オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

アメリカにもイヤミスがあったのね😮Netflix『The Sinner~隠された理由』

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  イヤミス…後味が悪く、嫌な気持ちで終わるミステリー作品、略して「イヤミス」。謎が解けてスッキリすることはなく、むしろ不快感を味わう作品のことを言います。

(P+D Magazineより)

 

  Netflixで『The Sinner~隠された理由』(全8話)鑑賞。画面の陰鬱な色調といいストーリー展開といい登場人物のキャラといい、とてもアメリカ発のミステリーとは思えず(笑)北欧のドラマかと思った😅しかしイヤミス好きにはこたえられない、重厚且つ考えさせられるドラマです。

 

  ニューヨーク郊外の湖のほとり。夫と可愛い息子と過ごす主婦のコーラ(ジェシカ・ビール)は、この上ない平和を享受しているかに見えた。ところが近くにいたカップルのラジカセから音楽が聞こえて来た途端、コーラは息子の為に梨を剥いていたはずの果物ナイフを振りかざし、カップルの男のほうに馬乗りになって狂ったようにめった刺しにし始めた。「もう大丈夫よ❗」とうわ言のように呟きながら…。

 

  もう、のっけから超衝撃的な幕開けで、度肝を抜かれます。

コーラはなぜ見ず知らずの男を最も残酷なやり方で殺してしまったのか?

なぜ音楽が鳴った途端に自制心を失ってしまったのか?

目撃者によれば、刺された男は途中から抵抗する気力を失ったかのようだった。それはなぜ?

 

  この事件には深い闇と謎が潜んでいると直感した担当のアンブローズ刑事(ビル・プルマン)は、精神分析医の力を借り、また地道な聞き込みを続けるうちに次第に事件の核心に迫っていき、コーラの驚くべき秘密と、悲惨な過去を明らかにしていきます。

 

  複雑に絡み合う人間関係と張り巡らされた数々の伏線。最後にそれが次々と1本の線に繋がって、ひとつも取りこぼしがないのはお見事❗

 

  そして特筆すべきはヒロインのコーラを演じたジェシカ・ビールでしょう。自分でも自覚のないままに手を血で染めてしまった絶望と恐怖。罪の意識に苛まれながらも、幼い息子の為アンブローズ刑事と共に、辛い真実と向き合おうとする姿には心打たれます。ジェシカ・ビールというと、ヲタクの中ではジャスティン・ティンバーレイクの奥さんというイメージだけだったのですが(…スミマセン😅)、このドラマでは渾身の演技を見せてくれます。彼女はこのドラマの演技により、第75回ゴールデングローブ賞主演女優賞、第70回プライムタイム・エミー賞の主演女優賞にノミネートされたそうです。納得❗

 

  原題のSinnerとは、法律を犯した犯罪者ではなく、道徳・宗教上の罪人、罪深き者といった意味です。ドラマの中にも、愛が深いがゆえに罪を犯してしまう者、反対に信心深い仮面を被りながら他人の罪を断罪し、言葉の刃で傷つける者…さまざま登場します。いや、登場人物の誰もが何かしらの罪を抱えていると言ってもよいでしょう。犯人を追うアンブローズ刑事でさえ、人には言えない暗い秘密を持っています。

生きることによって私たちは他人を傷つけ、多かれ少なかれ罪を犯すことから所詮逃れられないのだろうか…?

作者の根源的な問いかけが、どこかから聞こえてくるような気がしました。…だからこそ、いたずらに人を責めたり、罪を暴きたてて断罪する前に、自分自身を振り返ってみるべきではないかと。

 

  悲惨な生き方を周囲から強いられながらも、なおかつ相手を許そうとし、過去を乗り越えて生きようとするヒロインの姿に一筋の希望のひかりがあり、陰惨なストーリーにしては、不思議と後味は悪くありません😊

 

  現在Netflixでは第3エピソードまで配信中。本国アメリカでは、第4エピソードまで製作が決定しているようです。