オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

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煌めく若き才能・片山慎三監督~『岬の兄妹』WOWWOWに❗

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WOWWOWシネマチャンネル、6 月3日(水)23時10分~『岬の兄妹』。昨日ご紹介したWOWWOW『日本映画最前線❗』9作のうちの1つです。

 

  ある地方の港町で暮らす兄と妹。兄は足が不自由で妹は自閉症。ちょっと目を離すと妹はすぐに外に出て行ってしまうので、港で働く兄は自分が留守の間、室内の妹を鎖で繋いでいる😢そんなある日、外にさ迷い出た妹は見知らぬ男と一夜を共にし、お金を貰ってくる。その時は妹を殴り、その行為を激しく叱責した兄。しかし仕事を解雇され、生活がますます逼迫して来た時、兄は妹の手を取り、『妹を見知らぬ男たちに売る』為に、夜の港町を二人で徘徊し始める…。

 

  これちょっと、あらすじ読んだだけでもエグすぎて😅二の足踏むような内容なんで迷ってたんですが、何しろ各界の著名人から絶賛の嵐なんですよね😮特にヲタクの敬愛する白石和禰監督、池松壮亮くん、ポン・ジュノ監督…etc.…なんで、怖いもの見たさで(笑)こわごわ観た映画です。

 

  ストーリー的にはもう、救いようのない展開なんですが、ところどころ陰鬱なユーモアが感じられるのは、兄役の松浦祐也さんの演技のせいかなぁ。お金に困って、障害のある妹に売春させるなんて、下の下の外道で、ぶん殴ってスマキにして海に投げたいくらいなんだけど、女性の立場からしたら😅…でもあのいかにも気が弱そうな、上目遣いの卑屈な笑顔を見ると…(笑)妹が逃げないように玄関の扉に南京錠をつけて仕事に出るんだけど、それをこの兄、帰って来た時にはトンカチでぶち壊しちゃう😅扉には、今まで幾つも壊した跡があって…。(えっ❗❓なんで❓カギはどこに行ったの❗)って思うんだけど、もしかすると監督はあの場面で、兄のほうも若干知的な障害があることを暗示しているのかな…と思ったんですね。だとしたら、彼のいろいろ常軌を逸した行動も納得がいくし、彼が妹と二人、生きていく唯一の方法として考えついたのが妹の売春だったとしたら、あまりにも切なすぎる😢

 

  一方妹のほうは、薄暗い部屋で鎖に繋がれた生活から、売春によって独居老人や小人症の若者に悦びを与えることにより、次第に女性の自我に目覚め、自己発現していくという、痛烈に皮肉な展開になっていくんです。そして心だけでなく、彼女の体にも変化が…。

 

  妹を演じた和田光沙さんの最後の表情、素晴らしく印象的。この兄妹にとって、いや私たち人間にとって、『生きる』ってどういうことなのか、真の自己充足ってどういうことなのか、深く考えさせられる結末になっています。(和田光沙さん、白石監督の『止められるか俺たちを』にご出演されてたそうなんですが、はて、どの役だったんだろう😅しっかし今作では一度見たら脳裡に焼き付くパワフルな熱演、凄い女優魂です❗)

 

  どこかの記事で『地方都市の暗部を描く』って見たけど、いや、そんな事言ったら地方都市に住んでる人たち怒るよ(笑)まずもってこの港町の社会福祉制度はどこに存在するの❓って話だし😅兄の幼なじみが警官で、度々兄にお金を用立ててあげるんだけど、ヲタク思わず(おいーーっ、おカネ貸すより福祉事務所に一緒に行ってあげなさいよーっ(°Д°))って画面に突っ込んだ😅…でもね、これはリアルぢゃなくて、一種の寓話だと思うんですね。シンボリックな寓話なんだ、って思って観ました。社会の常識とか、脆弱な倫理観とか、全てぶち壊す、渦巻くエネルギーに満ちた寓話。

 

 この鮮烈な作品でデビュー、 製作・脚本・監督・編集と全てをこなした片山慎三さん。グザヴィエ・ドランかよ…。若干39才、この機会に、日本映画の煌めく若い才能をぜひ体感してみて下さい😊