オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

この時代にこそ『月の獣 』紀伊国屋ホール~眞島秀和×岸井ゆきのTS❗

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 久しぶりの紀伊国屋ホール❗役者さんの息遣いすらも聞こえるようなこの近さ、この臨場感…紀伊国屋ホールで良い芝居を観ると、お酒なんてなくたって、高揚感に浸れる。幸せに酔える。今宵もまさにそんな夜❤️

 

  しかし栗山民也という日本を代表する稀有な演出家は、どこでこうも素晴らしい、知られざる名作を発掘してきたのか❓その慧眼には驚くばかりです😮そして、役者たちが見事にそれに応えた❗

 

  出演者わずか四人の室内劇。扱う史実はかなり痛切で残酷なのですが、それは役者さんのセリフでのみ語られます。トルコ人によるアルメニア人大虐殺…。あのナチスドイツによるホロコーストよりもずっと昔にそのような事実があったとは😢しかしこの作品は、歴史的事実を暴き出し、戦争の悲惨さや平和の大切さを声高なメッセージとして伝えようとする作品ではありません。どんな残酷な事実に直面しても、人はそこに折り合いをつけて生きていかなければならない。裏を返せば、生き残った人びとの背負う十字架は、あまりにも重い。そしていつの時代も、戦争の一番の犠牲者は、市井に生きる、ごくごく平凡な人びと。我が国でも、偉大な文豪井伏鱒二が、傑作『黒い雨』でくまなく描き出したように😢

 

  トルコ人によって家族を皆殺しにされ、お互い孤児となって生き残ったアラム(眞島秀和)とセタ(岸井ゆきの)。アメリカで移民としてなんとか生活できるようになったアラムは、アルメニア人の少女セタ(なんと15才❗)を写真だけで選び、アメリカに呼び寄せます。人生の早い時期に親を失い、日々の暮らしや、愛の表現、人としての生き方を教えてもらえなかった二人。だからお互い、自分の気持ちがどこにあるのかもはっきり自覚できない、よしんば気づいても相手にどう伝えていいかわからない。そんな二人が、行き違い、すれ違い、傷つけ合いながらも、本物の家族になろうとする、心温まる物語。随所にユーモアが織り込まれていて、テーマは重いんだけど、くすくす笑いが漏れる場面もたくさん😊クリスマスの季節にピッタリ🎄🎅🎁✨

 

  眞島さんはもう、ばつぐんの安定感。やはり彼がこの舞台を根っこからガッチリ支えてます。ヲタクは元来、舞台に上がると役が憑依しちゃって全くの別人格になっちゃうとか(若い頃の風間杜夫みたいに😅)そういうタイプが好きだったんだけど、今夜の眞島さんを拝見したら、舞台の上でどんなに居丈高に振る舞っても、どこか朴訥で誠実な人柄が滲みでるような味わい深い演技者もいいもんだなぁ…と思いながら見てました。小津安二郎監督の映画に出てもらいたかった…みたいな😅(喩え古すぎ=汗)

 

  本番が不安で、誰よりも早く声出しの練習してるのを、TSでゆきのちゃんにバラされてた真面目すぎる眞島さん(笑)いくら年が離れてても、若い女優さんと共演するとどうしても愛人感が漂ってくる俳優さんもいるじゃないですか😅それとは真逆で、今夜のTS、素のお二人は父娘感ハンパなかったよ、舞台上では夫婦なのに(笑)

 

  そしてそして岸井ゆきのちゃん❗成田凌くんと共演した『愛がなんだ』以来、ヲタクの中では今一番の若手注目株の女優さん🎵いやー、凄かった❗15才の、お人形さんを一時も離せない、いたいけな幼い花嫁から、妻となり、最後には路上生活者の少年に次第に母性を発揮し始める…という女性としての変化の過程を、あれだけナチュラルに演じられる人はなかなかいないと思う。また眞島さんの受けの演技が素晴らしいからなぁ…。ゆきのちゃん、千秋楽に向けてまだまだ伸びしろがあるんじゃないか…という期待感😊

 

  まだ多少はチケットがある日もあるようですよ。遠い異国の、昔の話だと一言では終わらせることのできない、今この時代の日本でも身近で起きている普遍的な物語。

 

この得難い機会にぜひ❗