オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

クイーンと映画『メトロポリス』


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  先日も記事にした、たまアリ『クイーン+アダム・ランバート』ライブ(WOWWOW)大好きな『レディオ・ガガ』歌ってくれて嬉しかった!遅咲きのヒットメーカー、ロジャー・テイラー(ドラム)の曲。この曲のMVは、博物館で展示してもいいくらいの映画創成期の名作中の名作サイレント映画、『メトロポリス』のオマージュであることは有名な話。たまアリの舞台でも、アダム・ランバートの背景にしっかり映してくれていたので、ヲタクの中に久方ぶりに『メトロポリス』熱が沸き起こり、屋根裏部屋からDVD引っ張り出して夜中に観てしまった…。

 

 この作品は諸々の事情で長さもさまざまなバージョンが存在するのですが、ヲタクがヘビロテしているのは、イタリアの作曲家・音楽プロデューサー、ジョルジオ・モロダーが自ら作曲したロック音楽を散りばめて新たに製作し直した1984年の作品。唯一、モロダーの曲以外で使われているのが、フレディ・マーキュリーの『ラヴ・キルズ』なんですね。

 

  映画『メトロポリス』。SF映画の最初の大作にして最高傑作と称されるこの作品。労働者たちは地下牢のような工場に押し込められて終日働き、それを搾取する支配者階級は天上の楽園で日毎パーティーに興じています。資本家の息子フレーダーは労働者の娘マリアと恋に落ち、彼女を通じて労働者たちの悲惨な生活を知り、その分断を埋めようと考え始めます。折しも労働者たちの間にストライキの機運が高まり、それを抑圧しようとするフレーダーの父親は、科学者ロトワングに命じ、マリアと瓜二つのアンドロイドを製作し、労働者たちを撹乱しようとしますが…。

 

 MVでオマージュされているのは、時計の針を人間が動かしている場面と、鋼鉄のアンドロイドに電流が流れて、次第に生けるマリアに変わっていく有名な場面。MVでは、後者の場面がフレディの顔になっちゃうんで、ヲタク的にはちょっと笑っちゃうんですけど。

 

  アンドロイドのマリアがですね、清純な人間のマリアと真逆の、まるでジキルとハイドのハイド、まるでオデットとオディールのオディールみたいなファム・ファタールビアズリーサロメもかくや、と思われる超セクシャルな衣装で踊りまくり、男性たちを虜にするわけですが、この映画の製作年度は今からおよそ100年前。映倫どころの話ぢゃないんだけど、これ、大丈夫だったんだろうか…。フレディの『ラヴ・キルズ』、アンドロイドに男たちが群がる背徳のバビロンに死神が鎌を打ち下ろす、七つの大罪の場面で使用されて物凄いインパクトです(^_^;)

愛は約束されたりしない
フェアな取引もない
いいかい?
愛は正当性を与えぬまま
刃物で突き刺すのさ

 

 

また、このロトワングって科学者がその性格といいヴィジュアルといい、その後の映画(例えば『博士の異常な愛情』、例えば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』)におけるマッドサイエンティスト像そのまんまなんですね。映画ファンなら、押さえておきたい名画のひとつでしょう。

 

   ツイッターでモロダーとレディオ・ガガ、『メトロポリス』と『ラヴ・キルズ』のうらばなしを発見!なかなか面白かったので、リツイ&ブログにUPさせてもらいました。