オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

オースティン・バトラーが見事に甦らせたロックの帝王~『エルヴィス』

f:id:rie4771:20220701133235j:image

 アメリ音楽史上のスター中のスター、エルヴィス・プレスリーが、オースティン・バトラーという稀有な逸材を得て、銀幕に甦った❗❗

 

  エルヴィス‥‥懐かしいなぁ‥‥(遠い眼)

あっ、と言っても誤解しないで下さいね。ヲタクがいくら年寄りだと言っても、リアルタイムで聴いていたわけではありません😅(さすがにビートルズからです  笑)じつはヲタクが小学生くらいの頃、母方の、亡くなった叔母が自由が丘でバーのマダムをしてたんですね。バーの上に住まいがあって、よく泊まりに行ってたんです。夜遅い叔母はお昼くらいまで寝てるから、ヲタクはこっそり起きて、冷蔵庫の中のハムやらチーズやらを勝手に食べて。早朝のバーの、タバコとお酒の入り交じった特有の匂い。大量のLPやSPのレコードの中に、エルヴィスの「ブルーハワイ」「好きにならずにはいられない」「監獄ロック」もありましたねぇ‥‥。叔母が愛したエルヴィスの、甘い、セクシーな歌声。今回の映画を見て、必ずしも幸せとは言い難かった叔母の人生がオーバーラップして、胸がぎゅっとした。

 

  ‥‥って、相変わらず前置き長くてスミマセン😅

 

  客層はもう、圧倒的に後期高齢者の女性の方々が多かった。それもグループで、わいわいきゃぴきゃぴ😅リアルタイムでエルヴィスにきゃーきゃー言ってた世代だわね( 〃▽〃)

  おばあちゃまが一人、入り口でオースティン・バトラーのポスターを嬉々としてスマホで撮影する様子が可愛かった😊

 

  今回の映画のお陰で、エルヴィス・プレスリーという一人のアーティストの生きざまが、決してオールディーズなんかじゃないこと、貧しさゆえに黒人居住地で育ち、黒人のR&Bやゴスペルを取り入れ、彼らと分け隔てなく付き合っていたボーダーレスな生き方は、現代に生きる私たちにも様々な示唆を与えてくれることがわかって、感動感激❗‥‥でした。

 

  通常の伝記ドラマと違って、エルヴィスのマネージャーであるパーカー大佐(トム・ハンクス)の眼から描いているところがなかなか興味深かった。このパーカー大佐、エルヴィスの興行収入を不法に搾取し、彼の死後裁判沙汰にもなった、いわゆる「悪徳マネージャー」。しかし皮肉なことに、パーカー大佐がエルヴィスに無理やり強要しようとした、「万人に愛される、オールアメリカンなアイドル像」にエルヴィスが反抗し続けることで、彼がどんどん新しい時代の波に乗り、大衆に受け入れられて偉大なアーティストになっていくわけです。エルヴィスの、腰を激しく振りながら歌うスタイルが猥褻罪の対象になって、それを実行すれば逮捕される可能性があるために、大佐からコンサートでセクシーな動きを禁じられても、「俺は俺だ❗」と叫んで、本来のセクシーダイナマイト(当時のニックネームがペルヴィス(骨盤)エルヴィスって言うんだから恐れ入ります😅)爆発、彼を陥れようとするレイシストな議員や警察権力に小指を立てて挑発し、ブチかます場面※、サンタのセーターを着て歌う筈のクリスマス特番に、ライダースーツに身を固め、『ハートブレイクホテル』や『監獄ロック』を歌いまくるエルヴィス=オースティンに、見ているこっちが腰砕け(笑)

※ここで歌われるのが、『トラブル』。

 

I'm evil,I tell you I'm evil

So don't mess around with me.

 

俺は邪悪(ワル)だから俺と関わり合うなよ
俺はこの通り邪悪(ワル)なんだ
俺は邪悪(ワル)なんだ

‥‥ってくだりでもう、背筋ゾワゾワ~~(笑)


エルヴィス伝説を凝縮! 映画『エルヴィス』「Trouble」リリックMV|大ヒット上映中! - YouTube

 

 パーカー大佐がエルヴィスに対してしたことはまさに極悪非道、弁解の余地はない。‥‥それでも、エルヴィスを「My boy」と呼んで溺愛し、自分の夢を彼に重ねるうちに次第に暴走して、前述の「万人に愛される、オールアメリカンなアイドル像」にエルヴィスを無理やり封じ込めようとする大佐の後ろ姿にはどこか、毒親的の滑稽さ、哀れさが漂う‥‥。それも、アメリカが誇る演技派トム・ハンクスが演じたからこそ‥‥でしょうね。

 

それにしても、歌声やパフォーマンスは言うに及ばず、あの籠った話し方やメンフィス訛り、ちょっと上目遣いに相手を見る表情‥‥etc.、エルヴィスその人が憑依したんじゃないかっていうくらい完璧だったオースティン・バトラーに拍手❗(*’ω’ノノ゙☆ラスト、エルヴィス・プレスリーご本人のインタビューやコンサート映像が流れるんだけど、いかにオースティンがパーフェクトにエルヴィスになりきっていたか、改めてわかるしくみ♥️来年のアカデミー賞主演男優賞はキマリぢゃない❓ね、オースティン笑

 

 

  死期を悟ったエルヴィスが、元妻のプリシラに「俺はきっと(死んだら)そのまま忘れられてしまうんだ」と、寂しそうに語るシーン。いや、そんなことないよ❗今回のオースティン・バトラーやレミ・マレック(『ボヘミアン・ラプソディー』)など若い才能が、志半ばで力尽きたスターたちを今この時代に鮮やかに甦らせてくれることによって、彼らは私たちの心に、消えることなく生き続ける。

 

  オースティンとバズ・ラーマン監督は、映画のキャンペーンで来日してくれたのよね。「亡くなる前、日本公演が夢だったエルヴィスの代わりに日本に来れて、嬉しい」なんて発言してくれるナイスガイ、オースティン♥️『エルヴィス』に続き、『DUNEデューン  砂の惑星 PART II』や『マスター・オブ・ザ・エア』等、これから話題作・大作の公開が目白押しで、確実に次代のビッグスターの座を約束されているであろうオースティン。あなたが今回演じたエルヴィスは、名声と野心とさまざまな愛の狭間で揺れ動き、悲劇的な最期を遂げてしまったけれど、あなたは決して自分自身を見失うことなく、どうか一人の男性としても幸せな人生を送ってね😊