オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

Netflix『ブロンド』(主演 : アナ・デ・アルマス)~マリリン魂の慟哭


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  待ちに待ったNetflix『ブロンド』(主演 : アナ・デ・アルマス)、本日(2022年9月28日)からいよいよ配信開始❗

 

  20世紀最高のセックス・シンボル、時代のアイコンだったマリリン・モンローの生涯を新しい視点で掘り下げた、アンドリュー・ドミニク監督の野心作です。冒頭から、幼少期のノーマ・ジーン(マリリンの本名)が、精神を病んだ母親から虐待を受け、果ては浴槽に沈められてあわや……という衝撃の幕開け。

 

  母親はノーマ・ジーンを身籠った時相手の恋人に逃げられ、一人で出産、ノーマが成長するに連れ重度の妄想や暴力衝動を含む精神障害に悩まされるようになります。結果的に母親は精神病院に収容され、ノーマは養護施設へ。(※その後親戚に引き取られ、そこでレイプされた……等という悲惨な出来事もあったと記憶していますが、今作では描かれていません)

ヲタクは昔むかし、「ハリウッド・バビロン」という、ハリウッドの裏側を描いた一種の暴露本を読んだことがあって、煮え湯を飲まされたような気分になったことがあるのてますが、そこに書いてあった記憶があります。

 

  彼女は雑誌のモデルをきっかけにハリウッドのプロデューサーの目に止まり、映画出演への足掛かりを掴みますが、そのきっかけがいわゆる枕営業で、性的搾取が日常的に行われた当時のハリウッドの裏側が生々しく描かれ、ヲタクは観ながら、行き場のない怒りが沸々と沸き起こってきました。女性は精神的に不安定な時は見ないでね😅

 

  彼女の初めての大役は、スリラー映画『ノックは無用』の精神を病んだベビーシッター役。カメラテスト時のマリリンは鬼気迫る名演(すなわちアナ・デ・アルマスの演技がね)で、このまま行っていたら、アカデミー賞も夢じゃない、超演技派になっていたんじゃないでしょうか。マリリンは自分の生い立ちから学歴コンプレックスがあり、それを補う為か非常な読書家であったことは有名な話ですが、カメラテストの時も、彼女がドストエフスキーの話題を出すと、スタッフたちから(読んだこともないくせに)と冷笑される場面が出てきます。

 

あー、フラストレーションたまる場面の連続だなー(イライラ💢💢)

……でも結局、これが当時の映画業界の実情だったんだろうな……。

 

出来ることなら、タイムマシンで50年前のハリウッドに飛んで、(マリリン、あなたの方向性は正しいのよ❗男どもの言うことなんて気にせず、頑張れ❗)って励ましてあげたい👊✨

 

 映画の中で俳優は所詮ジグソーパズルのピースにしか過ぎないの。

ピースを当てはめるのは監督だもの。

それよりも私は、舞台で一つの役を演じきりたい。

チェーホフの作品とか。

……と、後に夫となる野球選手のジョー・ディマジオに語る場面があるのですが、実際は、映画のイメージとは真逆の、知的で感性の鋭い人だったんだなぁ……と改めて思いましたね。

 

  しかし、彼女の意思に反して、待望の赤ちゃんを堕胎してまで(その経緯は本編をご覧下さい)撮影に臨んだ映画『紳士は金髪がお好き』で、彼女のその後のパブリックイメージ「Dumb Blonde(ダム・ブロンド……少々おツムの軽い金髪の女性)」が決定づけられてしまうのです。

 

  映画のプレミア会場で、「スター誕生❗」とばかりに盛大なスタンディングオーベーションの中、1人呆然とするマリリン。

 

あれは、私じゃないわ。

赤ちゃんを諦めてまで手に入れたものがこれなの❓

 

  そして、人気と名声がうなぎ登りに高まって行くに従い彼女は、ノーマ・ジーンとマリリン・モンローというアンビバレントな人格の間で、次第に引き裂かれていくのです。

 

  差別と、性的搾取と、男権社会の典型だったハリウッドで、悶え、苦しみながら、真摯に「自分らしい生き方」を求め続け、その途上で矢折れ力尽きた一人の女性の魂の叫びが聞こえてきそうな気がします。

 

……ほぼ全編、胸が痛くなるようなシーンの連続なんですが(特にジョー・ディマジオとの※悲惨な結婚生活など)、マリリンの人生に温かなひかりが差し込んだ瞬間も。それは作家のアーサー・ミラー(エイドリアン・ブロディ……イメージぴったり😊)の戯曲のヒロイン、マグダ役をマリリンが演じ、(あのマリリン・モンローにはマグダ役は無理)と当初先入観で彼女を見ていたミラーが、チェーホフの『三人姉妹』のヒロイン、ナターシャとマグダを見事に比較対照してみせたマリリンに感動する場面。男女を越えた心の交流が、心地よかった。しかしそれも一瞬。ミラーとの結婚でつかの間の心の平安を得た彼女でしたが、生来のコンプレックスから、彼の知識階級の友人たちと馴染めず、せっかく授かった赤ちゃんが流産したことでミラーとの結婚生活も破綻。

ディマジオが、マリリンの『七年目の浮気』、地下鉄の排気口でスカートを巻き上げるシーンに嫉妬して暴力を奮ったエピソードは有名ですが、ヲタクはそれよりも、ディマジオの親戚の女性たちが、料理がからきしダメなマリリンを、わざとイタリア語で嘲笑する場面がなんともイヤだったなぁ。

 

その直後に撮影開始となった『お熱いのがお好き』(ビリー・ワイルダー監督)時のマリリンを演じるアナは神がかってます😮映画史に名を残すコメディのうち、ヲタク的にはベスト3に入るこの作品ですが、ミラーとの結婚生活の破綻と流産によって次第に精神錯乱に陥っていく時期の作品だったと今回知って、ちょっと複雑な気分になりましたけどね😅

 

  ま、つらつらいろんな事書きましたけど、とにもかくにもヲタク的には、キューバ出身で自国の訛りに苦しみながら発音の猛特訓を受け、ほぼ毎日の髪のブリーチの痛みに耐え、撮影(+R18)でも全てをさらけ出してマリリンに成りきったアナ・デ・アルマスに盛大な拍手を贈りたい❗ヴェネチア国際映画祭で、最長の14分間のスタンディングオーベーションを受け、号泣したというアナ。来年のアカデミー賞は、主演女優賞はアナ・デ・アルマス、主演男優賞は※オースティン・バトラー(映画『エルヴィス』)で決まりっしょ😉

彼はカンヌ映画祭で12分間のスタンディングオーベーション♥️