オタクの迷宮

海外記事を元ネタにエンタメ情報を発信したり、映画・舞台・ライブの感想、推し活のつれづれなどを呟く気ままなブログ。

今日は9月9日重陽の節句だよ、『菊花の契』の日だよ


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 久しぶりの休みだっつーのに、この昼過ぎになるまで大事なことを忘れておりました。

 

今日は9月9日重陽節句なのです。

 

発祥の地は中国。かの地では奇数は縁起の良い「陽の日」とされましたが、最高の奇数9が重なる日はめでたさが過ぎて、(過ぎたるは及ばざるが如し……でね)かえって不吉なことが起こりやすいとされ、その邪気を払うため、菊の花を飾ったり、菊酒を飲んだりしたそうです。
 
  そしてその重陽節句と言えば、かのBLの大古典、『菊花の契(ちぎり)』(上田秋成作『雨月物語』の一)の中で、丈部左門と赤穴宗右衛門が再会の約束をした日でございます。

 

 播磨に、丈部左門という高潔な学者がおりました。左門はある日、熱病に倒れた旅人を看病します。 旅人は出雲の城主塩冶掃部介に仕える軍師・赤穴宗右衛門。主君が尼子経久に殺されたことを知り、急ぎ帰国する途中で病に倒れてしまったのでした。左門の看病で赤穴は回復、二人は意気投合し義兄弟の契りを結びます。赤穴は出雲へ戻ることになりますが、この恩返しのため、9月9日の菊の節句は必ずや左門の元に帰る約束をして出立します。しかし、約束の菊の節句の日、赤穴はなかなかやって来ません。ところが深夜、やっと左門の元を訪れた赤穴はもはやこの世のものではなく、変わり果てた亡霊の姿となっていました。出雲に帰国した赤穴は、彼にとってかけがえのない主君たる塩冶掃部介を殺して新城主となった尼子に仕えることを拒否したため、幽閉されたのです。このままでは義兄弟の約束を果たせないと思った赤穴は牢の中で自害し、亡霊となって天翔け百里を走り、左門に逢いに来たのでした。彼の想いに報いるべくそのまま左門は出雲へ下り、赤穴の幽閉に手を下した従兄弟の赤穴丹治を訪ね、一刀のもとに斬り殺して逃走します。城主の尼子は事の次第を聞き、赤穴と左門の義兄弟の絆を憐れみ、左門へ追手を放つのは諦めるのでした……。

 

 ……とまあ、あらすじを書いてしまえばよくある武士の敵討ちの話かと思いますが、重陽節句に掛けて『菊花の契』ですから❗️菊花ですから❗️(⇐しつこい 笑)このお題に全てが込められているわけです。これって上田秋成の壮大な匂わせだわね。

 

親の血をひく 兄弟よりもかたいちぎりの 義兄弟

こんな小さな 盃だけど男いのちを かけてのむ

兄弟仁義』作詞・星野哲郎

 

……とまあ、任侠の世界の血の盃とか、ダンブルドアとグリンデルバルドの血の誓いだって同じようなもんよね、心情的には。実際に「菊花の契」は結ばないにしてもね(笑)

 

 

 ヲタク的には、この物語を読んだ時には、遡ること半世紀に書かれた『葉隠』の「衆道の心得」を思い出しました。武士たる者互いに心身を交えることにより、生死を共に戦い抜く覚悟を固める意味もあったようですが、それは決してこの世では成就しない恋情でした。

恋の至極は忍恋と見立て候、逢ひてからは恋のたけが低し、一生忍んで思ひ死する事こそ恋の本意なれ

……ですわ。

 

まさに赤穴と左門の関係を言い表しているような気がしてなりません。……まあともかく今日は「陽が過ぎる日」なんで、どこにも出かけず家でおとなしくしているわ(笑)