オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

舞うが如き土方の剣、そして😭…~『青天を衝け 恩人暗殺』

ああ…。ついにこの日が来てしまった…。

 

渋沢栄一(篤太夫)役の吉沢亮さんも、ツイッターに「出会いがあれば別れがある」と。ヲタクもこのトシになって、人並みに出会いと別れを繰り返してきた。…でも、今宵の別れはあまりに辛い。江戸っ子の円四郎(堤真一)と、きっぷの良い元芸者の女房、やす(木村佳乃)の、夫婦漫才みたいな楽しい掛け合い。さんざん笑いながらも、いつもその後すぐに胸がぎゅっとなってた。この二人の幸せは、長くは続かないことがわかっていたから。

歴史って残酷😭

 

  一橋家に仕官する者をリクルートする為、関東へ発つ篤太夫と成一郎(高良健吾)。円四郎が篤太夫にかける言葉…「お前は(他の武士のように)死ぬことを生業(なりわい)にすることはねぇぞ。だから渋沢、おめぇはおめぇのまま、生き抜け。必ずだ、いいな」恩人を待ち受ける悲惨な運命など知るよしもなく、そのはなむけの言葉を心に刻み付けようとする篤太夫の真摯な表情に、冒頭からすでに涙が止まらない😭

 

  幕府と朝廷、開国と攘夷…。さまざまな思想と思惑が入り乱れ、まるでるつぼと化した当時の日本。水戸では天狗党の乱の火の手が上がり、京では孝明天皇を担ぎ出し、慶喜や中川宮を暗殺して一気に倒幕を謀ろうとする長州藩の浪士たちが、新撰組によって壊滅的な打撃を受けることになる池田屋事件が勃発。

 

  し、しかし…ほんの1分ほどの出番だった土方歳三様~~(町田啓太)😍

  命乞いをする長州藩の浪士に向かって「潔く果てよ」とひとこと言い放ち、京の町中の狭い狭い路地で、よくもまあ刀が振れると感心するほどの華麗な殺陣❗町田くんがまたね、ヲタクの中の、「役者と見紛うほどの色白な優男」という土方のイメージにドンピシャなんです♥️建物の陰から足だけすっと現れて、土方の全身が逆光の中に浮かび上がる美しいシーン、まるで「第三の男」のオーソン・ウェルズだわ、谷崎潤一郎の陰翳礼讚だわ…。(うっとり)

演出の方によれば…

町田さんのシーンは、相手にはまったく触れられないで、相手は一太刀で死んでいく……みたいな昔っぽい美しい殺陣を目指しており、それを演じてくださいました。

なるほど!今流行りのリアルな殺陣ではない…と。どうりでその昔の市川雷蔵眠狂四郎」思い出しましたよ。

まるで歌舞伎のような、殺陣の様式美。

 

  この池田屋事件の撮影現場、吉沢さん見学してたらしいですね。で、町田くんの殺陣を見て思わず「いいなぁ…」と呟いていたとか。か、可愛い、吉沢さん…😍吉沢さんにとって、土方は昔から憧れの役だものね。…でもね、きっと、願っていれば、必ずチャンスはある。ヲタクもいつか見てみたい❗吉沢さんの土方歳三。特に断髪にした五稜郭時代はイメージぴったりだろうなぁ…。

 

  しかしこの池田屋事件をはじめとする、新撰組による尊皇攘夷の志士たちへの容赦ない取り締まりが、その裏で慶喜(草彅剛)と一番の側近平岡が糸を引いているのではないかという言われなき流言飛語に繋がっていきます。

 

  そして、ある大雨の日、ついに…😭

 

今際(いまわ)の際に円四郎が呟く「死にたくねぇなぁ…殿…やす…」という言葉と、悲報を聞いた慶喜の、一瞬何が起こったかわからずぽかんとし、次の瞬間脇目もふらず駆け出し、円四郎の亡骸を前にして、まるで途方に暮れた子供のように泣くさまが、今でも目に焼き付いて、離れません。

 

 大勢の歴史上の人物が激しく往来し、疾走するかの如く物語が進んでいく『青天を衝け』。

 

  けれども、本来歴史とはそういうものかもしれません。過去・現在・未来へと続く悠久たる時の流れから見れば、私たちのいのちはほんの一瞬の光芒。それでもみんな、懸命に生きている。脚本家の大森美香さんは、たった1話だけの出演であっても、後世悪役の謗りを受けることになるような人物であっても、国を思い、人を思う、一人一人の必死の生きざまを素晴らしい筆力で描き切ってくれる。その底にあるのは、人間に対する温かい眼差し。そして、演じる役者たちもまた、この一瞬、視聴者たちの心に爪痕を残そうと、一世一代入魂の演技。

 

  草彅さんがインタビューで仰っていましたね。昨日まで一緒に演技していた人が突然打ち首になったと聞かされ、スタジオに来なくなってしまう…。とても寂しいと。それはそのまま、当時の慶喜と栄一の悔しさ、寂しさ、哀しさでもあったでしょう。幕末という動乱期であったがゆえに、多くの友人や同志を失い、泣く泣く野辺の送りを余儀なくされ……。それでも二人は踏み堪え、強く、したたかに、そして時にはカッコ悪く生き抜くことを選んだ。

 

  今夜非業の死を遂げた平岡円四郎は、歴史的上ではあまり目立たず、本来はその人となりも知られていない謎の人物だったとか。しかしその平岡に温かい血を通わせ、現代社会にも十分通じるような魅力的な人物に造り上げたのは、ひとえに大森さんの筆力、巧みな演出、そして役者(堤真一)の硬軟自在な演技力。

 

  慶喜や栄一だけでなく、見ている視聴者の我々にも、沢山の事を教えてくれた平岡。

 

  ありがとう。そしてさよなら。