各方面で絶賛され、Rotten Tomatoではなんと94点の高評価を得ているジャクロくんの主演映画『Benediction~祝祷』。拙ブログでは海外の雑誌やネット記事に掲載された映画評を紹介しておりますが、今日また1つ見つけたので、概要(‥‥ってゆーか、ジャクロ関連のみ 笑)を紹介させてもらいますね❗
Jordan Hoffmanさんという方の記事で、英国映画界の至宝とも言うべきテレンス・デイヴィス監督の最新作は、ひじょうに自叙伝的な要素が濃かった同監督の前2作、『遠い声、静かな暮らし~Distant Voices, Still Lives』、そして『 長い日が終わる~The Long Day Closes』 への、言わば「魂の回帰」だと言っているんですね。これが、他の批評とは一線を画した新たな視点かな‥‥❓と、ヲタクは思いました。題材にしているのは、デイヴィス監督が生まれる25年も前に他界した詩人、ジークフリート・サスーンなんですけどね。でも‥‥さっきヲタク、「新しい視点」と言いましたが、批評としては新しい‥‥ということで、我らがジャック・ロウデンは既に以前のインタビューの中で、
ジークフリート・サスーンを演じながら、デイヴィス監督自身を感じていた。
と発言してますからね❗❗
歴史大好き、「歴男」のジャクロくん、歴史上の実在の人物を演じる機会が多いですが、彼の鋭い感性・知性・役柄の理解力にはいつも驚かされます。
筆者のHoffman氏は、デイヴィス監督とサスーンの間には、一見類似点は少ないように見える‥‥と。サスーンは何世紀も続いた貴族(ユダヤ系)の出身。ところがサスーンの父はユダヤ教の信仰を持たない女性と結婚したため、財産を相続することが出来なかったのです。(サスーン自身は後年、母方の親族から経済的な援助を得ます) 一方デイヴィス監督は、アルコール依存症である父、なんと9人の兄姉を持つカトリック系の労働階級出身。しかし両者は、芸術的才能に優れ、世界で絶え間なく起きる戦争に対する激しい怒りを覚える‥‥という共通項がありました。
映画は、BBC製作のドラマにありがちなシーンから始まります。豪華な部屋にいる二人の裕福な英国人男性。若き日のジークフリート(ジャック・ロウデン‥‥ジークフリートって本名ですよね❓凄い名前😅)と、兄のハモ(トム・アシュリー)。彼らはストラヴィンスキーのモダンバレエ『春の祭典』を観賞しています。そこにデイヴィス監督は、第一次世界大戦での兵士たちの行進(モノクロのドキュメンタリーフィルム)を挿入し、二人の青年が戦争に駆り立てられる未来を示唆するのです。兄は戦死(但し、兄の死を美化するような表現は殆ど見られない)、ジークフリートは武器を文字とペンに置き換え、大戦と、ひいてはその底に潜む英国の帝国主義を告発することになる‥‥❗❗
戦功を立てた英雄がもてはやされた第一次世界大戦時の英国、詩人として出版者として反戦を貫き通すことの孤独。さらにサスーンは同性愛者でした。第二次世界大戦が終わるまで、英国においては同性愛は不道徳‥‥どころか、れっきとした「犯罪」だったのです。(Trailerではジャクロくん演じるサスーンが男性の愛人に向かって、 “the shadow life we lead.”(僕たちの日陰の人生)と呟くシーンが‥‥)
傷ついた自己と圧倒的な孤独感のはざまで、サスーンが夢見たものは、いったい何だったのでしょうか❓
The last shot of the film—a single take in which Lowden’s face melts from emotional overload while his wartime poem is read in voice over—is one of the more devastating pieces of cinematic punctuation in recent memory.
映画のラストシーン‥‥彼の反戦詩が朗読され、ロウデンの、激情から解放されていく表情は、近来まれに見る的確な映像表現の1つと言える。
と、評者のホフマン氏も大絶賛。このラストシーン、海外ではさまざまなところで話題になってます。あー、映画史に残るであろうと言われるほどの名場面、ジャクロくんの至高の表情‥‥😍ル・シネマさま、ユーロスペースさま、トリウッドさま、キノシネマみなとみらいさま、ジャック&べティさま‥‥
お願い、上映してくださいーーっ❗
さもないと、ヲタクのアタマは妄想で爆発しそうでござる(笑)