いつも楽しみにしている映画.Comさんの新作映画評論ですが、このご時世新作はしばらくお預け…ということで、しばらくは『映画.Com ALL TIME BEST』に選ばれた映画の評論を再掲載して下さるそう😆まずは『L.A.コンフィデンシャル』❗嬉しいですねぇ、しょっぱなから(笑)ミステリー作家ジェームズ・エルロイの『ロス4部作』のうち、3番目を映画化したもの。Los Angeles(天使の棲む街)に潜む悪徳と退廃を、スピード感溢れる展開で描き出します。
これ、前評判は高かったんですが、アカデミー賞レースでは殆どあの大作『タイタニック』に持って行かれて、脚色賞と助演女優賞のみに留まりました。『タイタニック』、大変よく出来た作品で、レオ様が信じられないくらいキレイで大好きなんですが、純粋に一本の映画として見るとこちらのほうが…#@*¥Ψゐ!#…(笑)…ってゆーか、単にヲタク好みの映画ってことです、要するに😅
スミマセン、つい当時の悔しさを思い出しちゃって😅賞レースの結果はともかく、映画.Comさんがおっしゃるように、この映画がハリウッド史上燦然と耀く名作であることに異を唱える人はいないでしょう。
舞台は1950年代のロサンゼルス。冒頭、当時のロスのプロパガンダ~「ロスは夢と希望が叶う街」「輝く太陽の下、誰もが幸せに暮らす」「あなたも成功できる、スターになれる」~等々、延々と流れるのですが、映画ではそれとは程遠い現実が描かれます。主人公は殉職した父親を越えようと野心に燃える若い刑事エド(ガイ・ピアース)と、幼い頃母親を父親に撲殺された悲しい過去を持ち、暴力を激しく憎むバド(ラッセル・クロウ)。性格も仕事のやり方も真逆で反発し合う2人は、警官を含む男女6人がレストランで何者かに虐殺された『ナイトアウル事件』の真相を追ううちに、ロス市警に巣くう腐敗に迫っていくのですが、彼らそれぞれの正義の行き着く先は…❗❓
何しろガイ・ピアーズと、これがハリウッドデビュー作となったラッセル・クロウの二人が若いこと、若いこと(笑)ガイ・ピアースは昨年『ふたりの女王~メアリーとエリザベス』でエリザベス1世の腹心ウィリアム・セシル卿を演じて、渋いイケオジの魅力を振りまいていましたが…いや…ヲタクも年を取るはずだわ、うん(笑)
事件の謎を追うスリリングなミステリーであると同時に、当時のロスの風俗と、アメリカンドリームを求めてやって来たのに叶えられず、無惨な結末を迎える人たちの悲哀に満ちた人生が、ストーリーに深みを与えています。
特に、ラッセル・クロウ演じるバドに一目惚れされる娼婦のリンを演じたキム・ベイジンガーは、一世一代の名演技でしたねぇ…。リンが働く娼館がまたね、女優志望の若い女の子たちを食い物にして、有名女優に似た顔に整形させて客をとらせるような悪徳の館なんですよね😢リンも、アリゾナの田舎から出て来て、ゴージャスに着飾ってはいても心は少女のまま。いつかは故郷に戻って洋服の店を出すのが夢。高級娼婦としてではなく、一人の女性として大事にしてくれる、乱暴だけど一本気なバドにほだされていく過程がね、哀愁があって…。ゴールデングローブ賞とアカデミー賞、2つのビッグタイトルで助演女優賞に輝いたのも納得の演技です😊映画の中で、彼女はハリウッドのフィルムノワールでヒロインを演じたヴェロニカ・レイクに似ている…という設定。ヴェロニカがアラン・ラッドと共演した映画(たぶん『ブルー・ダリア』?)をリンが見て仕草を研究してるシーンもあります。でも、彼女がバドとのデートで見るのは『ローマの休日』だったりして、そのキャラ設定も心憎い😊
後年『メンタリスト』で大ブレークのサイモン・ベイカーが、スターを夢見てロスに来たものの、周囲にいいように利用され、最後は悲劇に見舞われる気弱な青年を演じて秀逸。
正義と野心に命を賭ける男たち、それに翻弄され、人生の流転を余儀なくされる女たち…。暗く、洗練された映像美に酔うフィルム・ノワールの傑作❗
L.A.コンフィデンシャル : 映画評論・批評 - 映画.com
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— 駒井尚文(映画.com編集長) (@KomaiNaofumi) 2020年5月1日