(ヘンリー五世軍が上陸したフランス、カレーの海岸…Calais From Pixabay)
ティモシー・シャラメがヘンリー五世(即位前は愛称ハル王子)に扮した映画「キング(原題"The King")」。原作はシェイクスピアの「ヘンリー四世(第1部、第2部)」と「ヘンリー五世」だと書いてあったのでそのつもりで観始めたのですが…。
確かにシェイクスピアの名セリフはきら星の如く随所に散りばめられていますが、アプローチは全く違う❗特に、フォルスタッフのキャラ設定や彼の人生も。
でもね、映画は独自の魅力を放っていて、私個人はシェイクスピアの戯曲も、この映画もどちらも大好き💕理由の1つはやはり、当代きっての若手俳優、ティモシー・シャラメのカリスマ演技でしょうかねぇ。父王ヘンリー四世からは疎まれ、自暴自棄になって、悪友のジョン・フォルスタッフと夜な夜な歓楽街で遊び歩く放蕩王子ハル(シャラメ)。好戦的で領土の拡大と内乱鎮圧に生涯を捧げた父の生き方を嫌い、当初は平和な治世を目指した筈が、敵国フランスの暗殺者に命を狙われたことから、否応なしに戦に巻き込まれていくヘンリー五世。
即位後久しぶりに会ったかつての悪友フォルスタッフに、「王になってから自分の抱いている不安を口にしたのは、お前が初めての気がする」と呟く時の憂愁に満ちたシャラメの表情❗…色気ありすぎ(笑)こういう場面は彼の独壇場ですなぁ。戴冠式の場面なぞはまるでルーベンスの絵画のよう💕その美しさは、その後にやって来る戦場の、泥水の中の肉弾戦のリアルさ、残酷さと好対照。
繊細な理想家肌の王子が、阿鼻叫喚渦巻く戦場の修羅場を潜り抜け、政敵を容赦なく切り捨てていく絶対君主になっていく過程を、シャラメは的確に演じています。一方、皇太子の地位をハナにかけ、ハルを破滅させようと目論むフランス皇太子にロバート・パティンソン(「トワイライトシリーズ」でお馴染みですね。最近は、ベン・アフレックの跡目を継いで、DCのバットマン役を演じることで話題)。「ふたりの女王~メアリーとエリザベス」ジャクロくん演じるダーンリー卿に負けないくらいクズ野郎ですが(笑)、パティンソンくん、けっこうノリノリで演じてます😅
そして、映画の最期に、大変皮肉などんでん返しが用意されています。政治サスペンスとしても観ることができる本作品、作品の冒頭で、誰がどんな発言をしたかしっかり覚えておくと、さらに展開を楽しむことが出来ます。「ミッション・インポッシブル」のカッコいいメガネ男子、ソロモン役のショーン・ハリスがここで重要な役割を演じますので、お見逃しなく😉
フランス皇女の役で、今シャラメと恋人同士と言われるリリー=ローズ・デップ❤️若い二人、パパラッチも何のその、あっちこっちでアツアツの場面を撮られてるから、映画の画面に集中できなくてちょっと困った(笑)
単なる歴史物のコスチュームプレイに終わらない、一人の若者の生き方の模索、権力があるが故の絶対的孤独、戦争の残酷さ、愚かさ、虚しさ…。
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リリー=ローズ・デップが語る『キング』、シャネルとの関係、そして恋人と噂されるティモシー・シャラメとの共演について。 https://t.co/yL4af1MRY8 pic.twitter.com/nOSzVXlGYT
— VOGUE JAPAN (@voguejp) 2019年10月19日