これはね、「少年よ、フェイクに惑わされるな❗心の内奥の声に従って、真実を見極めなさい」という、寓意に満ちた物語❤️タイカ・ワイティティ監督特有のユーモアに満ち、戦争、ヘイト主義、教育に名を借りた洗脳の愚かさを揶揄するパロディ満載❗
監督自身も、主人公の10才の少年ジョジョの、揺れ動く心理が産み出した空想的人物、アドルフ・ヒットラーを演じています。(ヲタク的にはアベンジャーズシリーズの中で最優秀作品賞をあげたい『マイティソー~バトルロイヤル』の監督ですから❗監督はモーションキャプチャーと声優で、ソーのバディ、岩男のコーグも演じています。もう、全編笑いっぱなしだったよ、あの映画😅)
ビートルズの『抱きしめたい』のなんとドイツ語版が鳴り響く意表をついたオープニング😅 第二次世界大戦も末期、さしものナチス帝国も連合軍の猛反撃にしだいに追い詰められていた時期。主人公ジョジョは、ナチス・ユーゲント(ヒットラーが創立した地域の青少年団体)の一員。まるでキャンプに行くように、少年たちは嬉々として腰にナイフをぶら下げ、「ハイル・ヒットラー」と口々に叫びながら『ユダヤ人をいかに上手く殺すか』の戦闘訓練を受けるのです。上級生に野ウサギを渡され、「ユダヤ人を殺す前にこのウサギの首をへし折ってみろ」と迫られたジョジョは、すんでのところでウサギを逃がしてやりますが、回りの友人たちはジョジョのことをウサギも殺せない臆病者と囃し立てるのです。(映画の題名はこのエピソードから)
殺人者が英雄ともてはやされ、良心ある者が裏切り者と詰られる、戦争の矛盾と暗黒。幼い子どもたちに、「ユダヤ人は犬と交尾する、シッポが生えている、悪魔と契約を結んでいる」などと教え込む、悪意に満ちた差別と洗脳の恐ろしさ。…笑いに潜む恐ろしさとは裏腹に、画面に映る街の風景、スカヨハやサム・ロックウェルが身に纏う衣装のカラフルで美しいこと❗深いテーマを内包した、寓意的な映画というと、ウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブダペスト・ホテル』が思い浮かびますが、あの映画も、名優たちのコメディアン(コメディエンヌ)ぶりと、画面の美しい色彩が印象的でした。
お洒落で自由人のジョジョの母親(スカーレット・ヨハンソン)は反ナチ組織の地下運動家で、ユダヤ人の美少女エルサを密かに家にかくまっているのですが、ある時ジョジョはその事実に気づいてしまいます。聡明なジョジョは、エルサとの交流を通じて、ナチスのユダヤ人ヘイトとプロパガンダに潜む嘘やごまかしに、次第に気づいていくのです。時の権力者が、嘘を嘘と認識していながら国民に対して嘘をつくのは、許しがたい重大な犯罪だと、ヲタクは思います。ヒットラーはいなくなっても、今でも第二第三のヒットラーは後を絶ちません。ワイティティ監督は、それを正面切って声高に言い募るのではなく、コメディタッチで、しかも一人の少年の心の成長と自立を絡めて描いた、その手腕、素晴らしい❗
ジョジョのママにスカーレット・ヨハンソン😊スカヨハといえばちょっと前まではマリリン・モンローばりのセックス・シンボル、魔性の女のイメージでしたけど、最近はブラック・ウィドウ役で超ハードなアクションに挑戦したり、「マリッジ・ストーリー」で人生に悩む等身大の女性のイメージが強いですが、今作では久しぶりにセクシーでコケティッシュな彼女の本領発揮💕あんまり魅力的なママなもんだから、ジョジョが照れて素直になれない、そんなエピソードも納得できちゃう(笑)
そしてそして、この映画のサム・ロックウェルですよ❗
アメリカのゲイリー・オールドマンと言われ、昔からそのカメレオン的演技力には定評があったものの、生来のヒネクレ者なのか、今まで演じたのは、イケメン(…ですよね❔ヲタク的にはイケメンの部類だと思っているんだけど、彼😅)の素顔を封印したイっちゃった役ばかり(『グリーンマイル』の囚人役は、『レオン』のゲイリーを彷彿とさせるインパクトの強い役だったけど、日本ではそれほど注目されなかった)しかしそのユニークな演技力が遅咲きながら認められて、一昨年の『スリービルボード』の暴力警官(映画の中盤からキャラ変しますけどね😅)役で見事アカデミー賞助演男優賞受賞❗昨年の『バイス』でも、なんだか情けないブッシュ・ジュニア役だったし。本作では、戦場で片目をなくし、義眼のナチスユーゲントの教官軍人役。今回みたいに、少年の成長を陰ながら見守るストレートなイケメン役、初めてぢゃないかなぁ…。(ホモセクシュアルの設定だし、戦う時はなんかニワトリみたいなトサカつけてて、まあ彼が演じるわけだから、いっぷう変わったキャラではあるんだけど😅)最後、ジョジョとの別れの場面なんて悲しすぎて、ヲタク、ジョジョと一緒に叫びたくなったよ…くすん😢スカヨハの助演女優賞ノミネートはもちろん納得❗だけど、サムもノミネートされて良かったと思うんだけどなぁ…。
最後に画面に映し出される
すべてを経験せよ
美も恐怖も生き続けよ
絶望がすべてではない
…というリルケの詩が全てを物語ります。「大事なことは語り続けなくてはならない」というワイティティ監督の気概や、良し❗ぜひ今映画館で💕
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