オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

ジャン・コクトー没後60年映画祭②〜『美女と野獣』


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『オルフェ』(1950)に続いて今回ご紹介するのは、『美女と野獣』。ディズニーのアニメ版・実写版、劇団四季の舞台等で有名すぎるほど有名なお話ですが、元祖はコチラ❗

原題は『La Belle et la Bête』、まんまです(^_^;)ディズニー版ではたしか「Belle ベル」って固有名詞になっていた筈ですが、コクトー版では「La Belle(美人さん)」って呼ばせてるんですよね。冠詞(La)がついてるの。現代だと、ルッキズム問題に引っかかりそうだけどね。……とまあ、長い前置きはこのくらいにしまして(笑)

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 いつの間にか壁から燭台を持った人間の手が差し伸べられ、動かぬ筈の石像の目がキョロキョロと動き、宝物館に据えられた月の女神ダイアナ像が、宝物を盗もうと侵入した不埒者に矢を射る……。もはや全編が、コクトーの高い美意識と趣味に走ったモノクロ映像美のオンパレード。父を案じる美女が流す滂沱の涙が、流れ落ちる度にキラキラと輝くダイヤモンドに変わっていくシーンは、有名すぎるほど有名。

 

 野獣を演じるのは、長年コクトーと愛人関係にあり、同棲相手でもあったジャン・マレーギリシャ神話の美神みたいなマレーに野獣メイクさせて、美女役のジョゼット・デイに「貴方は醜い」とか「近寄らないで」とかさんざん言わせる。まあ、だんだん美女は野獣の優しさにほだされてくるわけだけどね。当時のコクトーの心境ってどうだったのかなぁ……。サディスティック・ラブ!?……それとも反対に、「キミの外見が年老いて醜くなっても、ボクのキモチは変わらない❤」っていう、永遠の愛の告白?(^_^;)


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カフェで寛ぐジャン・マレー(左)とジャン・コクトー。2人の写真を見ると、必ずコクトーがマレーに熱い視線を送っています(笑)

 

 『美女と野獣』当時、ジャン・マレーは33歳。野獣から王子に変身した時のイケメンぶりは眩いばかり。美女役のジョゼット・デイの気品ある美しさと共に、一見の価値アリ❗