オタクの迷宮

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

ソン・ガンホさんはやっぱり名優だった~『ベイビーブローカー』


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  カンヌ映画祭で12分間のスタンディングオーベーション❗……って、映画『エルヴィス』のオースティン・バトラーとぴったり同じ時間ぢゃん。この夏は『エルヴィス』沼にハマりまくってたヲタクとしては、こりゃ見るっきゃない❗……というわけで、行ってきました、馴染みのハマのミニシアター「ジャック」🚶土曜日の午後のせいか、ほぼ満席😊若い人たちの姿が目立ちました。そしてそして……

 

ソン・ガンホさんはやっぱり名優である。

 

ガンホさんはこの演技により、見事カンヌ映画祭主演男優賞を受賞。ヲタク、個人的には『エルヴィス』のオースティン・バトラー熱烈推しだけど……なんだろう、演技の巧さとかパワーとか、そういうものを一切超越した、その人が積み重ねて来た人生経験が滲み出てくるような味わい深い演技。……これはね、もうどうしようもないよね。マズイ人に当たっちゃったね、オースティン(笑)

 

  韓国のとある教会に設置された赤ちゃんポスト。中には入れず、わざわざ外の冷たい石畳の上に赤ちゃんを置き去りにした若い女性ソヨン(IU)。その様子を伺い、ソヨンが去った後、赤ちゃんをベビーボックスに入れ直す❓警察青少年課の若い女性刑事ソジン(ペ・ドゥナ)。そして、その赤ちゃんポストから、今度は赤ちゃんを連れ出し、ブローカーとしてひと儲けしようと目論む二人組の男、クリーニング店主のサンヒョン(ソン・ガンホ)と養護施設出身の青年ドンス(カン・ドンウォン)。サンヒョンとドンス、我が子が気になり教会に舞い戻ったソヒョン、彼らの車に忍び込んだ養護施設の少年ヘジンは、ソヨンの息子スジンの買い手を求めて、1台のボロ車に乗って果てしない旅に出る。そして彼らの車の後ろには、人身売買の現場を取り押さえようとする刑事スジンの姿が……。彼らの珍道中の果てに待っていたものは、果たして……❗❓

 

 それぞれが人生の暗い記憶やトラウマを抱えながらも、赤ちゃんを世話することで次第に心通わせ、血は繋がっていないけれども、疑似家族を形成していく過程に、胸が絞られます。そして、離婚して実の子どもからは「もう連絡して来ないで」と突き放されたサンヒョンが、新しい「家族」を守るために最後に下す決断が切なすぎる……😭そのラストのソン・ガンホの表情ね❗『万引き家族』の、ケイト・ブランシェットも絶賛した安藤サクラの泣きの演技に匹敵するとヲタク、思いました。

 

  これまで作品の中で、家族や子育てのテーマを追い続けて来た是枝監督ですが、この作品でも、シングルマザーで、売春の結果として生まれてきた我が子に対して、自分がどのような感情を抱いているのか自覚できずに戸惑うソヨンが、サンヒョンら「疑似家族」の面々から助けられて、母性を育てていく過程が感動的に描かれていました。赤ちゃんポストやシングルマザーの子育て、母性神話……等々、社会的な問題に鋭く切り込むというよりむしろ是枝監督は、人と人との繋がり、縁の大事さに焦点を当て、微かな希望のひかりを提示してくれたように思います。

 

  子どもは、社会をはじめとして、様々な縁の中で育っていくもの。映画を見ながら、日本の地域社会でもその昔、祭の際の夜這いの風習によって生まれた、父親もわからない子どもを、「村の宝だ」と言って村人全員で育てた……という逸話があったっけ……と、何の脈絡もなくヲタクは思いました。そんな大らかさの片鱗でも私たちが意識することができれば、子育てに疲れた若いママさんたちも、ちょっと気が楽になるのではないかなぁ……と。是枝監督が訴えたかったテーマとはズレてるのかもしれないけど、ヲタクはそう感じちゃったので、正直な感想を書きました😅

 

  一緒に旅するうちに赤ちゃんに情が移り、ドンスが「養子に出すのなんかやめて、俺たちみんなでこの子を育てよう」と言うのに、ソヨンが「誰が誰のお父さんなの❓変な家族」と、一刀両断するシーンがヲタクはとても好きです。是枝監督の、温かく優しいメッセージが込められているような気がして😊また、この時のカン・ドンウォンの表情がめちゃくちゃいいんだよなぁ。