オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想、推し活のつれづれなどを呟いたりする気ままなブログ。

全てはここから始まった〜映画『オペラ座の怪人』

 
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 公開されてからもう、そんなに経つのかぁ……(遠い眼)。映画『オペラ座の怪人』4Kデジタルリマスター版が公開20周年を記念して、只今全国の劇場で絶賛上映中であります。

 

 『オペラ座の怪人』は、ヲタクがここで説明する必要もないほど超有名なミュージカル史上不朽の名作です。映画版は日本では凄くヒットしたし、ファントム・ファンも増えたけど(ヲタクもその一人)、英米ではそれほどヒットしなかった覚えがあります。……まあ、彼らはその気にさえなればウェストエンドやブロードウェイに出かければいつでもナマの舞台が見れるわけだから、(なんでワザワザ映画化するの❓)って感じなんでしょうけど、遠い東洋の異国に住む私たちにとっては、涙が出るほど有り難い話なわけです。


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※人間を、芸術を憎み、支配しようとするファントム(ジェラルド・バトラー)ですが……。

 

 実はヲタク、映画を見たちょうど10年後に、ロンドンで実際に舞台を観るチャンスを得たのですが、何故か映画を観た時ほど感動しなかったんですよね。どうしてなのかその理由を考えた時に思い至ったのは……

映画版ファントム(ジェラルド・バトラー)の人物造型と演出、それに伴う彼の演技がともかく素晴らしかったから。

………でした。

 

 彼はご存知のようにミュージカル畑の出身でもなければ、ましてやオペラ歌手でもありません。いくら1年間に及ぶボイトレをして撮影に臨んだとは言え、音域のレンジが広く、おまけに高音域のロングトーンまである難曲を歌うのはさぞかし大変だったに違いありません。当時、「欧米でヒットしなかったのは、バトラーの歌唱力のせい」と、したり顔で語る「識者」や「評論家」は少なくなかったように記憶しています。


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※そのゴージャスさで観る者の度肝を抜くオペラ座のシャンデリアは、かのスワロフスキー社の製作によるもの。

 

 しかし、醜悪な姿に生まれついたが故に誰からも愛されず絶望と劣等感に苛まれ、「オペラ座」という欧州芸術の頂点を掌握しようとする歪んだ欲望、そして初めは自らの権力欲を満たす道具としてしか見ていなかった歌姫クリスティーヌ(エミー・ロッサム)に対して生まれて初めて抱いた恋情を、時に烈しく、時に哀切極まりなく表現したバトラーのファントムは圧巻でした。彼の演技の前には、時に生硬に感じる歌唱力も全く気にならなかった。そしてカメラは一瞬一瞬の彼の表情の変化を余す所なく捉えて、それだけでも映像化の価値はあった……と、ヲタクは今でも思っています。

 

 若い頃は音楽と言えばロック一辺倒だったヲタクが、クラシック音楽、特にオペラに興味を持ったのはこの映画のおかげ。実はこの映画、監督のジョエル・シュマッカーはファントムをロックシンガーに見立て、BGMもロック調のアレンジを施してあります。(従来のファントム・ファンの不興を買ったのは、こういった点もあったようです)当時ロックファンだったヲタクが、何故かこの映画がきっかけでクラシック、ひいてはオペラに目覚めたのも、不思議な話ではありますが、映画版『オペラ座の怪人』が未知なる深遠な音楽世界に誘ってくれたのは紛れもない事実なのです。

 

 先日サントリーホールで行われた伝説のテノールロベルト・アラーニャのコンサートで、オペラの魅力をまた再認識したヲタクですが、全ては映画『オペラ座の怪人』から始まったのだ……と思うと、感慨深いものがあります。

 

 公開当時、世間の評判に反して作者のロイド=ウェバーは、「映画版は視覚的にもサウンドも素晴らしく、感情表現もより深い」と語っていたそうです。4Kデジタルで鮮やかに蘇った今、本作品は、絶対映画館で観るべきでしょう。ヲタクも上映期間中、ぜひ映画館に足を運んでみたいと思っています。

 

 20年前と同様、また新たな発見と感動があるのでは……❓と胸をときめかせながら。


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オペラ座大広間で繰り広げられる仮面舞踏会。200人以上が「マスカレード」を歌い上げるシーンは圧巻!