U-NEXTで『ワンダーウォール』映画版鑑賞。1913年建設の京都大学寮の取り壊しを巡って、取り壊しに反対する学生たちと、取り壊しを強行しようとする大学側の、闘争の顛末を描いたもの。
実際の闘争自体は、なんと大学側が住民である学生を訴えるという、エグい展開になっていますが、そこはそれ『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』『ストレンジャー~上海の芥川龍之介』等の渡辺あやが脚本を担当しただけあって、実話をベースにしながらも愛すべき登場人物たちがリアルに躍動している、青春エンターテイメント映画になっています😊
築100年、 幽霊屋敷みたいなボッロボロの近衛寮。しかしそれは学生たちの心のふるさと。一見無秩序に暮らしているようにみえても、そこには厳然たるルールがありました。まず、敬語は絶対禁止。上級生や下級生の区別はなし。トイレも男女では分けない。男も女もトランスジェンダーも好きなトイレを使うべし(笑)寮の議事は多数決ではなく、全員一致を旨とする為、会議はめちゃくちゃ長くなる😅この設定がいいんだよなぁ~、ジェンダーレス、ボーダーレスのパラダイスぢゃないか。今世界中で問題になってる差別や分断化なんてここには跡形もない。学生だったら、ヲタクだって入りたいよ…って、ホコリだらけでアレルギー悪化しそうだけど(笑)
主人公のキューピー(須藤漣)が言う通り、「変人ばかり」の住人たちですが、それぞれ強烈なキャラ立ち(笑)特に、最近ヲタク大注目の岡山天音くんと若葉竜也くん❗冷徹な頭脳を誇り、闘争に参加しながらもその意義と将来性を常に分析・思考しているデカルトの弟子みたいな志村役(岡山くん)と、自由な趣味人ドレッド(若葉くんの壮大なドレッドヘアが見ものです😅お茶を立てる姿がカッコいい)という重要な役をそれぞれ演じていて、やはり二人の演技は群を抜いています。
学生課に新しい受付担当の美女(成海璃子)が登場したことによって、学生たちの闘争は新たな局面に入っていきますが、さて、その結末はいかに…❗❓(前任者の受付を、京都を舞台にした映画には欠かせない?山村紅葉さんが演じているんですが、もう彼女のキャラ、サイコーです❗言うなれば、『半沢直樹』における香川照之的な=笑)
映画の最後に流れるテロップ。それによって私たちは「人生のリアル」を突きつけられます。でも、ヲタクは寮生たちに言いたい。権力がどんなに力ずくで君たちの自治と権利をもぎ取ろうとしても、君たちが真剣に考えたこと、対話を持とうとしたこと、未来に向けて行動したことの意義は決して消えることはないと。一抹の苦さをかみしめながら、ヲタクはひとり、そんなふうに心の中で呟いてみるのでした。