オタクの迷宮

海外記事を元ネタにエンタメ情報を発信したり、映画・舞台・ライブの感想、推し活のつれづれなどを呟く気ままなブログ。

夢幻の世界から凄惨なリアルへ〜『雨の中の慾情』(東京国際映画祭)


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 ヒューマントラストシネマ有楽町にて、東京国際映画祭正式出品作品「雨の中の慾情」(監督・片山慎三)鑑賞。

 

 作品の主人公は、貧乏漫画家の義男(世の趨勢に逆らって売れない漫画を描き続けている設定は、もちろん原作者であるつげ義春の投影でしょう。演じるのは、成田凌)。彼は貧しい人々の住む吹き溜まりのような「北町」の、今にも壊れそうな古ぼけた家に住んでいます。怪しさムンムンな(笑)大家の尾弥次(竹中直人)は、なぜか義男に小説家を名乗る伊守(森田剛)という男を引き合わせます。2人はある日、離婚したばかりだという福子(中村映里子)という女性の引っ越しに駆り出されます。白い胸元をちらつかせながら艶然と微笑む福子に、一瞬で義男は心を心奪われてしまいます。一方、何とか小説家として売れたい伊守は、北町のPR誌を発行して、自作の小説を掲載するという企みを思いつきます。またもやその手伝いに駆り出される義男。そんなある日、広告代理店の男に資金を持ち逃げされ、すかんぴんになった福子と伊守が義男の家に転がり込んできます。男2人、女1人の奇妙な同居生活が始まりますが……。


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 当初登場する地名や、どこの国とも特定できない風景、かなりぶっ飛んだ登場人物のキャラ設定や行動、脈絡のないストーリー展開からして、我々観客はおそらく主人公の妄想あるいは夢の世界の中で彷徨っているのだろう……と、最初から容易に想像はつきます。

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※義男の想い人、福子(中村映里子)。妖艶な中に、どこか母性を感じさせる女性。

 

 しかし映画の大半、「夢か現か幻か」ノスタルジックな異世界に揺蕩っていた私たちは、ラスト近く、極めて残酷で過酷な現実世界にいきなり突き落とされるのです。ヲタク的には、その衝撃があまりにも大きすぎて、上映が終了して1時間以上経った今も、かなり引き摺ってます(^_^;)てっきり、ビー・ガン監督の「凱里ブルース」や「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」みたいな作品だと思って、たまにニヤニヤしながら見ていたものだから……。(けっこう、コミカルな場面があるんですよ)まあでも、さすが「岬の兄妹」(2018)の片山慎三監督だよね。「岬の〜」の時は最初から最後まで凄惨なリアルをこれでもかと見せつけられて、しまいにはヲタク、スクリーンから目を背けたくなったけど。

 

 ヲタクはつげ義春の原作は未読なので、片山監督が原作を忠実に具現しているのか、はたまた一つの映像作品として新たな世界を創り上げているのかはわかりませんが、現実(と覚しき)出来事の数々が、主人公の義男の夢の中でどのように歪曲されているのかを分析してみるのが、ヲタク的にはけっこう楽しかったですね。まるで、大学時代に読んだフロイトの著書「夢判断」のおさらいをしているみたいだった(笑)義男の幻想には、フロイトのリビドー説よろしく性的なイメージが繰り返されるのですが、彼の現実の姿を見た時に、初めてそのナゾが解けるしくみ。

 

 成田凌森田剛中村映里子、3人の演技巧者のアンサンブルが素晴らしく、作品世界に私たち観ている者をぐいぐいと引き入れてくれました。特に成田凌はなんであんなに色っぽいんですかね。マツコ・デラックス斎藤工を「顔面性器」って評したのは有名な話ですけど、ヲタクに言わせりゃ成田凌のほうがよっぽど…℃⇐№↸&✯☆✕@#$『(笑)

 

 

 

 

これは、反戦映画です〜「フィリップ」(ポーランド)


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 U-NEXTにて、ポーランド映画「フィリップ」(2023年)鑑賞。

 

 1941年、ポーランドワルシャワのゲットー(第二次大戦時、特に東欧諸国でユダヤ人が強制的に隔離・居住させられた区域。強制収容所もそれとみなされる)にしつらえられた舞台で、恋人サラとコンビを組んで愉しそうに踊るフィリップ(エリック・クルム・ジュニア……フィリップとは、彼のフランス人としての偽造身分証明書上の名前なので、ポーランド名はわからない……)。しかしそこにナチスゲシュタポが突然乗り込んで来て銃を乱射、恋人も家族も皆殺しにされ、一瞬にして彼は天涯孤独の身になってしまう……という衝撃の幕開け。その時舞台の袖にいて、辛くも難を逃れた彼は、偽造の身分証でフランス人になりすまし、イタリアやオランダ、ベルギー、チェコスロバキア出身の青年たちと共にホテルの給仕係として働くようになりました。ドイツ人の若者たちは殆どが前線に送られ、労働力を移民に頼らざるを得ないのが当時のドイツの現状でした。彼は、夫が戦地にいて肉体を持て余すナチスの高官夫人を誘惑しては、事が終わった後に侮蔑的な言葉で彼女たちを辱めるというゲームに興じ、※復讐心を満たしていましたが、研究所で働く純粋なドイツ人女性リザ(カロリーネ・ハルティヒ)に出逢ったことで彼の荒みきった心に変化が起き……❗️

ナチス政権下、ドイツ人女性が外国人と恋愛することは「民族の純潔を汚した」と見なされ、髪を切られ屈辱的な処遇を受けました。相手の男は死刑の対象にもなり、フィリップにとっても命を賭けた危険なゲームだったわけです。


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※何しろ主人公の青年フィリップを演じるエリック・クルム・ジュニア、フェロモン出しまくりで(^_^;)ナチスの高官夫人たちが軒並み彼に夢中になるのも納得(笑)重くシリアスなテーマを内包する一方で、官能的なタッチの、不思議な魅力を持つ作品になっております。

 

 

 公式HPには、「フィリップが復讐から一転愛に目覚め、困難な時代でも心を自由にして生きていく姿を描く」「愛と再生の物語」とあります。

 

しかし、少なくともヲタクはそうは思わなかった。

 

 

……確かに途中まではそうだった。彼のリザへの愛は本物だったし、彼の仲間のフランチェスコと一夜を共にした為に「売春婦」の烙印を押され、街から追放される恐怖に慄くドイツ人女性に、「君は凄い。この狂った世界の理不尽さと堂々と戦ってる」と励ます優しさも持ち合わせていた。しかし、再生しかけていた彼の心は、無二の親友だったベルギー人の同僚が、たった1本のホテルのワインをくすねた罪でゲシュタポに銃殺されてから、もう完全に破壊されてしまったのよ……😭

 

 そうでなければ、ラスト、パリへ逃亡する時、ユダヤ人とわかった後も純粋に彼を愛してくれたリザに別れをつげたこと、そしてホテルの天井から、パーティに興じるナチスの高官やその家族を無差別に撃ち殺したことの説明がつかない……。最初に彼の銃弾で倒れたのは、たぶん子どもだった。映倫上の問題なのか、チラッと倒れた足が一瞬映っただけだったけど。あの無差別乱射の時点で、最も憎むべき対象であった筈のゲシュタポと「同じ穴のムジナ」になってしまったことに、果たして彼自身気付いていたのだろうか。


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※ヒロイン・リザを演じるカロリーネ・ハルティヒの清楚な美しさが印象的。若い頃のウィノナ・ライダーに似てるね。

 

 でもだからこそ、この作品は素晴らしい、とヲタクは思う。最近でも「関心領域」をはじめとしてナチスの極悪非道さを描いた作品はごまんとあるけど、ナチスが、いや戦争そのものが、どれだけ多くの人々の命はおろか人としての魂まで奪ってしまうかをつぶさに描いた作品は、そう多くない。ラスト、パリ行きの列車に乗る人の列と、前線に送られる若いドイツ人兵士の列が二手に分かれていく駅の情景も非常に衝撃的。

 

 そういう点から見ても「フィリップ」は、人を差別することの愚かさ、虐げられ続けた者には憎しみや復讐心が植え付けられ、暴力の連鎖は果てしなく続いていくという戦争の恐ろしさを描いた、立派な反戦映画だと、ヲタクは思うのです。

 

……しかしこれが、実話に基づく作品だと言うのが凄い。……恐ろしい😭

 

 

 

 

虚と実を巧みに織りなした名作〜映画『八犬伝』


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 相鉄線ゆめが丘駅直結のシネコン「109シネマズゆめが丘」にて、キノフィルムズ製作の映画「八犬伝」鑑賞。

 

 28年もの年月をかけて超大作「南総里見八犬伝」を完成させた作者・滝沢馬琴役所広司)の苦節の生涯に、彼が描出したファンタジックな物語世界を入れ子構造にして描く……という、山田風太郎の奇想天外な原作を、素晴らしいキャストと最新のVFXで見事に映像化した制作陣に乾杯❗️

 

 ヲタクは小学生の頃、偕成社の少年少女文学全集で「南総里見八犬伝」を読んで以来八犬伝ファンで、NHK辻村ジュサブローの人形劇「新八犬伝」も夢中で見てたし(クラスの同好の士と、「我こそはァァ、玉梓が怨霊ォォォ」ごっこで遊んでたし(^^ゞ)、1983年の映画「里見八犬伝」も観ております。(真田広之千葉真一が八犬士役で師弟共演したんだよね……)山田風太郎の原作は読んだことがなく、馬琴のことは、「長い年月をかけて、両目失明という悲運に見舞われながらも作品を書き上げた執念の人」くらいの認識しかなかったから、当時の文筆家や芝居事情、お江戸の市井の様子がうかがえて、本当に勉強になりました🙏

 

 特に、性格は真逆なれど、同じ芸術家同士という絆で深く結ばれる葛飾北斎内野聖陽…飄々としたユーモア溢れる演技が素晴らしい)との交友、虚弱体質で早逝してしまう一人息子(磯村勇斗)への不器用な愛情表現等など、役所広司の味わい深い名演もあって見どころがたくさん。馬琴の妻役の寺島しのぶ、嫁役の黒木華など、日本演劇界の芸達者たちが勢ぞろい。

 

  ……しかし何と言ってもヲタク的にインパクトのあるシーンは、江戸時代の戯作者として馬琴に匹敵する人気を誇った鶴屋南北と馬琴との「戯作談義」でしょう。あの「四谷怪談」で、人間の奥底に潜むドロドロした悪や欲望、執着や復讐心をリアルに描き切った南北。そのまま歌舞伎として上演しては幕府の許しが出ないのでは……と、「忠臣蔵」に挿入して上演するという奇策に出ます。芝居小屋の奈落の底で、南北が馬琴に向かい、「あなたの書いている勧善懲悪の世界はまがい物だよ、ウヒヒ」と断罪する場面は、南北を演じる立川談春の迫力も相まってゾッとするほど恐ろしい。「四谷怪談」よりよっぽどコワイ(笑) この作品の中で助演男優賞を選ぶなら、ヲタク的には談春さんに差し上げたいですねぇ。南北のその時の言葉は馬琴の心に墨のような翳を落とし、彼を苦しめますが、そんな時渡辺崋山の「私はずっとあなたの「八犬伝」に励まされてきました。正義は虚であっても、貫けば実(じつ)になる」という言葉に励まされるシーンも胸に染みました。(……映画には描かれていませんが、後年華山は無実の罪で蟄居させられ、藩に迷惑をかけることを恐れて切腹するという非業の死を遂げます。彼なりの正義を貫いた結果が切腹とは、悲しすぎる……😭)


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※眉目秀麗な八犬士たち。それぞれのキャラが際立っていて素晴らしかった😻

 

 ベテラン俳優、演技巧者が織りなすお江戸のリアルワールドから一転して、「八犬伝」の虚の世界は、どこまでも清く正しく美しく……。いや、清く正しくない、悪役であるはずの玉梓(栗山千明)や扇谷定正(塩野瑛久)、船虫(真飛聖)ですら、美男美女揃いでうっとり(笑)



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※「八犬伝」のファンタジックワールドでひと際光を放っていたのが、何と言っても犬坂毛野役の板垣李光人くん(上)1983年の「里見八犬伝」では、志穂美悦子さんが演じててガッカリした覚えがあるんだよね(^^ゞ「女装の麗人をモノホンの女が演じてどーする❗️安直過ぎるだろ」ってツッコミたくなったわ(笑)それに比べて今作は、まるで原作から抜け出たよう。眼福なり。また、玉梓の怨霊に操られ、里見家を滅ぼそうとする悪徳関東管領扇谷定正に塩野瑛久(下・右……一条天皇(「光る君へ」とは真逆の役柄で、最初誰だか分からなかった(^^ゞ)。毛野を見つめる視線がギラギラしてて◎(笑)

 

 鶴屋南北さん、虚の世界を清く正しく美しく描いて何が悪いのよ❗️この現実世界は「悪い奴ほど良く眠る」、どうにもならない処だなんて、誰でも知ってる。でも、だからこそ、小説やマンガや映画を観ている間だけでも、世界のどこかに、ひょっとしたらそんな美しい場所があるかもしれない……って夢を見たいんじゃない。

 

 そしてそしてラスト、艱難辛苦の中で「八犬伝」を書き切った馬琴が、結局は「書く」という行為により、彼自身の魂が救済されていたことを示す、まさに華山の言う通り、「虚も貫けば実となる」美しいシーン。虚と実の世界を巧みに織りなし、観ている私たちに様々なことを訴えかけてくる映画「八犬伝」。キノシネマでよくティザーを観ていたので限定上映かと思っていましたが、全国展開みたいですね。一人でも多くの人に観てもらいたい名作です❗️

 

★今日の小ネタ……歌舞伎「四谷怪談

ゴージャス過ぎるキャストの面々がこれでもか、とばかりにバンバン登場する映画「八犬伝」。馬琴と葛飾北斎鶴屋南北の歌舞伎「四谷怪談」を観に行くシーンがあるのですが、なんと伊右衛門を演じているのが中村獅童(七代目市川團十郎役)でお岩が尾上右近(三代目尾上菊五郎役)❗️作中劇もずっと観ていたかった……(笑)


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まさかのトップバッター〜Number_i in WOWOWサマソニ


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 待ってましたよ〜〜〜、この日を❗️❗️❗️

チケット買ってあったのに仕事の都合で泣く泣くリセールに出し、当日のリアルタイム放送にも間に合わなかった痛恨のサマソニ

 

 ワンリパの「I ain't worried」で始まった本日のダイジェスト総集編、我らがNumber_iがまさかのトップバッター❗️いきなり心臓止まりそう(笑)

 

 放送されたのは「FUJI」、「BON」、「GOAT」、「INZM」。錚々たる出演者の中、4曲も披露されたのはいかに彼らの人気が高いかの1つの証明でしょう。紫耀くんとジンくんが「ぷちょへんざー」って煽ってたから、ヲタクもTVの前で「ぷちょへんざー」で一緒に歌って踊ったよ😉デビューして8ヶ月という短期間で、どれを選んでもシグネチャーと呼べるような曲ばかり、そしてそのそれぞれがどれ一つとっても似たようなものはなく、際立って個性的🙀

 

 灼熱の太陽の下、全力で歌って踊るNumber_iを見ていて、ヲタクはまた彼らの魅力を再認識しましたよ。熱い、とか、一生懸命なという形容詞が、「ダサい」「カッコ悪い」と言われ、斜に構えたクールさが持て囃されがちな昨今、全力疾走感を隠さない彼らの楽曲への向き合い方がホントに潔い。特にヲタクみたいな昭和世代の人間には刺さるんだよね。彼らには、熱くて爽やかな千葉の海風がよく似合う。

 

 その場にいれなかったのは悔しいけど、WOWWOWのカメラが彼らの視点でマリンスタジアムの満員の客席を映してくれたのは良かった。同じリズムで天高く突き上がる拳、怒涛のようにうねる人、人、人の波……。(こんな素晴らしい景色を彼らは見ることができたんだ❗️)感動で背中ゾクゾクした。アリーナの前方列で拳を突き上げていたのはきっとiLYsのみんなだと思うけど、過酷な暑さの中、アウェーと囁かれる会場でそれは、どれだけ3人の力になったことでしょう。Number_iを支えるファンダムの力って、やっぱり凄い。

 

 それにしても収容人数35,000人と言われるマリンスタジアムを、スタンドのてっぺんまで満杯にできるアーティストって、海外にも日本にもそうそういない気がするなぁ……。

 

 Number_iが、確実に日本を代表するアーティストへの道を進みつつあることを、如実に証明してみせたサマソニ2024でした❗️

 

 

 

 

 

 

大人の上質な心理スリラー〜AppleTV「ディスクレーマー 夏の沈黙」1話〜4話


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 AppleTVでドキドキしながら「窓際のスパイ」シーズン4を見終わって、寂しいなぁ……と思っていたら、息つくまもなくアルフォンソ・キュアロン監督(Netflix「ROMA」)の新作「ディスクレーマー 夏の沈黙」が配信開始❗️

 

これがもう、むちゃくちゃに面白いんですよ❗️

 

 ケイト・ブランシェットが主演だって聞いてたんでそのつもりにしていたら、なぜか冒頭、列車のコンパートメントの中で、お行儀悪くもヤリまくる若い男女の痴態が映し出され、(あれれ❓️違うドラマクリックしちゃったかな)と思っていると、突如ズームして、ヒロインであるキャサリンケイト・ブランシェット)のジャーナリスト賞授賞式の様子が映し出されます。スポットライトを浴びて満面の笑みを浮かべるキャサリンは、会社のCEOである夫ロバート(サシャ・バロン・コーエン)との仲も良好、まさに幸せの絶頂にいるよう。ところが、ある日彼女の元に匿名で送られてきた小説が、彼女を地獄の底に突き落とします。そこには、誰も知らない筈の、彼女の忌まわしい過去が綴られていたからです。なぜ?誰が何のために?彼女はそれを突き止めようと動き出しますが……❗️


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※ヒロインの夫役に、有名コメディアンのサシャ・バロン・コーエン(右)。シリアスな演技が抜群に巧くて、ヲタクは偶然にも直前に「アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅」のタイム役を演じた彼のコメディ演技を見たばかりだったので、その落差にビックリ🙀

 

 エピソードが進むうちに、冒頭に登場し、イタリア旅行を楽しんでいる若いバッグパッカー・ジョナサン(ルイス・パートリッジ)は、若き日のキャサリン(レイラ・ジョージ)の旅先での情事の相手だったらしいことがわかってきます。そして、彼がキャサリンと息子ニコラス(当時4歳)と一緒に海で遊んでいる時に溺死してしまったことも。また、小説の作者は、ジョナサンの母親ナンシー(レスリー・マンヴィル)で、彼女が末期ガンで亡くなった後机の中から小説の原稿を見つけて激怒したナンシーの夫ステファン(ケヴィン・クライン)がキャサリンへの復讐のために自分の作品として出版したことも明らかになっていくのです。


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※一人息子を失った悲しみから、次第に精神の均衡を崩していき、ついには末期ガンに冒される母親役に、英国のトップ女優レスリー・マンヴィル。彼女の鬼気迫る演技が凄い❗️

 

 ドラマは、登場人物の現在と過去が、先程も言ったようにズームを多用して交互に語られていくのですが、若い頃のキャサリンってまるで欲望に突き動かされるニンフォマニア(^_^;)知的なイメージのカケラもなく、後年、社会の不正を暴く著名なジャーナリストになるような人物とはとても思えない。そもそも、入れ子構造になっているらしいドラマで語られる過去のエピソードは現実なのか、小説の内容(フィクション)なのか❓️題名の「ディスクレーマー」とは、免責事項とか、責任放棄宣言という意味だけど、このドラマにおいて一体それがどんな意味を持っているのか❓️……考え出したらきりがない、ナゾがナゾを呼ぶばかり。


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※一人息子を、そして妻を喪い、キャサリンを社会的に抹殺する復讐にのめり込むステファン(ケヴィン・クライン)ですが……。

 

 しかしそれにしても、机に隠された妻の原稿を読んで短絡的に復讐を決意しちゃうステファン(ケヴィン・クライン)といい、小説を読んで妻の不貞を疑い、いきなりプッツンしちゃうロバート(サシャ・バロン・コーエン)といい、いい年こいた大人の男たちが単細胞過ぎてガッカリ(笑)……まあ、アノ写真があるから気持ちはわからなくもないけど、冷静になって見てみると、いたした後の写真というより、カメラマンが被写体の美を留めておこうとした作品っぽく見えるんだけど……。ドラマを実際に見られた方、どう思います❓️このドラマって、1人で感想をブツブツ呟くより、観た人と考察を語り合いたくなるドラマなんですよね。人によって観方感じ方それぞれある気がする。


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※みなまで読まず、動転して送られてきた小説を燃やしてしまうキャサリンケイト・ブランシェット)果たしてそこに書かれているのは、彼女が言うようにフィクションなのか❓️はたまたステファンが言うように真実なのか❓️

 

 AppleTVでは現在(10月21日)の時点で4話まで配信中。なんと、もうすぐ始まる東京国際映画祭でも上映されるとか。それも1〜4話のみ。大丈夫なのかなぁ……。4話でぷっつり終わっちゃって、観てた人たち、その晩は続きが気になって眠れなくなっちゃうんじゃないか、心配。ヴェネツィア国際映画祭ではやはり4話のみ上映され、熱狂的なスタンディングオーベーションを受けたそうですが……。ヴェネツィアのお客さんたちは大丈夫だったのかな。AppleTVの加入者が激増したに違いない(笑)。


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※このドラマでは、ハリウッドのライジングスターたちが瑞々しい演技を披露していて、そこも見所の1つ。左からレイラ・ジョージ、ルイス・パートリッジ(Netflix「エノーラ・ホームズの事件簿」)、Netflix「パワー・オブ・ザ・ドッグ」でアカデミー助演男優賞にノミネートされたコディ・スミット=マクフィー。

 

 

 

 

 

少女は人生の苦さを知る〜「アリス・イン・ワンダーランド〜時間の旅〜」


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 Amazon Prime Videoで「アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅」(2016年)鑑賞。前作「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年)は、先日「金曜ロードショー」で放映されていましたよね。そう言えば、続編の方観てなかったな……と思って。

 

 ワンダーランドから帰還して後、亡き父の跡を継ぎ女船長として7つの海を航海したアリス(ミア・ワシコウスカ)ですが、種々の理由かは船を取り上げられ、無職の身に。そんな折も折、青い芋虫のアブソレム(今は蝶になってた 笑)に誘われるまま、鏡をすり抜けて再びワンダーランドへやって来たアリス。白の女王(アン・ハサウェイ)、チシャ猫やトウィードルダム&トウィードルディー、三月ウサギら昔馴染みとの再会を喜び合う旧友のマッドハッター(ジョニー・デップ)が、赤の女王(ヘレナ・ボナム=カーター)が放った怪物ジャバウォッキーが街を灼き尽くしたために家族と離れ離れになり、周囲から彼らは死んだのだと言われているにもかかわらず、彼らが生きていることを信じて探し続けていることを知ります。昔馴染みの親友のため、家族の生死を確かめようと、時を支配するタイム(サシャ・バロン・コーエン)に、街をジャバウォッキーが襲った夜に自分を戻して欲しい……と頼み込みますが……。


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※こんなカッコしていても、なぜかいつもオサレでスタイリッシュなマッドハッター。ジョニデマジック❓️(笑)

 

 大人も子どもも楽しめる純粋なファンタジーだった前作と違い、アリスもすっかり大人の働く女性。船乗りとして知識も経験も度胸も人一倍なのに、女性差別の英国ヴィクトリア朝で生きるのに四苦八苦。少女の巻き込まれ型ストーリーだった前作と比べると今作は、辛い現実から追い詰められ、やむにやまれず鏡に飛び込むアリスの姿に、自分たちの人生を重ね合わせてしまう人もいるでしょう。人間生きていれば、アリスみたいにどこか別世界に逃げ込んでしまいたいと思ったことは1度や2度はあるはずですから……。一方で、ストーリー展開はスリリング、ハラハラドキドキのアクションものとしてはこちらの方が楽しめるかもしれませんけどね。

 

 それにしても、赤の女王と白の女王の少女時代の衝撃のエピソード〜なぜに赤の女王はあんなビッグヘッドになってしまったのか❓️〜が明かされたのにはビックリ🙀

 

あのさー、白の女王、あんな綺麗なお顔して、ちょっとひど過ぎやしませんか❓️お腹の中は真っ黒じゃん❗️(笑)


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※今作でも「アリス、危険よ危険❗️でも……がんばってねん」とか言っちゃって……(^_^;)正直、ヲタクニガテなタイプやわ〜〜。

 

 ティム・バートンワールドでは、えてして美しい姿をした人が実は邪悪な内面の持ち主だったり、善良な心の持ち主が醜い外見のために周囲から疎まれ、差別を受けているシーンが度々登場するけど……。外見如菩薩、内面如夜叉ってやつですわ。バートン監督、美人にヒドイめにあった経験でもあるのか❓️(笑)

 

 一方、ヴィランだった筈の赤の女王にあんな悲しい過去があったとは……オヨヨ😭演じるのは前作同様、13年間に渡りバートン監督のパートナーだった英国のトップ女優、ヘレナ・ボナム=カーター。前作(2010年)撮影時にはアツアツだった2人も、「鏡の旅」直前の2014年に破局しています。性格も変わってしまうほどバートン監督との別れには衝撃を受けたとインタビューで語ったヘレナですが、この時どんな気持ちで赤の女王を演じていたのか…。

ヘレナの女優根性に乾杯❗️


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※主役を食うほどの圧倒的存在感。ヘレナ・ボナム=カーターの女優魂、恐るべし。

 

 前作から6年の月日が流れ、アリスと現実世界も変わり、演者たちもそれぞれ年を取った。特にアリス役のミア・ワシコウスカは、19歳から25歳になっていますからね(^_^;)いつまでも変わらぬように見えるのは、ワンダーランドの住人たちだけか……。ファンタジックな中にもどこか、現実世界の「苦さ」を感じさせる「アリス・イン・ワンダーランド〜時間の旅〜」でした。


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※今回1番嬉しかったのは、我が熱烈推し、アンスコさまことアンドリュー・スコットが突如登場したこと❗️出演時間は5分位だったけど(笑)アリスを閉鎖病棟に閉じ込める、注射マニアの精神科医役。精神科医がサイコでどーする❓️って感じですが(笑)

 

 

「『ノスフェラトゥ』は最高に美しい物語」by ニコラス・ホルト


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 小学生の頃からなぜか、「吸血鬼オタク」なヲタク(笑)そんなヲタクが今物凄く公開を楽しみにしているのが、ロバート・エガース監督の新作「ノスフェラトゥ」❗️題名からもわかる通り、ドイツ表現主義映画の巨匠、F. W.ムルナウ監督の「ノスフェラトゥ」(1922)のリメイクです。

 

 吸血鬼映画と言えば、ハマーフィルム・プロダクションの「ドラキュラシリーズ」をはじめとして、長らく戦前の見世物小屋の化け物みたいな扱いをされてきたわけですが、最近は「異形の者の美」に焦点を当てた作品も多く(代表的なのがギレルモ・デル・トロの「パンズ・ラビリンス」やシェイプ・オブ・ウォーター」、ティム・バートンの一連の作品など)、今回のエガース監督の演出も、ヒロインがノスフェラトゥに対して恐怖に慄きながらも、次第にその異形の美に惹かれていく……という流れになっているんではないかと予想してます。ヲタクがいつもブログで叫んでる「美と恐怖の融合」ってやつですよ😉


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※ヒロイン役のリリー・ローズ=デップ(上)がティザーの中でノスフェラトゥ(ビル・スカルスガルド…下)に「Come to me!」って叫んでるシーンがあったけど、今回のノスフェラトゥ、異形の者の筈なのに、妙に色っぽい……。「シェイプ・オブ・ウォーター」の半魚人思い出すな。

 

 それが証拠に、ノスフェラトゥに付け狙われるヒロイン(リリー・ローズ=デップ)の(たぶん)夫役であるニコラス・ホルトがVariety誌のインタビューに答えて、「今までで最高に美しい映画だ。エガースは素晴らしい監督で、不死のテーマを独自の視点で捉えている」って言ってましたからね。


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※「Xメン」や「マッド・マックス 怒りのデスロード」ではイケメンを封印、特殊メークでそれこそ「異形の者」をノリノリで演じていたニコラス。今回は素顔のようです(笑)

 

 ニコラスのインタビューによれば、全米公開は12月25日らしいのですが……。クリスマスに吸血鬼映画って、何の冗談かしら(笑)


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※めっちゃ豪華な出演陣❗️さすがエガース監督。ウィレム・デフォーは悪魔祓いかな❓️エマ・コリンは最初にノスフェラトゥのえじきになるヒロインの親友かな❓️……公開前にいろいろ妄想を巡らすのも楽しい😂

はてさてアーロン・テイラー=ジョンソンは何の役だろう(?_?)

 

 

癒しの歌声から壮大なバラードへ〜神宮寺勇太 in 「Bye 24/7」


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※Wired Music Festival公式Xより転載(「男の背中」……って感じでカッコいいよね🩵)

 

 我らがNumber_i、本来はアウェーな筈のHip Hopフェス「Wired Music Festival」で、いつものお約束通りブチかましてくれたらしい。ROCK IN JAPANやサマソニでロック界隈を、そして今回はヒップホップ界隈の住人たちを次々とトリコにしていくNumber_i……。ホントに凄い人たち❗️

I‘m truly proud of you.

推しを誇りに思えるって、推し活で1番幸せなことだよねぇ……。

 

 さてさて、最近のヲタクのヘビロテは、Number_iの1stフルアルバム「NO.I」の中から、神宮寺勇太くんのソロ曲「Bye 24/7

 

   Wired Fesに先立って名古屋で出演したラジオ「Sparkling」で、ジンくんがKEENさんから、(最初は)なるだけ小さな声で歌って……ってアドバイスを受けたことを明かしていて。ああ、なるほど❗️歌い出しが囁くような静かな声だからこそ

離れ離れの24/7

をきっかけに、次第に盛り上がっていく後半がメリハリを感じさせ、最後は壮大、壮麗……とでも形容出来るようなバラードになっていくんだ……って思いました。

 

 歌詞は、一緒に暮らした部屋から去っていった恋しい人を、いつでもいつまでも灯りをつけて待ってる……というどちらかと言えば心の内へ内へと向かっていく密室感のある歌なのに、幾度となく聴いているうちにヲタクの脳裏になぜか浮かんでくるのは、都会のマンションの1室ではなく、昔むかし若い頃に登った、白馬岳の頂上から見た北アルプスや富士山、八ヶ岳の壮大な山の光景。

 

なぜ❓️どうして❓️(笑)

 

 ……きっとそれは、ジンくんの、メロウなシルキーヴォイスでありながら、豊かな声量、しかも力強く伸びやかな声質のせい。うん、そうに違いない(←1人で納得 笑)また、ヲタクが、普段のインタビューの内容やインスタの文章、MVのメイキング等から垣間見るジンくんの人柄の強靭さを重ね合わせて聴いちゃうからだろうな。若竹のような、柔らかいのに決して折れない、靱やかな毅さ。ヲタクは、真の優しさって、感情を抑制できる、冷静で強いメンタルに裏打ちされているものだと思っているから。

 

 だからこそ、「Bye 24/7」も、「ふりきれない……」と、去っていった彼女への未練を引き摺りつつも、結局のところ

もう戻れない

後悔じゃない

と、必死に立ち上がろうとする青年の葛藤が聴く者の胸を打つしくみ。Spotifyのインタビュアーさんは「無防備な歌」って表現していましたけどね。確かにごまかしの効かないめっちゃ正攻法の歌だよね。ジンくんが「ライブで歌うの大変そう」って言ってたの、わかるー(^_^;)あと、ヲタク的には24/7(twenty-four seven…24時間〜1週間ずっと)のジンくんの発音がとても好きだわ〜、理屈抜きで色っぽいんだもん(笑)

 

 さてさてヲタクも明日からは怒涛の仕事始め。(ここ10日間ほど、遅い夏休みを取っていたため)

爽やかな風のような「Bye 24/7」のジンくんの歌声を聴いて、いざ出陣ぢゃ❗️

 

★今日の小ネタ……歌詞と音楽のギャップ萌え

 ジンくんのソロ曲「Bye 24/7」歌詞は内向的なのに、ジンくんの明るく伸びやかな歌声と壮大なメロディーが、いわゆる「ギャップ萌え」だと本文で書きましたけど、ロック界隈では、こういうインパクトの付け方ってけっこうあるんですよ。(ヲタクはロックファンなんで、ついついロックと比較しちゃうんでお許しを(^^ゞ)例えばアイアン・メイデンの「Fear of the dark」なんて、ギターリフは重厚だし曲もめっちゃ疾走感に溢れてて「これぞヘヴィメタ」って感じなのに歌詞は「ボクちゃん、暗いとこが怖いの。何かが襲ってきそうで」っていうメンヘラ男の歌。ディープ・パープルの「Smoke on the water」も、必ずギターリフ世界のベスト10に入るくらいめちゃくちゃクールな曲だけど、歌詞は「レマン湖に来たら〜、ほとりの賭博場が火事で燃えちゃったー」って歌詞^^;こういうギャップで、ガツンとかますやり方も昔からあるんだなぁ……って、「Bye 24/7」を聴いてて感じた次第であります(^^ゞ

 


https://x.com/number_i_staff/status/1837869474349043719?t=PqYp3YOfkhNNhpm5a5GOTA&s=09

 

 

 

 

 

 

 

ティム・バートン監督の「異形の愛」サクレツ❗️〜「ビートルジュース ビートルジュース」


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 相鉄線ゆめが丘駅直結のモール「横浜ゆめが丘ソラトス」にあるシネコン「109シネマズ ゆめが丘」で、ティム・バートン監督の新作「ビートルジュース ビートルジュース」鑑賞。

 

 「ビートルジュース」から早や35年。ゴスロリ霊能少女リディア(ウィノナ・ライダー)は、その特異な才能を生かして、今ではTV番組まで持つ人気霊媒師。しかし彼女の悩みは、一人娘のアストリッド(ジェナ・オルテガ)が絶賛反抗期で、何かにつけて彼女に突っかかってくることと、最近ふとした瞬間に、あの忌まわしき「人間怖がらせ屋」兼「リディア専属ストーカー」の彼、ビートルジュースマイケル・キートン)の気配を感じ始めたこと。もちろん彼の名前は天地神明に誓って口にすまいと決意していたリディアだったが、愛する娘アストリッドが霊界に誘拐されてしまい、彼女をこの世に取り戻すため、ビートルジュースの名前を3回唱えるハメに……❗️

 

 マイケル・キートンキモカワイイ(カワイイ……という形容詞の使用には異論のある方も多いと思いますが、あくまでも個人的見解ですので、念のため^^;)ビートルジュース嬉嬉として演じてるし、半分アタマの割れてる霊界警察官❓️を演じるウィレム・デフォーカメオ出演ダニー・デヴィートもノリノリで愉しそう。ビートルジュースの元妻役モニカ・ベルッチも相変わらず色っぽくてお美しい……。まあでも、この作品の1番の見どころは、何と言ってもこの20年、映画界からは引退同然だったウィノナ・ライダーの華麗なる復活劇ではないでしょうか。

 

 ウィノナ・ライダーと言えば、ヲタク的には、出世作の「ビートルジュース」第1作目の印象より(確かにゴスロリ・ウィノナはめっちゃ魅力的だったけど)「17歳のカルテ」の時の衝撃が凄すぎて、(若いのになんて繊細な、なんて素晴らしい演技をする人だろう)と思ってその後ずっと追いかけていたものの、何か精神的な問題かスキャンダルがあったらしく(詳しくは覚えてない^^;)彼女が演じていたようなキャラは、ヴィジュアルも演技の性質も似通ったタイプのキーラ・ナイトレイにとって代わられ、いつの間にか映画界からも消えてしまってた……。

 

 今作品でウィノナは大人可愛い魅力を振りまいて、彼女に復活のチャンスを与えたティム・バートン監督の温情に見事応えた形になりましたね。


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ビートルジュースの最恐の元妻ドロレス役のモニカ・ベルッチ。バラバラ死体だった自分を自らツギハギ、フランケンシュタイン化していくシーンは圧巻❗️

 

 第一作のウィノナの立ち位置に取って代わって、ウィノナに勝るとも劣らぬオーラ出しまくりなのが、ご存知Netflixリミテッドシリーズ「ウェンズデー」で話題沸騰のジェナ・オルテガ。……言わばハリウッドの「新旧こじらせ女子対決」の様相を呈してきましたが、はてさて軍配はどちらに❓️


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※霊界警察官のウィレム・デフォー(右)と、ビートルジュースの腹心の部下ボブ(左)。しかしボブは、ビートルジュースへの愛と復讐に燃えるドロレスによって非業の最期を遂げることに……😭ボブは、「ティム・バートン監督造型の異形の者ベストテン」があったとしたら、「アリス・イン・ワンダーランド」の赤の女王(ヘレナ・ボナム=カーター)の次くらいにお気に入りキャラなんで、かえすがえすも残念だわ(合掌)

 

 答えはたぶん人それぞれ、まずは本編を観て頂くとしまして、キャラ造型はもう、地獄の隅々、果てはモブキャラに至るまで、ティム・バートン監督の「異形の愛」サクレツ❗️異形愛……と言えば、最近すっかりギレルモ・デル・トロ監督(「パンズ・ラビリンス」「シェイプ・オブ・ウォーター」)や、アリ・アッバシ監督(「ボーダー 二つの世界」)にすっかりお株を奪われた形になっていたバートン監督ですが、久々に復活の兆し❓️個人的には、ウィノナ同様、これからもティム・バートン監督らしい世界観に溢れた作品が見たいな😻

 


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新旧こじらせ女子対決。ウィノナ・ライダー(下)

とジェナ・オルテガ(上)。さてさて軍配はどちらに❓️ 

イケオジ2人の奇妙な一夜〜AppleTV+「ウルフズ」


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 ジョージ・クルーニー&ブラッド・ピットという2大スター共演、全米公開の予定で大々的なキャンペーンも目前だったのに、何故か突然AppleTV+の配信のみになっちゃった……っていう曰く付きの映画。……まあいろんな「オトナの事情」はそっち置いといて(笑)

 

うん、間違いなく面白かったよ❗️

 

 ニューヨークの冬の夜。ニューヨーク地区検事長(エイミー・ライアン)がほんの出来心で行きずりの若い男と一夜を楽しんだ結果、なんと若い男は薬物の過剰摂取で突然死。「ニューヨーク検事長、若い男娼と一夜のアバンチュールの末、男は突然死」そんな困るわ、キャリア命取りのスキャンダル❗️……と心の中で叫んだかどうかはわかりませんが、慌てた検事長は、セレブの引き起こした重大事件を隠蔽してくれるという伝説のフィクサージョージ・クルーニー)を呼び出します。フィクサーとは、誰にも頼らず、たった一人でカッコよく事件の後始末をつけるのがお約束。彼がさて仕事を始めようとすると、あにはからんや、彼と同じ髭面で、黒い革ジャン、喋り方まで超そっくりなもう一人のフィクサーブラッド・ピット)がまさかの登場❗️イヤイヤながらも協力して❓️死体を処理しようとした矢先、ホテルの部屋からは大量の薬物が。(もしかしてこの男、男娼じゃなくてプロの運び屋❗️❓️これ、元の持ち主に戻さないと俺たち身バレだよ、どうする❓️)とさすがの2人も真っ青になってるところに、なんと男は奇跡的に息を吹き返し、ぱんつ1丁で真冬のニューヨークの街へ逃げ出したからさあ大変。老体に鞭打って❓️必死に追いかける2人でしたが…。

 

 もうね、映画ファン的には、クルーニーの完コピブラピが登場した辺りからもう、ニヤニヤが止まらない(笑)「俺たちゃプロのフィクサーよ」って胸張ってる割には、2人でつまんないことに張り合って、挙句の果てには寄る年波をボヤき合ってるとこが何ともカワイイ。ナヨ系に見えた若い男が案外身体能力バツグンで、2人がかりで追いかけてもなかなかつかまらないアクションシーンも意外性があって◎。クルーニーとブラピの共演作と言えば、言わずとしれたあの「オーシャンズ11」だけど、あらゆる面で「イケてる」ピカレスクロマンだった「オーシャンズ」とは、あえて差別化してるとこが良かった❗️

 

 例えばトム・クルーズや日本ではキムタクみたいに、年取っても若い人たちと肩を並べて頑張ってるのも素晴らしいとは思うんだけど、やっぱりヲタクは、「老い」に歯向かわず、変に肩肘張らず、時に自虐のユーモアを交え、「若いヤツにはかなわねぇな」とボヤきながらも時にオトナの余裕を見せて、飄々と世の中を渡っていくタイプのほうが好きかな😻この映画の中のクルーニーとブラピみたいに。

 

 その道のプロを誇る2人がまんまとハメられちゃう皮肉の効いた展開も◎。ジョージ・クルーニーの登場シーン、颯爽と車を走らせる時のBGMがシャーデーのヒット曲「スムース・オペレーター」(要領の良い男)。でもじつは、2人とも自分たちが思っているほどスムース・オペレーターじゃないとこが面白い(笑)ラスト、絶体絶命の危機に陥る2人だけど、無事くぐり抜けて欲しいなぁ。続編のメはないのかしらん。


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※一瞬の出来心で窮地に陥るキャリア・ウーマン役にエイミー・ライアン。(え❓️カメオ出演❓️)っていうくらい出番は少ないけど(笑)サスガの存在感。直近では、やはりAppleTVのサスペンス「シュガー」で、コリン・ファレルの相手役を務めていましたね。

 

★このイケメンに注目❗️……オースティン・エイブラムス


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なんだかんだ言って、イケオジ2人を引っ張り回して翻弄する、小悪魔的な役回りのオースティン・エイブラムス。Netflixダッシュ&リリー」や「EUPHORIA ユーフォリア」では、若い頃のジェームズ・スペイダーみたいなこじらせ系イケメン(しかもユダヤ系^^;)のオースティンだけど、今作品でちょっとおバカで憎めない子犬系男子を演じて、新境地開拓じゃないかな。

 

 

 

人間よ、欲望のままに生きよ〜ヨルゴス・ランティモス監督「憐れみの3章」


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※俳優は仮面を付けて演じたギリシャ時代の演劇。このポスターは、ギリシャ人であるランティモス監督の、故郷へのオマージュなのか……。

 

 相鉄線ゆめが丘駅直結のモール「横浜ゆめが丘ソラトス」にあるシネコン「109シネマズ ゆめが丘」で、ヨルゴス・ランティモス監督の新作「憐れみの3章」鑑賞。

 

 ヲタクが密かに「映画界の3大意地悪じいさん」と呼んでいるのが、故アルフレッド・ヒッチコックフランソワ・オゾン、そして今作品の監督ヨルゴス・ランティモス。「憐れみの3章」もまた、私たちが日頃社会生活を送る上で基準としている倫理道徳や社会的常識、多数決の原理……etc.を、「そんなもん、生きていく上で何の役にも立ちやしないのさ」とばかりにせせら笑う、彼の底意地の悪さが極限まで達したような怪作となっております。(若干51歳、映画人としては若手の部類に入るランティモス監督を爺さん呼ばわりは申し訳ない気もしますが……^^;)

 

 題名通りの、3つの短篇から成るオムニバス映画で、3つのストーリーに何ら脈絡はありませんが、ヲタクが観終わった後、ランティモス監督から勝手に❓️受け取ったメッセージは、「人間よ、欲望のままに生きよ❗️生の歓びを最大限に享受せよ❗️それを縛る諸々の軛は引きちぎれ❗️」って感じかしら。

 

 第1話……10年間人生の全てを年上の愛人(ウィレム・デフォー)に支配されてきた男(ジェシー・プレモンス)は、彼からの殺人依頼を断りますが、それは彼の人生の暗黒時代の始まりで…。

 第2話……最愛の妻(エマ・ストーン)が海難事故に遭い、行方不明に。奇跡的に救助されて戻って来た妻は、全てにおいて以前とは違っていた。様々な方法で彼女の本性を暴こうとする夫(ジェシー・プレモンス)。しかし周囲の人々は彼の精神錯乱を疑い……。

 第3話……優しい夫(ジョー・アルウィン)と可愛い娘を捨て、カルト教団に入団して、死者を蘇らせる異能を持つ女探しに奔走する妻(エマ・ストーン)。彼女の願いは果たされたかのように思われたが……。

 

 個人的に「ロブスター」、「聖なる鹿殺し」、「女王陛下のお気に入り」、「哀れなるものたち」、そして今回の「憐れみの3章」と観てきて、ストーリー構成は、マザーグースみのある、英国っぽい「警句と皮肉に満ちた寓話」って感じなんだけど、根底に流れるものに目を凝らす時、ランティモス監督ってつくづくギリシャ人なんだな……って思う。今でこそ経済的に破綻してしまったとは言え、ギリシャ西欧文化の根源たる偉大な国。ランティモス監督のどの作品も、キリスト教が根付く前の、親殺しや近親相姦、裏切り、独裁、搾取、人間の本能剥き出し、何でもありのギリシャ悲劇・喜劇のニオイがぷんぷん。今回の作品を観ていても、いかにヲタク自身、普段、いわゆる「世の中の常識」「世間の大多数の意見」「コンプラ」に縛られて生きているかがわかる。第1話、殺人依頼を断った男の常識的判断に(よくやった)って思ったし、第2話、優しい妻を疑う夫はやはり被害妄想の病だと思ったし、第3話、家庭を捨ててカルト宗教に入れ上げるエマ・ストーンは(なんて愚かな……)と断罪したくなった(笑)しかしランティモスが紡ぎ出す世界では、世間の同調圧力に汲々として小賢しく生きている私たちをまるで嘲笑うかのように、「常識的な小市民」はどんどん不幸になっていくのです(^_^;)彼にとって、第3話のラスト、自らの目的を達したエマ・ストーンの「欲望と歓喜のダンス」こそが全て❗️……なんだろうと思う。

 

 オープニングに流れるのは、懐かしやユーリズミックスの「Sweet Dreams」。

あなたを利用したい人がいる
あなたに利用されたい人がいる
あなたを苦しめたい人がいる
あなたに苦しめられたい人がいる


甘い夢はこれでできている
私にはとても反論できない
私は世界と7つの海を旅した
みんな何かを探している

 この歌詞と、アニー・レノックスの物憂げで退廃的な歌声が、まるでランティモス監督がこの歌を聴いてからストーリーをインスパイアされたかのように作品の世界観にピッタリハマってます。

 

 ……そしてこのブログ記事を書いている間も、ヲタクの頭の中には、ランティモス監督の(…とヲタクが自分勝手に作り上げた)メッセージ…「人間よ、欲望のままに生きよ❗️生の歓びを最大限に享受せよ❗️それを縛る諸々の軛は引きちぎれ❗️」がぐるぐると回り続けるのでした。気の小さい小市民のヲタクは、明日からまた一般常識に縛られ、同調圧力に迎合してちまちま生きていくわけですが、あと1時間くらいはせめて、生の欲望に満ち溢れたランティモスワールドに浸っていたいと思います。


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※何と言っても映画のクライマックスは、エマ・ストーンの「歓喜のダンス」。一見の価値アリ❗️

 

★ジョー・アルウィン

 第3話で、一見優しそうに見えてそのじつ、トンデモクズ夫を演じたジョー・アルウィン。「女王陛下のお気に入り」でも感じたんだけど、ランティモス監督、いわゆる英国紳士風イケメンはお嫌い❓️(笑)ランティモス監督作品のアルウィンの扱いが余りにもヒドイので、つい疑ってしまう(^_^;)  

 ジョー・アルウィン、長年付き合って婚約寸前までいったテイラー・スウィフトについ最近フラレたばかり。歴代カレシと同様歌の中でさんざんネタにされ、最近のヲタクの中のジョー・アルウィンのイメージは、「残念なイケメン」(笑)「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」の頃は、我が推しジャック・ロウデンと同じくらい輝いていたのに…😢


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※「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」で超絶カッコよかったジョー・アルウィン(左はエリザベス女王役のマーゴット・ロビー

 

 

 

 

 

 

ジャック・ロウデンとの夫婦共演を熱望するシアーシャ・ローナン

 
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※本年度エミー賞でレカペデビューを果たした、ジャック・ロウデン&シアーシャ・ローナン夫妻。この時ジャックは、「窓際のスパイ」で、助演男優賞にノミネートされていました。シアーシャはサポート役に徹し、夫のためにプレスも仕切っていたのが印象的でした。

 

 7月に正式に結婚したばかりの我が推しジャック・ロウデンとシアーシャ・ローナン。2人がプロデューサーを務めた映画「The Outrun 」でヒロインを演じたシアーシャ・ローナンの演技は、サンダンス国際映画祭を初めとして世界各地で絶讃され、早くも「アカデミー賞最有力候補」と噂されるほど。

 

 今回の映画に関するインタビューで、シアーシャは意外なことを打ち明けてくれました❗️

 

まずは新婚の夫ジャックについて……

Jack is a lot calmer than I am. He’s my voice of reason.

ジャックは私よりずっと物静かな人なの。彼は言わば「私の理性の声」よ。

「理性の声」って言い方、素晴らしいわ。彼女が、いかに良きパートナーに恵まれたか、如実にわかる一言ですね。

 

 これからは映画人としては、ジャックのライフワークとも言える、彼の故郷スコットランドの振興と、スコットランド文学や歴史を題材とした映画の製作に注力していきたいと語るシアーシャ。彼女自身はアイルランド人ですが、熱烈愛国者であるスコットランド人の夫(もちろんジャックは、スコットランド独立派の急先鋒)に対し、政治的にもバックアップを惜しまない所存のようです。

 

 そしてそして何よりもヲタク的に意外だったのは、シアーシャが夫婦共演を熱望していること❗️6年間の交際期間中、ジャックのインスタに後ろ姿や指先が写ることはあっても、共演はおろか、公の場には姿を現したことがなかった2人。ヲタクは個人的には、プライバシーを大切にするシアーシャの意向をジャックが尊重していたのとばかり思っていましたが、カップル共演を今まで渋っていたのがジャックのほうだった……と知って2度ビックリ🙀

 

 この話を聞いて、ジャックのいちファンとしてヲタクが何より嬉しいのは、アカデミー賞に4度もノミネートされた世界のトップ女優であるシアーシャが、ジャックのことを、私生活のパートナーとしてだけではなく、1人の役者としてリスペクトしていることがわかったから。

 

 「まずは舞台で共演したい」と語るシアーシャ。舞台の次は、ぜひ大スクリーンで、2人が恋に落ちるきっかけになった映画「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」(2018)以来のカップル共演が見たい❗️❗️❗️

 

 
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※2人が知り合うきっかけになった映画「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」(2018)。シアーシャがスコットランド悲劇の女王メアリー・スチュアートを、ジャックがその夫となるダーンリー卿を演じました。その他にも、マーゴット・ロビーエリザベス1世)、ジョー・アルウィン(ロバート・ダッドリー)、ガイ・ピアーズ(ウィリアム・セシル)、デヴィッド・テナント(ジョン・コックス)、ジェンマ・チャン、ジェームズ・マッカードル…と、今思えばとんでもない豪華キャスト(笑)

 

 

★今日の小ネタ…「The Outrun

世界各国で絶賛されている映画「アウトラン The Outrun」の原作は、同名のベストセラー小説。作者であるエミリー・リプトロットが、自身のアルコール&ドラッグ依存症を克服した過程を綴った回想録ともいうべぎもので、ロンドンの大学で生物学を学んでいたヒロインが、故郷のオークニー諸島スコットランドの離島)に戻り、島の雄大な自然に触れることで、苦悩に立ち向かい、再生を目指す物語です。原作は2016年にウェインライト賞、2017年にPEN/アッカーリー賞と、英国の名だたる文学賞を連続受賞。10か国語以上に翻訳され、本国イギリスでは11万部以上を売り上げました。(残念ながら日本では翻訳されていないもよう)


Saoirse Ronan Shares Rare Insight Into Jack Lowden Marriage

 

だからジャック・ロウデンなんだってば〜AppleTV+「窓際のスパイ」シーズン4後半

 
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 MI5の落ちこぼれ部署「泥沼の家」。本署のエリート街道からハズレたリヴァー・カートライト(ジャック・ロウデン)と、彼のひと癖も二癖もある、しかしどこか憎めない同僚たち、そして彼ら以上に「食えない」上司ジャクソン・ラム(ゲイリー・オールドマン)に降りかかり、否応なく彼らが巻き込まれる災厄や難事件を描いたAppleTV「窓際のスパイ」も、早や4シリーズ目。
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※尊敬していた祖父ディヴィッドの認知症に悩むリヴァー。しかし祖父には誰にも言えない秘密が……。

 

 MI5の長官を務めた経験もある伝説のスパイ、リヴァーの祖父ディヴィッドは寄る年波に勝てず、認知症が次第に深刻化していました。ディヴィッドは始終「誰かが自分を殺そうとしている」とリヴァーに訴えかけます。リヴァーはそれを認知症特有の被害妄想だと思っていたのですが、じつはそれはディヴィッドの妄想などではなく、ある夜リヴァーを装った暗殺者がディヴィッドを襲い、ディヴィッドはライフルで暗殺者を射殺……という、第1話めから観ているこちらのド肝を抜く展開。ディヴィッドは、長官時代に、「ある事件」に秘密裏に手を染めており、それが元で命を狙われているらしい。しかもその「ある事件」が、近頃ロンドンで勃発した大掛かりなテロ事件にも関係があるらしい……。ということで、リヴァーは単身その真相を探ることになります。

 

 3シリーズめまで、リヴァーの出自は明らかにされておらず、(両親に捨てられて、祖父に育てられた)という短い説明しかなされてこなかったのですが、第4シリーズで、スパイとして耀かしい経歴を持ち、人としても尊敬してきた祖父の「黒い秘密」を掘り起こすことで、リヴァーは、知りたくなかった自らの出生の秘密に立ち向かわなくてはならなくなります。

 

 「真実」を知った時のリヴァーの衝撃と、人生の皮肉な巡り合わせへの落胆、実の両親に対する愛と憎しみ、それでもなお貫こうとするいちスパイとしての正義感……その複雑な心情を、ジャックは数少ないセリフながら、見事に表現してみせました。


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ゲイリー・オールドマンのジャクソン・ラム役も、将来彼の代表作になるだろう……と言っていいくらいのはまり役。ゲイリーは、この役を最後に俳優を引退することを示唆していますが…。

 

だから、リヴァーはジャック・ロウデンでなくてはならなかったのです。

 

 冷酷無比に見えながら、そのじつ部下たちへの愛に溢れたジャクソン・ラム役を心憎いばかりに演じているゲイリー・オールドマンの演技はむろん神領域だと思いますが、相対するジャックもまた同じくらいに素晴らしく、リヴァー・カートライト役は、これからの彼の役者人生において、確実にひとつの一里塚となるに違いありません。


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 第4シリーズのラスト、様々な感情を胸に収めて、それでも明日に向かおうとするリヴァーの、何とも言えない表情。そんな時、ラムからパブへ呼び出しがかかります。パブでゴソゴソと今回の事件の報告書を出すラム。「ここにサインしろ。(内容は)書いといてやった」「手当をもらうためだけに呼びつけた❓️」と呆れるリヴァーに、「……い、いやその、飲みたきゃ飲め。自分で注文しろ。何も話さんでいい」と照れくさそうに言うラムの顔が秀逸❗️肩を並べ、黙ってグラスを傾ける2人の男。くーーーっ、シビレる😻ヲタクが、どんなカッコいいスパイものより、「窓際のスパイ」を愛する理由は、実はこんなところにある(笑)



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※プライベートでは本当の親子のように仲が良いゲイリー・オールドマン(中)とジャック・ロウデン(右)。

 

 

 

サブリナ・カーペンターがバリー・コーガンをMVに起用した理由

 
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※今年のMETガラでは、アツアツだったサブリナ・カーペンター(左)とバリー・コーガンですが……。

 

 今、アメリカの音楽シーンで最も勢いがある女性アーティストと言えば、言うまでもなくサブリナ・カーペンターでしょう。彼女の最新シングル「Please Please Please」は6月29日に自身初の全米1位を獲得(HOT100)した他、グローバル&全英チャートを同時制覇の快挙を成し遂げ、その2ヶ月前、4月にリリースしたシングル「Espresso」も全米チャート「HOT100」で4位にランクインしています。

 

 「Please Please Please」には、現在絶賛交際中のアイルランド俳優、バリー・コーガンがまさにサブリナのカレシというそのままの役で出演しています。サブリナは、彼に出演をお願いした理由を……

 

“I, genuinely—like, a not-even-biased opinion—I was like, ‘Who’s the greatest actor that I can find for this music video?’ And he was next to me, in a chair.”

私はもう本当に偏見のない1つの意見として、(このMVにとって最高の俳優は誰かしら?)と考えた時、ふと隣を見たら、彼が椅子に座っていたのよ。

 

と、偶然の所産のように語っていますが…。

 

 「Please Please Please」のMVで、彼女(サブリナ・カーペンター)への愛ゆえに銀行強盗を働き、服役していた彼(バリー・コーガン)。晴れて出所したものの、彼がいつ何をしでかすか、先が見えない。愛は変わらないけど、「私をまた泣かせるようなことはしないでね。……でも、あなたのことが心配。できるなら私の部屋にずっと閉じ込めておきたいわ」という彼女の切ない女心を歌った歌詞通りのMVになっています。

 

 じつはバリーも、以前サブリナと交際する前、ロンドンでお酒飲んで騒いで警察に引っ張られた過去が。彼女と交際後も彼の酒癖は改善せず、最近サブリナの気持ちが冷め始めているというウワサもちらほら。バリーのほうは相変わらずゾッコンみたいですけど(^_^;)

 

 バリー、そろそろオイタもいい加減にしないと、MVみたいにサブリナにシバかれて部屋にお仕置き監禁されちゃうカモよ(笑)

 


https://x.com/FilmUpdates/status/1843297744267739523?t=-aYo3LCgcEdfHkMugBffuQ&s=09


https://x.com/rie4771/status/1844244396986044612?t=SXwHVboCrZ_G5ZNmbUCaJQ&s=09

闇堕ち清少納言〜「光る君へ/第38回 まぶしき闇」



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 「まぶしき闇」とは、よう名付けたもんどすなぁ。

 

 「光る君へ」、藤式部(吉高由里子)が織りなす「源氏物語」も、藤原道長柄本佑)を中心とした宮廷の権力闘争もいよいよ佳境に入ってまいりましたが、今回第38回のMVPは、何と言ってもファーストサマーウイカ演じる清少納言でしょう。

 

 「光る君へ」が始まるまでは、明るく闊達な「陽」の清少納言、人間観察に長けてはいるけれど、皮肉屋でちょっと意地悪、「陰」の紫式部……というパブリックイメージが付いてしまっていた感がありましたが、「光る君へ」は、見事に2人のキャラ設定を覆してみせました。

 

 清少納言にとってもはや、亡き中宮定子は一点の曇りなき神のような存在。定子の美しき残像を人々の心に永遠に留めておくために綴った「枕草子」がいつしかその輝きを喪い、「源氏物語」に上書きされてしまうことは、清少納言にとって中宮定子、いや清少納言自身の存在価値さえ危うくするような危機感に苛まれたのでしょう。

 

 まひろさまはなにゆえ源氏の物語をお書きになったのですか? もしかして……左大臣様にお頼まれになったのですか? 帝の御心から「枕草子」を消してくれと。亡き定子様の輝きを…なきものとするために…と。

と藤式部に詰め寄り、「あなたをお恨み致します」と言い放つ清少納言の様子には鬼気迫るものがあり、あれほど中宮やそれにまつわる藤壺の明るく華やかな様子だけを描き続けて来た彼女がじつは今、心の中に最も深い闇を抱えているという皮肉。

 

 中宮はおろか、天皇すらも、清濁併せ呑む冷徹な筆致で描き切るリアリストの藤式部は、思いもかけない清少納言の言動に、驚いて目を白黒させるばかり(笑)SNSには、「残念」「この2人、また仲良くなる時は来るのかな」という感想が散見されましたが、まあ、ムリでしょうな(笑)文学者としてのこの2人の違いって、英文学で言うなら、ロマン主義者のバイロン清少納言)と人間の持つあらゆる側面を描き切ったシェイクスピア紫式部)ほどの隔たりがあるからねぇ……。でも結局、明るい面も暗い面も清廉さも愚かさも賢さも全て兼ね備えているから人間面白いのであって、良い所ばかり書き連ねたところでいずれは胡散臭く思えてくるもの。

 

 今回は、日本が世界に誇る古典「源氏物語」の創作の秘密を垣間見たようで、非常に面白かったですね。藤式部(紫式部)は、日本で第一号の「プロの物書き」と言えるでしょう。


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愛する人の死を昇華するために日記を著した和泉式部泉里香からは、いみじくも「藤式部様にとって物語を書くことは『お仕事』なのですね」と、指摘されていましたね。平安時代を代表する女流作家たちの、文学に対するアプローチがそれぞれ違うのも興味深かったですよね。