上大岡TOHOシネマズ「午前10時の映画祭」 フランシス・コッポラ監督、マフィア映画の金字塔「ゴッドファーザー」トリロジーのPart1。3時間の大作です。
レンタルビデオで見た時は、自分も若かったですし、延々と繰り返されるマフィア同士の、血で血を洗う抗争(またその描写がリアルで…😅)がショッキングで、その印象ばかりが強かったんですが、今回改めて大画面で見て、その重厚な人間ドラマに心打たれました。
主人公のマフィアのボス、ドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)は、非合法な裏稼業と言いながらも、家族を愛し、麻薬の取引にはあくまでも反対するような男気のある、器の大きい人物。ハリウッドの名優マーロン・ブランドの、そこに立っているだけでもう圧倒的なオーラを放つ、彼あってこその映画。
ドン・コルレオーネは敵対するマフィアから銃撃を受け、瀕死の重傷を負います。それをきっかけに、それまでマフィアに対して批判的だった息子マイケル(アル・パチーノ)は否が応でもマフィアの抗争に巻き込まれていきます。
一族にしては珍しく大学で学問を身に付け、当初は優しげなイメージのマイケルが、父親を愛し、助けたいと思う一方で、父親の持つ強大な権力に牽かれ、その権力を我が物にしようと、次第にその冷酷で猜疑心の強い性格を表していくところ、当時はほとんど無名だったパチーノが素晴らしい演技。身内に対しては盲目的ともいえる愛を注ぎ、どんなことがあろうと守り切ろうとする父親と、身内ですらも最後までは信じきれない息子。映画の最後には、父親に代わり、ドン・コルレオーネの尊称を受け継ぐマイケルですが、彼の性格がゆくゆく彼の首をしめなければいいが…と、ふと観客に危うさを感じさせるアル・パチーノの演技がまた、巧みなんです。
マーロン・ブランドはもう演技力以前の、ひと昔前のハリウッドスターのオーラ全開、対するアル・パチーノは若き技巧派。この二人の演技の火花が、映画の中でもマフィアの抗争を巡り、去り行く者とのしあがって行く者の対比とシンクロして見応えがあります。
しかしマフィアは徹底したオトコ社会。この映画の中の女性は泣くか、わめくか、いじけるか…で、ちょっとザンネンです(笑)
ひとつの時代の終焉と、滅び行く者の美しさ。そこに、あのニーノ・ロータの胸を締め付けるような美しい音楽。あっという間の3時間です😻
(おまけ)近代映画社から午前10時の映画祭を総特集した、「何度見てもすごい名作映画」という本が出ています😊