ご存知ウェス・アンダーソン監督の最新作がNetflixに登場〜〜❗
ヘンリー・シュガー(ベネディクト・カンバーバッチ)は41歳独身男。莫大な遺産を相続した為に働く必要がない彼は、ギャンブルにスリルを求めて遊び暮らしています。そんなある日のこと、彼は友人の家の書斎で一冊のノートを見つけます。表紙には「イムダット・カーン面接記 目を使わずに観る男」と書いてありました。著者は、インド・カルカッタの病院の医師チェテルジー(デヴ・パテル)。彼は、イムダット・カーン(ベン・キングズレー)と呼ばれる奇術師が持つ超能力について詳細に記していました。インド・カシミール生まれのイムダットは、ふとしたきっかけから宙に浮くことのできるヨガの行者に弟子入りし、宙に浮くことはできなかったものの、長年の修行の末透視能力を身に着けました。そしてその驚くべき能力の発露を、チェテルジーは実際に目撃したというのです。その記録を読んだヘンリーは、カーンと同じ修行方法で透視能力を身につけ、ギャンブルでいかさまをして一儲けしようと思いつきます。はてさてヘンリー・シュガーの悪だくみの行く末はいかに❓果たして彼は「ワンダフルな結末」を迎えることができるのでしょうか❓
※アンダーソン監督とは初タッグのベネさま😍衣装取っ替え引っ替えのコスプレ三昧、果ては女装までご披露の大サービス(笑)
ご存知の通り、今作もウェス・アンダーソン節がサクレツ❗リアルな実物大のセット、ミニチュアの建物、マットペイントなどSFXを緻密に組み合わせたそれは、まるで動く絵画、動く美術品のよう。その静止画のような映像の美しさにぽーっと見惚れていると、人物が突然動き出して(あら、これ映画だったんだっけ)とビックリするくらい(笑)
※作者ロアルド・ダールを演じるのは、同監督の『グランド・ブタペスト・ホテル』で主役を務めたレイフ・ファインズ。このダールの執筆用小屋も、史実通りに再現されたとか。色彩はアンダーソン風のパステル調で、ポップに変化してますけど(笑)
そんなアンダーソン監督の独特な世界観と原作者ロアルド・ダールの摩訶不思議な語り口、そして主役のベネディクト・カンバーバッチをはじめとして、監督の作品ではおなじみのレイフ・ファインズやデヴ・パテル、そして名優ベン・キングスレー等英国俳優たちの軽妙洒脱、ユーモラスな演技がぴったりハマって、40分に満たない短編ながら、芳醇な高級ワインを頂いたような贅沢な気分にしてくれます。映画館公開でも良かったよね😉
作品を見終わった後には、「本当にワンダフルな人生って何なの❓」っていう、しごく真っ当な、教訓めいたテーマが心に染み入ります。「大人のファンタジー」という趣きではあるけれども、中学生くらいなら十分理解できるから、ご家族で鑑賞して、感想を話し合うのもいいかもしれませんね。
※ヨガ行者のインド人カーンを演じるのは、英国の名優ベン・キングスレー。この場面もウェス・アンダーソン監督の得意なシンメトリーな構図になっています。
作風から考えると、ヨーロッパ生まれのような気がするウェス・アンダーソン監督ですが、実はアメリカはテキサス州の生まれなんですよね。ビックリ🫢彼はアメリカ中西部のマッチョ文化に馴染めず、ヨーロッパ文化に憧れて、今はフランス在住だそう。…そのせいか、故郷アメリカを舞台にした前作『アステロイド・シティ』では、アメリカの覇権主義に対するかなりキツイ皮肉をブチかましていたアンダーソン監督。しかし今回の『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』ではその種の「毒」はすっかり影を潜め、監督本来の、人間の愚かさをも包み込む、愛ある暖かさが戻ってきたような気がします。ヲタク的には、アンダーソン監督作品の「らしさ」って、あくまでも「愛〜アムール」だと思っているから…。
※インド密林の光景も、まるでアンリ・ルソーの絵画のように美しい♥
Netflixでは、ウェス・アンダーソン監督によるロアルド・ダール作品の実写化は4部作構成で、本編に引き続き、『毒』(17分…主演/ベネディクト・カンバーバッチ)、『白鳥』(17分…主演/ルパート・フレンド)、『ネズミ捕り』(17分…主演/レイフ・ファインズ)の短編3作も配信中。
ところでアンダーソン監督とロアルド・ダール作品の相性ってバツグンですね❗Netflixでは、ギレルモ・デル・トロ監督監修によるH.P.ラヴクラフト作品の実写化(『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』)がピカ一だと思ってましたが、それに匹敵する素晴らしさだと思います。