オタクの迷宮

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

1965年のローリング・ストーンズ~『チャーリー・イズ・マイ・ダーリン』


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Bunkamuraル・シネマで『チャーリー・イズ・マイ・ダーリン』観賞。

 

  冒頭から、1965年のローリング・ストーンズアイルランドツァー、『アイム・オーライト I'm All right』演奏中に興奮し過ぎた聴衆がなだれのように将棋倒しとなり、しかも何人かは舞台に上がり込んでメンバーと乱闘、怪我人も出るというショッキングなシーンで幕開け。演奏中に一人の男がブライアン・ジョーンズに突進、ビーンっていう金属音が妙に生々しいです。今では考えられないような出来事ですが、(自分たちの仕事は常に危険と隣り合わせ)とばかりに淡々とインタビューに答えるメンバーがある意味凄い😅

 

  緊迫したツァーの様子から一転、宿泊中のホテルの一室で、アコギ抱えたキースがシャンペン?飲んでるミックとセッションし始めるシーンは、ファンにとっては垂涎モノでしょう。『テル・ミー Tell me』の歌詞に韻を踏ませるか否かでモメてたり😅、セッションしているうちになぜか"Hold me, love me, hold me , love me……と、ビートルズの『Eight days a week』に変化しちゃったり。

 

  ブラウニングやシェリー、キーツの詩を口づさむあたり、(ああ、やっぱり彼らって英国人なんだな)と改めて思いました。ミックは、その中でもシェリーが特に好きだそう。シェリーは英国ロマン派の詩人で、古典主義に対する反逆児ですから、当時のミックにどこか相通ずるものがあったんでしょうね😊

ちなみにヲタクは

"God's in his heaven.

All's right with the world.

神、そらに知ろしめす。

すべて世は事も無し)

の詩句で有名なブラウニングが好きなんですけれども、ブラウニングもまた英国文壇にはなかなか認められなかった異端児で、ヨーロッパ各国を流浪した末に、ヴェネチアで客死してるんです。詩人の好みもミックはやっぱりロック(笑)


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  ヲタク的には、二人でエルヴィス・プレスリーの『サンタが彼女を連れて来る』『ブルーベリーヒル』の歌マネしてはしゃいでるとこが好き~♥️ヲタクはこの夏『エルヴィス』(監督バズ・ラーマン)何度も映画館でリピして、プレスリー一色だったから……またミックが上手いんだよー。あのプレスリー特有の籠ったようなアメリカ南部訛りも完コピしててサスガぢゃ(笑)幼い頃親を亡くしたミックにとっては、エルヴィスの歌はその代わりなんだって。歌が親代わりかぁ……。しかもエルヴィス(笑)音楽にそれだけの力があるって、その一言でさりげなく表していて、なんか……胸にグッと来た。

 

  アイルランドの列車の食堂車で、「禁煙」って書いてあるのにタバコスパスパ😅、「デザートはフルーツがいい」って言って「ホテルじゃないんだから」ってマネージャーにたしなめられたり、「やっぱ高級な紅茶はリプトン」とか、フツーの若者と変わらない一面も。

 

  当時はまだ「バンドやって有名になりたい」的な発言をして軽いノリの他のメンバーに比べて、やはりミックは意識高いというか、プロっぽい発言してますよね。

舞台でのパフォーマンスは演技してるよ。自分とは違う人間になる。なぜって?皆を楽しませたいから。

 

  これまでのポピュラーソングは、男女間のロマンスとか、「そこからは何も生まれないもの」を延々と歌い続けてきた。

(僕らはそうじゃない)

 

僕たちと観客の間には性的な交流があると思う。

 

……等々、今見返してみると、やはりそれ以降60年近く第一線で活躍するだけのことはあるな……と思わされる発言が多かったですね。

 

  ロック界のレジェンド、ローリング・ストーンズの「はじまり」のドキュメンタリーと捉えてもいいし、一方で、「偉大な何者か」になろうと悩み、迷いながら奮闘する若者たちのひとつのドラマとして見ても面白いんじゃないかな。

 

  それにしても昨年ついに鬼籍に入ってしまったドラムスのチャーリー・ワッツ、「いつも微笑みながらそこにいる」って雰囲気の宮沢賢治みたいな人で、インタビューでも「ボク譜面読めないから……だからドラムなんだけど」なんてユルい発言で、ミックの尖った感じとは対極😊癒し系のチャーリーが逝ってしまって、残されたメンバーはさぞかし淋しいのでは……と推察します(合掌)