(From Pixabay)
どこかの森の中。羽を片方もがれた揚羽蝶。少女が少年に向かって…「呼ばれてしもてん。私悪い子やから。呼ばれたら逃げられへん。秀樹だって呼ばれるで。…あんた、嘘つきやから」
何に呼ばれるの?なぜ嘘つきだと呼ばれるの?
と、ザワザワした気持ちになっていると…
場面は変わり、真夜中のマンションの中。なぜか廊下に茶碗が所狭しと並んでいる。家中の鏡が割られ、恐怖で汗びっしょりになっている男(妻夫木聡)。携帯が鳴り、女の声で「アレを今から迎え入れましょう」と。「む、迎え入れるって…」と呟く、恐怖に歪んだ男の顔のアップ。そしてそこから、カッコいいオープニングが始まる。映像も音楽もめちゃくちゃスタイリッシュです。同じ中島哲也監督の、ヲタク大好きな映画『嫌われ松子の一生』でもそうでしたけど、この作品でも、映画のテーマを表現するのに音楽が効果的に使われていると思います。(…というより『嫌われ松子』はミュージカルか、もはや😅)
人の心の奥底に潜む悪意を容赦なく抉って見せ、「イヤミスの帝王」とも呼ばれる中島哲也監督。この映画では、嫉妬や誤解や差別に満ちた現実世界である「此岸(しがん)」と、「アレ」が住む「彼岸」を対比して描いていて、リアルワールドの悪意が膨れ上がっていくと「アレ」の力も比例して増大していき、一気にクライマックスに雪崩れ込む、そのリズム感、疾走感がイイ。
今作も、「中島組」とも言うべき監督好みの演技派勢揃い。
…しかしおしなべて男性キャラの描き方を見てみると、家庭は壊れかけているのに友人や会社にはひた隠しにし、ネットの虚構世界に逃避する秀樹(妻夫木聡)や、未だに過去の恋愛体験やトラウマを引きずるフリーライターの野崎(岡田准一)、へらへら笑いながら腹の中は嫉妬と羨望で煮えたぎっている秀樹の後輩(太賀)、俗物根性そのものの大学教授(青木崇高)など、誰も彼も小者感満載で情けな~や~😅中島監督も舞台挨拶で「ホントは男優には興味ない。見てて飽きちゃうんだ」って発言して、男優陣がのけ反ってましたもんね、たしか(笑)…まあでも、男優陣は全員「此岸」側にいるわけだから、カッコ悪くても仕方ないか…。「アレ」に狙われたら怖がるしかないよね(笑)
特に、日本一のアクション俳優と言っても過言ではないカッコいい岡田くんが、今まさに決戦が始まる時に尿意を催したり、自らの非力も省みず果敢に「アレ」に立ち向かっていく小松菜奈にさんざん振り回された挙げ句、無表情な松たか子に「ジャマよ」とばかりに一撃でぶっ飛ばされる……ただただお気の毒さまです(笑)しかし岡田くんの場合、情けなさの中に何とも言えないおかしみがあって、彼特有のコメディセンスが◎❗
それに比べて女性陣のなんと強くて魅力的なこと😮価値観がズレていく夫婦仲と子育ての過酷さに次第に追い詰められていく若い母親の役をリアルに演じきった黒木華が「此岸」代表でひとり気を吐けば、「彼岸」にいる松たか子、小松菜奈(振り切った演技で、最初誰だかわからなかった…😅)、柴田理恵の霊能者たちはもはや「悪霊退散👻」アベンジャーズ❗パッツン前髪黒づくめ(あるいはオールホワイト巫女衣装)の霊媒師、比嘉琴子を演じる松たか子は、ワンダーウーマンかスカーレット・ウィッチか…っつーくらい見るからに最恐…もとい、最強のダークヒロインなんですが、柴田理恵が想定外に(失礼😅)めちゃくちゃカッコよかった😉
ラスト30分、「アレ」を倒すために日本津々浦々から琴子のもとに霊媒師たちが終結し、町全体や警察権力さえも巻き込んで最終大決戦に挑むさまは、この映画最大のクライマックス。(しかしなぜか決戦日はクリスマスイブ 笑)荘厳なる雅楽が鳴り響くなか、『陰陽師』の安倍晴明か、『源氏物語』の六条御息所の霊との戦いか、はたまた幻魔大戦か、まさに「血湧き、肉踊る」❗
公開当時のキャッチフレーズは「最恐のホラーエンターテイメント」でしたね。P12ではあるし、ホラーとエンターテイメントって一体化できるん❓と見る前は思っていましたが、見事に融合していたと思います🎵
ラストは、続編も期待できそうな終わり方だったけど…
最強のダークヒロイン、比嘉琴子(松たか子)カムバ~~ック❗