オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想を呟いたりしています。今はおうちで珈琲片手に映画やドラマを観る時間が至福。

金田一耕助その人が蘇る〜NHK『犬神家の一族』の吉岡秀隆

 
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横溝正史金田一耕助シリーズを不定期に制作しているNHK。2023年は『犬神家の一族』❗ヲタクは昔から横溝正史のファンで、ベストセラーになった作品は大抵読んでいるのだけれど、犯人や結末がわかっていても、横溝の映像化作品はどれもとても面白い❗……それはきっと、彼の作品が外連味たっぷりで(注・良い意味です 笑)、派手で、とても映像向きだからだと思う。読者としては、例えば『獄門島』だと雪月花の三姉妹の殺され方の絵面はどんなものかしら……とか、『八つ墓村』の多治見要蔵の発狂シーンはどんな演出❓とか、ツボが沢山あるわけですね。

 

 そしてそして今回の『犬神家の一族』。時は太平洋戦争終戦後間もなく。那須湖畔にある大邸宅で信州財界の大物・犬神佐兵衛が死去。彼は生涯妻を娶らず、3人の妾を囲っていました。3人の妾はすでに他界していましたが、1人ずつ娘を遺し、その遺児たる腹違いの3姉妹、松子(大竹しのぶ)、竹子(南果歩)、梅子(堀内敬子)は婿養子を取って広大な屋敷に住み着き、これまたそれぞれ1人息子〜佐清(すけきよ)、佐武(すけたけ)、佐智(すけとも)をもうけ、互いに反目し合っていました。犬神家には、幼い頃両親を亡くし佐兵衛に引き取られた野々宮珠世(古川琴音)が寄寓していましたが、左平の死後は何故か、彼女の命を危うくするような謎の事件が頻発していました。


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大竹しのぶの「圧」がスゴイっす(笑)

 

 犬神家の姓を名乗ることさえ許されなかった婚外子の3人の娘たちは佐兵衛を憎む一方で、彼の遺した莫大な遺産を(我が息子にこそ……)と虎視眈々と狙い、水面下で牽制し合っています。戦死したと思われていた松子の一人息子・佐清が犬神家に奇跡の生還を果たしたその直後、一族が勢揃いしたその席で、名探偵・金田一耕助(吉岡秀隆)が見守る中、顧問弁護士が遺言状を読み上げましたが、その内容は「遺産相続人は野々宮珠世とする。但し、遺産相続の条件は佐清、佐武、佐智の何れか1人と結婚すること。それができかねる場合、相続は無効となる」という、非常識極まりない、子孫にあえて諍いを起こすような内容でした。そしてそれは、親族同士の、血で血を洗う悍ましくも恐ろしい惨劇の幕開けでもあったのです……❗


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※竹子役、南果歩のメンヘラっぷりも必見。

 

 まずもってNHKのドラマ(特に時代モノ)は、『上海の芥川龍之介』(主演・松田龍平)や『スパイの妻』(主演・蒼井優)にしろ、『雪国』(主演・高橋一生)にしろ、衣装や家屋、細かい調度品に至るまで時代考証が綿密で、画面を見ているだけでも楽しい🎵……しっかし『犬神家の一族』や『八つ墓村』の舞台になる古い日本家屋って、昼間でもところどころに光が届かない暗闇があって、それだけでも怖いよね(^_^;)ヨーロッパの古城を舞台にしたホラーを「ゴシックホラー」って言うけど、横溝正史はさしずめ日本のゴシックホラー(笑)彼の蔵の描写とかもコワイ。そういえば横溝の作品に、『蔵の中』なんてのもあったっけ。


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目は口ほどに物を言い…。佐清役の金子大地。

 

 また、特筆すべきはキャスト陣の熱演でしょう。戦地で火傷を負い、顔一面ケロイドだらけになったため、白いマスクを被っている佐清役・金子大地の「目の演技」がトレンド入りしてました。(おまけに彼は、一言も喋らない…)金子くん、素晴らしかったですね。お国の為に戦って、若いみそらで顔に重度の火傷を負い、愛する珠世にも距離を置かねばならぬ青年の懊悩を、目線1つで表現していました。佐清の母で、気位が高く、亡くなった父親・佐兵衛に対する冷たい情念を心の奥深くで青白く燃やし続けているような長女・松子役の大竹しのぶ。インタビュー等で垣間見る彼女のキャラは天然系、松子とは真逆なので、尚更一層その類まれなる演技力に感服です。


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※そこに金田一耕助は実在していた❗……吉岡秀隆

犬神家の一族』の頃、金田一はまだ30〜40代だったと記憶していますが…。若白髪かな❓(^_^;)『八つ墓村』まではあまり気にならなかったけど…。前2作では短髪だったから目立たなかっただけかな。でも、イマドキなグレイヘアもステキ😍

 

 そしてそして、金田一耕助役の吉岡秀隆❗彼の金田一は同じNHKの『悪魔が来たりて笛を吹く』、『八つ墓村』以来3度目の登場ですが、歴代数々の名優が演じてきた金田一の中で、彼がベストですね。というか、イメージぴったり。原作から抜け出して来たみたい😍華奢で運動オンチ、男性には軽く見られがちだけど、母性本能をくすぐるタイプで女性にはモテモテ。コワモテな人もなぜか彼の前ではうっかりホンネを喋ってしまう。今作品でも、アノ怖ーい松子(大竹しのぶ)が、耕助のお願いごとには「(んもう、しょーがないわねぇ)いいわよ」って感じだったじゃないですか(^_^;)…とはいえ、周囲に黙ってふらっと外国行っちゃったり、案外好き放題生きてる風来坊なんだけどね(笑)

 

 ……というわけで、前編の※「菊人形殺人事件」に引き続き、いよいよ今週土曜日(4月29日)の後編には、アノ衝撃の「湖からニョッキリおみ足」シーンが登場します。

※若い人は知らないでしょうが、ヲタクの子供の頃には「菊人形」っていうナゾの展示物が存在してたんですよー。マネキンに、ナマの菊の花を衣装に見立ててペタペタ貼り付けたヤツ。今の東急線沿線のヲタクの家の近くに「多摩川園」っていうちっちゃな遊園地があって、毎年秋にその菊人形を何体も展示するんだけど、子供心にも何故か‥‥怖かった(^_^;)今回の『犬神家の一族』で、その時の理由のわからない恐怖心を思い出した。