オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

「吉沢亮はこんなに表現力のある役者だったのか」~『AWAKE』パンフより


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…ええ、ええ、そうだったんですよ(笑)おそらくもうずっと前から。私たちが彼の演技の素晴らしさに気づく前から。

 

  映画評論家の石津文子さんという方が、「表現力のある俳優たちのキャスティングも光る、魅力あふれる青春映画」というキャプションで、『AWAKE』のパンフレットにREVIEWを寄稿されています。

 

  石津さんは、主人公英一が将棋に向かっている一心不乱ぶり、ものすごい集中力を持っているにも関わらず、「どこか不完全燃焼気味で、猛々しい若さではなく、燻っている」点に着目し…

そのスッキリしなさを、吉沢は体重を増加させ、目を見開く仕草や、特徴的な歩き方などで表現してみせる。おそらくこの映画の直前に撮っていたであろう『なつぞら』での、健気で爽やかな少年ぶりを微塵も感じさせない。

と書かれています。

 

うーん、なるほどなぁ。不完全燃焼、燻っているかぁ。確かに、あの、英一(吉沢さん)が長年のライバル陸(若葉竜也)に完璧に敗れ、将棋を諦めた後の鬱々とした日々。あのもっさりした感じ、マイナスの感情が内側に蓄積して、それがゆるやかに膨れ上がっていくような吉沢さんの演技は、初めて見るものだった❗同じ「挫折した青春像」を表現するにしても、例えば『青くて、痛くて、脆い』の時の、狂気にも似た、激しく燃え上がる怒りの表現とは全く違ったものだった。

 

 凄い、凄いよ、吉沢さん。あの二階堂ふみに「吉沢くんは天才。吉沢くんが男性でよかった(女性だったら、同じ土俵で戦わなくてはいけないから)」と言わしめただけのことはある。

 

  巻末には、ネットでその一部が掲載されている山田篤宏監督と茂木健一郎さん(脳科学者)の対談全文が~~❗ヲタク的にはツボだらけの対談で。茂木さんが「英一が、大学の人工知能研究会の部室のオタク部屋っぽい感じ(ちらしに映ってるあの部屋ね😉)がよかった」って仰っていて。そうそう❗英一があの部屋に足を踏み入れた瞬間から、英一の人生が180度転換していくんですよね。そして、奇人変人の先輩(落合モトキ)がぬっと顔を出す。まるで何かの救世主みたいに(笑) あんなにごちゃごちゃした部屋なのに、射し込む光の当たり具合なのか何なのか、ひどく美しく感じたのも不思議😮

 

 山田監督が、「将棋映画を作ろうとしたつもりはない」「僕は『AWAKE』をスポーツ青春映画みたいだなと思いながら作ってました(笑)」と仰っているくだりも激しく頷いてしまった😊そして、茂木さんが、「『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才科学者の秘密』は世界最強の暗号解読に挑んだ天才科学者アラン・チューリングベネディクト・カンバーバッチが演じていたけれど、あれも青春映画だったと思うんですよ」と❗そう、それそれ❗あの映画も、暗号という特殊な世界の話ではない、仲間との協力や友情、世界平和への希求あってこそ大事業は成し遂げられる…という、熱い青春物語だった❗

 

  名作は、観る者の立場や年齢を選ばず、何度繰り返し見ても新しい発見があるという。『AWAKE』こそ、『ソーシャル・ネットワーク』や『イミテーション・ゲーム』に勝るとも劣らない、新しい時代の日本映画の名作だと、ヲタクは信じて疑わない😊