オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

舞台人の心意気❗~映画『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい❗』

f:id:rie4771:20201117200147j:image

(横浜美術館前の紅葉)

キノシネマみなとみらいで『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい❗』

 

  1897年12月27日の初演以来500日間のロングランを達成し、フランスを代表する戯曲と言われる『シラノ・ド・ベルジュラック』。戯曲の作者、エドモン・ロスタンを主人公に、いかにこの名作が作り上げられたかを、笑いあり、涙ありで描いた作品です😊
f:id:rie4771:20201117200224j:image
ロスタン(トマ・ソリベレ)は売れない戯曲作家。才能はあるらしいのですが時流に乗れず、韻文の悲劇ばかり書いているので酷評ばかり😅流行に迎合しない芸術家が不遇をかこつのは、古今東西変わらないようですね(笑)そんな彼の文才を以前から認めていた大女優サラ・ベルナールが、ロスタンを当時の売れっ子舞台俳優コンスタン・コクランに紹介するところからストーリーは始まります。このロスタンがね、お髭だけは立派なんですが、小柄で細くて童顔で、めちゃくちゃ母性本能くすぐるタイプ。サラ・ベルナールが一生懸命になるのも…わかる(笑)

 

  一方紹介されたこのコクランという役者(オリビエ・グルメ)、借金まみれで、借金がまとめて返せるような大傑作を書け、一攫千金を狙うんだ❗とロスタンに迫ります。おまけに大根役者の自分の息子に重要な役をつけろとゴリ押ししてくる始末😅さらには興行のパトロンが、自分の愛人の女優をヒロインに据えるのが第一条件だと言い出して…。

 

  そんなてんやわんやに加えて、上演まであと1ヶ月しかないという無理難題。周囲からは「大コケ確定❗」とウワサされる中、果たしてロスタンとそれぞれワケあり、崖っぷちの仲間たちは一発逆転を図れるか❗❓
f:id:rie4771:20201117200205j:image

(映画が終わってキノシネマを出ればそこはイルミネーションの世界)

 見終わった後爽やかな笑いと涙に満たされるのは、少々性格はヘンテコリンでも(笑)登場人物の誰もが、何よりも舞台を愛しているから。そして、さすが芸術の都パリ、製作側・演じる側の心意気を情熱を、サポーターや観客がガッチリ受け止める、心底応援する❗サラ・ベルナールのセリフにもあるように、「パリは舞台を見る観客が成熟している」。それはつまり、文化の成熟、社会の成熟。大人の都、パリ。この映画を見てヲタクは、昔から大勢の芸術家や文化人たちがなぜあれほどパリに惹かれるのか、その秘密をちょっぴり垣間見た気がしました。

 

  最後に、コクランを初めとして、歴代シラノ役者の貴重なフィルムの数々がぁぁぁ~❗舞台&映画ファンには垂涎モノです。詩人ジャン・コクトーが愛したイケメン俳優ジャン・マレーや、ジェラール・ドパルデュー、さらにはホセ・ファーラー(『アラビアのロレンス』トルコの司令官役で強烈な印象を残した人)の英語を話すシラノ…なんていう変わり種も😅

 

  世紀末のパリ、特に当時のムーラン・ルージュポルトサン・マルタン座が忠実に再現されていて必見ですし、娼館でロスタンがアントン・チェーホフに偶然出会う…なんていうエピソード(ここでの会話がまた、笑えます)を筆頭に、当時のパリ演劇界の内幕や、くすりと笑える小ネタも満載❗

『タイトル、拒絶』舞台挨拶に伊藤沙莉登場❗

f:id:rie4771:20201114200035j:image

(横浜のジャック&べティにて『タイトル、拒絶』舞台挨拶。誰が誰だか…=笑)

  女性による女性の女性の為の『風俗産業をテーマにした映画』見・参❗今まで風俗の女性たちを扱った映画って、まあ、日活ロマン○ルノの昔から押し並べて男性監督によるものばかりでしたが、まあ見事にリアルな爆弾ブチかましてくれましたよ、これが長編第一作だという山田佳奈監督が〰️💣💥

 

  大学の就活、あらゆる企業に落ちまくって、なぜかその道に飛び込んでしまったカノウ(伊藤沙莉)。ところが初の派遣❓先でいざとなるとビビってしまい、ホテルから逃げ出して大立ち回り😅デリヘル事務所の雑用係として働き始めたものの、事務所で働く一癖も二癖もある女性たちには引っ張り回され、彼女たちを上手くマネジメントできないと言ってはクズ男な店長(般若)にアタマをどつかれる日々(笑)クズ男って言えば、一見ジェントルマンに見えて実は…っていう池田大さん演じるクズっぷりもひどく印象的でした😅

 

  このカノウというのがまた、不思議な人物で。彼女が事務所に入ったことで、まるで起爆剤みたいに、今までどこか自分の人生を諦めたかのように淡々と(❓)仕事をこなしていたデリヘル嬢たちがどんどん素というか、ホンネを晒し始めるんですよね。まあ、それによって悲しいかな、さまざまな惨劇が事務所で起き始めるのですが…。

 

  この、女たちの人生を変えていくカノウという役、伊藤沙莉が演じるからこそ地に足が着いた感があるというか。ドラマ『全裸監督』や『いいね❗光源氏くん』でも感じたんですが、あのハスキーで野太い声が彼女のいちばんの魅力である「ホンネで生きていそうで、同性の共感を呼ぶキャラ」に一役買ってるんじゃないでしょうか😊(あざとい、とか、ぶりっ子キャラって、声がワントーン高いイメージあるじゃないですか。彼女の場合、その真逆を行ってるんですよね)特徴的なハスキーヴォイスのせいで、少女の頃は「風邪ひいてるのか」と言われてオーディションに落ちまくっていたというスカーレット・ヨハンソンを思い出します。

 

うん、伊藤沙莉は日本のスカーレット・ヨハンソンだ❗声だけじゃない、その胆の据わった女優根性もね😉

 

  裸一貫、たくましく、したたかに生きていく女たち。映画の中で語られるエピソードはけっこう凄惨なものも多いんですけど、随所にユーモアが散りばめられていて、客席ではけっこう笑いが起きてました。何よりも山田監督の、映画の中で、傷つき悶えながらも、必死で生きようとする女性たちへの温かい眼差しが心地良かった😊舞台挨拶で、伊藤さんが監督の人柄が現場でも大好きだった…って言ってましたね。

 

  最後の女性3人の舞台挨拶(山田佳奈監督、伊藤沙莉さん、恒松祐里さん)も女子会のノリで、顔を見合せながら「次、どーする❓」「なんも考えてなーい」なんてくすくす笑ってる感じが、とっても可愛かった😍

 

素敵な金曜日の夜をありがとうございました❗

 



「見たい、見られたい」のラブロマンス~『写真の女』in 東京国際映画祭

f:id:rie4771:20201106192128j:image

  東京国際映画祭にて『写真の女』(串田壮史監督)鑑賞。いやー、久しぶりにドキドキする映画見たわ❗スリリングなオトナのラブロマンスです😊

 

  東京の片隅で細々と、親から受け継いだ小さな写真店を営む中年の男、カイ(永井秀樹)。彼はまた昆虫が大好きで、休みの日には山に昆虫の写真を撮りに行く。いつもと同じように昆虫の写真を撮っていると、彼は山の上から落ちてきて中腹の木に引っ掛かっている一人の女性キョウコ(大滝樹)を発見する。住むところも失ってしまったらしい彼女は、そのまま写真館に居座ってしまい、二人の奇妙な同居生活が始まる。様々なポーズをとっては自ら写真を撮影し、自分のインスタにアップするのがキョウコの毎日の日課であり最大の関心事。見られること、撮られることに至上の歓びを感じる女と、見ること、撮ることにエクスタシーを感じる男。まるで±の電極のような二人の運命の出逢い、究極のラブロマンスの行く末は…❗❓

 

このキョウコという女性、カイにとってはまるで能楽の『羽衣』みたいに、天から降ってきた舞姫なわけですよ。リアルなようで、リアルじゃない。手が届きそうで届かない、ファンタジックでフォトジェニックな存在。俗世間から隔離されたようにひとりぼっちで生きてきたカイは、キョウコにちょっと触れられただけでビックリして飛び上がる始末😅見かけは中年のおじさんでも心は少年、今ドキ絶滅危惧種のジェントルマン。伊達にいつも真っ白なスーツを着ているわけぢゃござんせん(笑)…まっ、そこはそれこの映画はオトナのラブファンタジーなんで、カイのピュアな恋心は徒労に終わることはありません、ご安心を。

 

  キョウコは唯一の生きがいであるインスタのフォロワーが最近激減しているのに悩んでいて、そのせいでスポンサーからも見放されてしまいます。それが、愛されたい、承認欲求の強い(大滝樹さん談)彼女を次第に狂気とも言える行動に駆り立てていくのです。キョウコは、SNS時代に生きる私たちがふとすると陥りがちな危うさ(SNSのフォロワー数やいいねに固執することの虚しさも含め)を体現していて、古典的な(終了後のTSで、串田壮史監督は「王道の」と表現されていましたが)ラブロマンスに、今日的なテーマが織り込まれています😊


f:id:rie4771:20201107000210j:image

(TSの遠景。誰が誰だかわかりませんね=笑)

 

さて、なぜこの作品がエロいのか❓…ってまた振り出しに戻っちゃいましたけど(笑)これはヲタクの非常に個人的な感想です(…スミマセン😅)なぜならヲタクもカイと同じ、リアルな結びつきよりむしろ、ファインダーやスクリーンを隔てて、好きなモノや人を「見る」行為に歓びを感じる種類の人間だから。だから、まるで何かにとり憑かれたようにキョウコの写真を撮りまくるカイの気持ち、よくわかる。悲しいかなヲタクはカイのような才能は持ち合わせていないので、こうやってブログの片隅で細々と見たことの感想を呟くことくらいしか、できないけど😅

 

  それにしても、映画の中でカイが撮影する自然の中のキョウコの写真、そして二人が身にまとう衣装の、純白や深紅の色のなんと美しいこと。水の中に埋没していくキョウコの、なんとエロティックなこと(大滝さんによれば、撮影は過酷を極めたようですが😅)。

 

  ネタバレの恐れがあるので詳しくは語れないんですが、終盤近く、カイがいつも通っている銭湯のワンシーン、ひじょうに鮮烈で、長く記憶に刻まれる名場面だと思います😊

 

  世界中の60もの映画祭に出品され、数々の賞を受賞したこの作品が、いよいよ日本でも公開されると今日発表がありました❗来週の月曜日に正式に告知されるそうなので詳細はここで発表は控えますが、この素敵な作品ぜひ映画館で、一人でも多くの方に見て頂きたいと思います😊


f:id:rie4771:20201107000353j:image

(主人公カイに影響されて、六本木ヒルズを出た後撮影した写真=笑)

 

 

  

 

  

 

  

Netflix新着~ダークミステリー再び『エイリアニスト 2』


Netflixで『エイリアニスト』第2シーズン(暗闇の天使~The Angel of Darkness)配信開始❗

 

  ヲタク、シーズン1について、ちょうど昨年の11月に記事書いてましたね。あれからもう1年かぁ…。好きなことに爆走してると、月日の経つのは早いですね(笑)

 

  舞台は19世紀のアメリカ、ニューヨーク。交通手段は徒歩か馬車。海からの冷たい霧が街を覆い、殺人鬼はそれに紛れて暗い街角の奥に息を潜める。殺人鬼を追う者は命を賭けてその闇に踏み込んで行く。敵が鋭い刃物を手に、襲いかかろうとしているのも知らずに…。

 

  シーズン1では、精神分析医(当時はエイリアニストと呼ばれていた)としてシリアルキラーの心理をプロファイリングしていくうちに、次第に犯人に共感してしまう主人公ラズロー・クライズラー(ダニエル・ブリュール)の苦悩と惑いが印象的でした。しかしシーズン2は一転、(あれ❓主人公ってダコタ・ファニングだっけ❓)って思うくらい、彼女演じるサラが大活躍❗ダコタのファンのヲタクとしてはオールオッケーですけど(笑)

 

  前シーズンではアメリカ初の女性警察事務官であり、ルーズベルト警察庁長官(のちの大統領)の秘書として、ニューヨークの男娼連続殺人事件の解決に尽力したサラ・ハワード。第2シーズンでは、警察内部のオトコ優先社会に嫌気がさしたのか(笑)、なんと女性だけの探偵事務所の所長として登場~😍優雅で美しいドレスを翻し、当時「悪の巣窟」と呼ばれていたブルックリンにも、拳銃片手に臆せず飛び込んでいく姿はめちゃくちゃカッコいい~❗(インタビューでダコタ・ファニング、あの衣装「コルセットで締め上げて気絶しそうになった」って言ってました。「風と共に去りぬ」の舞踏会のシーンでも然りですが、女性は長い間、「女性であり続けること」にかなりの苦痛を強いられてきたんだなぁ…。)

 

  ある曰く付きの病院で出産したシングルマザーの女性。ふと横のベビーベッドを見ると、赤ちゃんはいなくなっており、そのまま行方不明に。そしてあろうことか病院長や看護長の証言により、女性は「子殺し」の汚名を着せられたまま、電気椅子送りに。警察の杜撰で非人道的な捜査に憤るサラとラズロー。折しも、スペイン特使の乳児が自宅から誘拐される事件が発生。当時アメリカとスペインは国同士が戦争も辞さない一発触発の危機にあった為、内密に捜査を依頼されたサラ。しかし一方で、ニューヨークの百貨店の人形売り場に、毒を盛られた乳児の無残な遺体が…。

 

  スリリングな謎解き、犯人の追跡(ドラマの中盤で犯人は特定されるのですが、何しろサイコパスの心理は謎だらけ、こちらが想像もできない意表をついた突発的な行動をとるので、怖い、怖い((( ;゚Д゚))))

 

  ミステリーの謎解きに、当時の女性の結婚観や職業観、母性の問題、いわゆる「毒親」のテーマなど、さまざまな今日的なテーマも内包されていて、シーズン1に引き続き見ごたえがあります😊

 

(よけいなオマケ=笑)

1.犯人像のプロファイリングに行き詰まったラズローが、女性の精神科医に相談するんですが、(どっかで見たことあるよなー、誰だろ誰だろ)ってずっと思ってて、ドラマが終わる頃やっと気づいた❗

クリムトの「ユディト」だよ❗(笑)

この人、フロイトの弟子って設定で、フロイトからウィーンに来ないかって誘われてるんだけど、あながち見当ちがいでもないんじゃないか…。

 

2.そしてそして、ヲタクがシーズン1から目をつけていた愛すべきキャラにとんでもない悲劇がぁぁぁ😭😭その場面を見たとたん、ヲタクは天を呪い、(シーズン3が配信されても絶対見ないぞ、コノヤロー)と、年がいもなく毒づいたのでした。いや…サラを応援してるから、また続編あれば見たいけどさ…でもさ…(⬅️しつこい😅)

 

  

 

 

秋、深まりて🍁…『ヨナス・カウフマンコンサート』

f:id:rie4771:20201103151004j:image

(キノシネマ前の公園。木々が色づき始めていました😊)

 

  今日は文化の日❤️文化の日に相応しい映画と言えばコレ(笑) キノシネマみなとみらいで、『ヨナス・カウフマン ウィーンコンサート』❗ウィーンのコンツェルトハウスで行われた、21世紀のキング・オブ・テノールと称されるドイツ出身のオペラ歌手カウフマンのコンサートを収録したもの。

 

  ヲタク的にカウフマンと言えば、「ザッツ、ゲルマン❗」とも言うべき暗く重厚な歌唱、シューベルトの「冬の旅」が強烈な印象なのですが…。

歌唱も醸し出す雰囲気も今回は全然違う❗

彼はその歌唱や演技の変幻自在さから、「カメレオン」と呼ばれているとか。

 

 温かく陽気な音楽の都ウィーン。街を愛し、人生を楽しむウィーンっ子気質に合わせて、カウフマンはあえてメジャーな大曲は避けているようで、楽しいオペレッタ(喜歌劇)の数々(「こうもり」、「サーカスの女王」、「メリー・ウィドウ」、「小鳥売り」など)や、ウィーンゆかりの楽曲(シュトラウスの「ジーヴェリングのリラの花」、「プラーター公園は花盛り」「ヘルナルスの小さなカフェで」など)を軽妙洒脱に歌い上げます。公演の合間に大観覧車に乗ってはしゃぐカウフマン、ホイリゲ(ウィーンの森のワイン酒場)で白ワインのグラスを傾けるカウフマンは、誰よりも歌を、人とのふれあいを、いや人生そのものを心底楽しんでいるように見えます。それが彼の歌声にえもいわれぬ温かみを添えているのでしょう😊

 

  共演するソプラノ歌手レイチェル・ウィリス・ソレンセンや指揮者のヨッヘン・リーダー、そしてウィーンの観客たちとの交流は相手に対する深いリスペクトに満ち、彼が当代一のテノール歌手と呼ばれる理由がよくわかる、至福の一時間半❗

 

f:id:rie4771:20201103152500j:image

ジャック・ロウデンのジークフリード・サスーン伝、ついに撮影開始❗


f:id:rie4771:20201103110408j:image

(サスーンとオーウェンが運命の出逢いをしたスコットランドの古都エディンバラ)

 ジャクロくんのツイッターに、新作『Benediction』撮影時の麗しいお姿がぁぁぁ😍…まっ、内容の重さ、シリアスさを考えれば、軍服姿が美しいなんて口が裂けても言えないんですが(反省)

 

  今回ジャクロくんが演じるのは、第一次世界大戦の凄惨な体験から心を病み(今で言うPTSDですね)、その後反戦の詩を書き綴った実在の人物、ジークフリード・サスーン。

 

  サスーンは、やはり英国の反戦詩人、ウィルフレッド・オーウェンの詩作上の師であり、師弟関係を越えた敬愛の対象でもありました。二人はPTSD治療の為に入院したスコットランドエディンバラの精神病院で運命の出逢いを果たし、サスーンの指導によりオーウェンは、戦争を題材にした詩作の中でも英国文学史上屈指の名作と言われる『死すべき定めの若者の為の讃歌』を書き上げます。その後オーウェンはサスーンの反対を押し切り再び前線に赴き、25才の若き命を散らすのですが…😢

 

  ヲタクが敬愛するティルダ・スウィントンが準主役で出演していて、いつか見たいと熱望していてまだ果たせていない映画の1つに『War Requiem(戦争の鎮魂歌) 』があります。これが、オーウェンの生涯を題材にしたオペラというか音楽劇でして😅

ティルダ・スウィントン➡️ウィルフレッド・オーウェン➡️ジークフリード・サスーン➡️ジャック・ロウデン❗😍

好きなモノ、好きな人物が次々と繋がれていく…ヲタクは密かに「ヲタクのラブ・チェーン現象」と呼んでいるのです(笑)ジャクロくんとティルダさまがいつか共演してほしいと祈念しているヲタクにとって、これは大いなる啓示だわ、うん(笑)

 

  …とつらつら考えていたら、ジャクロくんのツイッターにサスーンの詩の1節が❗「…僕は暗闇の中で数発銃を撃った。『無人地帯』であたかも自分が重要人物であるかのように…。」無人地帯(敵陣の塹壕との間のエリア)を深夜パトロールする任務にでもついていたのでしょうか。そこに敵の兵士がいるかどうかも定かではないのに、恐怖の為か疑心暗鬼の為か、闇雲に引き金を引く若い兵士…。歴史上の人物を演じる時、膨大な資料を読み込むジャクロくん。サスーンの詩も、きっと全作品読破したんだろうなぁ…😊

 

  監督は『エミリ・ディッキンソン~静かなる情熱』のテレンス・デイヴィス。有名なアメリカの詩人の生涯を描いた映画の監督です。ディッキンソンというのは若い時から自宅の敷地を一歩も出ず(もちろん結婚せず)ひたすら詩を書きまくった人で、元祖引きこもりというか😅その芸術性が世に認められたのも、エミリが亡くなってしばらくしてからでした。彼女、最後には腎臓を病むんですけど、ギリギリまで医者にかからなかったから重症化して、尿毒症から脳に来て((( ;゚Д゚)))そのプロセスが徹底したリアリズムで描かれていて、主演のシンシア・ニクソンの熱演と相まってもう、怖くて、怖くて😅

 

  あの演出で第一次世界大戦とサスーン…。楽しみなような、見るのが怖いような(笑)

 

 

 

 

  

 

  

初代007 ショーン・コネリーは永遠に~ジャック・ロウデンから追悼ツィート

 
f:id:rie4771:20230317173924j:image

朝一番に、ショーン・コネリーが90才で滞在先のバハマ諸島で死去…とのニュース😢個人的には、007と言えば初代のショーン・コネリーか、現ボンドのダニエル・クレイグの印象が強烈ですが、ダニエル・クレイグの007最後の作品『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開を前にコネリーの訃報を聞くとは…。これも何かの因縁なのかなぁ。

 

  ご存知の通り、殆ど無名の俳優だったショーン・コネリーは初代007に抜擢されて一躍世界的な大スターになったわけですが、彼の素晴らしさはそれに有頂天になって天狗になるどころか、ボンド俳優というレッテルを貼られることを嫌い、一人の役者として、自らのキャリアを築いていったところでしょう。

 

  例えばマーベルのヒーロー役者たちはある程度キャリアを確立した人たちが選ばれてるように見えるんですね。だからそれほど役のイメージが強烈に印象づけられることは少ない気がする。しかし選ばれた時にほぼ無名というのは…。

 

  古くは、TV版『スーパーマン』でクラーク・ケント役を演じたジョージ・リーヴスは自らのパブリックイメージから脱することができずに深く悩み、自死という道を選んでしまいましたし、あのマリリン・モンローですら、亡くなる前は、世間が求める「アメリカのセックス・シンボル」という虚像に苦しんでいたと言います。 ショーン・コネリーはそんな重圧を自らの勇敢さと努力と強靭な役者魂で跳ね返した人なんだ…と思います。考えたら、007卒業後のキャリアのほうが華々しい。しかも期間も長い。これってスゴイことだよ。007を演じてた時には薄い頭髪をカツラで隠していたそうですが😅卒業後はそれも隠さず、リアルなビジュアルで真っ向勝負(笑)でもじゅうぶん、イケメンだった。

 

  中世修道院で起きた怪死事件の謎を追う『薔薇の名前』、あのオードリー・ヘップバーンと共演して老いたロビン・フッドの滲み出る悲哀を演じた『ロビンとマリアン』、『インディ・ジョーンズ』の考古学教授、『風とライオン』の砂漠の王など印象的な役柄はたくさん思い浮かびますが、やはり何と言っても白眉は、アカデミー助演男優賞に輝いた『アンタッチャブル』(ブライアン・デ・パルマ監督)でしょう❗長年、「危ないことを避けて」平々凡々のパトロール係を続けてきた初老の一警官が、エリオット・ネス(ケヴィン・コスナー)に見込まれて、巨悪のマフィア組織に一世一代の大勝負をかける。そのオトコ気はショーン・コネリー自身にも被って、そりゃもう、胸アツだったもんです😊

 

  英国紳士の典型みたいなボンドで名の売れたショーン・コネリーだけど、その出自はバリバリのスコットランド人。彼はそのルーツをとても大事にしていた人で、英国からのスコットランド独立の是非を問う国民投票が行われた時には、独立派の最先鋒だったと記憶しています。今回英国のEU離脱でまたぞろスコットランド独立の気運が高まっていますが、最近のコネリーはどんな気持ちでいたのかな…。

 

  コネリーに負けないくらい反骨精神旺盛なヲタクの推し、ジャック・ロウデン、やっぱり早々に追悼のツイしてました。「あなたにかかると、我々の母国(ジャクロくんの言うcountryとはもちろんスコットランドのこと)も実際の倍くらいある大国に見えたね」…ってニュアンスかしら❓最近のジャクロくん、文章にまでスコティッシュだから、わかりにくいよ(笑)

 

  コネリーさん、大丈夫❗反骨のスコットランド魂は、英国演劇界においてジャクロくんがしっかり受け継いでくれます😊

 

  ショーン・コネリーよ、007よ、スコットランドよ永遠に。

まさかの映画化❗😮『リトルサブカルウォーズ~ヴィレヴァン❗の逆襲』

f:id:rie4771:20201030062642j:image

  キャッチコピーにある通り、アノ『ヴィレヴァン❗』がまさかの映画化(笑)アノ、深夜ドラマ特有の、欲望を正直に表現してます感、マイナーすぎる笑いのツボ、つまり良い意味での「内輪感、密室感」が映画の大スクリーンでどう表現されるのか❓ヲタクは興味シンシンでイオンシネマにやって来たのでした🏃🏃

 

  映画の感想を述べる前に、この映画のベースになったドラマ『ヴィレヴァン❗』について少々😍「好き」を追求する、国内で初めての「売りたいものを売る、楽しむ本屋」として名古屋で産声をあげたというヴィレッジヴァンガード。所狭しと並べられた商品には、店員さんたちがその個性を最大限に発揮して書いた、ポップと呼ばれる宣伝文句が貼り付けてあります。そしてヴィレヴァンは瞬く間にサブカルの聖地となったのでした。

 

  野球に青春を賭けてきて、部活を卒業したらフヌケになってしまった大学生、杉下(岡山天音)が、何故かヴィレヴァンの奇人店長川上(滝藤賢一)に気に入られアルバイトに採用されます。店長曰く、メジャーカルチャーもサブカルチャーもない、「真っ白な状態」の彼が、文学ヲタクの小松さん(森川葵)や個性的な店員たち(腐女子の今中さん=最上もが、元アイドル岩瀬雪ちゃん=柏木ひなた、 グッズオタクで杉下くんの天敵山本さん=本多力)、なぜか店の片隅に生息している初老のレジェンド店員(平田満)など、強烈で愛すべきキャラたちに揉まれつつ、身も心も(笑)ヴィレヴァンに染まっていくプロセスが、「胸アツ青春熱血コメディ+サブカルワールド」の独特なタッチで描かれていて、大好きなドラマデス😍

 

  さて、前置きが長くなりましたが😅本編の映画のおはなし❤️『リトルサブカルウォーズ~ヴィレヴァンの逆襲』という題名からしてご推察通りスターウォーズのパロディなのですが、「リトル」が付いてるとこが、製作者側の含羞が仄見えて微笑ましい、うん😊

 

  渾身のセールを控え、ポップ作りに徹夜続きの杉下くんは、ある日突然、何故か「サブカルは役立たずの悪で、少しでもサブカル臭のするものは没収される」世界にワープしてしまいます。彼の心の故郷ヴィレヴァンは、整然と同じものが並べられたクリーンなフツーの店になってしまい、愛すべき仲間たちも洗脳されて、定期的に行われる「有害サブカル検閲」に、アルバート・アイラーのお宝レコードやら佐伯一麦の「ア・ルース・ボーイ」をゴミ箱にポイポイ捨てる始末😢

ああっ、澁澤龍彦稲垣足穂も❗や、やめてぇぇぇ~~❗

はっ、す、すみません😅つい個人的な趣味が…(汗)

杉下くんの繰り出す「つんつくつん攻撃」(注・アラレちゃん。本来は人ではなく、う○ちに対する行為=笑)もガン無視(泣)川上店長の店員募集の第一条件だった「カメハメ波が撃てる人」も削除されている悲惨な状況。

 

 そんな狂った世界に、男杉下が勇躍立ち上がるヒーロー物語っす。見ているヲタクは、(杉下くん、私の愛するタツヒコとタルホの為に頑張れ❗)と心の中で叫んだのであります。

 

  その後の展開はネタバレになるので映画を見て頂くとして😅ヲタク的に激しくツボだったのは…。

 

  BLオタクの今中さん(最上もが)の洗脳を解く為、杉下くんと山本さんが「どうしても触れたくない」(ヨネダコウ・作)をお手本に、≒Ⅹ#&$@%…をガチで演じる場面。抱腹絶倒…いやもとい、男同士の愛の切なさが感じられたワ(…ホントか❗❓😅)また、正体を隠し、なぜか女装してコスメ店員をしている川上店長に、隠れキリシタンの踏み絵よろしく、「ノーザンソウル❗」「サザンソウル❗」と次々口撃❓を加える杉下くんに、いちいち「きょわいーーっ」と叫びながらのけ反る滝藤さんの芸の細やかさ😍…やっぱり滝藤さんはサイコーですっ(笑)

 

  言い出したらきりがないのでこのへんにしますが、ドラマを見たことがない人も独立した映画として楽しめるし、サブカルに興味のない人も丁寧な説明の字幕がついているので大丈夫❗

 

もうすぐ上映終わっちゃうそうなので、ぜひ急いで見に行きましょう🏃🏃

  

わかりみがすぎる😍~映画『空に住む』

 f:id:rie4771:20201027185316j:image

   交通事故で突然両親を亡くし、天涯孤独になった直美(多部未華子)が、叔父(鶴見辰吾)が投資用に所有している天空の城のようなタワマンで暮らし始めるところから、このストーリーは始まります。

 

  渋谷や新宿の遠景を遥かに見下ろすそれは、直美がいみじくも呟いたように「まるで空に住んでいるかのよう」。両親を突然亡くしても「なぜか涙が出なかった。四十九日を過ぎても、まだ泣けない」と語る直美。一人娘なのに両親はなぜか彼女に対してあまり関心がなかったようで、そのせいなのでしょうか、昔からボヘミアン的な性格だったらしい彼女は、父親から「雲みたいな子」と呼ばれていたらしい…。

 

  人は所詮、一人で生まれて一人で死んでいく。周りからみたらそれは、寂しい生活なのかもしれないけれど、その、どこにも属さず、ネコのハルだけを相棒に空に浮遊しているような孤独だが自由な生活を直美は、達観とか諦め…というより楽しんでいるように見えるのはヲタクだけ❓😅…自分寄りに考えすぎなんだろうか(笑)ヒロイン役は、こういうどこかコジレた女子の、繊細な心理を演じたら右に出る者はいない、無敵の多部未華子❗(笑)もう、全編彼女の独壇場です。

 

  かようにモノクロームで淡々と続いていくかに見えた直美の生活に、ある日微かに色彩がかかります。ふとしたきっかけで始まった、同じマンションの住人である人気俳優、時戸森則(岩田剛典)との秘め事。それは浮遊する、地を離れた空の上で行われるからなのでしょうか、どこか浮世離れして見えます。

 

  この時戸という人物がなかなかのクセ者でして(笑)刹那的な恋愛を繰り返す快楽主義者で、人の心の隙間にするりと入り込んでくる猫のような男。しかし軽いヤツなのかと思えば存外、暗い瞳の奥には彼独自の人生哲学が仄見えて、変幻する魅力、女性を翻弄してやまないオム・ファタール。岩田剛典の、トム・ヒューズばりのblank eyesがセクシーでクラクラします(笑)

 

  「もう、こんな関係は終わりにしよう」と言いつつも、深いところでどこか共感しあっている二人の関係(本人たちは意識していないのかもしれないけど)が、苦くて辛口、フランス映画みたいでヲタク的には凄く好み😉時戸が、直美の叔母のある行動に激怒する場面があるのですが、それがひいては直美のその後のライフスタイルに大きな影響を与えていくことになります。…人と人との関係は、深く濃密で、長く続くことが是である、という思い込みが私たちにはあるわけですけれども、この映画は、決して声高ではないですが、そういう固定観念というか先入観に対して静かなアンチテーゼを示してくれているような気が…。

 

 助演陣も凄く豪華😮出版社で働く直美の後輩に岸井ゆきの。担当作家(大森南朋)の子を妊娠しながら全て隠してフィアンセと結婚するとんでもない女性の役(笑)しっかし『愛はなんだ』でも然りでしたが、現実にはとても存在しないようなぶっ飛んだ人物像を、ギャグではなくリアルに演じ切れる彼女の力量っていったいどこから来るんでしょうか?

 

  直美とのふれあいの時間は一瞬だけど、彼女にとっては特別な意味を持つ人物に柄本明永瀬正敏❤️うーーん、二人ともサスガの存在感。特に永瀬正敏は、「両親のお葬式でも泣けなかったサイテーなワタシ」と自嘲する直美が、彼の呟く名言に思わず涙する…という、ニクイ男として登場(笑)

 

 必死に突っ走ってきた人生、ふと足を止めて、来し方行く末を振り返ってみる。

深まり行く秋に相応しい一本。

 

 

 

 

  

 

ステロタイプなんかぶっ飛ばせ❗~『ブックスマート』

f:id:rie4771:20201026133134j:image

  黄金町のミニシアター、ジャック&べティで『ブックスマート~卒業前夜のパーティーデビュー』(2019年)。女子二人の痛快青春ムービー❗

 

  卒業前夜のパーティーって言ったらプロム❓ポスター見ると、右側の女子はかなり立派な体格だから、体型にコンプレックスがあってパーティーデビューに悩む話❓でも実は「そんなキミがホントは好きだった」って学園の王子様が現れてプロムのパートナーに…❓今までのステロタイプの青春映画って言ったらそんな感じなんだけど、ノンノンノン(ヾ(´・ω・`)

全然違う❗

それに、白馬の王子様は全く出てこない❗(笑)

今ドキ女子は、白馬を奪ってじぶんの欲望を遂げるのじゃ(爆)

 

ガリ勉の優等生モリー(ビーニー・フェルドスタイン)と社会活動に熱心なエイミー(ケイトリン・ディーヴァー)は、鉄壁の友情を誇る親友同士。モリーは高校生活の全てを生徒会活動と勉強に投げうち、悲願のイェール大学に合格。ところが、トイレでの同級生の会話から(トイレがそもそも男女共用なのがツボ)、イケイケリア充の彼らが実は、軒並みハーバードやらスタンフォードに受かっていたことを知ってしまったから、さあ大変。(ワタシが犠牲にしてきたモノを何食わぬ顔してちゃっかり楽しんできたあいつらが許せない、きーーっ💢)…てなわけで、モリーは嫌がるエイミーを巻き込んで、最初で最後の高校生活の思い出に、副会長の人気者ニック主催のパーティーに殴り込み❓(笑)をかけようと目論みますが…。

 

  何がキモチいいかって、モリーのハンパない自己肯定感の高さですね(笑)一瞬だけ弱気になる瞬間があるんだけど、そんな時は相棒の魂の片割れ、エイミーが「何トボケたこと言ってんの❗あんたは地球最高の人間なんだよ」って、ちゃんとどやしつけてくれる(笑)

 

ひょんなことからドラッグ盛られちゃって😅二人で自分たちがバービー人形みたいなスタイルになった幻覚を見る場面。モリーの「何コレ❓女性を縛るフェミニストの幻想❓手足の比率がおかしいんだけど。脂肪が欲しい脂肪がぁぁぁー」ってセリフに思わず吹き出しました(笑)彼女はパーティーで、同級生たちの、今まで彼女が理解しようとしてこなかった、じつは愛すべきさまざまなキャラを初めて知っていくことになるのですが、相手を真の意味で理解し、愛するためにはまず、自分自身を受け入れ、愛することが大前提なのだと、この映画は笑いの中にそっと教えてくれるのです。またね、登場人物たちの描き方、ことごとくこちらの思い込みというか固定観念の裏をかいてくれて、そこが愉快爽快です😉…そして、今までアメリカの青春映画につきものだった、ステロタイプのヒールも出てこない❗

 

  勉学&社会奉仕活動一直線のマジメ子ちゃんでクラスメートとの交流が皆無だった二人は、まずもってパーティーの場所がわからない😅電話をかけても、(どーせ生徒会の用事だろう)と思うのか、誰も出てくれない(悲しいね=笑)あってあらゆる方法を駆使して目的地にたどり着こうとする二人。この女同士のバディ、まるで『テルマ&ルイーズ』、青春ロードムービーの味わい❤️女の味方はやっぱり、女よね(笑)

 

  人種もジェンダーも軽々と飛び越える柔軟なリベラリズム、真の意味の「個」の尊重、社会参画の意識の高さ…。この映画に登場するアメリカの若者たちは誰も彼も非常に魅力的です😍彼らが高校を卒業し、大学に散っていって、アメリカの中枢でそれぞれの夢を実現したとしたら…。

 

  (これが初監督作とは信じられない)ツボを押さえた職人芸、オリヴィア・ワイルド監督が願いと祈りを込めて描き出すアメリカの未来は、限りなく明るい😊…たとえそこに至るまでに想像を絶する困難があったとしても。

 

  

 

 

Netflix新着『レベッカ』~ヒッチコック版と見比べる楽しみ♥️

Netflixオリジナルドラマ『レベッカ』配信開始~🎵
f:id:rie4771:20201022082416j:image

  原作は英国の作家ダフネ・デュ・モーリアの同名の小説。時は第二次世界大戦前の1930年代後半。ヒロインの「わたし」は、コンパニオン(当時富裕層の老夫人が一人で旅行する場合、付人として若い女性を雇う場合が多かった)として富裕な未亡人について旅行中、英国貴族の御曹司マキシム・デ・ウィンターに見初められ電撃結婚。豪奢な居城マンダレイで新生活を始めたものの、彼の前妻レベッカは海で謎の死を遂げていた。妻の死をいまだに受け入れていないように見える夫。城のそこかしこに残るレベッカの影。使用人たちの間でも、類い稀な美貌と才気を誇ったレベッカはまだ「生きていて」、あからさまにレベッカと比較され、冷笑される「わたし」。はたしてこんなわたしを、夫は本当に愛してくれているのだろうか?それとも…。

 

  ヒッチコック版との最大の違いは何と言ってもヒロインのキャラ設定でしょう。ヒッチコックは真性のサディストですからね😅好みの女優さんを映画の中とは言え、虐め苛む悪趣味(笑)いかにも薄幸そうな美貌の持ち主ジョーン・フォンティーンを、召し使い頭のダンヴァース夫人(ジュディス・アンダーソン)がまあ、イジメることイジメること😅同じ原作者の『鳥』では、ブロンド美人のティッピー・ヘドレンを大量の鳥につつかせたヒッチコックですが、『レベッカ』の心理的イジメも負けず劣らずキツいわよねぇ😅

 

  ところが一方、Netflixの我らがヒロイン、リリー・ジェームズ(戦う「シンデレラ」や、「戦争と平和」)はヤラレっぱなしぢゃ、ありませんぜ。ドラマの中の「ある事件」をきっかけに、「わたし」は妻として女性として大きく変わっていくのですが、Netflix版では「わたし」の変化に焦点を当てているような気がしました。

 

何が潜んでいるかわからない歴史あるお城。ヒロインがそれにまつわる秘密と陰惨な過去に苛まれ、不安と恐怖に追いつめられるという原作の雰囲気を残しつつ、新たなヒロイン像を作り上げた、「ネオ・ゴシックロマンス」の味わい❤️

 

  Netflix版はもちろんカラーなので、二人が出逢うモンテカルロや英国の海岸の風景が目を奪うほど美しい😍その代わり、ゴシックあるいはサイコサスペンス感は少々薄れていて、「恐怖の盛り上がり」という点では、モノクロで古城の薄暗がりがめちゃくちゃ怖かったヒッチコック版が一歩リードかな😊

 

 陰険でずる賢く、ヒロインにモラハラの限りをつくすダンヴァース夫人。ヒッチコック版のジュディス・アンダーソンは、能面のような無表情、モノに取り憑かれたような狂気の眼でどこか人間離れしたヒールに徹していましたが、Netflix版のクリスティン・スコット・トーマス(直近ではチャーチル首相(ゲイリー・オールドマン)の妻役など)は、その行動全てが亡くなったレベッカの愛ゆえ…という点でヒッチコック版よりかなり人間味があります。「わたし」に対する冷たい憎しみに、愛する女主人を失った哀しさを微かに滲ませて、サスガの演技力でございます😊リリー・ジェームズとは、『ウィンストン・チャーチル』で共演済みなので、演技の息もピッタリですね😊

 

  そしてそして、謎めいた英国貴族、マキシム・デ・ウィンター役のアーミー・ハマー。キャストを聞いた時は、典型的アメリカンタイプの彼が英国貴族❓ってチラッと思いましたが、いざ見てみると、生来のおぼっちゃまくんである彼の、育ちの良さや鷹揚な雰囲気が案外ぴったりでした❗演技力…って言い出しちゃうと、英国の至宝とも言うべき伝説的シェイクスピア俳優、ローレンス・オリヴィエ卿(ヒッチコック版)と比べたら、アーミーがかわいそすぎるから何も言わないわ(笑)

 

  結論❗ヒッチコック版もNetflix版もそれぞれ独自の魅力があるので、思いきって両方見ましょ🎵(笑)
f:id:rie4771:20201022093357j:image

 

こんなパリなら暮らしたい😍~Netflix『エミリー 、パリへ行く』

f:id:rie4771:20201018173645j:image

 いやー、このドラマに登場するパリ、「花の都」と形容するに相応しいゴージャスな美しさ。どんなやり方したらこんなふうにキレイに撮影できるん❓ゴミはどーした、犬のフンはどこに行った❓(笑)

 

  ベルギーに住んでいた頃、何度かパリには家族で遊びに行きましたが、スリやサギに遭いそうになるわ、またある時はメトロに乗っていたら真っ黒いマントを着たお婆さんが、死んだニワトリの首を持って乗り込んできて、まだ幼かった次女が恐がって泣き出すわ…で、あんまり良い思い出なし(笑)凱旋門のロータリーはみんなビュンビュン飛ばしてて私たちみたいなオノボリさんは全然入れないし😅やっと駐車場に入れたと思ったら、出る時に急坂すぎてタイヤが空回りしてなかなか上れなかったし(設計、どーなってんのよ(*`Д'))

パリを舞台にしたフランス映画は大好きなんだが(笑)

 

  Netflixのオリジナルドラマ『エミリー、パリへ行く』。シカゴのマーケティング企業で働いてるエミリー(リリー・コリンズ)は、合併吸収の対象になっているフランスの企業で働くことに。憧れの都、パリ😍しかし、フランス語を話せないエミリーは、オシャレで仕事ができて意地悪で(笑)典型的なパリジェンヌの上司(フィリピーヌ・ルロワ・ボーリュー)からはハナからバカにされて相手にされず😅同僚たちからも冷たい視線…。近所のパン屋のオバサンにすら、フランス語の発音がなってないと直される始末😅それでもターミネーター並みにメゲない、100%ポジティブなアメリカンガールのエミリー(ヲタクみたいに、「どーせパリから愛されてないのよワタシ」なんて言ってヤサグレたりしない😅)が、SNSをフル活用、斬新なアイデアを駆使して次第にキャリアアップしていくおはなし❤️

 

  リリー・コリンズが小柄で細くて、このドラマの、少女マンガ的な展開にピッタリです😃フランス人の同僚との丁々発止のやり取りも最高🎵先日見たエピソードでも「アメリカ映画は必ずハッピーエンドだろ❓ウソ臭いんだよね。フランス映画は違う。やっと落とした彼女が実はレズビアンだったとかさ。リアルってそんなもんだよな」とか、映画ヲタクとしてはあるあるで、思わず吹き出しちゃいました😅少女マンガ的な展開にしてはなぜか下ネタも満載、キャリアアップを目指すエミリーと、生きる為に楽しむ為に働くフランス人の同僚たちとの仕事観の違い(「シャカリキに働くなんて罰ゲームみたい」なんて発言にはさすがにビックリですが)など、海外転勤先の職場のリアルもなにげに織り込まれていて◎❗

 

  少女マンガには王子様役が必須ですが、エミリーのアパート(築100年❗)に住むフランス人のシェフ、ガブリエル(ルカ・ブラヴォー)が超イケメン~~🎵生粋のパリッ子ではなく、フランスの田舎からパリに憧れて出て来た青年の役で、アメリカから来て苦労しているエミリーのキモチにも共感してくれる設定で、超イケメンな中にもどこか、良い意味で野暮ったい、素朴な雰囲気を漂わせているとこがまた、いいんですよね😊新人の俳優さんみたいだけど、これから人気出そう。大富豪の親に反抗してパリに来た中国人のミンディ(アシュレイ・パーク)との「異邦人同士の会話」も楽しいし、あっという間に10エピソード見終わっちゃいます(笑)1つのエピソードの時間が30分程度なので、何かの合間にさくっと見れちゃうのも魅力❤️

 

  第2シリーズ期待したいけど、今またパリはコロナ禍で大変なことになっちゃったから😭どうなることか…。安心して撮影できる時がパリに、世界に、早く訪れますように。

 

 

  

 

  

 

  

 

 

 

  

珠玉の作品『テロルンとルンルン』&小野莉奈さん舞台挨拶


f:id:rie4771:20201017155059j:image

『珠玉の作品』…ってよく聞く言葉ですよね😊立派で美しいものを表していることは間違いないんですが、それは例えて言うなら、真珠など小さな宝石を指すのであって、大作や長編には使わないそう😮そっか…。珠玉の長編って聞いたことないね😅だとしたら、キノシネマみなとみらいで今日初日を迎えた映画『テロルンとルンルン』は、まさに珠玉の短篇あるいは小品と言えるでしょう。

 

  突然難聴になってしまった少女瑠海(ルンルン。演・小野莉奈…セリフでは語られていないけど、彼女が普通高校に通っていて、彼女の症状に周囲がまだ慣れず、戸惑っている様子を見ると、そのように推察できる)。周囲に心を閉ざし孤立している彼女は、ふとしたきっかけから、寂れた町工場に引きこもって日用品の修理を細々と続けている青年類(テロルン…演・岡山天音)と知り合う。彼の父は一人息子を喜ばそうと自分で花火を製造し、それが誤って爆発した為に亡くなってしまった。一歩間違えば大惨事になりかねなかった為か、小さな町の住人たちの驚きと怒りは、不条理且つ無慈悲にも残された息子類に向かい、いまだに工場のシャッターには次々と心ない落書きが書きなぐられる日々…。

 

  苛酷な状況に置かれてはいるけれど、瑠海にはまだ生きる意欲と希望が残ってる。当初自分と全く目を合わそうとしない類の、厚いカーテンを引いた窓を力いっぱい叩き続けてとうとう根負けさせる根性がある。ビッチな同級生に負けずに殴りかかるガッツも持ってる(笑)だけど類は、父の死、それに続く周囲の人たちの差別や酷い仕打ちに、心を喪いかけてる。生きることを諦めかけてる😭そんな時、瑠海が、壊れたオモチャを彼のところに無理やり置いていった。「絶対直せよ。直ったら連絡しろ」のメモとともに…。

 

  そのオモチャは、ルンルンがテロルンに投げた、彼と外界をつなぐ、一本の細い、細い、クモの糸。さあ彼は、その細い糸をどうするのだろうか…❓

 

もう、もう、岡山天音くんがサイコーです❗なんて繊細で深い、心に沁みるお芝居をする人なんだろう…。

  その柔らかい笑い声、表情、走り方…広島の海辺の町の片隅に、類という心優しい青年はきっと、暮らしているに違いないと思える。

 

 上映時間は49分。若い二人の、青春のある一時を切り取って映像化するのに、まさに絶妙な時間。そしてまた、全編を流れる日食なつこさんの『Vapor』という主題歌が、類の心象風景と作品のテーマを素晴らしく的確に表現しています。"hide in the vapor from the pain…"(痛みから逃れて、霧の中に身を潜めるんだ)という歌詞が、この記事を書いている今も、ヲタクの頭の中に鳴り響いています(笑)

 

☆小野莉奈さん舞台挨拶

  2年前の撮影時は実際に高校生だったそうですが、今はすっかり大人の素敵な女性に😊いやー、お年頃の女性の2年間はスゴいものがあるなぁ(笑)

 

  『テロルンとルンルン』が女優としての初デビュー作だったそう。1週間の撮影中、岡山くんとはほぼ会話なし。ただ、最終日にあちらから突然話しかけてきて、(あ、こんなに明るい人だったんだ)って思ったそう😅小野さんは「役に入り込まれる方なのかも」とおっしゃっていたけど、それって単なる人見知りなんぢゃ…(笑)

 

  作品の中でも重要な場面、二人が心通わせる町工場の窓ごし。真冬の撮影でそれはそれは寒かったとか(あー、ほぼ制服姿だったものね😅)「女優って寒い仕事なんだと思いました」って…可愛い😍

 

  聴覚障害の役なので殆どセリフはないのですが、強い意思を秘めた澄んだ瞳と、凛とした孤高の佇まいが強烈な印象を残すルンルン。これから楽しみな女優さん、期待してます❗

美しき陰翳の魔術~映画『スパイの妻』

f:id:rie4771:20201016151852j:image

 桜木町駅前のブルグ13にて、『スパイの妻』(黒沢清監督)鑑賞。NHKの8K放送で6月に放映されたドラマの劇場版。我が家のTVでは8Kは受信できず、口惜しい思いをしたものですが、今日見終わって、この作品のスケールの大きさを考えれば、やはり、映画館のスクリーンで見ることができて良かった、と思った次第。

 

  舞台は神戸、時は1940年、日独伊3国同盟が結ばれ思想の自由が次第に奪われ、戦争の暗雲が日本全土を覆い始めた不穏な時期から、1945年の終戦まで。神戸で生糸を輸出する商社を経営する有能で優しい夫・優作(高橋一生)の庇護のもと、何不自由のない幸せな生活を送っていたはずの妻・聡子(蒼井優)。戦争が起きなかったら、彼女の幸せはずっと続いていたことでしょう。ところが、商機を求めて夫が当時の満州国に外遊したことをきっかけに、夫婦の運命の歯車は大きく狂い始めます。満州から帰国してからの夫は、すっかり人が変わってしまった。そして自分には黙っているが、秘密裡に美しい一人の女性を満州から連れ帰ったようだ。夫が抱える大きな秘密。妻は疑心暗鬼に苛まれ始め、それはのちの悲劇の幕開けとなった…。

 

 戦争は、人が大事にしていたものを全て変えてしまう。いや、変わったのではないのかもしれない。元々夫婦の間にあった見えない溝が、亀裂が、人生や社会に対する考え方の決定的な違いが、戦争という大きな熱風によって、あぶり出されただけかもしれない。夫ばかりでなく、純情で朴訥な少年であったはずの幼なじみ・津森(東出昌大)さえも、憲兵分隊長となった途端に、思想犯を平然と拷問するような冷徹さを露わにし始める…。

 

  夫の秘密を知り疑心暗鬼になりながらも、「愛」という名のもとに夫にすがり、夫をじわじわと追い詰めていく蒼井優の鬼気迫る感じ、外見がいかにも天真爛漫で少女のような風情なんでよけい怖い~😅また相対する夫、高橋一生の、一見優しそうに見えて目が笑ってない、時折ひんやりした何かを感じさせる演技が役にぴったりで、東出昌大の、忠国と大義に取り憑かれた眼差し、無言の威圧感を感じさせる軍人の佇まいもしごくリアルです。この三人の息の合った演技のアンサンブルはお見事❗

 

  テーマは重苦しく、結末は皮肉で苦い後味ですが、それに反して、スクリーンを彩る映像のそれはそれは美しいこと。ああ、この光と翳の美しさは、その昔谷崎潤一郎が随筆「陰翳礼讚」の中で讃えた美そのものだ…と感動しました。谷崎は、光の届かない薄暗がりにこそ美は存在するとし、幼い頃、暗い書院や床の間の闇に言い知れぬ畏れと寒気を覚えたと語っていますが、今ではすっかり廃れてしまった日本古来の陰翳の美。中国ヌーベルバーグの映像作家たちの極彩色の光と影とも違う、ブライアン・デ・パルマのそれともまた違う奥ゆかしい美しさを、黒沢監督は見事にスクリーンに蘇らせてくれた❗

 

  この作品の大きな謎、ミステリーは、夫の心そのもの。夫は何を目論んでいるのか❓夫は本当にスパイであり売国奴なのか❓そして妻である私を今でも変わらず愛してくれているのか❓私たち観客は、蒼井優とともにもどかしさでジリジリしながら、夫の表情からその真意を必死に読み解こうとするのですが、悲しいかな、肝心な場面で夫の表情は逆光や闇に埋没してはっきりとは判別できません。監督の心憎い演出によって、私たちはますますミステリアスな迷路に踏み込んでいくのです。(夫・優作に心酔する甥っ子が聡子に向かって、「あなたは今まで叔父さんの何を見てきたんです?何も見てはいない❗」と、執拗に繰り返しますが…)

 

 「 夫婦なんだから秘密は持たないで。私に全て話して」と迫る妻に、夫の顔が光と翳の真っ二つに割れる場面。「僕は君に嘘をつくようにはできていない。だから何も聞いてくれるな」という夫。幼い谷崎が日本家屋の暗闇に畏れと寒気を覚えたという、全く同じ感覚を、その時ヲタクは感じたのです。人間の持つ二面性、心の奥底に潜む光と闇。

 

 それは、 映画史に残る名場面の一つと言っても、過言ではありますまい。

久しぶりのジャック・ロウデンニュース❗~初プロデュース作ついに公開


f:id:rie4771:20201015145212j:image

 何ヵ月ぶりだよぉぉぉ~😭ジャクロくんの「お仕事」の話が書けるの。前回は8月末に、ただいま交際真っ最中のシアーシャ・ローナンとのラブラブぶりについて書いたんだっけ(笑)二人とも大好きな俳優さんだし、二人の映画への情熱もリスペクトできるし、ヲタク的には理想のカップルだからオールオッケーだけど…やっぱり推しに関してはプライベートよりお仕事について書きたいので、もー、嬉しい❗

 

  映画愛が高じて、お友だちと映画プロデュースの小さな制作会社を立ち上げたジャクロくん。今回の作品『Kindred(血族)』は、その記念すべき初プロデュース作品。(撮了時には『CORVIDAE』(カラスの一種)という題名でしたが、変更されたんですね)愛する人の赤ちゃんを身籠り、二人で夫の実家を訪れる途中、凄惨な事故でその愛する彼を失った女性シャーロット(タマラ・ローレンス)。夫の母親(フィオナ・ショウ)は、そのまま実家に残って出産するようシャーロットに勧める。実家には、夫と腹違いの兄弟(ジャック・ロウデン)も同居していた。…が、次々と不審な出来事が彼女の身の回りに起き始める。元々デリケートな神経の持ち主だった彼女は、次第に精神的に追い詰められていき…という、サイコホラーであるらしい😊

 

  主演のタマラ・ローレンスは、英国植民地を舞台にしたドラマ『The long song』で農園主を演じたジャクロくんと禁断の恋に落ちる黒人奴隷役を演じた女優さん(…けっこう、激しいラブシーンがあったらしい😅)。義母役のフィオナ・ショウは、ジャクロくんが「英国で一二を争う素晴らしい女優」と絶賛する演技派。下に掲載した批評の中でも、三人の演技のアンサンブルが素晴らしいと書かれてますね。

 

  全米での配給は決まったみたいなので、このブログを読んで下さっているアメリカにお住まいの方で興味ある方がいらっしゃいましたら、ぜひ😅

 

  欧米では、ある程度キャリアが確立されると制作側に回って映画業界全体に貢献したり、若い人たちの育成に力を注ぐ俳優さんが時折見受けられます。そういう姿勢そのものを含めて評価されることが多い。ジャクロくんも映画制作の他に、ボランティアで俳優を目指す若者のワークショップに講師として参加したり、業界の発展の為に精力的に活動しています。

 

 ジャック、あなたのそんな生き方が好き😍


You can’t run from family in the psychological thriller Kindred