オタクの迷宮

海外記事を元ネタにエンタメ情報を発信したり、映画・舞台・ライブの感想、推し活のつれづれなどを呟く気ままなブログ。

衝撃の結末〜「ディスクレーマー 夏の沈黙」第5話〜7話(ネタバレ有)

 
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※「ディスクレーマー 夏の沈黙」第1話〜4話は東京国際映画祭で上映され、なんとアルフォンソ・キュアロン監督が上映前にサプライズ登場したのだとか❗️ヲタクも会いたかったよぅ…。その時間、別の映画観てた……。

 

 本日は10月21日の記事「大人の上質な心理スリラー『ディスクレーマー 夏の沈黙』第1話〜4話」の続き、第5話〜7話(最終回)の感想となります。ネタバレがありますので、ネタバレがイヤな方はここで読むのを止めて下さいね。

 

 うん、最初にヲタクが記事を書いた時点(10/21)での予想は当たってましたね。撮影にズームを多用していたのは、フィクションの入れ子構造だったから。ヒロインのキャサリンケイト・ブランシェット)が真実を語り始める6話と7話では、ズームはぱったり使われなくなります。……まあようは、「行きずりの人」は全くのフィクションで、そこで描かれた、キャサリンの息子を溺死から救って死んだヒーローである筈のジョナサン(ルイス・パートリッジ)は、じつはトンデモないレイプ犯だった……という話。キャサリンは、最大の屈辱を与えられたのに加えて、翌日ショックと疲れのために自分が砂浜で眠りこけている間にボートで沖に出た息子のニコラスが溺れかけたこと、また自分自身で彼を助けに行かなかったことで、自らが母親失格だと責め続けてきたことが明らかになってきます。


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※息子を危機から救い出そうと、必死で走り回るキャサリン。「社会的に成功している女性」と言うだけで、世間からも、夫からさえも「息子を放置している」「自分の思い通りにしている」と先入観で見られてしまうキャサリン。キュアロン監督の痛烈な風刺が効いているような気がします。

 

 

 ヲタク的には、盲目的な母親(レスリー・マンヴィル)から溺愛されて、欲望を制御できないモンスターになってしまったジョナサンをはじめとして、息子のサディスティックな性癖を薄々知りながら見て見ぬふりをし続けたステファン、長年連れ添った妻よりも他人の誹謗中傷をたやすく信じてしまい、妻を責め続けるキャサリンの夫ロバート……と、登場する男たちの隠れた女性蔑視ぶりが次第に露わになっていくのがかなり気持ち悪かったですね。描き方もけっこうリアルで……(^_^;)でもラスト、「僕が悪かった。許してくれ」って哀願するロバートに向かって、「妻が他の男と欲望を満たすのは許せないけど、レイプされるのは許せるわけ❓️まるで私がレイプされて安心したみたいね。あなたとはもうやっていけないわ」って、キャサリンがピシャリと言い放ったのにはスッキリしたわ〜(笑)

 

 男性の心の奥底に潜むミソジニーや女性に対する征服欲……って、今どき家庭でも職場でもなかなか表面に現れてこないから、かえって厄介なのかも。(30年前、ヲタクがOLやってた時代と違って、今どき「女はバカでも可愛けりゃいいんだ」なんてあからさまに公言する男はさすがに見当たらないしね 笑)男たちはだいたい表面ではコンプラとか女性が活躍できる社会を尊重するフリしてるから(^_^;)。ヒロインのキャサリンだって数十年経って、こんな特異な出来事があって初めて、これまでフェミニストだと信じて疑わなかった夫の隠れた本性に気付いてしまったわけだし。

 

 ……でも、救いは、キャサリンが長年苦しめられてきた「自分が良い母親じゃなかった……」という自責の念から解放され、息子のニコラスと2人、母子関係を再構築しようと、一歩踏み出すことができたこと。女性の目から見ると、苦くてモヤモヤするストーリー展開ではあったけれど、ラスト、人生の新たな一歩を踏み出すキャサリンはカッコよかった。やっぱりこういう役にケイト・ブランシェットはハマるなぁ。