U-NEXTで、映画『アンテベラム』観賞。アンテベラムとは、アメリカ南北戦争以前の時代を指すそうです。あのスカーレット・オハラが『風と共に去りぬ~Gone with the wind 』と、懐かしんだ時代のことですね。しかし今作品のアンテベラムは、懐かしいどころじゃない、怖い、怖い、怖すぎる((( ;゚Д゚)))
舞台は、 ルイジアナ州にある南軍駐屯地の綿花農場(プランテーション)。のっけから、逃亡を試みた黒人奴隷の女性が銃で撃たれ、縄でくびられて馬で引き回される‥‥という恐ろしい展開。ヲタク、(こ、こんな怖い映画なの❓『ミッドサマー』とどっちが怖いかな)とビビりながら観ていると、同じように逃亡を図ったヒロインのイーデン(ジャネール・モネイ‥‥Edenって、なんて皮肉な名前なんでしょう)がやはり捕まえられて、南軍第9歩兵隊のブレイク将軍からさんざんいたぶられた上、腰に焼き印を押し付けられる阿鼻叫喚。黒人奴隷たちの凄惨な生活の描写が延々と続いて、(『それでも世は明ける』ですら、こんなに酷くなかったぞ‥‥)と暗澹たる想いでいると、場面は一転して現代のニューヨーク。恐怖に叫び声を上げてベッドに飛び起きたのは、ヴェロニカ・ヘンリー(ジャネール・モネイ‥‥二役)。彼女は横に寝ていた夫から、「‥‥また、悪夢を見たの❓」と声をかけられます。
んん?あれは夢だったの❓そういうオチ?
いやもちろん、そんな単純なもんぢゃ、ございません(笑)
ヴェロニカは作家・社会学者で、アメリカ社会で不当に虐げられている黒人の権利を代弁するオピニオンリーダー。TVのトーク番組で、その弁論能力を駆使し、差別主義者の議員を有無を言わせずやり込めるほど頭のキレる女性です。優しい夫と可愛い子供にも恵まれ、幸せの絶頂にあった彼女。そんな彼女が講演に招かれて南部ルイジアナ州を訪れた時から、言語を絶する真の悪夢が始まった‥‥‥‥❗
(悪夢じゃなければ、これは何❓タイムパラドックスなスリラー❓)と思ったヲタクでしたが、それもハズレでした(笑)ラスト30分のマインドファック(どんでん返し)が凄い、凄いです❗ヲタクの貧困な想像力では、とても予測なんてできなかったラスト。‥‥‥‥そして見終わった後、現代世界でも、ひょっとしたら同じことが起きる可能性があるのでは❓
‥‥((( ;゚Д゚)))と観ているこちら側に恐怖と戦慄を抱かせるしくみ。
マインドファック・ムービーと言えば、ヲタク的には『ピエロがお前を嘲笑う』(ドイツ)、『女神は二度微笑む』(インド)、『ゲット・アウト』(アメリカ)が今までベスト3だったけど、新たな1作が加わりましたよねぇ。今作品は、プロデューサーが『ゲット・アウト』と同じ人なのね、納得。2つの作品とも、サイコスリラーとして第一級品でありながら、人種差別やヘイト問題など重いテーマを提起しているところが、ホントに凄いと思う。
自らが置かれた過酷な状況にひるむことなく、果敢に立ち向かうヒロインに、グラミー賞の常連歌手であり女優のジャネール・モネイ(『ムーンライト』『ドリーム』)今やハリウッドで、ルピタ・ニョンゴやレティーシャ・ライトと共に「Black is beautiful」の代表格のような彼女、今作品でも黒曜石のような耀きを振り撒いています。