オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・コンサート鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログです。

WOWWOWプライム『埋もれる殺意 4/ 30年目の贖罪』~これが人生なのね(泣)


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  お正月というとヲタクの場合、12月に録りだめていたTVドラマをイッキ見する…というのがいつものパターン(^_^;)

 

今日ご紹介するのは、昨年の12月18日にWOWWOWプライムで一挙放映された『埋もれる殺意第4シリーズ~30年目の慟哭』。リアルで緻密なストーリー展開で人気を博した本作。結末から見て、今回の第4シリーズで(おそらく)完結の運びになると思います。

 

  原題の『Unforgotten』(忘れ得ない(罪)とでも訳しましょうか?)からもわかるように、全シリーズとも、何年も人目に触れることのなかったご遺体が偶然発見され、ヒロインのキャシー・スチュワート警部(ニコラ・ウォーカー)率いるロンドン・ビショップ署の捜査チームが過去の犯罪の謎を解いていく…という展開になっています。

 

  今回はロンドン東部の廃棄物処理場で、冷凍された遺体が見つかります。頭部と手はなくなっていました。解剖の結果、死亡時期は30年前と判明します。誰が、どこで、30年もの間遺体を冷凍保存していたのか…と書いていくと、ずいぶん猟奇的な事件かと思いますが、『埋もれる殺意』の場合、そっち方向には行きません(笑)キャシーたちの捜査によって露わになってくるのは、以前の1~3シリーズと同様、人間の弱さと愚かさ、そして、一瞬の判断ミスが重大な結果を引き起こしてしまう恐ろしさ。事件に関わった者たちはみな、今は平凡な一市民として暮らしているように見えますが、それぞれがいまだに過去に犯した過ちと罪に苛まれているのです。このドラマには、(もし自分がその場にいたら、どうしていただろう?正義と倫理に従って行動できただろうか?それとも…)と、観ている私たちに問いかけてくるようなリアルな怖さがあります。

 

 ヒロインのキャシーは、前作で事件の関係者の心理に踏み込みすぎて重大な捜査ミスを犯し、結果自らが精神を病んで休職中。このまま引退し、恋人との結婚を考えていた彼女でしたが、勤続30年の退職金支給には3ヶ月勤務期間が足りないことが判明、しぶしぶ職場復帰します。しかし元々ワーカホリックで責任感のカタマリみたいな彼女のこと、ひとたび現場復帰すると、再び事件にのめり込んでいきます。そしてまた、次第に心に余裕をなくし始めるキャシー。恋人や、未だに仕事が見つからない息子との仲は途端にギクシャクし始め、認知症を患う父親とも口げんかの末に決裂…(泣)仕事の合間に公的な手続きをしようとして、役所の融通のきかなさかげんにイライラするとか、仕事が立て込んで気持ちに余裕がなくなると家族との仲が真っ先にヤられる…というのは、働く女性あるあるで、ヲタク的には見ていてちとツラかったっす。英国版『コールドケース』とも言われる本作ですが、あちらのアメリカンな明るさに比べて、英国の冬を思い出させる暗さ…もとい、重厚さ(笑)

 

  相変わらずストーリーは入念に作り込まれていて破綻がなく、一級品のサスペンスであることに間違いはありません。

……だがしかし、ラストが…ラストが…。

 

  これが人生である、人生のリアルである、って言われたらぐぅの音も出ないけどさ。ふだんは北欧ミステリ等のイヤミスかげんが大好きなオタクですが、お正月に見るにはちょっぴりヘヴィだったかな。

 

 心身ともに元気な時に見てね。

特に女性はね。