オタクの迷宮

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『花様年華』(ウォン・カーウァイ監督)4Kレストア版上映決定

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   ウォン・カーウァイ監督の珠玉の名作5作品が、監督自身によって4Kレストア版として蘇り、このたびシネマート新宿その他全国の映画館で公開決定という、何とも嬉しいニュースが飛び込んで来ました❗

 

あの『花様年華』の、トニー・レオンマギー・チャンの、ギリギリまで抑圧されながら尚溢れ出る情動、息詰まるような大人の恋。指先が触れるか触れないかを捉えたほんの一瞬の映像に、私たち観客がこれほど胸ときめかせたことが今まであったでしょうか❓

 

  香港の新聞社の編集者として働くチャウ(トニー・レオン)と、海外出張の多い夫を持ち、自身も商社の社長秘書として働くチャン夫人(マギー・チャン)。二人は偶然にも同じ日にアパートの隣同士の部屋に引っ越して来ました。当時の香港のアパートはまるで戦前の日本の長屋のよう。共同の台所で沢山料理を作っては皆で食べたり、夜明けまで麻雀の卓を囲んだり‥‥。そんな密接な対人関係の中で、あろうことか、チャウとチャン夫人はある日、お互いの伴侶が不倫関係にあるという、耐え難い事実を突きつけられてしまいます。初めは事実確認のため、会っていた二人。それは次第に互いへの憐憫の情へと、そして狂おしい恋愛感情へと発展していき‥‥。

 

  二人の恋愛関係も、直截的な台詞、映像表現は何一つ出てきませんで(注・☝️ポスターにあるような色っぽい場面は、本編中には一切出てきませんので、念のため  笑)、我々観客は二人の心情を、その微かな瞳の揺らぎ等々から推測する他はありません😅‥‥しかし、そこで大活躍なのが、カーウァイ監督の懐刀、撮影監督のクリストファー・ボイル。主役二人の恋の真実を、チャウが小説の執筆の為に借りた部屋の(ちなみに部屋番号は2046😅)、揺らめく真紅のカーテンで表現した場面はもはや伝説ですが、彼は『花様年華』の撮影により、カンヌ映画祭、全米批評家協会賞など、主要な賞を総なめにしました。

 

  ラストの、主役二人の「いま」は一種のどんでん返し、ひじょうに衝撃的でしたよねぇ。しっかり地に足をつけて生きていこうとする女と、遠い異国で、過去の思い出に浸る男。当初は、ロマンティックな「大人の寓話」として始まるこの作品。ラストの衝撃がひじょうにパンチが効いてます😉

 

  ‥‥それにしても、マギー・チャンのチャイナドレスのカラーが、通常の2倍位長いのよ❗(笑)チャイナドレスってオーダーメイドだけど、彼女の場合は特注の特注でしょうね😅また、二人が食事する場面が多くて(おかゆちまき、ステーキ、ごま汁粉‥‥etc.)香港の、屋台をはじめとする食文化を垣間見ることができて興味深いです😊ヲタクは40年前位に、当時香港に赴任していた叔母家族を訪ねて2週間ほど香港に滞在したことがあります。この映画のように、女性も仕事を持つのが当たり前だから、屋台や定食屋文化が発達しています。朝ごはんも夫婦で近くのお店で食べて、それぞれ出勤……って感じ。

 

このように、長い間独自の生活様式と文化を保ってきた香港。返還後、どう変わったのか。今一度訪れてみたい場所の1つです。

 

  20年前、映画館でドキドキしながら観ていた方も、トニー・レオンと言ったらシャンチーのお父さんとしか印象にない若い方々も、この得難いチャンスにぜひ❗