オタクの迷宮

海外記事を元ネタに映画・ドラマの最新情報を発信したり、鑑賞後の感想を呟いたりするブログ。最近は家が好き過ぎて、映画も専らおうちで鑑賞。

永遠のレスリー・チャン~『ブエノスアイレス』4Kレストア版


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レスリー・チャン

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先日「ジャック & べティ」でもらってきたカーウァイ作品の4Kレストア版パンフレット。一番のお目当て『ブェノスアイレス』は品切れ😅よほど人気なのか、「お持ち帰りは一作品につき一枚でお願いします」の但し書きが……。

 

  以前当ブログでもご紹介しましたが、カンヌ国際映画祭トニー・レオンが主演男優賞に輝いた「花様年華」(2000)の制作20周年を記念して、カーウァイ監督自ら過去の作品を4Kレストア化するプロジェクトが立ち上がり、予定通り日本でも上映の運びとなりました❗ヲタクは地元のミニシアター「ジャック & べティ」で見るつもりなので、今はじっとガマンの子(笑)シネマート新宿では、昨日から上映開始になっているようです。

 

  今回上映されるのは、『花様年華』、『天使の涙』、『恋する惑星』、『2046』、そして『ブエノスアイレス』の5本。ヲタクは全部見る気まんまんだけど、特にワクワクしてるのは、レスリー・チャントニー・レオンという当時最高の美男二人が、ガチの愛欲シーンに挑んだ『ブエノスアイレス』❗……いや今でこそ『君の名前で僕を呼んで』や『ゴッズ・オウン・カントリー』がフツーに持て囃される時代になったけど、25年前だよ、25年前❗……あの映画を初めて見た時の衝撃は今でも忘れないっす。


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  「惜しみなく愛は奪ふ」(有島武郎)じゃないけど、相手の魂を奪い、傷つけることでしか愛せない男(レスリー・チャン)。自らを追い詰めるとわかっていながら、奔放な恋人を愛して、愛しすぎた男(トニー・レオン)。社会にも受け入れてもらえない、孤独な、未来の見えない関係。それが、彼らの故郷を遠く離れた異国の地、ブエノスアイレスで繰り広げられるから、余計切ない😭……観ているうちに、これこそが究極の愛の形、真の意味での純愛なのではないか……と思わせてくれた映画でした。(カーウァイ監督は、この作品で見事、カンヌ映画祭の監督賞を受賞)

 

  自身もゲイであったレスリーは、声高にそれを公の場でカミングアウトはしなかったものの、映画やコンサートなどで、そのボーダーレスな思想を表現し続けました。2000年のコンサートツアーでは、ジャン=ポール・ゴルチエがデザインした、アンドロギュノス的な衣装──透け素材のセーラー服、黒髪のウィッグ──を身につけて観客を限りなく挑発、香港の地元メディアから散々叩かれました。倫理道徳や世間体や社会通念との果てしない戦い……。力尽き、翼折れた彼が、マンダリン・オリエンタル香港の高層階から身を投げたのは、そのコンサートから3年後のこと。

 

  あらゆる意味での「先駆者」であり、LGBTQ文化の担い手たちに、今でも多大な影響を与え続けているレスリー・チャン。彼が今も生きていて、中国返還後の故郷、香港の実情を知ったら、その絶望と苦悩はいかばかりだったでしょう。事態は益々悪化の一途を辿り、香港ばかりでなく、世界全体が、時代の逆行を許しているかのような昨今。

 

……せめて、生まれ変わったスクリーンの大画面で堪能しよう。そして、しばし酔おう。永遠に年老いることのない、レスリー・チャンの凄絶な美しさに。