オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

あがいた末に、見えたもの~第37回『青天を衝け / 栄一、あがく』

   千代が亡くなり闇に堕ちて行く栄一

by 吉沢亮

 

千代の死によって精神的支柱を喪った栄一(吉沢亮)は、まるでその喪失感や辛さから目を背けるようにして、日本の海運業を二分する岩崎弥太郎(中村芝翫)との熾烈な闘いになりふり構わず没頭していきます。

 

  「儒教の教えを元にして自分は商売をしているのだ」、「自らもみんなも幸せにならなければ…それこそが合本主義」という自負とプライドに、栄一は次第にがんじがらめになり、足を掬われていくんですよね……😭そんな栄一を心配する五代さま(ディーン・フジオカ)から、今までもちょいちょい助言はあったのですが…。観ているこちら側も、そんな栄一の迷走の裏に、「かけがえのない人に先立たれた悲しみ」が透けて見えるから、よけいツライっす😢

 

  もちっと大きな目で日本を見んか❗

と五代さまに諌められても、

渋沢くんが己を正しいと主張するのは構わん。じゃが、その正しさを主張したいがために敵の悪口をあれこれ挙げ連ねて言いふらすっちゅうのは、それこそ卑怯千万なやり方じゃなかろうか。

と、伊藤博文(山崎育三郎)にビシッと言われても、承服できない栄一。(個人的にはこの時の、「自分は正しい人間だとはじめから思っちょらん」とニヤリとする伊藤博文さんの、ザッツ政治家な腹黒さにシビレた 笑 )

まったくごうじょっぱりな子だねぇ、栄一は。

(かっさまが生きてたら、こんなふうに叱ってくれたでしょうにね  笑)

 

  そんな栄一が、はっと自分自身の頑固さ、余裕の無さに気づかされるのが、千代亡き後、やす(木村佳乃)の仲介で迎えた伊藤兼子(大島優子)の、「離縁して下さい」の一言から。

 

 栄一の心がいつまでもお千代にあり、篤二にも心を開いてもらえず、家にどこにも居場所がない兼子の心に想いを馳せた時、はじめて栄一はこれまでの己を振り返ることができたのです。

 

さすが、女たらし…いやいやもとい(笑)フェミニストの栄一だけある❗仕事でいくら暴れまわっていても、どれだけ経済界の大物ともてはやされても、栄一ってどこか母性本能をくすぐるってゆーか、「私がついててあげなくちゃ」って思わせる、可愛げのあるオトコなんだよな~~😙吉沢さんが演じているからかしら、ムフフ♥️

 

許してくれ。

これからはオレをもっと叱ってくれ。

尻を叩き、時には今のように捨ててやるぞと

へっぽこヤローと…。

……って、これ以上の殺し文句ある❗❓それも畳にアタマ擦り付けてさ。そりゃ兼子だって「そ、そこまでは言っておりません…」って言わざるを得ないわよねぇ(笑)

 

  まっ、栄一ってなにげにジェンダーレスだから😉カイゼルひげでオトコらしさを誇示した明治のお偉いさんたちと違って、顔も「つるっつる」(大久保さん談)だしね(笑)

 

  またね、兼子役の大島優子さんがね、きっぷのいいアネゴ肌な感じが、良妻賢母の千代とはまた違う魅力で良いですねぇ。彼女、映画「生きちゃった」(石井裕也監督)の、不倫の末にデリヘルで生計を立てる母親役での名演が記憶に新しいところですが、今回は凛とした女性の矜持を持つ真逆の役どころ。演技の巧い女優さんだなぁ…。

 

  辛い経験を経て、「結局のところ、自分は一人では何も出来ない人間なのだ。今まで皆に支えてきてもらった自分なのだ」と、周囲への感謝に目覚めていく栄一は、今こそ真の儒教精神を持つことができたと言えるのではないでしょうか。

 

  しっかしラストで、栄一と兼子の間にしっかり二人も子どもが生まれててビックリしたわ~~😅さすが、栄一、ぬかりないわね(笑)

 

(ついしん)

よく「組織の三菱、人の三井」っていうけど、もうすでに創立の頃からその社風の基礎ってあったのね。『青天を衝け』ではじめて納得がいった。ホント、いろいろ勉強になりますφ(..)

 

  そしてそして、千代に続いて、ついに今宵は五代さまと悲しすぎる別れが…😭😭

自らの死期を悟り、それでもなお日の本のため、最期まで闘い続けた薩摩隼人の五代さま❤️

見てみたかった。これからも日本が商いで変わっていくところを。

こん眼で、見てみたかった。

と呟く時の五代さまことおディーンさまの声の深さと、その、遥かかなたを見つめるような眼差しが忘れられません。おディーンさまゲストの土スタで、早すぎる五代さまの死を悔しいと仰っていた脚本家の大森美香さん。大森さんの五代さま愛爆発❗なシーンでしたよね😊