オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

美が溢れ出て止まらない❗~『ストーリー・オブ・マイライフ』

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ルイザ・メイ・オルコット女史の『若草物語』は、世界中の少女の、バイブル中のバイブル❗それを『フランシス・ハ』や『レディ・バード』など、一貫して女性の生き方というテーマを追い続けるグレタ・ガーウィグ監督が見事に現代に甦らせた❗

 

  昔むかし、ヲタクが少女だった頃(もはや旧石器時代くらい昔の話ですが😅)の愛読書の3種の神器といえば、『赤毛のアン』(モンゴメリー)、『バレエシューズ』(ストリートフィールド)、そしてこの『若草物語』でございました。原作は四部作ですが、そのうちの第一作『若草物語~Little Women』と、大人になった四人姉妹を描いた『続・若草物語~Little Women Married』を映画化。映画は続編における四姉妹の『今』から始まり、折りにふれて少女時代の思い出の数々がフラッシュバックする設定。その演出法によって、それぞれ人生の厳しい現実に直面している大人になった四姉妹(そして観ている私たち)が、二度と戻らない少女時代を懐かしむという、甘くて心痛むノスタルジーを感じさせて秀逸😊

 

  舞台は南北戦争真っ最中のアメリカ合衆国。お父さんは奴隷解放の理想に燃え、北軍の従軍牧師として戦地へ。女手一つで家庭を守るお母さんと四人の姉妹。長女メグがエマ・ワトソンで次女ジョーがシアーシャ・ローナン、末っ子エイミーがフローレンス・ピュー、おまけに隣に住むセレブ男子ローリーがティモシー・シャラメって…。BBCのドラマ『戦争と平和アンドレイ役のジェームズ・ノートンがメグの夫役だし。言ってみれば…

 

イケメンイケジョの大行列(笑)

 

おまけに映像がひたすら美しくて、特に姉妹たちが海辺に遊びに行く場面なんてスクリーンがまるでジョルジュ・スーラの点描画みたい😍

 

  四姉妹の住む家…ロケ地はマサチューセッツ州コンコード。作者オルコットや、文豪ナサニエルホーソンゆかりの地でもあります。メイフラワー号による、アメリカ人最初の入植地。元々アメリカに最初に入植したのは、清貧を旨とし、厳格な宗教的規律で知られる清教徒(ピューリタン)の人たち。四姉妹のご両親は牧師夫妻ですから、それはもうピューリタンの鏡みたいなもん。だからクリスマスの朝四姉妹がお腹ペコペコでまさに食事のお祈りをしようとしたその時、お母さんが突然、「ご近所にはお子さんが沢山いて、日頃満足に食事ができないご家庭があるの。今からサンタさんの代わりにこのご馳走を私たちが持っていってあげましょう」なんて言い出すわけ😅

 

  そんな家庭に育った良妻賢母タイプの長女メグ(エマ・ワトソン)が、友達から胸元の見える派手なドレスを借りて、「今日だけ、今日だけだから。明日からまた堅実な生活に戻る」って自分に言い聞かせる場面、だからこそより心が痛みます。結婚後、優しく誠実、でも貧しい夫の前で、思わず「もう貧乏なんて飽き飽き」と口を滑らせてしまって、激しく自己嫌悪に苛まれる場面も良かったですね。エマ・ワトソンの、控えめな演技が素晴らしいです😊また、小説家の夢を追いかける次女ジョー(シアーシャ・ローナン)が、最愛の妹であり理解者である三女ベス(エリザ・スカンレン)を失い、子供の頃から憧れ続けた作家への道も閉ざされ、愛するよりも愛されたい、誰かにすがりたい、「私どうしようもなく、孤独なの」と涙を見せる場面は、女性なら1度は経験したことのある心の揺らぎがシアーシャの名演により素晴らしく印象的に描かれていて、思わず涙、涙😢

 

  特筆すべきはエイミー(フローレンス・ピュー)のキャラ設定かな。原作では末っ子のわがまま娘、しかもちゃっかり屋…というわりと単純な描かれ方なのですが、さすがガーウィグ監督、理想に燃え性差に屈せず夢を追いかけるジョーの対極として、その時代の女性としてどう生きればいいか❓迷いながらも、冷静に自己を客観視するリアリストとしてエイミーを描いています。一方ではあらゆる面でジョーにコンプレックスを持っている複雑な役。演じるのがまた今一番の成長株フローレンス・ピューだからね(『ファイティングファミリー』『ミッドサマー』)。数年前だったらシアーシャ・ローナンの立ち位置だったわけでしょう、これ😅二人の、静かな火花が散るような演技合戦も見ものですよ😉

 

  そして最後に、絵画のようなコンコードの牧歌的風景を背に、ローリーがジョーにプロポーズする場面😍ガンとして首を縦にふらないジョーに、「初めて会った時から愛してる」「君が嫌うことは全部止めたよ。なのにどうして愛してくれないの」と、かきくどくシャラメくん、色気ダダ漏れ💕早くに亡くなった父親がイタリア人って設定で…さもありなん(笑)しっかし、あのシャラメにあんなに迫られて、一瞬フラッともせず、よくもまあ無慈悲に断れるもんだよ😅シアーシャ、石地蔵あるいは巨人ゴーレム説(笑)

 

  観客は50代以上の、ヲタク同様少女時代を『若草物語』で過ごした人たちがほとんどだけど、若いお嬢さんたちが観てもきっと感動すると思うなぁ。女性が好きなこと、女性が憧れること、女性が迷うこと…きっと昔も今も変わらないと思うから。

 

一人でも多くの女性に観て頂きたい映画です😊