東京国際映画祭にて、「リアルペイン〜心の旅〜」(監督・脚本・製作・主演 ジェシー・アイゼンバーグ)鑑賞。
ニューヨークに住むユダヤ人のデヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)と、しばらく疎遠になっていた同い年の従兄弟ベンジー(キーラン・カルキン)が、最近亡くなった祖母の遺言で再会、祖母が以前住んでいたポーランドの家を訪ねるまでを描くロードムービー。デヴィッドの発案で、2人は旅の本命である祖母の家を訪ねる前に、ポーランドのルヴァンや強制収容所マイダネクを巡るツアーに参加するのですが、ベンジーが本当に空港に現れるか心配で、デヴィッドが彼の携帯に確認のメッセージを入れまくる冒頭のシーンを見るだけでも、いかに彼らの旅が前途多難かを思わせます。(なぜデヴィッドがこんなにベンジーの一挙手一投足にハラハラしているのかは、ストーリーが展開するにつれておいおいわかってくるしくみ)
感受性が豊かで正直で、でもだからこそ様々な人生の痛み(ペイン)に対して耐性がなく、精神を病むまで追い詰められてしまうベンジーと、ストレスフルな仕事につき、家族も抱えて「生きるために」痛み(ペイン)をぎりぎりまで抑圧し、強迫神経症と不眠症に悩まされるデヴィッド。時には寄り添い、時にはどうしようもなく反発し合う複雑な関係性をアイゼンバーグの脚本はユーモアを混じえて巧みに描き、また、2人の演技がもう……神がかっていました❗️2人の絶妙な掛け合いにくすくす笑い、人と人が真に理解し合うことの難しさと、わかり合えた時のかけがえない歓びに感動の涙を流す1時間半。
※それにしてもキーラン・カルキン(左)って、こんなに味のある役者さんだったっけ❓️(たぶんヲタクの認識不足です。スミマセン(^^ゞ)お久しぶりのジェシー・アイゼンバーグ、久しぶりに彼の、いかにもニューヨークのヤンエグっぽい早口が聞けて楽しかった(笑)
全編をショパンのピアノ曲が彩り、オールポーランドロケのこの作品、第二次大戦中ワルシャワでのゲットー武装蜂起についても語られ、マイダネク強制収容所内のガス室の様子なども克明に撮影されており、スクリーン一杯に広がる美しい街並みや田園風景とは裏腹に、ポーランドの苦難に満ちた過酷な歴史に心抉られます😭インディペンデント映画最高の賞と言われるサンダンス国際映画祭(第40回)受賞作で、日本公開は来年(2025年)1月25日とまだ大分先になりますが、心洗われる佳作。機会があったら是非❗️
……それにしても1人4役でこんな素晴らしい作品を創り上げちゃうジェシー・アイゼンバーグって……やっぱり天才❗️❓️