人気ドラマシリーズ『岸辺露伴は動かない』ついに映画化❗
ドラマファンにとっても、コミックファンにとっても、映画館の大スクリーンでこそ堪能すべき贅沢な作品に仕上がっています。
ヘヴンズドアという、相手の心情を書籍にして読み取る特殊能力を持つ、漫画家・岸辺露伴(高橋一生)。最近の先生は「黒」に取り憑かれているよう。虫を溶かした染料で漫画を書いたりしています(^_^;)それは新人時代、祖母(白石加代子)が経営する下宿屋に寄宿している謎めいた女性・奈々瀬(木村文乃)という女性から聞いた、「この世には、最も黒く、最も邪悪な絵が存在する」と言う言葉が、今でも頭から離れないせいでした。世の中で最も黒く、そしてこの世で最も邪悪な絵。それは昔、日本の絵師が、神社のご神木から滲み出る漆黒の樹液を使って描いたものであるとか。いつもながら、露伴の好奇心はいたく刺激されます。ひょんなことから、その絵がルーヴル美術館に所蔵されていることを知った露伴は、編集者の泉京香(飯豊まりえ)を伴い、一路パリへ。しかし、不思議なことにルーヴルの職員たちは誰一人「黒い絵」の存在は知らず、データベースを検索して唯一ヒットした保管場所は、今はもう使用されていない地下倉庫「Z-13 」でした。そこで露伴は、泉やルーヴルの職員・野口エマ(美波)、高名なキュレーター辰巳(安藤政信)と共に、呪われた「黒い絵」が引き起こす、想像を絶する恐怖に直面することになるのです……。
ヲタクはドラマシリーズが大好きで、初回から見ていますが、映像化された『岸辺露伴』は、古い日本家屋の暗闇に潜む「何か」とか、神社のご神木に住み憑いている摩訶不思議な存在、先祖の悪行が末代まで祟る……等々、今の日本ではとうに廃れてしまった湿った情緒や、そこから生まれるそこはかとない恐怖をそれはそれは巧みに表現しています。
そんな、古き良き日本文化の申し子のような露伴がいきなりルーヴルへ?と聞いて、ヲタクは当初面食らいましたが、観終わってみれば、ルーヴルが、パリが、西洋の文化が、例えば露伴の祖母が住む古い日本家屋の薄暗がりや神社の苔むした湿った匂いに代表される日本の文化と好対照を為し、フランスと日本、それぞれの美しさが際立つようで、なんとまあイキな演出なんだろうとうっとり。
高橋一生って、ドラマ『雪国』や『スパイの妻』を見てもわかるように、例えば谷崎潤一郎が『陰翳礼讃』の中で述べているように、日本特有の墨絵のような暮色や薄暗がり、陰翳の美を体現できる俳優だとヲタクは以前から思っていて。ルーヴル美術館の前に佇む、彼の立ち姿のなんとまあ美しいこと。それは、体格が年々西洋の偉丈夫化しつつあるイマドキの若者とは違う、もっとたおやかで、華奢で、控え目な、日本古来の色男の美しさ。『心中天網島』とか、『おさん茂兵衛』とか見てみたいよねぇ、高橋一生で。
露伴の祖母役の白石加代子。人間の心の闇と狂気を演じさせたら右に出る者はいない名女優で、『身毒丸』を初めとして故・蜷川幸雄の信頼も厚かった彼女。今作品でも、漂うオーラが尋常ではない(笑)キュレーター役の安藤政信は相変わらずカッコいいし、久しぶりの美波(やはり蜷川作品の『エレンディラ』。体当たりの熱演が凄かったよね。今回は、息子を守り切れなかった母親の哀しみを抑え目に演じて◎)も現地在住のキャリア役にピッタリ。助演陣のキャスティングも見事です。
それにしても、あの絵を見て%$#@[]¢£€…しなかった泉くんって一体……露伴でさえ$%#℃¥¢£€℃…だったというのに…。SNSの感想見てたら「泉くん最強説」が出ていたけど、ヲタクもその意見に一票❗ああ見えて露伴先生、芸術家らしく繊細でロマンチストだから、これからもその図太さ……いやもとい、天真爛漫さで、先生のことよろしく頼むね(笑)
★今日のオマケ
パリの街並みはもちろん、日本の自然や風物詩など、カメラワークがとても綺麗。ハマっ子のヲタク的には、絵画のオークション会場にホテル・ニューグランドの旧館が使われていて嬉しかったな🎵