オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

そして少年は大人になる~WOWWOWシネマ『僕はイエス様が嫌い』

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近年の注目日本映画を特集した、WOWWOWシネマ『日本映画最前線❗』。大トリを務めるのは、奥山大史監督の『僕はイエス様が嫌い』(6月11日(木)21時~)

 

  雪深い地方都市の祖母の家に、東京から両親と共に引っ越してきた少年ユラ。その地のミッション系の小学校に転校する。もともとキリスト教の素地もなく、毎日の礼拝に戸惑うユラの前に、ちっちゃなイエス様が姿を現す。ユラ以外の人には見えないが、いつも彼の願いをかなえてくれるイエス様。サッカーが上手な素敵な友だち、和馬も出来て毎日がハッピーなユラは、次第にイエス様の存在を信じ始めるが、大きな試練が…。

 

  ユラのちっちゃなイエスさまは、言わば子ども時代のサンタクロースのようなもの。「いい子にしていたら、クリスマスにはサンタさんが素敵なプレゼントを持って来てくれるわよ」っていうね。神様にお祈りすれば、いい子にしていれば、神様は何でも願いを叶えてくれる。ひねくれた大人のヲタクだって、そんなふうに信じてた可愛い時代もあったんだよ(笑)サンタさんなんて本当はいないんだ、神様だって忙しくて、何でも願いを聞いてくれるわけにはいかないんだ…って、苦い思いを抱き始めたのはいつのことだったろう。昔すぎてもはや思い出せない(笑)

 

  雪深い森の中にある親友の和馬の別荘で、和馬と、和馬のママと三人で一緒に過ごすクリスマス。フワフワと楽しそうな、まるで少女のような和馬のママ。

「和馬のママって、いつも笑ってるね」

「いつも笑ってたら、おかしいでしょ、それ」

  そんな他愛もない少年たちの会話が、来るべき悲劇の伏線になっているとは、観ている誰が想像できたでしょうか😢

  そして、大きな試練に直面したユラが、自ら選ぶ残酷な結末。

 

  純白の雪に止まった白い鳥、風にざわめく雑木林、北国の冬の冷たい空気の匂い……そして、全編を流れる『主よ終わりまで』、『聞けや愛の言葉を』、『Jesus loves me』などの讃美歌が心に染み入ります。

 

  人生のとても早い時期に、アダムとイブのように、子ども時代というアルカディアから追われ、『メメント・モリ』という厳しすぎる人生の現実に直面しなくてはならなかったユラ。それでも私は、その小さな肩を抱き寄せて耳元で囁いてあげたい。「あなたのちっちゃなイエスさまは、やっぱりどこかであなたのことを見ているよ」…と。なぜなら、ユラの願いを叶えてあげられなかったちっちゃなイエス様の、悲しげな表情と、悄然と肩を落とした姿が、ヲタクの心の中に今でも残っているから…。

 

  奥山大史監督は、青山学院大学在学中に本作品を自主製作。監督・脚本・撮影・編集のスーパーマンぶり。グザヴィエ・ドランかよー❗(…って最近こればっかのヲタク😅最近の日本映画がいかに元気かのあかし😉)

 

 このデビュー作で、史上最年少、若干22歳で第66回サンセバスチャン国際映画祭で最優秀新人監督賞、第29回ストックホルム国際映画祭、第13回ダブリン国際映画祭における最優秀撮影賞の受賞、瞬く間に世界の映画界の寵児となりました。

 

好きな監督の共通点って、その人の軸があって、作りたいものだけを作っている人ですし、そのほうが圧倒的に格好いいですよね。

…と、仕事を持ちながら自らの映画製作のスタンスを守り抜こうという奥山監督。その意気や、良し❗😊

 

  今、日本映画界を脈々と流れる若き潮流。その熱いうねりをあなたも❗