オタクの迷宮

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今年の映画納めは『そばかす』で。

 
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KINOシネマ横浜みなとみらいで、映画『そばかす』鑑賞。今年、映画館で観る映画は、これが最後かな。映画納めは『そばかす』で~🎵

 

  恋愛や性に全く興味が湧かない、いわゆる「アロマンティック・アセクシュアル」の女性がヒロインだから、正攻法で描くと、かなり悲痛で重い話になりそうなんだけど、あにはからんやこの映画、随所にほのぼのとしたユーモアが溢れ、客席からくすくす笑いが漏れる場面がいっぱい。それは、ヒロイン役三浦透子の、飄々とした自然体の演技に負うところが大きいでしょう。また、笑いをとる「間」がばつぐんに上手くて、彼女、コメディエンヌとしても素晴らしいんじゃないかな。今度は彼女のコメディを見てみたいです。

 

  蘇畑佳純(そばたかすみ)は、芸大を卒業したものの小さい頃からの夢だったチェリストになることはあきらめ、コールセンターで働きながら、他人とは適度に距離を置き、淡々と日を送ることを信条としています。しかし実家暮らしの彼女は、自分の主義主張を貫いて勝手気ままに生きることは許されません。彼女と違って超現実主義者の妹(伊藤万理華……恋愛に興味がないからといって、「お姉ちゃんはレズなんでしょ!」と断罪する、天真爛漫なガサツさを、嫌味なく演じています)や、離婚歴3回のおばあちゃん(田島令子)にズケズケ意見されたり、佳純の行く末が心配でならない母親(坂井真紀)からだまされてお見合いに連れていかれたり……と、彼女の人生、なかなかに多難。そんな彼女が、様々に愛すべき人々との出会いを通して、自分自身を受け入れ、未来へ歩き出すストーリー。


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  佳純の人生観に決定的な影響を及ぼす、元AV女優で佳純の高校時代の同級生、真帆役に前田敦子。どこかで自分自身を抑制している佳純とは正反対、忖度なし、怖いモノなし、自分が正しいと思ったらどんな相手にも噛みついていく「戦う女」。二人の再会は、自宅近くの浜辺で瞑想?に耽る佳純の前に真帆が前触れもなくすっくと立ちふさがり、いきなり佳純をキャンプに誘うという驚くべき唐突さ😅。しかしそれがなんの違和感も感じさせない力業(ちからわざ)、ある意味凄いぞ、前田敦子(笑)。

 

  どちらかというと女優陣が生き生き元気なこの映画ですが、佳純を黙って見守る優しい父親役の三宅弘城、佳純や観ている私たちに(もしかしてソウルメイト登場……?)と、淡い期待を抱かせる職場の後輩役の北村匠海が、イイ味出してます😊

 

……そして、ヒロインの佳純は30歳という設定。将来を真剣に考え始める年代です。若い頃の夢を諦め、故郷にUターンしてきた同窓生たちとの交流を通じて、佳純がさまざまな気付きを得ていくという展開が心憎いな……と思いました。

 

公私共に忙しない師走。ともすれば殺伐としがちな心に水分が染み渡るような、そんな癒しをくれた映画。