オタクの迷宮

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

今こそ明かされる慶喜の真意~第39回『青天を衝け/栄一と戦争』

  静岡県人の我が夫、ヲタクと共に今まで1度も欠かさず『青天を衝け』を見続けてきましたが、今夜の『栄一と戦争』を見て、「これまで徳川慶喜といえば、大政奉還の後静岡に引き籠った趣味人としか捉えていなかったけど、このドラマのお陰で、彼に対する見方が180度変わったなぁ…。」と、横で呟いております。今夜は、慶喜の、敵前逃亡したと誹謗されても黙して語らず、維新後ひたすら静岡に蟄居した真意が明かされます。

 

  栄一に連れられ、慶喜公(草彅剛)に拝謁した尾高惇忠(田辺誠一)。惇忠に慶喜公は…

長く生きて国に尽くされ、言葉もない。

残され、生き続けることがどれだけ苦であったことか。

私は労う立場にはないが尊いことと感服している。

と言葉をかけます。

高い志を持ちながら時代の波に翻弄され、平九郎や長七郎、愛しい者たちを若くして見送り続けた惇忠の人生。

もう、今夜はヲタク、「なんという勿体ないお言葉…」とひれ伏す惇忠と共に、冒頭から滂沱の涙、涙です😭

 

  心温まる冒頭のシーンから一変。

多大な犠牲を払い、日清戦争に勝利したのもつかの間、朝鮮半島に手を伸ばそうと南下政策をとるロシアを阻止せんと、日露戦争に突き進む日本の姿が描かれます。戦費調達の為、経済人たちを取りまとめよと迫る井上馨(福士誠治)や児玉源太郎(当時、陸軍参謀次長)。「今の日本は富国はないがしろにして強兵ばかりを…」という栄一の声も、主戦論を声高に唱える彼らの耳には届かないのです😢

 

  財界人たちを前に、国債の購入を勧めるため、演壇に立つ栄一。

戦争による経済の発展を説き、

戦争はあながち経済を妨害するものではない。

と断言する栄一。

仁義の戦であったならばその国は必ず繁盛するということだ。

  自らの意に反する言葉を、まるで無理矢理口から絞り出そうとする栄一。

見ていて辛い、辛すぎる😭😭😭

吉沢さんの演技が、鬼気迫ってめっちゃ怖くて悲しかったよぅ…。

 

戦争になるたびに倒れる栄一

平和が似合う男です

by 吉沢亮

  そう、人間の体というのは正直なもので、心身一如、その精神にそのまま反応する。当時は心療内科なんて学問は無かったですからね…。演説会の後、まるで煮え湯か毒を飲まされたかのように栄一は病に倒れ、生死をさ迷うことになるのです。

 

  瀕死の栄一を見舞いに訪れた慶喜

生きてくれ❗生きてくれたら何でも話そう。

という励ましが、何かの妙薬だったかのように栄一は、死の淵から生還します。それが直接の契機となり、30年来初めて、慶喜は栄一や他の幕臣たちの前で重い口を開くのです。

 

  この時の、草彅さんの眼差し、表情、声、語り口…。もはや慶喜公その人がそこに存在しているかのよう。そして、慶喜公の言葉によって栄一が自らの来し方行く末に思いを馳せ、「人の人生は何を為したかではない、自らの信じる所に従っていかに身を処すべきか…なのだ」と気づいていくストーリー展開は、誠に見事という他はありません。

 

  今夜こそヲタクは、『青天を衝け』において、渋沢栄一徳川慶喜、一見相反するように見える二人の巨人の人生が並行して描かれた、その真の意味を理解できた気がします。

 

慶喜公の、人間としての器の大きさ、志の深さがしみじみと心に迫った今夜の『青天を衝け』。次回夫と一緒に静岡に帰省する折には、慶喜公が20年の長きに渡り過ごされた屋敷跡、浮月荘に立ち寄ってみよう。そして、人命を貴び、平和を愛した徳川最後の将軍の偉業を偲んでみることにしよう。

 

(おまけ)

珍しく重苦しい雰囲気が全編を覆った今夜の『青天を衝け』。そんな中、「お前は年をとっても話が長い❗」と栄一に突っ込みを入れる猪飼パイセン(遠山俊也…栄一にこんなツッコミ入れられるのはパイセンだけだよねぇ😅)と、年をとるにつれますます飄々としてイイ味出してる喜作(高良健吾)が心のオアシスでしたわ……♥️