オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

『君の名前で僕を呼んで』1週間限定上映


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(映画の中で、エリオとオリバーが遺跡発掘の為に訪れたガルダ湖畔シルミオーネ…Pixabay)

 ルカ・グァダニーノ監督がティモシー・シャラメと5年ぶりにタッグを組んだ話題作『ボーンズ・アンド・オール』の公開に先立ち、明日(2月10日)から、あの名作『君の名前で僕を呼んで』が1週間、各地の映画館で限定上映されることになりました❗……2018年、渋谷のBunkamuraル・シネマで鑑賞した時の鮮烈な感動が、つい昨日のことのように蘇ってきます。あらゆる意味でヲタクは、あんなに美しい映画を観たことがありません。

 

  舞台は1983年、北イタリアの夏の別荘。ひなたのジリジリ焼けるような熱さ、草いきれ、翻って、屋内や日陰の意外なほどの涼しさ、暑さを避けるために水に飛び込んだら思いのほか肌に冷たくて、思わず身震いしたこと……。渋谷のBunkamuraル・シネマのスクリーンから、そんな様々なことが一気に立ち上ってくるようでした。

 

  イタリアの夏の風景も、主人公二人(ティモシー・シャラメアーミー・ハマー)もただただ哀しくなるほど美しくて、監督は、映画のテーマだの何だの、面倒なことは抜きにして、ただ短いイタリアの夏、この一瞬を映像として残しておきたいと望んだからメガホンをとったのかと思うほどでした。ロケ地に選ばれたのは、監督のグァダニーノの住まいがあるロンバルディア州クレマの街(ミラノから列車で約一時間)。街角に佇む水も滴る美男子二人。一瞬一瞬がまるで絵画を切り取ったよう😍

 

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  主人公のエリオ(ティモシー・シャラメ)は17歳。父親は大学の考古学教授で、一人っ子のエリオは、両親の愛を一身に受け、考古学の知識や音楽の才能を初めとして、文化的な素養を欲しいままにしている。そんなスポイルされたエリオの前に現れたのが、ひと夏だけ父の教授の研究助手として別荘に滞在することになった院生のオリバー(アーミー・ハマー)

 

  完璧な美貌の持ち主で、年齢も、背丈も、考古学の知識も、社交術も、女の子の扱い方も叶わない相手。初めは反発ばかりだったのが、次第に兄に対するような尊敬に、そして激しい恋愛感情に変化するさまを、ティモシー・シャラメは、心の襞の1つ1つをなぞっていくように、繊細に演じています。アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされたのも、むべなるかな。サフィアン・スティーブンスが歌うMystery of Loveもどこか懐かしいタイプの曲で。昔のサイモン&ガーファンクルのスカボローフェアを思い出すような曲です。

 

  受け止めるオリバー(アーミー・ハマー)は敬虔なユダヤ教徒で、彼の倫理観からしたら、17才の男の子の恋愛感情を受け止めるなんて、本来は考えられないんだけど、プラトニックには、初対面から強烈にエリオに惹かれている設定です。

 

  当然、「ひと夏の恋」には終わりが来るわけで。ひたすらまっすぐ気持ちをぶつけるエリオと、大人としての分別と現実の狭間で悩むオリバーの対比が切ないです😢

 

  そして、最後の場面。真冬、雪が降りしきるイタリアの別荘。オリバーから電話がかかってきて、結婚が決まったことを告げられるエリオ。その時のエリオの表情。ティモシー・シャラメの天才ぶりが如実にわかる場面になってます。

 

  映画っていいですね😊あの芸術とも言える一瞬の表情を永遠に焼き付けることができるんですもの。