オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

震えるほど感動する❗~映画『コリーニ事件』(ドイツ)

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 チネチッタ川崎で『コリーニ事件』(ドイツ)。原作者のフェルディナンド・フォン・シーラッハは現役バリバリの弁護士。法律に精通した専門家が書き下ろした渾身の法廷サスペンスですから、面白くないわけがない❗主人公である弁護士の調査や、多数の証言によって次々と露わになる驚愕の真実が、恐ろしすぎて、悲しすぎて、震えが止まりませんでした。

 

  ある一流ホテルのスィートルームに宿泊していた経済界の大立者が、67才のコリーニという男(フランコ・ネロ)に殺害された。しかも、至近距離で3発の銃弾を打ち込まれ、その後も頭蓋骨が砕けるほど靴で何度も踏みつけられる残虐なやり方で…。国選弁護人となった新米弁護士カスパー・ライネン(エリアス・ムバレク)は、本人から何とか殺害の動機を探ろうとするが、本人は貝のように黙秘を続け、ライネンは手も足も出ない。コリーニはイタリア移民だが、30年もの間ドイツで真面目に働いてきた善良で平凡な一市民。そんな男がなぜ❓しかも被害者はライネルの幼馴染みの祖父で、トルコ人の貧しい家庭に育った彼を目にかけてくれた恩人とも言うべき人物だったーー。

 

  コリーニの殺害の動機が明らかになり始める中盤からもう、涙が止まらないです😭正義とは何か❓法律によって人を裁くとはどういうことなのか❓最後に、コリーニの苦難に満ちた人生、その最大の原因が戦後成立したドイツ連邦のある法律にあることがわかるのですが、それって、言わばドイツの歴史の恥部でもあるわけですよ。それを小説という形で社会に突きつけたシーラッハも凄いし、それがきっかけで法律改正の機運がドイツ国内で一気に高まったという事実を聞くと、そんな成熟した社会、羨ましいなぁ…って思う。ナチスドイツの問題もそうですけど、歴史の汚点から目を逸らさず、まず事実を事実として認めることから始めようとする心意気が…ね。

 

  主人公のライネルを『ピエロがお前を嘲笑う』のマックス役、エリアス・ムバレクが演じてます。イケイケパリピのマックスとは真逆の、貧しい異邦人の疎外感・劣等感をバネにのしあがるライネル。コリーニ役、フランコ・ネロがまた、ある事件から人生が止まってしまった一人の男の悲痛な人生を、深い眼差しと微かな表情の移ろいだけで表現する、その演技が見事です。

 

  余談ですが、フランコ・ネロの奥さんって英国の超演技派女優ヴァネッサ・レッドグレーブなんですよね。(『ハワーズエンド』、『つぐない』など)。演技派女優とマカロニウェスタン出身のミスマッチなカップル…なんて陰口叩く人もいたけど、今作品の演技なんてもう、素晴らしいの一言、奥さんに全然負けてないよ。二人が結ばれるきっかけになった映画は、英国のアーサー王伝説を題材にした『キャメロット』。豪華絢爛、素晴らしく美しい画面、ネロさんはアーサー王の妻グェナヴィアの道ならぬ恋の相手、騎士ランスロット😍イケメンでしたよ、あの頃のネロさん💕今は彼自身の人生の歩みがそのまま刻まれたようなシワがダンディでステキ(笑)

 

閑話休題(汗)

 

  何しろ、一人でも多くの人に見てもらいたい映画です❗

 

  梅雨の晴れ間の爽やかな風の中、(映画はあらゆることを教えてくれる。今までも、そしてこれからも)と、そんなことを考えながらぼーっと歩いていて、おニューの日傘をどこかに置き忘れて来た今日のヲタクなのでした😅