ドラマも中盤を過ぎ、まひろ(のちの紫式部…吉高由里子)はついにあの『源氏物語』を執筆し始めた今日このごろ(笑)今回は、藤原道長(柄本佑)のたっての願いにより中宮彰子(見上愛)付きの女房として出仕し、藤式部(とうしきぶ)と呼ばれるまでのエピソードが描かれました。
ヲタク的には、『光る君へ』を見る時には常に頭の中に『源氏物語』のストーリーが展開していて、畏れ多くもすっかり紫式部の目線になってしまっています。(ああ、中宮彰子のキャラは女三の宮がモデルかと思いきや、そのじつシンがしっかりしているところや生さぬ仲の敦康親王を我が子のように可愛がっているところなどは、藤壺女御のモデルでは……)、(一条天皇は「光る君は敦康か?」とまひろに尋ねていたけど果たして……?)等など。
今回一番面白かったのは、何と言っても宮中でのまひろと藤原公任(町田啓太)・藤原斉信(金田哲)との会話の応酬でしょう。当時中宮彰子の内裏・藤壺には上流貴族の姫君ばかりが集められていました。まひろの元にやって来た公任と斉信が「藤壺の女房たちは生まれが良くて美人ばかりだが気が利かなくて鈍い」(斉信)、「見栄えが良くても鈍いのはなぁ」(公任)などと各々勝手なことを言っているのに対して、まひろが、二十年以上前に物陰から聞いた彼らの身勝手な「※女性の品評会」への意趣返しとして、
※この時の彼女の痛い体験は、『源氏物語・箒木の章』の「雨夜の品定め」に生かされたようですね。
わたくしのように地味でつまらない女は、己の才を頼みにするほかございません。
左大臣さまの御心に適うよう、精一杯務めます。
……とガツンと言ってやった場面は爽快でしたねぇ。
まあでも、まひろの強烈な皮肉は、藤壺の女房たちと同様、生まれの高貴さと愛嬌と見栄えの良さで我が世の春を謳歌している公任と斉信には、残念ながらとんと通じませんでした(^_^;)まひろを当時「地味でつまらない女」と評した公任すら、その事自体を忘れているのですから……。
『源氏物語』を書き始めてから、ますます※同人女化しているまひろですが(経験者は語る 笑)、『式部誕生回』は地味でつまらない同人女 VS リア充パリピ族の静かなるバトル……って感じでめちゃツボにハマりまくり😉
※平安朝の「純文学」といえば和歌で、歌人の位置が高く、物語の書き手はいくら人気が高くても同人雑誌的扱いだったらしい。
さてさて、『源氏物語』の主人公光源氏は、平安朝の貴族の男性には珍しく近代的な女性観の持ち主で、人生の機微のあれこれを深く語り合える理想の女性を求めて恋愛遍歴を繰り返します。見栄えも生まれもさほどではなく、自らの才覚だけを頼りに生きようとするまひろにとって、己の本質を認め、花開かせてくれた道長こそ、「光る君」であったのだなぁ……と、改めて確認することのできた第33話でした。