笑いのネジがちょっとフツーとは違ったところについているというか。またはストレート直球な笑いぢゃなくて、ひょろひょろ～っと飛んできた変化球がじつはかなりツボにはまって後からジワジワ効いてくる……というか。ほぼ満席のお客さんも時折笑っていいのか悪いのか戸惑ってるふうで、ワンテンポ遅れて、さざ波のようにクスクス笑いが起きてましたっけ。
でも、その笑いの本質がどんなものにせよ、ヲタクは個人的に大、大、大好きな映画。またリピートして、クスクス笑いしたい場面がたくさん、ある。
ご存知さかなクンの著書を映画化した作品で、登場するエピソードの殆どが事実に基づいていると知って、それこそギョギョギョです(笑)
なんの前知識もなく見始めたので、ヲタクは(あ、あれ？さかなクンは女子だっていう設定に変えた映画なんだっけ？)と、最初の30分くらいは混乱してたんだけど、さかなクンの小学生時代を演じる子役さん(注・女子)は半ズボンはいてるし、のんも学ラン姿だから、この映画の中のさかなクンの性別はやっぱり男なのだ❗とヲタクは断定したのだけれど、映画観賞後に読んだネット記事によると、沖田修一監督は
さかなクンを描くのに、性別はそれほど重要ではないと思いました。実際と顔が似ているとか似ていないとか、そういう問題を取っ払って、もっと自由に、さかなクンの映画を作りたいと思いました。
と仰っていたそうで、そんな、良い意味でのユルさがこの映画の身上。これは本当に頷ける話で、例えば人気漫画の実写化というとすぐに「イメージちがう、ビジュアル似てない」と炎上しちゃう昨今の風潮に対するアンチテーゼみたいだなー、とヲタクは思ったのでした😊
そうは言ってもこの作品は、のんという、年齢も性別も軽々と超越してしまう稀有な俳優を得てはじめて、成立したのは間違いない事実。「そうでギョざいますっ。ギョギョー❗」とか言いながらそこらじゅう跳ね回って許されるのは、このせちがらい世の中、のんとさかなクンくらいなものでしょう😅
また、主人公ミー坊(さかなクン)にさんざん振り回されながらも、大きな、大きな愛でミー坊を支えてくれる善人だらけの周囲の人々。演者たちも適材適所、イイ味出してます❗特に、若手俳優の中でも選りすぐりの巧者たちが、自由奔放なのんの演技をガッチリ支えています😊
魚に夢中のミー坊が目障りで彼をシメに来たはずが、反対に海釣りに誘われてノコノコついてっちゃう不良グループの総長(磯村勇斗……めちゃくちゃキュート♥️)やら、(魚をさばくのに)「自分の包丁使うと臭くなるからナイフ貸して」ってミー坊から理不尽な要求されて素直に従っちゃう(それも２度も❗)総長の手下(『帝一の國』に出てた俳優さんよね❓キャストに名前が載ってない、誰……😅)、なぜか素肌に謎の赤いアミアミベストを着ていて、ミー坊からそこに目をつけられて😅アオリイカ捕獲用に身ぐるみはがれちゃう敵対グループのボス、「カミソリの籾山」(岡山天音……もはや匠の職人技、安定の天音くん。『ヴァンプショウ』のチケット取ってあったのにヲタクの回は公演中止になって号泣)、ミー坊のマスコミデビューをお膳立てしてくれるTVディレクターで幼なじみのヒヨ(柳楽優弥……受験勉強中に、居眠り防止のためにコンパスを左手に突き刺す場面が目に焼き付いて離れない。コメディシーンにちゃんと狂気を滲ませるサスガの演技)、ミー坊がどんな状況でも、無条件でまるごとそれを受け入れる聖母マリアみたいなお母さん(井川遥)等々、愛すべき人々とのいっぷう変わった、くすりと笑えるエピソードてんこ盛り😊
さかなクンがいつも言っている「好きなことを継続する大切さ」。たとえそれが仕事につながったりしなくても、好きなことがひとつでも持ち得た自分は幸せだと思っていいのだ……というシンプルな励ましをもらえる映画。あっでも、決してそれだけでは終わらないのがこの映画のスゴいところで、ミー坊がせっかく海でつかまえて家で飼おうとしたタコをお父さん(三宅弘城……善人揃いの脇役の中で、唯一ミー坊に世間の厳しさを教えてくれる人)が()/〈〉☆$［@しちゃうエピソードは、人生甘くねぇぞ、落とし穴もパックリ口広げて待ってるぞと言わんばかりの地獄絵図。さかなクン本人が、「さかなクンも一歩間違えたらこうなってましたよ」的な不審者、ギョギョおじさんを演じてたのも肩から力抜けてて◎❗
のんの代表作品がまた、増えましたね。作品数は多いわけじゃないけど、次々と代表作を更新していってるのん。これってスゴい。さかなクンものんもスゴい❗
