オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・コンサート鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログです。

『ザ・メニュー』グルメ・ブームへの痛烈な皮肉?


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横浜駅ビルNewmanにあるシネコン「Tジョイ横浜」で、『ザ・メニュー』鑑賞。

 

  大西洋に浮かぶ孤島にある高級レストラン・ホーソン。料理の神とも崇められる天才スローヴィク(レイフ・ファインズ)がシェフを務めるホーソンは、予約が取れないことで有名でした。高名な料理評論家や映画スター、大企業の若いCEOなど、セレブに混じってホーソンを訪れたマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)とタイラー(ニコラス・ホルト)。出てくる料理にいちいち感動し、写真を撮りまくるおツムの軽い「フーディー」タイラーにマーゴはうんざり顔で、「味覚を損なうからやめろ」と彼に言われても、タバコをスパスパふかしています。(この二人、カップルにしては不自然。その理由はおいおい明らかになります)

  初めのうちは、スローヴィクが作る「独創的な料理」を楽しんでいた客たち。……しかし、コースの途中で起きた「ある事件」をきっかけに、彼らはスローヴィクによる壮大且つ恐るべき企みに戦慄することになるのです……❗

 

「ある事件」によって映画は急激な転調を迎え、後は怒涛の展開となっていきます。この急激な転調を最大限に効果的に演出するため、マイロッド監督はリハーサルを最小限に留め、脚本にも詳細を書かないようにしたそう。あらかじめ、1962年のルイス・ブニュエル監督の映画『皆殺しの天使』を参考作品に挙げ、「この映画より恐ろしいことが起きるから」とキャストに伝えていたとか。なるほど!彼らの驚愕の表情はホンモノだったといいわけか……。恐い、恐い(笑)さらに、その撮影方法も、2台のカメラがどこからねらっているのかわからない、ロバート・アルトマン監督の映画のような状況で撮影をしたそうです。

 

この、一人のシェフの恐ろしい狂気の物語について、出演者の一人のであるジョン・レグイザモはこう語っています。

 

中産階級が消滅し、民主主義を支配できると考えている億万長者たちがSNSを支配し、分断と排除によって私たちを特別なバブルの中に閉じ込めてしまった。この映画は、アメリカで起きている、特権意識を暴走させて対立を生み出す人々への明確な考察である。

 

レグイザモが語るところの「特権意識を暴走させる」客たちの中で、ただ一人、ヒロインのマーゴだけが、私たち観客と同じ「普通の人々」の目線でものを見ているわけです。例えば、スローヴィクが「パンは庶民の食べ物だから、セレブのあなた方には相応しくない」と言って、パンにつけるソースだけを並べた「パンのないパン皿」なる料理を出した時、他の客は面白がってソースだけ舐めるんですが、マーゴだけが「食べる物ないじゃない!お腹空いちゃうよ」って叫ぶんです。命の危険があるにもかかわらず、スローヴィクにがんがん突っかかっていくマーゴがめちゃくちゃカッコいい♥️そりゃ、そうだ。料理って本来、命を繋ぎ、それによって健康になるためのもの。作る側からしたら、相手に「美味しい」って言ってもらって、喜んでもらうもの。それなのに、ホーソンの料理人たちも客もそのことをすっかり忘れてる😅これ、ヲタクは昨今のグルメ・ブームに対する痛烈な皮肉のように感じましたが……いかがでしょう?この狂気の宴に、言わば「巻き込まれてしまった」マーゴが、一般庶民の感覚を駆使し、果たして無事に脱出できるかどうか……というのがもう1つの見所になっています。

 

  ヲタク的にはこの映画、ニコラス・ホルト見たさが第一の目的だったんですが、スローヴィクを神のように崇拝していて、彼の料理一つ一つに感動して涙ぐむある種のピュアさ(別名バカさ  笑)を持っていながら一方では、(自分は誰よりも料理のことはわかっているんだ。黙ってオレについてこい)と、これまた他の客と同様「グルマンの特権意識」?に足をすくわれて破滅していくクズ男を、いつもながら巧妙に演じておりました。しっかし最近のニコラスって、『エカチェリーナ 時々真実の物語』にしろ『女王陛下のお気に入り』にしろ、ヒネたクズ男を演じるの、好きだよねぇ😅『エジソンズ・ゲーム』の科学者テスラにしても、ベネさま演じるエジソンに負けず劣らずのヤバい変人ぶり。たまには正統派のイケメン役が見たいわ😅

 

素顔は役柄とは正反対、人見知りでシャイなニコラス、大勢のキャストが集まった場でなかなか話に入れずまごまごしていると、アニャちゃんが気を利かせて

ニックはこの映画のためにすごくいろいろ準備していたでしょう?それを話して。

と話を振ってくれたとか。

アニャちゃん、優しい、ニック可愛い😍

 

 そしてそして、レイフ・ファインズの狂気の神演技は必見❗……やっぱり彼がシェフ役でなければ、こんなに怖くてスリリングな映画にはならなかったでしょうね、うん。

 

★今日の小ネタ

「昨今のグルメ・ブームへの痛烈な皮肉?」とか言いながら、映画の中で「食通か否か」を試すリトマス試験紙の役割を梅干しが果たしていたりすると、思わず喜んでしまうヲタク😅みんな「Umeboshi」って言ってた……。


絶賛上映中!│『ザ・メニュー』30秒スポット<アニャ・テイラー=ジョイ &ニコラス・ホルトからメッセージ!> - YouTube