アスファルトジャングル、東京。折しも真夏の太陽は頭上の空高くジリジリと照りつけ、目黒駅からヒーフー言いながら歩いていくと、緑濃い森が突如として出現します。
アール・デコ様式の旧朝香宮邸である建物はひじょうに保存状態が良く、まるで今でも宮さまがお住まいになっているかのよう。ヲタクが長年暮らしていたベルギーにもアールデコの建築は多く(コーケルベルク大寺院
パレ・デ・ボザール、ヴァン・ビューレン美術館など)、定期的に「アールヌーヴォー&アールデコフェスティバル」が開かれるほどなのですが、庭園美術館は遜色ない…どころか、抜きん出ているかも❗日本人の建物管理の細やかさ、生真面目さゆえでしょうか。
さて、実花さんの作品展は新作ばかり。「大回顧展」を終えたばかりですものね。実花さんの写真って、よく言われることですが、華やかで絢爛で、極彩色のイメージ。強烈に「蜷川実花ワールド」で、お花は自分の世界を作り上げるための素材なのかな❓と勝手に思っていました。もちろん作品群はいつも素晴らしく素敵だから製作過程なんてどうでもいいんですが、今回の「瞬く光の庭」は、なんていうんだろう、お花畑で、瞬く光の中で、風の中で、実花さんが自由に楽しんでる…そんな感じ。優しい色合いや、純白のものも多かったし。
写真の向こうにお庭が見える…というのも、心憎い演出です
撮影禁止だった作品の中に、雪景色の写真(花の枝に雪が被っている)があったのですが、その冬の光がなんとも美しくて…。今回の写真展、題名にもある通り、もう一人の主役は「光」であるようですね。まるで印象派の絵画を彷彿とさせるような作品も幾つかありました。
紗のように薄手のスクリーンに次々と写し出される映像作品『胡蝶の夢』。
新館で公開されている映像作品『胡蝶の夢』は、その名の通り夢幻的な美しい作品で、しばし、外界の喧騒や現世の憂さを忘れさせてくれます。許されるなら、夜通し見ていたい(笑)
帰り道、来る時よりも外界の気温は上がっていた筈なのに、なんとはなしに涼やかな気分で帰途につけたのは、「蜷川実花マジック」❗❓(笑)
※蜷川実花展「瞬く光の庭」は、東京都庭園美術館(港区白銀台)で9月4日まで。完全予約制です。