとアナイス・ニン肖像画が映りましたねぇ。女性初のポルノグラフィ作家として有名ですが😅ジョイスのエピソードといい、シルヴィア・ビーチという方はかなりリベラルなお方だったもよう😉(映画『ヘンリー&ジューン~私が愛した男と女』フィリップ・カウフマン監督…は、アナイス・ニンの日記をベースにした作品です。)

 

今夜はパリから一転、中国の先鋒書店❗こちらも楽しみ~~😍「世界の」素敵な本屋さんをめぐるわけですから、まさか2店だけじゃ終わらないですよね❓😅

 

これからもシリーズ楽しみにしています❗(笑)

ジャック・ロウデン&シアーシャ・ローナンのらぶらぶ日記💓😍💓

 ヲタクが今心から応援しているカップル、ジャクロくんとシアーシャ・ローナン❗今までJack Lowden Newsさんが二人の情報をTwitterに時々UPしてくれていたんだけど、もうひとつジャクロくんとシアーシャちゃんのらぶらぶぶりを専門に載せてるアカウント"Best of Saoirse and Jack"めっけ ~~🙆この動画も元はといえばそちらから…って感じですね。

 

  ジャクロくんはずっと後ろ姿で、イケメンなお顔が見えない~~🙍シアーシャちゃんのキレイな、彫刻みたいな横顔が時折見えるだけ(笑)この二人、欧米のカップルには珍しく奥ゆかしいというか、ばっちりツーショットの写真ってそんなにないんですよね。どちらか片方が後ろ姿だけだったり手のひらだけ写ってたり、あとは仲間たちとの集合写真(笑)いわゆる「匂わせ」ってやつなのかもしれないけど、ヲタク的には、堂々と公道でキスシーン見せられるより、こっちのほうがずっと好き😉

 

  この動画、ステラってシアーシャちゃんが飼ってる犬だよね❓たしか。ということは、ここはアイルランドの街角❓たいていシアーシャちゃんがジャクロくんの住んでるスコットランドに来るケースが多いけど、アイルランドでのツーショット珍しくない❓ジャクロくんのプロデュース映画"CORVIDAE"はアイルランドで撮影・編集してたから、その当時はアイルランドでのデート写真けっこうあったけど…って、いろいろ謎解きしていくのが楽しいの😊

この動画も👇ジャクロくんのツイッターにUPされたものなんだけど、ハンドルを握る手はシアーシャちゃんのものらしい😉ジャクロくん「グレンコー(スコットランドハイランドのロッホアーバーエリアにある)を眺める」ってシンプルなコメントなんだけど、しっかり💋と💄の絵文字が…。やーねージャクロくん、まんま匂わせぢゃん❗(笑)

これもジャクロくんのツイッターだけど、シアーシャちゃんすごーく遠景でしかも後ろ姿(笑)👇場所はスコットランドポルトベロだそう😊スコットランドはドッグフレンドリーな国で、バスに犬を連れて乗車することができると聞いたことがあります。

仲間と一緒のトレッキング写真だけど👇、シアーシャちゃんのジャクロくんを見つめる目に愛を感じるワ。

 

  実はヲタク、もう一組応援してるカップルがいたんですよね。推しのトム・ヒューズと、『女王ヴィクトリア~愛に生きる』で夫婦役を演じているジェナ・コールマン❤️つい最近、二人が4年にわたるパートナーシップと同居を解消したという残念なニュースが😢ジェナがハリウッドから声をかけられ、さらにキャリアアップしたいというのがきっかけらしい(ハリウッド志向なのは、元カレのリチャード・マッデンと似てるんだね…)トムくんはあくまでも英国をベースに活動したそうだし、俳優としての野心や方向性が違ってきてしまったんだろうか❓…しかしジェントルマンなトムくんは、それを理解し、善き友人関係を保つよう努力していると…。ジェナの新居への引っ越しも最後まで手伝ったとか…さすが、トム・ヒューズ、心までイケメンだわ❗

 

  演技の向き合いかたや、演劇を目指す若い人たちのサポート志向、スコットランドアイルランドというケルト文化のルーツなど、人生の価値観を同じくするジャクロくんとシアーシャちゃん。推しには勿論良い作品で良い演技を見せてほしいというのが一番の望みだけど、プライベートでもHappyでいてほしい。間違っても、自分自身を傷つけたりしてほしくない😢

 

  シアーシャちゃんを見つめる時のジャクロくんの幸せそうな笑顔を見ると、その幸せがいついつまでも続いてほしい…と、願わずにはいられないヲタクなのでした😊

 

 

映画で世界旅行⑥~『ポルトガル、夏の終わり』

f:id:rie4771:20210604183947j:plain

(From Pixabay)

f:id:rie4771:20200817164404j:image

   チネチッタ川崎でイザベル・ユペール主演の『ポルトガル、夏の終わり』。コロナ禍で海外旅行へ行けなくても、映画館に行けば、世界中どこへでも行けますよ😉

 

  ちょうど去年の今頃は『シークレットスーパースター』で暑い暑いインド、そして『パリ、嘘つきな恋』で宵闇迫る夏のパリへ飛んでましたね(笑)一昨年は、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのティモシー・シャラメと一緒に北イタリアへ💓😍💓(⬅️『君の名前で僕を呼んで』は何度も映画館でリピしたから、かなり行きましたよ、夏の北イタリア=笑)そして今年の夏は、ポルトガルのシントラと言うわけ😊

 

  あのバイロン卿(18世紀、英国ロマン派の詩人。『ドン・ジュアン』『チャイルド・ハロルドの遍歴』。イケメンで女性遍歴がスゴくて、ドンファン(プレイボーイ)の語源になった人ですよね😅)が「この世のエデン」と呼んだという世界遺産の街、シントラ。

 

  映画のヒロインは、イザベル・ユペール演じる大女優のフランソワーズ(家族や親しい友人たちは、英語ふうにフランキーと呼んでいます)。フランキーは全身にガンが転移していて、おそらく年は越せないだろうと覚悟しています。彼女は、元夫、現在の夫、夫の娘夫婦、息子、そして長年の親友であるヘアメークアーティストのアイリーン(マリサ・トメイ…気さくで人の良い美人を演じさせたら、ピカ一です。最近ではスパイダーマンの叔母さん役で出てますね😊)をシントラに集め、愛する人たちに別れを告げようと目論みます。

 

  もうひとつ、彼女には密かな計画があって、ある理由から長年疎遠になっている息子のポール(なぜ彼女と息子の間に大きな溝ができてしまったのか、それは映画の中で明らかになります)と、たった一人の親友であるアイリーンを結びつけようというものでした。ところが肝心のアイリーンが、恋人の撮影監督ゲイリーを連れてきてしまったものだから、フランキーの計画は狂い始めて…。

 

  富も名声も美貌も欲しいままにし、周囲の人たちを自分に従わせるのが当然と思って生きてきたフランキー。ところが事態はどんどん彼女の思惑とは反対の方向に転がり始め、次第に彼女は、さまざまな心配事や不安も、彼女自身も、大きな力に委ねていこうとします。ポルトガルが敬虔なカトリックの国であると幾度も語られ、信仰の奇跡のメタファが繰り返されるのは、きっと大きな意味があるのでしょう。

 

  フランキーの孫の少女マヤが、ポルトガルの少年と海岸(ここがまた、天国みたいにキレイ😍)で遊ぶ場面。少年が「ここはリンゴの浜って呼ばれてるんだ。ほら、アダムとイブの…」と言いかけ、「くっだらない」ってマヤに一刀両断されて😅少年が照れくさそうに「だってここはカトリックの国だから…」って答えるシーンがあるんですが。最先端の文化を享受する大都会ロンドンからやってきたマヤはきっと、かつてのフランキーの姿の投影。そんな彼女が死期を悟って、癒しと救いを求めてシントラにやって来たわけですよね…。

 

  ラストシーン、全員が集合する山の頂。神さまは、愛する者たちを残して逝かなくてはならないフランキーに、小さな、小さな奇跡を見せてくれます。それを見るイザベル・ユペールの、安心と驚きと一抹の嫉妬がないまぜになった表情が見事❗

 

  山の頂からは、ユーラシア大陸最西端ロカ岬の向こう、広大な海を臨みますが、海に広がる光の帯が、落日と共にオレンジ色に変わっていくさまは荘厳の一言で、神の国があるとしたらかくや…と思わせます。

 

  シューベルトやストラウス等のクラシック音楽が全編を彩り、フランキーが夫と共にピアノを弾く場面は、あの『ピアニスト』(ミハイル・ハネケ監督)思い出しちゃいました😅シチュエーション全然違うんだけど…。この『ピアニスト』を初めとして、『愛、アムール』、『愛アマチュア』『八人の女』など、一筋縄ではいかない元祖こじらせ女子❓を演じたら右に出る者はいないユペールですが、今回も、常に人を繰ろうとする傲慢な大女優…と一言では説明しきれない何か(妻としてのけなげさや母親の愚かさ、滑稽さ、死期を悟った者の諦観…等々)が時折前触れもなく、ひょこっと顔を出すところがスゴい😮

 

  ただ美しいだけではない、シントラの荘厳で神聖な森や山々、透明な海、世界遺産の建造物、そして突然やって来て緑をいやます霧や雨…。映画を通じて、いながらにしてポルトガル旅行はいかがですか❓😊

 

 

カワイイおぢさん大集合❗~ドラマ『おじさんはカワイイものがお好き。』

 第1回めからツボ満載の『おじカワ』こと、『おじさんはカワイイものがお好き。』カワイイものがお好きなおじさんご本人がいちばんカワイイという悶絶設定😊私も含めて、夜中に見てるオタクたちの心をわしづかみしたんぢゃなかろうか。

 

  何しろ主役が眞島秀和さんってとこがねー、最高だよね。しかも役名が小地(おじ)さん、と来た。推しのパグ太郎を故あって寝室のクローゼットに閉じ込めなくちゃいけなくなってうっかり扉に挟んでしまい、「ご、ごめんよパグ太郎。痛かっただろう😭」と泣きそうになる小地さんを見て、こっちも泣きそうになるしくみ。

ニクイねぇ、読売テレビ❗(何様?笑)

 

  眞島さん主演の昨年の深夜ドラマ『サウナーマン~汗か涙かわからない』を動画配信で見て、密かに愛好していたヲタクとしては、眞島さんの、深夜のニッチなドラマ主演が続いて嬉しい限りでございます😊

 

  眞島さんと言えば、昨年12月の紀伊国屋ホール、岸井ゆきのちゃんと共演の『月の獣』(御大・栗山民也演出)、息遣いも聞こえそうな、かなーり前の席で拝見しましたよ、ナマ眞島を~❗トルコ人によるアルメニア人虐殺事件という重い、重いテーマを扱っていながら、そこかしこにそこはかとなくユーモアが漂う場面があったのは、ひとえに眞島さんの滲み出る人柄だったと思うなー😊たまたまゆきのちゃんとTSのある回だったんですが、誰よりも早く楽屋入りして発声練習してるのをゆきのちゃんにバラされて、若干慌ててる眞島さんが、今回の『おじカワ』、パグ太郎オタクをカミングアウトできずに右往左往する主人公の哀しくも可笑しい日常にカブるんですよねぇ…。

 

  パグ太郎のレアなカプセルトイをゲットしようとこっそり訪れた、さびれた駄菓子屋で出会った「中目黒のダンサーふう=笑」の謎の男性(今井翼くんがイカツカワイくて、イイ味出してます😊)。彼が眞島さん演じる小地さんに、これから多大なる影響を及ぼしそうで楽しみです。(第1回めの最後で、彼の正体は取引先の会社のデザイナーであることが判明🎵ワクワク)

あれ❓そー言えばなにげにこの二人、『麒麟がくる』つながりだ😊

 

愛の裏返し❓(…たぶん😅)で、ことあるごとに小地さんに突っかかってくる隣の課長役に桐山漣。『いいね!光源氏くん』の頭中将役で、突き抜けた感のある彼。今回ヒール役の顔芸も素晴らしく、さらに限界突破か❗❓

彼をおじさん扱いするのはちと可哀想な気もしますが…(笑)

 

  ネットでも話題になっている通り、「オタクに刺さるセリフ」けっこうありましたけど、個人的に第1回の名言はですね、冨田望生ちゃん演じる小地さんの部下(オタク女子)が、推しのウチワが変わったのを同僚に見咎められて「また推し変わったの❓」って言われた時のセリフ…

違うの、『推し変』じゃない、『推し増し』なの❗

 これは刺さりましたよね。そう、そうなの、オタクの愛の器は無芸大~~🙆(大笑)

 

『いいね!光源氏くん』があれよあれよと言う間に終わってしまい、続編の続報もかすりもしない淋しい昨今、渇いたヲタクの心を癒してくれるドラマはこれ❗

『おじさんはカワイイものがお好き。』

 

 

 

 

  

  

 

 

眠れぬ夜にはコレ❗イッキ見したいドラマ『ボディガード~守るべきもの』


毎日最高気温更新中の日本☀️😵💦夜も寝苦しい夜が続いております。

 

  お盆休みでもあり、どうせ寝られないなら、いっそのこと良質なサスペンスドラマをイッキ見する…てのはどうでしょう❓今日はそんな時に最適なサスペンスドラマ『ボディーガード~守るべきもの』をご紹介😊

 

  2018年8月からBBC Oneで放映されたこのドラマ、2008年以降の英国のドラマの中で最高の視聴率を叩き出したらしい😮うん、それに違わぬハラハラドキドキ、手に汗握るサスペンスの一級品です❗英国のミステリーあるいはサスペンスというと、暗い色調の画面で、登場人物も割りとリアルで等身大、ゆったりしたストーリー展開が特徴なんですけど、この作品は、どちらかと言えばハリウッドスタイルなテンポの速さ、シチュエーションの斬新さ、派手さがあるんですよね。でもその一方で、主人公バッド(リチャード・マッデン)の人格がアフガニスタンでのPTSDによってかなり変容している設定で、追い詰められた時、何をしでかすか彼自身もわからない。主人公がそんな闇を抱えているところが、英国サスペンスの『一筋縄ではいかない感』があり、そのさじ加減がサイコーなんです😍

 

  アフガニスタンで戦功を立てた帰還兵であり、スコットランドヤードの巡査部長のバッド(リチャード・マッデン)が主人公。もうのっけから、別居中の子供たちと久しぶりの外出先の列車内でイスラム教徒による自爆テロに遭遇する…というスリリングなオープニング❗テロを未然に防いだバッドは、超タカ派の女性内務大臣モンタギュー(キーリー・ホーズ…『嘆きの王冠~ホロウ・クラウン』の王妃役が記憶に新しいです😊)のボディーガードに抜擢されます。モンタギューはテロ対策のため、国民のプライバシーを一部侵害する法案を推進しており、常に暗殺の危機に晒されていました。モンタギューとの許されぬ恋(普通ならあり得ない展開なんだけど、あまりにもバッドが魅力的なんで…😅大臣のキモチ、わかっちゃう=笑)、そして政治的な巨大な陰謀の渦に巻き込まれて、次第に追い詰められていくバッドは…❗❓

 

  最後まで誰が味方なのか敵なのかわからない怖さ、ストーリーの途中に襲い来る思いもよらぬ悲劇、一瞬にして愛する者の命を奪うテロの恐ろしさ、悲惨さ…。6話全てにクライマックスが用意されており、息もつかせません。

 

  主演のリチャード・マッデンは、本作の演技でゴールデングローブ賞の主演男優賞を受賞しました(英国アカデミー賞じゃなくて、ゴールデングローブ賞ってとこが暗示的なんですよね)そう、『ゲーム・オブ・スローンズ』スターク家の長男、ロブ役でブレークした彼です😊深いトラウマに悩みながらもその心理的恐怖と戦う、ムキムキマッチョで魅力的な傷だらけのヒーロー、バッドを見事に演じ切った彼、この作品でハリウッドへの切符を手に入れ、次作はなんとマーベルのニューフェイズ『エターナルズ』の主役イカリスに大抜擢❗生活の拠点もアメリカに移したようですね😊彼の新たな飛躍が楽しみです。

 

  BBCのドラマって、始めからがっちり脚本が出来上がってるみたいで、たいてい5、6話で完結するので、夜通し見てもアメリカや韓国のドラマみたいに廃人になることはありません(笑)ヲタクはネトフリで見ましたが(現在も配信中)、ネトフリって1話終わると、自動的に次話が再生されちゃうんですよね😅うまいなー、ネトフリ(笑)

 

  9月にJ:Comのスーパー!ドラマTVで1話ずつ放映されるみたいだけど…。このドラマ、1話ずつ見るの、めっちゃツライよねぇ😅いっそのこと、全部終わりまで録画してからイッキ見するのをオススメします(笑)

 

 

やっぱりオム・ファタールだったトム・ヒューズ❤️~『ジョーンの秘密』

f:id:rie4771:20200812074355j:image

 キノシネマみなとみらいで『ジョーンの秘密』。80才を越えたごくごく平凡な(…のように見えた)老婦人がある日突然、ソ連のスパイ(情報漏洩の反逆罪)を働いたというかどで逮捕された…という衝撃の実話を題材にした物語です。映画は、逮捕されたヒロインのジョーン・スタンリー(ジュディ・デンチ)が、その激動の半生を振り返る形で進んでいきますが、彼女が犯したとされる国家への背信行為、それは何を目的としたものだったのか❓本当にジョーンは英国を裏切ったのか❓だとしたら、それはなぜ…❓その経緯が、サスペンスタッチで解き明かされていきます。ジョーンがケンブリッジ大学物理学科の学生だった頃、ロシア人学生レオ・ガーリチ(トム・ヒューズ)から共産主義の活動に勧誘され、彼の思想に対するひたむきさとカリスマ性、巧みな弁論術に心酔し、それはやがて激しい恋愛感情に変わっていくのですが…。


 映画について語る前に、ケンブリッジ大学ソ連のスパイ活動の関連性について少々。「ケンブリッジ・ファイブ」と呼ばれた、第二次世界大戦中から戦後にかけて英国で暗躍したソ連のスパイ網について耳にしたことがおありでしょうか❓コードネーム等から確認できている人数は5名、自ら告白してソ連に亡命した者、国家の中枢にいながら秘密裏に活動した者いろいろですが、共通しているのが全員富裕層出身、名門のパブリックスクールからケンブリッジ大学に学んだ、前途有望な若者たちだった…ということです。映画でも、このケンブリッジ・ファイブをモデルにした人物が度々登場しています。BL映画の名作『アナザー・カントリー』、『裏切りのサーカス』、『イミテーション・ゲーム』などがそうですね。当時の英国の政治腐敗や階級制度に反発した彼らの眼には、共産主義は、公平と平等を約束してくれるパラダイスに思えたのかも。…そんな当時の英国社会の様相を頭に入れてこの映画を見ると、さらに興味深いかもしれません😊


f:id:rie4771:20200812082002j:image

ジョーンは物理学、特に中性子学における学業の優秀さを買われ、戦時中に、とある国家機密プロジェクトのリーダー、マックス・デイヴィス教授(スティーブン・マックス・ムーア)の秘書として採用されます。ところがその国家的規模のプロジェクトとは、当時アメリカ、イギリス、ソビエト連邦など列強がしのぎを削っていた、原爆の開発計画でした…。ナチスと対抗し、さらには世界のパワーバランスを崩さない為には、英国はソ連と情報を共有すべきだ、「君が入手できる情報を流せ」とジョーン(ソフィー・クックソン)に迫るレオ。ジョーンは、そんな背信行為は出来ないとレオをはねつけます。そこには、レオの愛を信じきれない、恋する一人の女性としてのもどかしさ、辛さがあるのでした…。ところがそんな時、世界に先駆けて開発に成功した米国は、広島と長崎に原子爆弾を投下。その惨状を目の当たりにし、後悔の念に苛まれるジョーンが、最後に選んだ道は…❗❓

 

ドラマ『終わりなき世に生まれつく』(アガサ・クリスティ原作)の記事でも書きましたが、またもやトム・ヒューズ、謎めいた青い瞳と、何を考えているのか推し測れないアルカイックスマイルで相手の心をかき乱し、運命を狂わせていくオム・ファタールぶりを遺憾なく発揮しております😅ジョーンに対しても、決して「愛してる」とは言わない、彼女を抱き締める時は必ず「僕の可愛い同志~My little comrade…」と耳元で囁くレオ。恋する乙女に同志なんて言葉を使うなんて(怒)だけど、低く囁く声は物凄くセクシー(*´-`)っとに、悪い男だよ(笑)

 

最初はジョーンの明晰な頭脳と正義感を政治活動に利用しようと近づきながら、彼女の純粋さに次第に心を動かされ、時を同じくして、スターリンの独裁体制に疑念を抱き始めたレオの、強固な意志が少しずつ、砂のように崩れていく…。その微かな変化を哀しみと共に静かな佇まいに滲ませて、ああやっぱり得難い俳優さんだと、ヲタクはスクリーンに大写しになるトムくんの青く澄んだ瞳を惚れ惚れと眺めるのでした😊

 

本作品の監督、サー・トレバー・ナン、若干23才のベン・ウィショーを起用して、舞台でハムレットを演出したことがあるはずですが…。「このカリスマ性溢れるレオ役は君しかいない」と、トムくんを口説き落としたくらいだから、彼の俳優としての技量には惚れ込んでるはず。ナン監督、映画版ハムレット、ぜひトムくんでお願いします🙏(笑)  

 

  中年期も過ぎる頃になって、母親の思いもよらぬ真実を突き付けられた息子ニック(ベン・マイルズ)のショックは計り知れない😭弁護士である彼は、愛する母親に今まで裏切られていたのだと思い込み、自分の弁護を頼む母親に「弁護なんてできない❗母さんは祖国を裏切ったんだ」と激しい言葉を投げつけます。この場面は観ていてつらく、心が折れます😢

 

  しかし、その後に来る、記者団を前にしたジョーンのスピーチ(さすがのジュディ・デンチ❗)、そしてラストの爽やかなどんでん返し。ヲタクは心洗われるような涙を流しつつ、陳腐な表現かもしれないけれど、人類が世界の平和をいつか実現できるとしたら、それはやはり政治的駆け引きでもない、科学の力でもない、結局は人間の愛の力なのだ…という思いを強くしたのでした😊

 

  

『夢の本屋をめぐる冒険』(千葉雄大&門脇麦)~神田古本屋街の思い出

  街の本屋さんの店長(千葉雄大くん)と店員さん(門脇麦ちゃん)が、閉店の危機に瀕している自分たちの本屋の方向性について話し合い(ドラマ)、さらにはパリの「シェイクスピア&カンパニー」や中国の「先鋒書店」など、世界のステキな本屋さんを案内してくれる(紀行)「ドラマ+紀行」という新しい視点の「攻めてる」番組が放映されるとか❗いやー、楽しみだなぁ。お二人とも本がお好きだそうで😊若い方たちが「本が好き😍」って言ってるのを聞くと、わけもなく嬉しくなります😊そして、若い二人のツーショットを見て、昔むかしの思い出に浸るヲタク(笑)

 

  大学生の頃、大学には東京駅から中央線快速に乗って通っていて、授業が早く終る日は、必ずお茶の水駅で途中下車して、神保町の古本屋街に行くのが常でした。右手に明大を見ながら緩い坂道をブラブラ歩いていくと、交差点に突き当たり、もうその界隈は夢の宝庫。

 

  映画・演劇関連の書籍を専門に扱っている本屋さんも数件あって、古い映画のパンフレットもずいぶん集めたなぁ。今は映画館の上映が終わって一定期間経つとDVD化や動画配信されるけど、ヲタクの学生時代はそんな文明の利器はなかったので、リピしたい映画はパンフレットを眺めながらひたすら映画館でのリバイバル上映を待つ❗(笑)リバイバル上映でハマった映画はもはや古すぎてパンフレットを販売していない場合もあるので、そんな時はお宝探しよろしく神田に繰り出すというわけ。

 

  卒業論文は趣味と実益を兼ねて❓😅ジョン・ミリントン・シングというアイルランドの劇作家を選んだ為、新刊の資料は殆どなく、図書館と古本屋頼み。神田で貴重な資料を二束三文でゲットした時は嬉しかったなぁ。戦利品があった時は、書泉グランデ裏の喫茶店『ラドリオ』でまずは目を通すことに。(注・カフェぢゃなくて、ですね😅サテン、って発音してる人もいました。中島みゆきの『悪女』の世界ですね、ハイ。ユーミンはカフェで、中島みゆきはサテンなんだよね、イメージが)はじめて珈琲が飲めるようになったのが、ここ、ラドリオです。でも、クリームあまあまなウィンナコーヒー😅大学卒業してからは行ったことないけど、作家と編集者とおぼしき二人連れ(多分アノ人だと思う=笑)が顔付き合わせて話してたりして、独特の雰囲気がありましたね。

 

  大人気ドラマ『愛の不時着』、主人公の二人が読書家の設定で、それぞれ相手の本棚の本を並べ替えて、背表紙の題名を「サランヘヨ」にする場面が印象的でした。ヒロインのユン・セリのセリフに、たしか「蔵書を見ればその人の人となりがわかる」っていうのがありました。

 

  ヲタクの場合、以前は3畳のクローゼットが服じゃなくて膨大な数の本で埋まっていたのですが、知人のお嬢さんが古本屋さんを始めると聞いて、殆ど全て差し上げてしまいました😊…でも考えてみれば、発売当時発禁処分になったという澁澤龍彦翻訳『悪徳の栄え』(マルキ・ド・サド)とか『異端の肖像』、牧逸馬の『浴槽の花嫁』や切り裂きジャックの話、文豪の作とはいえ『眠れる美女』(川端康成)、『卍』(谷崎潤一郎)、『眼球譚』(ジョルジュ・バタイユ)とか混じってたからなー。私が死んだ後、最愛の孫から「ばーばって、どんな人だったの❗❓😮」って言われるのもツライ(笑)

 

(あー、あれだけは手元に置いときゃ良かった)って思う本もあるけど…。いやいや、全く本の趣味が違う家族の為には、早めに断捨離しといて良かった、うん(笑)