オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

ギレルモ・デル・トロ監督『パンズ・ラビリンス』日本最終上映

 
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ギレルモ・デル・トロ監督の名作『パンズ・ラビリンス』が3月10日から全国の映画館50館で1週間限定上映されるそうです。「デル・トロ監督の作品の中でも一二を争う名作が再び映画館で〜〜、やったーー❗」と小躍りしたのもつかの間、その理由は「日本国内の上映権利が2023年9月で終了となるため、最後の映画館上映となる」どどーーん(←ヲタクが床に転がった音)ああ……ルキノ・ヴィスコンティの『山猫』に引き続き、デル・トロよお前もか。…いや、デル・トロ監督にグチるのは全くのお門違いなんだけど(^_^;)

 

 ヲタクがデル・トロ監督の映画に初めて触れたのは、『デビルズバックボーン』(2001年)。スペイン内戦下の孤児院が舞台。両親を亡くし天涯孤独となった少年カルロスは、人里はなれた孤児院サンタ・ルチアに入れられます。その孤児院の中庭には不発弾が埋まったまま放置されており、孤児院の職員や子どもたちの間にはなぜか、不穏で不気味な雰囲気が漂っていました。そんな中、カルロスは少年の幽霊をたびたび目撃するようになり…。監督の反戦思想が色濃く出ている作品で、後年の監督の作品に比べるとファンタジー性はあまり強くなく、むしろ親の愛を失い、内戦で命をも危険に晒されている子どもたちの孤独と哀しみが、惻々と迫ってきます。太陽に満ちたスペインの田舎の風景があまりにも美しく、子どもたちの置かれた悲惨な状況との対比が辛かった😢

 

 

 そしてそして今回上映される『パンズ・ラビリンス』(2006年)。やはりスペイン内戦が舞台で、上記『デビルズ・バックボーン』の姉妹作と言われています。戦争や、社会の歪みの犠牲になるのはいつも弱き者。母がファシストの軍人と再婚、義父から絶え間なく虐待を受ける少女オフェリアは、辛すぎる現実から逃げる為、空想の迷宮へと逃げ込みます。しかも、唯一の味方だった母親が途中で死んでしまうんです。『デビルズ・バックボーン』の少年カルロスには、まだ孤児院の仲間がいたけど、この少女には、誰もいない、誰も。もう、辛すぎる(*T^T)少女の暗黒の心と、少女の夢の中に現れる※極彩色の美しい世界。あまりにも残酷な結末(冒頭の場面から予想はできたけど)に、泣くこともできませんでした。

その美しい映像は、第79回アカデミー賞撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞。


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異形なる者…牧羊神パン

 

 この映画に登場する牧羊神パンやペイルマンは、映像作家デル・トロの大きな特徴である「異形なる者への愛着」の最初の創造物と言えるのではないでしょうか。


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異形なる者…ペイルマン

 デル・トロ監督の目も綾な迷宮世界に触れられる最後のチャンス。この機会にぜひ❗