オタクの迷宮

海外記事を元ネタにエンタメ情報を発信したり、映画・舞台・ライブの感想、推し活のつれづれなどを呟く気ままなブログ。

『ハウス・オブ・グッチ』~名門一族の愛憎ドロドロ


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(Milan from Pixabay)

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 いやー、血も滴るステーキとフォアグラ同時に食べて、フルボディのワインをしこたま飲んだような気分になる映画です😅でもってこれが、「実話に基づく」っていうんだから、何をか言わんや。

 

  ファッションブランドの名門グッチが、初代から二代目、三代目と移り変わるうちに、同族経営が陥りがちな罠に囚われ、骨肉の争いが勃発、急速に没落していくさまを、リドリー・スコット監督らしく正攻法で描いた物語。初代グッチオ・グッチが築いた巨万の富は、1970年代、二人の息子ロドルフォ(ジェレミー・アイアンズ)とアルド(アル・パチーノ)が、経営方針に意見の相違はあるものの、社の株式を50%ずつ保有することでどうにか均衡を保っていました。彼らにはまた息子がいますが、アルドの息子パオロ(ジャレッド・レト)はいつかファッションブランドを立ち上げることを夢想するドリーマー、ロレンツォの息子マウリツィオ(アダム・ドライバー)は学究肌で、とても巨大企業を牛耳ることはできそうにもないシャイな青年。そんな危ういバランスは、マウリツィオが野心家のパトリツィア・レジャーニ(レディ・ガガ)と恋に落ち、一族の反対を押し切って強引に結婚したことから一気に崩れ、果ては前代未聞の惨劇…マウリツィオ暗殺へとひた走ることになります。

 

  パトリツィア役のガガさまね、パトリツィアっていわゆるフォーチュンハンターの典型、もうヤな女、悪女の極み、なんだけど、どこか背伸びした痛々しさが垣間見れるというか。ガガさま、巧いです❗アーティストの副業なんて言わせねーぞ、ってゆうガガさまの白熱の気合い。  初めてグッチ家を訪問して、クリムトピカソと間違えて「私ってバカね」って赤面したり、サンモリッツのスキー場でマウリツィオの昔の仲間とランチの席、ハイソでスノッブな会話についていけず焦れば焦るほど迷走する場面等々、溢れるほどの野心を抱え、栄光の極みを目指して得られなかった一人の女性を熱演しています。

 

  アダム・ドライバー演じるグッチの御曹司マウリツィオ。若い頃から、グッチ一族のギラギラした金銭欲や名誉欲に辟易していたマウリツィオ。パトリツィアと結婚して「今が一番幸せ」と言っていたのに、妻の肥大した野心がそれをぶち壊した。人生が想像もしなかった方向にどんどん進み始め、それに抗えず流されていく虚しさ。アダム・ドライバーの、哀しみを湛えた瞳が胸に刺さる……😢

 

  アル・パチーノジェレミー・アイアンズはさすがの貫禄、ピタリはまり役。あとねー、ジャレッド・レトが最初誰だかわからなかったよ…あの髪型、あのクネクネした妙な体の動き、頭のてっぺんから出してるような声。『スーサイド・スクワッド』の、ムキムキセクシージョーカーと同一人物とは誰も思わないよねー。

「悲報・ハリウッド一のモテ男が…」(笑)

最近見た映画で、推しの変わり果てた姿を見て以来の衝撃だわ😅まっ、マーベル映画の「モービウス」が公開を控えてるから、それで相殺しよう(笑)

 

結局グッチは一族の私物化と放漫経営により収益が激減、エンドクレジットの後に流れる「今経営に関わっているグッチ家の者は誰もいない」がこの映画の全てを物語ります。親族にせよ仲良しこよしの友人同士にせよ、人の縁で企業や団体、政治を運営する怖さ。ヲタクは、非常に教訓的な映画だと思いましたことよ。

 

(でも、小ネタ満載)

ヲタク的にニヤニヤしちゃう小ネタも満載でした🎵

* アルド(アル・パチーノ)がロドルフォ(ジェレミー・アイアンズ)を訪ねてくる初登場シーン。「コンニチワ~~、ゲンキ~❓」って日本語喋りながら出て来たからビックリ😮ブランドの大衆化により収益向上を狙うアルドが、御殿場のプレミアム・アウトレットに店舗を構えようとしていた時期らしく、アルドによれば「日本人は優しく誠実で、しかも金を持ってる」だそう。当時は日本人もゲンキだったのね…(遠い眼)

 

*パオロがパトリツィアの策略にハマって、生涯最初で最後のファッションショーを開くシーン。(そのショーの最中に彼は脱税で逮捕されちゃう)

パオロの奥さんがオペラ歌手(もしくはオペラ歌手になりたい人?😅)で、ショーのBGMで「夜の女王のアリア」(モーツァルト魔笛』)を歌わせてるんだけど、なんでイタリアなのにモーツァルトの歌劇なんだ❓…ナゾである(笑)

 

*グッチはあのトム・フォードを起用して起死回生を狙うわけですが、記念すべきその第1回めのショーの様子も出てきます。当初からヨーロッパ志向で、現在はまるで英国紳士然としたトム・フォード。映画では、テキサス出身で、ショーが成功して「ママに電話してくる❗」って嬉々とするナイーブな若者として描かれています。トム・フォード自身、キャストの演技は絶賛したものの、ストーリーについては酷評したそう😅……もしかして、自分の描きかたに不満があったの❓(笑)