オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・コンサート鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログです。

禁断の果実を共に食らう!~オースティン・バトラー in ドルビーシネマ『エルヴィス』

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丸の内ピカデリーのドルビー専門劇場「ドルビーシネマ」にて、『エルヴィス』2回目の観賞♥️

 

  たぶんこの映画、ヲタクにとって、観るたびに新たなことに気づかせてくれる名作中の名作になる予感。今回一番印象的だったのは、エルヴィスが少年時代、黒人居住区の伝道集会でゴスペル聴いて、もう理屈じゃない、全身全霊でのめり込んでしまって、激しいトランス状態になった、それが彼の原点となって、彼の全生涯を支配した‥‥ってところ。で、プライベートではマザコンでシャイであがり症の彼が、ひとたび舞台に立てばまるで別人、時の権力に噛みつくワルな狂犬に変身。そして彼を見た女性たちは日頃のたしなみも忘れて、興奮のあまり大声で叫び始める。彼がその歌声と卓越したパフォーマンスで女性たちを初めて集団ヒステリー状態にさせた「ルイジアナ・ヘイライド」のショー。『ベイビー レッツ・プレイ・ハウス/Baby  let's play house』の最初のOh, baby, baby, baby, baby……をヒーカップで歌い出してから(あの、ヒッってしゃくりあげるような歌いかたね。これはエルヴィスのアドリブだったらしいけど、細かい部分に至るまで、オースティンの完コピがスゴすぎる😮)、時は一挙に半世紀を遡り、観ているヲタクはまるでその場にいたかのように背筋ゾクゾクしましたよ。さすがに叫びはしなかったけど(笑)

 

  1950年代、清く正しく美しく、ピューリタニズムと超保守主義にバリバリ縛られてたアメリカ女性たちをあんな状態にするなんて凄いよね😅若くして自分が、多くの人々(特に女性)を歌声ひとつで恍惚のるつぼに引きずり込む力を持っているのだと知ってしまったエルヴィス。プリシラ(オリヴィア・デヨング‥‥美しい❗)という良妻賢母を射止めながら、家庭に安住することのできない彼の心の奥に潜む欲望‥‥それは、マネージャーのパーカー大佐(トム・ハンクス)がいみじくも指摘したように、観客と共に、自分自身が少年期に体験した、激しい恍惚感を共有すること、「禁断の果実」を共に食すこと‥‥。まさに彼は、「大衆」いや、「時代」と寝た男だったと言えるでしょう。(鏡の表裏のように、エルヴィスの全てを知り尽くしているパーカー大佐が、あの伝説的なラスベガスのショーの大熱狂の後、「妻のプリシラは、どう努力してもエルヴィスのファンへの愛に勝てはしないのだ」と呟く場面があります)

 

 当時の 絶対的カリスマ、そして最強のセックスシンボルであったエルヴィスを、期待のアップライジングスター、オースティン・バトラーが、まるでエルヴィスが降臨したかのように完璧に演じきった❗(母親を亡くして、あるいは最愛の妻に見捨てられて赤ん坊のように泣きじゃくる、エルヴィスの隠れた一面も含めてね)

 

ラスト、人生に希望をなくしたエルヴィスが、「俺なんて、すぐに忘れられる」って呟くシーンがあるけど、そんなこと絶対ないよ、エルヴィス❗‥‥ほら、それが証拠に、あなたの絶頂期をリアルタイムでは知らないヲタクが、まるであの「ルイジアナ・ヘイライド」の客席で絶叫してた中年のオバサンよろしく、すっかりオースティン=エルヴィスに魅せられてしまって、「映画『エルヴィス』詣で」を始めてしまったじゃない(笑)上映中、あと何回足を運ぶのか、自分でも想像できなくてコワイ😅

 

  前述の「ルイジアナ・ヘイライド」のショウをはじめとして、腰を激しくグラインドさせるパフォーマンスが猥雑だとして、性的倒錯罪で逮捕されたラスウッド・パークのステージ、史上最高と言われる視聴率を叩き出したクリスマスの特番ライブ、そしてラスベガスの「エルヴィス・オン・ステージ」❗数々の伝説的ステージが忠実に再現されているので、観るならやはり、ド迫力のドルビーシネマがおススメ❗

 

★おまけ

エルヴィスが時代と共に歩んでいた人だった‥‥というのは、「クリスマス特番ライブ」のエピソードでよくわかります。まるで毒親チックに、シンガーミシンをスポンサーにつけて、「家庭的なパパ」として再度売り出そうとするパーカー大佐の陰謀をブチ壊し、黒い革ジャンで『ハートブレイクホテル』『ブルースウェードシューズ』『ハウンド・ドッグ』『監獄ロック』を歌いまくり、自分自身の原点である「不良の反逆児」に立ち戻るオースティン=エルヴィスはめちゃくちゃカッコいい♥️そして何より、その特番の真っ最中にロバート・ケネディ上院議員がお兄さんと同じく凶弾に倒れ、スタッフたちと徹夜で作ったメッセージソング『明日への願い』を熱唱するシーン。今でこそ堂々と政治的発言をしたり、メッセージ or プロテストソングを歌うアーティストは多いけど、半世紀も前に生きた彼が、それほどまでに偉大な時代の先駆者だったとは‥‥。今回の作品でヲタク、初めて知って胸が熱くなった😢

 

日本でコンサートをすることが生前の夢だったエルヴィス。私たち日本人こそ、この映画を見ないでどーする(笑)

 

エルヴィスを知ってる人も知らない人も、暇な人も暇じゃない人も、ぜひ❗


エルヴィス伝説を凝縮! 映画『エルヴィス』「Trouble」リリックMV|大ヒット上映中! - YouTube


名曲「If I Can Dream」を披露する『エルヴィス』本編映像 - YouTube

 

 

★第1回目観賞時の感想はコチラ❗⏬⏬⏬

「オースティン・バトラーが見事に甦らせたロックの帝王」

https://www.rie4771.com/entry/2022/07/01/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%81%8C%E8%A6%8B%E4%BA%8B%E3%81%AB%E7%94%A6%E3%82%89%E3%81%9B%E3%81%9F%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE

★第3回目の感想はコチラ❗⏬⏬⏬⏬⏬

「映画『エルヴィス』はまさに夏フェス体験❗なのだ」

https://www.rie4771.com/entry/2022/07/08/%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%80%8E%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%80%8F%E3%81%AF%E3%81%BE%E3%81%95%E3%81%AB%E5%A4%8F%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E4%BD%93%E9%A8%93%E2%9D%97%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%A0