オタクの迷宮

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

オタクによるオタクの為の映画指南~『ストーリー・オブ・フィルム』

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 横浜黄金町のミニシアター『ジャックアンドべティ』で、マーク・カズンズ監督の『ストーリー・オブ・フィルム』観賞。

 

小さなブログの片隅で「私は映画ヲタクでして……」なんて呟いているのが恥ずかしくなっちゃうような、カズンズ監督の映画に関する膨大な知識量と独自の視点と溢れんばかりの映画愛、愛、愛。観ている私たちは監督の愛のシャワーを一身に浴びる❗

 

  のっけから、あのジョーカーの有名なシーン、。誰にも認められず誰にも愛されず、世界を呪ったジョーカーが、TV出演が決まり、躍りながら階段を降りてくる。監督曰く、BGMは『アナ雪』の「レリゴー」ですと。え❓え❓なんで❓……答えは、社会から世界から自分の本質を抑圧され、自分自身をずっと呪詛してきた二人(もちろん、ジョーカーとエルサ。ヲタク的にはここにアベンジャーズのワンダ(スカーレット・ウィッチ)も加えて欲しい  笑)が、解放された瞬間だから……なんだって。なるほどなぁ~❗

 

  んで、次々と名画の大行進❤️「インドの良心」アーミル・カーンの大傑作コメディ『PKピーケイ』❗じつはヲタク、カーンの映画の中ではこのピケちゃんがいっちゃん、好きなのだ~😍真っ裸で地球に落ちてきた、まばたきしないグリーンアイズのエイリアン、PK。カズンズ監督も、「カースト制度も宗教も関係ない宇宙人の視点からインド社会の問題点を露にする(しかもコメディ形式で)カーンはやっぱりスゴい」と言う。同感ですっ❗


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  A24の青春映画の傑作『ブックスマート~卒業前夜のパーティーデビュー』、主人公二人のテンポの良い、知性溢れた会話とボディランゲージ、そしてジャンプショット(同一動作、同一サイズ、同一方向のショットをつなぐ)が効果的に使用されているのが特徴だそう。

それにしてもオリヴィア・ワイルド、初監督作がこれだもん、才色兼備とはこのことだ。ハリー・スタイルズもホレるわけだわ。……あ、ゴシップ方向に持ってくと、カズンズ監督に怒られちゃう(笑)


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  カズンズ監督による批評は1つ1つが目からウロコ……なものばかり。また、まだ観賞したことの無い作品については、めちゃくちゃ刺激的な事前勉強になります。

 

世界で 一大センセーションを巻き起こした『パラサイト~半地下の家族』 (ポン・ジュノ監督)と、『アス』(『ゲットアウト』でハリウッドに殴り込みをかけ、今『ノープ』で話題沸騰のジョーダン・ピール監督)の共通点は、韓国の富裕層と、アメリカの絵に描いたような中流家庭の「陰の部分」を抉り出し、社会の分断に対する強烈なアンチテーゼを呈していることだそう。ポン・ジュノジョーダン・ピールが繋がるとは思わなかったなぁ(笑)


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  史上最高の映画オタク、カズンズ監督のドキュメンタリーだけあって、最近の作品を、20世紀前半の古典的作品と比較対照する手法も勉強になりました。例えば、『ホーリー・モーターズ』(レオ・カラックス監督)や、『アンダー・ザ・スキン~種の補食』(スカヨハがド・セクシーなエイリアンを演じたアレですね😅)の、水の鏡面などから異世界に紛れ込む感覚は、ジャン・コクトーの映画『詩人の血』、鏡の向こうの異世界への憧れに影響を受けたものである……とか。

 

 『マッドマックス /怒りのデスロード』、2つのアクションが同時進行していって、カタストロフィーに繋がるシーン、無声映画の何に例えていたかなぁ。バスター・キートン❓すみません、覚えてない(汗)この映画、ひいきのニコラス・ホルトが白塗りスキンヘッドのウォーボーイ(戦闘兵)ニュークスを演じてて、これがまた彼のデビュー作『アバウト・ア・ボーイ』に負けず劣らず観ているこっちの母性本能刺激しまくりで……#¥&$[〉〈@☆って、何の話してるんだっけ❓😅


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また、日本から唯一取り上げられた『万引き家族』(是枝裕和監督)家族団らんのアングルショットが、『東京物語』(小津安二郎監督)のそれに酷似しているとかね。でも、『東京物語』での典型的な日本の中流家庭の団らん風景が、『万引き家族』では、犯罪という絆で結ばれた、社会からはみ出した「疑似家族」の団らんだというところに、何とも言えない哀しみと切なさが沸き起こってきます。

 

  ヲタク大好きな大好きな映画、A24の『フェアウェル』。中国人ではあるけれど、育った場所はニューヨークのど真ん中、中身はまんまアメリカンなビリー(オークワフィナ)が、余命僅かな祖母に会うため上海に帰り、自分自身のアイデンティティに葛藤するさまを涙あり、笑いありで描いた作品。その『フェアウェル』が、これまたヲタク大好きな『ボーダー 二つの世界』と共通項があると、一緒に語られるとこがもう感涙モノです。『ボーダー』は、「その異形の姿ゆえに社会に馴染めなかったヒロインが、同じ姿を持つ男性との恋愛を通じ、自らのルーツを探り、自己確立していく」物語ですが、葛藤や苦悩を経て、自己認識に至るプロセスに、『フェアウェル』との共通点があるようです。

 

……何しろ、カズンズ監督の映画の分類スタイルが、ヲタクにとってはツボはまりまくりなんですよ❗😊


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新生『バットマン』で今をときめくロバート・パティンソン。『トワイライト』で爆発的な人気を得ながら、あえて商業的な大作には背を向け、作品を厳選して演技修行を続けてきた彼の出演映画が2つも選ばれていたのは嬉しかったなぁ……。(『グッドタイム』(サフディ兄弟)と『ハイ・ライフ』(クレール・ドゥニ監督))


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コロナ禍で大きな影響を受けた映画業界。それでも監督は、映画には無限の可能性があると、我々に力強く語りかけてきます。主人公の青年の運命の選択肢を、私たち観客が選べるという斬新な作品『ブラックミラー/バンダースナッチ』や、ツァイ・ミンリャン監督が初の360度VR映画に挑んだ『蘭若寺の住人』、最先端のCG技術を用いてキャストの数十年の経過を表現したNetflixアイリッシュマン』など、監督の描き出す映画の未来は限りなく明るい😊

 

  その他、ロシアのごみ捨て場を住居にする『ユーラ~ごみ捨て場の少女』や、シリア内戦下の過酷な状況を綴った『娘は戦場で生まれた』など、胸絞られるドキュメンタリー作品、ルカ・グァダニーノ監督の『サスペリア』やアリ・アスター監督の『ミッドサマー』、『NOVEMBER』(エストニア  : エストニアの異教神話を題材にしたファンタジーホラー)など、まだまだ呟きたい作品はあるけれど、このまま行ったら夜が明けそうなので、このへんで(笑)

 

あっ、最後に1つ。ラスト近くに、「史上最高の演技者といえば、『バルタザールどこへ行く』のあのロバ」という、(ヲタクも敬愛してやまない)ティルダ・スウィントンの言葉が引用されて、思わず吹いてしまった(笑)

 

  映画は辛い現実を忘れるための一時の夢、一時の逃げ場所……と言われるけど、ヲタクはね、決してそれだけじゃないと思ってます。『ドクターストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』でも、「夢は、どこか別の次元(バース)に住むもう一人の自分自身の実際の体験なんだ」っていうセリフがあるけれど、映画もきっとそう❗映画館の暗闇から出て来た時私たちは、映画の中で得た新たな知識や疑似体験したことによって、必ずどこか変化していると思う。映画にはそれだけの力があると、ヲタクは信じています。今までも、そしてこれからも😊